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「ラブひなリバース(らぶひな) 1」

ガイザー (2005-02-13 22:22/2005-02-16 21:19)
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 ラブひな NO,1
 ようこそ! ひなた荘へ!
 
 
 
 
 東大をうけて、みごとに落ちた俺は親父と爺ちゃんに、いきなり家を追い出されてこの温泉街へとやってきた。
「あれ〜〜 おっかしいなー?」
 ハンカチで流れる汗を拭いながら、一人つぶやく。
 太陽の日差しはこれでもかというばかりに、容赦なく俺に照りつけてくる。
 まあ、新しい旅立ちの日としては申し分ない、いい天気だ。
「たしかこの辺だったはずなんだけど?」
 ホンのかすかに見覚えのある石階段を一歩一歩上っていく。
「あっ」
 階段を上りきったところにその建物は、どーんと大きくたたずんでいた。
「ここが婆ちゃんが経営してる旅館……ひなた旅館か……」
 その建物をしばし眺める。
 結構・・・年期が入ったとこだよな・・・ここもけっこう・・・大きいし
 家と同じくらいかな・・・・まぁ、ここにいてもしょうがないから中にはいるか
 
 扉を開け玄関に入ったところで、俺は館内の人に呼びかけた。
「こ、こんちはー、すいませーーん」
 しばし待つ。
 だが、返事はない。
 俺は再度、声を上げた。
「お婆ちゃん、孫の景太郎です。
 ――ちょ、ちょっと事情があって、受験勉強がしたいんでしばらく泊めてもらえませんか〜〜」
 再び待つ。
 やはり、返事はない。
 さすがにおかしいと思った俺は、ん?っと首をかしげた。
「……? あれ? 婆ちゃんも旅館の人も留守かな?」
 周りをキョロキョロと見回す。
 真正面には二階への階段があり、左右に通路が伸びている。
「おっ」
 するとすぐ左に、管理人の間、とプレートの張ってある部屋を発見した。
 一応旅館の人にことわってから、スリッパに履き替え、中におじゃまさせていただく。
「お婆ちゃんの部屋だ、ここで待たせてもらおっかな」
 ふすまを開け、部屋の中へと入る。
「おじゃましまーす」
 背負っていたバックをおろし、部屋をどんなもんか観察する。
 八畳の和室が二つ繋がっていた、一つは寝室のようだ。
「へえ、けっこう広いんだ」
 感心したように眺めてから、その場にドテッと座る。
 
 ちょうど、喉が渇いていたので、近くにあったお茶っ葉ときゅうすでお茶を煎れる。
 
 「全く、あの親父とジジィめ、……いきなり追い出すなんて、なんだよ
『今すぐ、ここに行ってこい』って、そりゃないよな
 まったく・・・まぁ、ここは結構静かそうだし、ここで落ちついて勉強すれば、今年こそ・・・・・・
 はぁ、こんなことならじいちゃんの仕事なんか手伝うじゃなかったよ・・・・
 裏の仕事なんて、俺は嫌いなんだよ・・・・誰かを傷つけることは好きじゃない
・・・・まっ、暗いことなんか忘れて、風呂にでも入るか・・・ここは確か風呂がすごいんだよな

「――ん? あ」
 ガラガラガラッと戸板を開けて中を覗く。
 その瞬間、目に飛び込んできたのは、大きな大きな温泉だった。
「す……すごーい! 露天風呂じゃないか!」
 思わず感嘆の声が上がった。
 もうもうしぶんない、すばらしい露天風呂。
 点数を付けるとすれば、100点満点くらいのお風呂だ。
 汗もかいたし、何よりも、温泉のあまりの豪華さに目を奪われた俺は、当然、お風呂に入ることにした。
「は〜〜〜っ。いい湯だなー♪」
 タオルを頭に乗せ、上機嫌に弾んだ声を漏らす。
「しかし、お爺ちゃんの旅館がこんな立派だったなんて。ラッキー♪」
 子どものころに行ったヒノキのお風呂とは、また違ったオモムキがある露天風呂に入りながら、身体を休める。
 お風呂が命の洗濯って誰かが言っていたけど、ホントだなぁ……
 心が安らいでいく、すると、さっきまでの悩みも小さく感じてきた。
「よぉ〜〜し、悩んでててもしょうがないし。この旅館で受験勉強がんばろっと」
 グッと手を握り締め、一人晴天に向かって誓う。
 たいぶ温まったし・・・もう出るか・・・・立ち上がって戸に手をつけようとして瞬間
脱衣所の戸口が開いた。
 「!?」
 瞬間、俺は心臓が止まるかと思った。
 いきなし、目の前に若い女の子(しかもすっっごく可愛いぃぃ!)が裸で現れたからだ。
 僕より2,3才くらい年下らしき女の子は、バスタオルを一枚巻いただけの格好で

