第十五話 明かされた真実 前編
「和樹さ〜ん、見てください私達の娘ですよ、これはもう世界が私達が結ばれるのを望んで……」
「黙れ!!」
「和樹さん?」
「そして聞け!」
「我が名は和樹!!式森和樹、我こそはキシャーを断つ剣なり」
「良く言いましたぞ我が友よ」
「誰が友だ!!変態執事!!」
「はっはっは、私の名前はアウゼンキース、執事ではありませんぞ」
「なんじゃああそりゃああ!!!なんで名前が機体名なんだよお前は!?」
「さあ女難殿今こそ刃牛一体の力見せまそうじょ」
「阿呆かお前は!!今更牛ネタを持ってくるなああああああ!!!」
「どんなキシャーだろうと撃ち貫くのみ」
「キシャーのキは……いえないのごめんなさいね」
今アインストシリーズを越える最大最狂の敵キシャーとの戦いが始まる。
スーパーキシャー大戦 近日発売(嘘)
<保健室>
「紅尉先生、お父様は先ほどから何をぶつぶつ言っているのでしょうか?」
虚ろな目をして先ほどから「キシャーVSネオ・グランゾン夢の対決だ!!」などと言っている、和樹に対して美樹は不審がる。
「ふむ、先ほど止血した時は特に脳に異常はなかったはずだが?」
和樹の足元に広がるおびただしい量の真っ赤な液体を見ながら答えるマッド。
「まさか、ブラックホールクラスターに耐えるとはやりますね」
「……話が進まないので美樹君何とかしてくれんかね」
なんとなく今の和樹に近づきたくないマッドは美樹に止めるように尋ねる。
「分かりました……」
疲れたように近づいていき、
「ザラマンダー」
和樹の足元から天を貫くほどの火柱が上がり和樹を焼く尽くした……
「死ぬかと思った……」
気がついたら黒こげと化していた僕はため息をつきながら起き上がる。
「普通数千度の炎食らったら死ぬのだがね」
「そういえば、嫌な夢を見たよ」
僕はマッドの嫌味を無視し先ほど見た悪夢を思い出す。
「それは何かね、式森君」
「いやあ、未来から僕とキシャー様の娘とかいうドタワケ者がやってきた夢なんだけど……」
まったく持ってありえない、どれくらいかと言うとラジアータのエンディングの内容ぐらいありえないよな……
「どうしました?お父様」
父さん、今僕の目の前にポニーテールの美少女がいるわけで……
夢でないでやんの。
「ところで美樹君は何故未来から来たのかね?」
「それは……」
「はいはい、どうでもいいよ、そんな事は」
二人が何か話し合っている中僕は保健室のベットで不貞寝している。
「「……」」
「もう、僕はキシャー様と結婚するんでしょ?だったらもうどうでもいいよ」
運命は変えられないんだろどうせ。
こんなことなら始めてレナスに会った時、
「一緒に逝かない?」
と聞かれたとき逝っとけばよかったと後悔してますよ。
「お父様……」
「もう終わりだ終わり!!次回から風の聖痕でも書くからほっといてくれ!!!」
「落ち着きたまえ式森君。まだ彼女の目的が何か聞いていない」
どうでもいいよそんなこと。
『キシャー様と結婚』の事実のせいで僕の理想は見事にブロークンファンタズム、生きる気力すらわきやしない。
つーか死なせろ世界頼むから。
「……お父様落ち着いてください……私が此処に来た訳はお父様とお母様の結婚を阻止するためです」
ナンデスト?
僕はベットから起き上がり美樹のほうを向く。
「まずこのままではお父様は高校卒業と同時にお母様に無理やり関係を作られ責任を取らされます……」
我が娘が眼を伏せ悲しそうに言うが……いきなりゲイボルク級のお言葉をいただいた僕にはどうすることもできません。
だって心臓を押さえて血を吐き出して死に掛けていますから……
「お父様!!」
我が娘の悲壮な声が聞こえました。
「それで、何故君はこんなおもし……もとい悲惨な未来を変えたいと思ったのかね?下手すれば君の存在が消えてしまうかもしれんのだぞ」
マッドがなんか説明しだす。
確かタイムパラドックスとか何とかで、親殺しと同じみたいなものなんだろうなきっと。
「それはあくまで仮説ですし、実際に試した人もいないのでどうなるか分かりませんよ……それに万が一私という存在が消えても後悔しません」
彼女の眼には確かな決意を宿していた。
……一体何があった未来?
「聞きたいですかお父様?」
我が娘が僕に尋ねる。
どうしよう?物凄く聞きたくないんですけど僕。
「後悔しませんね」
帰りたい。
「話しますよお父様……胃薬の貯蔵は十分ですか?」
そんな重いのかよ!!
「安心したまえ胃薬なら大量にある」
ありがとうマッド、殺したいぐらい素敵だよあんた。
「まずはこのビデオを見てください」
美樹は一本のビデオテープを取り出す。
「美樹、此処は保健室だぞ。ビデオなんかあるわけないだろう」
「安心したまえ、ビデオなら此処にある」
マッドが何処からか、テレビとビデオデッキを用意する、まあ今更この保健室に何が出てきても気にしないが。
「じゃあ、お父様逝きます」
セッティングの完了したビデオデッキに美樹はビデオをいれる。
ビデオが流れて数分、一人の男が姿を現す。
真っ白な髪の色をしていて肌の色は小麦色。
疲れたような表情に擦り切れた雰囲気そして諦めたような哀しい目をしている。
奴は何処の赤い弓兵だ?