目が合った。
 1秒。
 2秒。
 どうしていいかわからずに、俺はただ立ちすくんでいた。
 
「え……あのさ……」
 何か言わなきゃいけない。
 頭ではわかっていたが、ノドがカラカラに乾いて言葉が出ない。
「あ……」
 すぅーーっと女の子が息を吸いこむ。
 すっごく嫌な予感がした。
 そして、それは2秒後に現実となった。
 女の子がピタッと息を止めた次の瞬間。
「イヤァーーーーーーッ! 誰かあーーーーーーーっ!!」
と、その場にしゃがみこんでしまった
 
ど、どうしよーーーーーーーー

 ちゃんと誤解を解かないと……
 って・・・そんな場合じゃない、逃げなきゃ!!
 この状況、そのうえ腰にタオルを巻いただけの姿で、誤解も何もありゃしないと気がついた俺はそこから走り出した。
「そ、そうか! 僕まちがえて女湯に入っちゃったのかも!? こりゃヤバイや!」

「わっ!」
 風呂場を見ながら余所見をしていたから顔がドンッと、何か弾力性のある物体に激突した。
「…………」
 俺は女性の胸に、顔を埋めていると気がついた 焦げ茶色の髪をショートカットにしたの美人だ、そこらのモデルの仕事なんか楽々
こなせそうな。切れ長の鮮やかな目が強気な印象を受けるって……ノンキに観察してる場合じゃないよ!。
「ごごごごっ、ごめんなさい〜〜〜〜〜〜っ!」
「何や、あんさん、見かけない顔やな?・・・・さては・・・・チカンやな!」

 ヤバイぃっ!
 俺はあわてて、パンツをはき、必死で脱衣所をでた
「ひいいっ!」
「あっコラ、待てっ!」
 響くこの怒声を後にさらに駆け出した。
 その途端、急に目の前に人影。
「えっ!?」
「あた!? すいませんっ!」
 俺は避けきれず、かめに着替えやら洗濯物やらをいっぱい乗せた少女を目いっぱい突き飛ばした。
 中学生らしい短めのセーラー服と、対照的なロイヤルミルクティーの肌、金色の髪を、ポニーテールにしたエキゾチックな雰囲気を醸し出している女の子だ。
「・・・・・・・・」
 褐色の少女の予呆然としりもちをついて俺をみつめた。
 なんで次から次へと、女の子が出てくるんだよぉぉぉ!?
 俺の心の中では、もはや涙がナイアガラの滝のように流れ出ていた。
「もぉ、何の騒ぎ?」
 わずかに涙で濡れた視界に、もう一人女の子が追加された。
 いきなし、目の前にエプロン姿でおたま片手の女の子が現れる。
 年の頃は今まで見たメンバーの中で一番の年下だろう、黒髪をショートボブにしてあり 幼い割には、やけにしっかりとした感じのする少女だ。
 女の子の印象を言ってるからって、余裕たっぷりって訳じゃない
 それはそうと、今度は何とか飛び上がること対応ができた、間一髪で正面衝突を避ける。
「あっ」
 しかしその際、俺の腰に巻いていたタオルが一瞬だけめくれてしまった。パンツをはいていたけどね
「や…………」
 とっさに顔を両手で覆うショートボブの女の子
 瞬時に茹であがったように真っ赤になる。
「いやあああーーーーー!」
 数瞬後、横を駆け抜けた俺の後ろから、少女の甲高い叫び声が聞こえてきた。
 俺は頭を抱えながら、ただひたすら走る。
「なんなんだよ〜〜!?」
 わけわかんないよ、もうぉぉぉ!
 後ろからの怒声を一身に浴び、理不尽な憤りを心の叫びとして開放する。
「みんな、痴漢よ! チ・カ・ン!」
さっきの少女 が周囲に叫ぶ
「チカンですって!?」
 女の子の声が、さらにもう一つ増えた。
「あっちよあっち、露出狂の変態魔よ」
 どこをどう走ったのか覚えていないけど、気がついたら俺は階段を上り、ベランダに出ていた。
「あっ! しまった!」
 俺は痛恨の悲鳴を上げた。
 そこは見晴らしのいい景色が広がる、行き止まりだったのだ。
 恐る恐る振り返ると、合計四人の女の子たちに睨まれる。
 一人新しく増えていた子は、長い黒髪に巫女さんみたいな袴を来て、なぜか片手に日本刀を持っている、なんていうか、この状況はひたすらやばい。
 コンマ一秒もかからずに女の子の観察を終えると、俺は必死に、ホントに必死に弁解した。
 もしかしたら、死活問題かもしれないのだから。
「ち、ちょっと待ってよ、俺はただ婆ちゃんを訪ねて来ただけで!!
 ただその、この旅館には爺ちゃんが来いって・・・別にのぞいたりもんだり見せた
りするつもりは……」
 いい終わる前に、ショートボブの髪の女の子が動いた。
「フライパンアタッーーーーーーク!!!!」
「へぶうっっっ!!」
 風を切って放たれた女の子のフライパンは俺の顔にヒットした。
 続く追い討ち。
 黒髪の女の子がその刀を俺めがけて解き放つ。
「やっ!!」
「!!」
 剣撃を食らった俺の上に、もうひとつの影が落ちた。
「ちょ…待っ……と……」
 
俺が目を向けるとに褐色の少女はすぐにキツネ目の人の後ろに隠れてしまった
今度はキツネ目の女性の平手打ちにされて、そしてこう言い放った
 「旅館に泊まるやて……!? この期に及んでよくそんなウソつけるな。ここが旅館だったのは、もうずーーっと前の話やで、今はね」
 ばっとポーズをとった。
 「男子禁制の契約アパート! すなわち女子寮なんやで!!」。
「じょ…………女子寮ぉ〜〜〜〜〜〜っ!?」
 全力で叫ぶと、すぐさま、立て看板を見る。
 ホントだ、そこには『女子専用寮 ひなた荘』と書いてあった。
 そんな……
 目の前が真っ暗になるが、その絶望する俺に無情な言葉が降りそそぐ。
「さぁ、おとなしく警察に行ってもらうわよぉ」
「ちょっと待って、そんな……」
 伸ばした手バシってはねのけた。
「触らないでよ、変態!!」
「ちがうってぇ〜〜」
 どうしよう! このままじゃホントに警察行きになっちゃうよ!
 じょっ、冗談じゃない・・・・・あのクソコンビのせいで警察何かに世話になりたくな い・・・あの、クソ親父にクソシジィ・・・絶対、恨んでやるからな。
 そんなふうにあの二人に復讐を誓っているとき、俺の前に救いの女神が現れた。
 ……やっと。
 一同の後ろから、女神は不意に声をかける。
「あらあら、どうしたの・・・」
 日向って書いてあるエプロンをした女性はやけにのんびりとした口調でいった
「あ、寮長、チカンが出没しました。、」
寮長と呼ばれた女性は、ちらとこちらを見てから、大した驚きもせずに。……いや、俺のパンツ一枚の姿を、さも当然という顔でやっぱり、さも当然というように言った
「おら、景太郎、どうしたのそんな格好で」
「あ……!?」
 見覚えのある女性だ。
 子どものころから知っている。
 俺はそこに唯一、救済を求めて抱きついた。
「――は…はるかおばさん!! おひさしぶりーー!!」
 ゴス!
「お姉さん、でしょ?」
 にっこりと、とても恐ろしい笑みを浮かべたまま、人体急所のこめかみに振り上げた肘が、寸分の狂いもなく直撃する。
 まぁ、はるかおばさんのおかげで何とか、警察ざたにならなくて済んだ訳だが・・・・ 問題は・・・・・・・・・・・・

「ぜーったいイヤですっ!」
 事情を説明した第一声がそれだった。
 完全な拒否、拒絶だ。
 ちなみに俺たちは、ひなた荘の玄関前ロビーに集まっていた。
 もちろん、ちゃんと服は着ている。
「た、頼むよ、しばらく泊めてもらうだけでいいんだ。旅館が女子寮になってたなんて知らなかったんだよぉ」
「ダメったらダメ!!」
 端麗な眉毛を精一杯尖らせて、グイッと俺に迫ってきた。
 
「そんなぁ……俺ここのオーナーの孫なのに…」
「だから――そんなの関係ないっていってるじゃない!」
 バンッと机を一打して、立ち上がる。
 エキサイトしまくってるショート黒髪の女の子を、巫女服の美人の女性が羽交い締めにする。
「落ち着なさいって!」
「ここは女子寮なんだからね、あんたみたいなスケベな男一日だって泊めるわけにはいかないのよ!」
 ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ!
 そんな鳴き声が聞こえてきそうな烈火の表情だ。
 心なしか、黒髪がゆらゆら揺らめいでる気がする。
「そ、そんなぁ」
 でも、俺としてもここは最終絶対防衛線なわけだから、簡単に食い下がることはできない。そうでなければ、今日は野宿だ。とはいえ、もうだいぶ負けそうだ。
「だいたい人にあんなもん見せて、胸に顔をうずめたり、下着盗んだり、さんざんハレンチな行為をしでかしておいて!
 あまつさえなる先輩の裸をのぞくなんて――変なトラウマになったらどーすんのよ!! あん!?」
 ズルズルと女性を引きずったまま、女の子が近づいてくる。
 話しに加わったのは、一番最初の栗色の髪の女の子だ
「あ、あの私平気ですからぁ…ぜ、ぜ、…全然気にしてませんから」
 タドタドしく紡がれるが、おそらくは、相当参っているだろう・・・・
顔と言わず全身が赤く染まっているし、目には涙を浮かべている
うう・・・お願いだから・・・・そんな眼で見ないでよ