「あれは、未来のお父様です……」
我が娘が悲しそうに聞きたくない真実は話す。
なるほど、奴は理想(キシャー様と結婚しないこと)に裏切られた男のなれのはてというわけか……
泣いていいですか?
「ああ、過去の私。信じられんだろうが私は未来の式森和樹だ」
いや、普通に納得できました。
まあ、疑問があるとすれば、
「美樹、どうして未来の僕はあんなに外見が違うんだ?」
少なくても僕は投影魔術は使えないのであんな外見になるはずはない。
「……お母様とお姉様の過激な行動でストレスによって髪の色素が抜け落ち、肌はお母様のお仕置きのザラマンダーのせいで火焼け(誤字にあらず)によって小麦色になりました」
ああ、苦労したんだね未来の僕。
その姿を良く見たいんだけど、目の前の視界が歪んで何も見えないよ。
「過去の私は救いようのない愚か者だが、私自身が過去の私を殺す事ができないので美樹に託す。過去の私、雪を降らす前の私を殺したいと思うが諦めろ」
良いのかアーチャー?答えを得たわけでもないのに?
「何しろ、本気で自分殺しを考えていた私に美樹はただ一人『お父様の理想は間違いなんかじゃない』と言ってくれた。いろいろあり、人生について考えてきたが大丈夫。答えは得た僕もこれからもがんばっていくから。だから過去の私よ未来の私みたいになるな」
安心しろ死んでもなりたいと思わないから。
「美樹、この未熟なたわけを道を踏み外さないように支えてくれ」
「うん」
美樹が素敵な笑顔で答える。
こいつらFateに喧嘩でも売ってるんか?
(ちなみに作者は売ってませんし、アーチャーは男キャラで一番好きなのであしからず)
「まあ、どうでもいい話になったが言うことは唯一つ。死ぬな」
そしてビデオを終わった。
僕は未来の僕について考える。
彼は理想(キシャー様と結婚しないこと)に裏切られ道を踏み外したようだが、僕達の理想は間違っていないと断言できる。
だからがんばるよ。
「お父様、これが未来のお父様のメッセージです。ですからどうか未来を変えてください」
「いいの?たとえ巧く君が存在しても未来の君の和樹は消えるし」
僕の疑問に彼女は悲しそうに首を横に振って答える。
「いいです。お父様の身体は病のせいで限界です。あとお母様の撒き散らすアルガンダースにも犯されてますし」
もはや災害だなキシャー様……
おそらく、フォティーノとクェーサーの二匹がかりでも勝てないだろう。
そしてレナスでも勝てないんだろうなきっと。
嫌だな……マジで……
「美樹、何故未来から来たか話してくれ」
僕は前に進むために美樹に話しかける。
「……分かりました」
「お父様には娘が二人います。私と姉の由樹です」
そして美樹は少し言いよどむ。
「由樹姉様はお父様とお母様が関係を結んだ日にできた子供です……お父様大丈夫ですか?」
娘は胃薬を大量に摂取している僕を心配する。
「話を続けます。由樹姉様は七歳の時、今の旦那と出会いました。一目ぼれだそうです」
くっ、これが九を救うため一を切り捨てるという現実か!!
(一<生贄の旦那>九<その他の男子>)
「由樹姉様はすぐに関係を求めましたが義兄様は拒否しました」
嫌な七歳だ。
「そして、そのことに腹を立てた由樹姉様は激怒。『きしゃあああああ』の掛け声で魔法を使いました」
……地獄に落ちろ未来の娘。
「しかし、私達はお父様の魔力を受け継いでいます。そのため七歳の由樹姉様では制御できず暴走……後にセカンドインパクトと呼ばれる出来事が起きました」
未来の僕へ
理想への道はあまりにも遠いです。
ぶっちゃけ、いきなり挫けそうです。
あとがき
これ以上続けると、和樹君の体が持たないのでいったん切ります。
次回は和樹の娘が起こした事件の数々を明らかにしますので期待してください。
レス返し>
suimin様>当たり前です。理想に裏切られた父、そして姉の奇行を身近で見ていたので彼女はなんとしても未来を変えたいのです。
D様>母VS娘はもう少し後で。
わがち〜様>これからも応援してください。
葵様>相手はキシャー様、並大抵のことでは不可能です。
D・K様>その通りです。七歳でセカンドインパクトを起こす様な姉ですから……
鳳麻様>祈っていてください、彼女の性格は次回明らかになります。
ユピテル様>多分最終的には幸せになると思いますよ……最近自信ありませんですけど。
鬼神様>足?全身どっぷり使っている気もしますが?
紫銀龍様>送ってください、和樹君の手助けになるように。
紫苑様>凛についてはもう少し後になりますので。
福庵様>いえ、今の和樹君は混沌クラスの不死身ぶりなので早々人形には写りません。
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