「ほら、見なさい、あんたのせいよ」
「そんなことを行ったって・・・・・」 
 表面上は平常に戻る俺、話しを変える。
「でも、まいったなあ、お金も少ししか持ってないし……あ、そうだ、お婆ちゃんはどこにいるの?・・・たのめば、きっと…」
「うーーん、それができないのよ」
 はるかさんの困ったような一言が、俺の言葉を遮る。
「……え? な、なんで?」
 まさか、死んだってわけじゃあるまいし。
「一年以上前に世界一周旅行に行ったきりでね、たま〜〜にFAXが来るぐらい」
「世界一周旅行!?」
 あの年で!?
 あのお婆ちゃんが!?
 世の中不思議がいっぱいだ。
 ・・・・って、あの人ならやりかねないって言うところが恐ろしいけど
 
「それで、どうせ客がこないからって・・・ここを女子寮に変えたわけ」
「な、なんて・・・・こったい・・それならそうと連絡位してよ・・・」
「・・・・わすれてた」
がく・・
 アーーこー言う人だったなこのひとはもーって暗く、暗〜く、沈む。
 あ〜〜あ、これで、今夜は野宿決定・・・あの・・・・・・・
 ……俺は、さらにクソ親父たちに怒りを燃やす。
「トホホ……」
 しばらく、魂が出口のない闇の迷宮をさまよう。
 俺は溜め息二つ吐いてから、重い腰を立たせる。
「――分かりました、やっぱり、女子寮に男が住むなんて無理ですよね。お騒がせしてすみませんでした」
「あら、もういくの・・・」
バックを肩にかけ、はるかさんにペコッと一礼をした。
「ええ・・・いつまでもいてもしょうがないですから」
「えーーーーー、ここなら部屋代も浮くのにな、通学はちょっと大変かもしれないけど……」
 …………ああ、予備校かな?
「え? ええ、そうですね」
 あいまいな返事を返す。
 これからどうしよっかなぁ……寝るなら・・・公園のベンチかな・・・寒そうだな・・・・
 俺がこれからのことを思考しようとしたところで、はるかさんは声をかけてきた。
 おそらく、俺の人生を大きく変えたであろう一言を。
「――東大に入ったんでしょ」
「……東大?」
 俺は目を点にして、オウム返しに聞き返す。
「たしか、入ったんでしょ?」
 …………ああ、浪人のことかな?
「や、やだなあ、おばさ……いや、すいません……はるかさん、俺は東大めざ…」
 はるかさんの笑顔が一瞬、違うモノに変わったのを判断して、慌てて言い直す。
 今度、俺の言葉を途中で遮ったのは、はるかさんじゃなくて、
「と……東大……!?」
 それは誰が言ったのかはわからなかった。
 だが、次のセリフは、褐色の肌の女の子以外の四人の声がキッチリと重なっていた。
「「「「東京大学!?」」」」
 俺はいきおいに押され、一歩後退する。
「は……はあ?」
 何とか、生返事を返したところで、キツネ目美人女性がググッと詰め寄ってきた。
「あんた、東大生やったんか!! すごいやん〜〜〜〜〜っ!!」
 一斉にみんなが席を立つ。
 そのあまりの驚きように、逆にこっちが驚いてしまう。
「え……えっ!? ちょ、ちょっ」
 違うって! 俺は東大を目指してるだけで……!
「まぁ、それはすごいですね・・……」
 意識して避けていた巫女の服の女が、マジマジと俺を眺める。
 うわ、さっき俺に一番ダメージを与えたのに、なんかすっごい自然な感じだ。
 まったく気にしてないみたいだし……
 心の葛藤はともかく、さらに詰め寄る。
「こんなさえない顔して!」
 さえないって……事実だけどさ……
 って、今、反論するのはそのことじゃないよ!
 腕組みしながら、ボソッとケチをつけたのは、やはりあのショートの女の子だ。
「と、東大生だろうが、スケベはスケベじゃない」
「なにいっているんですか、天下の東大ですよ! やっぱり、東大っていったらかなり偏差値必要なんですよね」
って、目を光らせながら・・・?後半部分を俺に訪ねたものだ。
「え? うーん……まあ今だと偏差値69、センター試験で700点ぐらいは必要かなぁ」
 聞かれたから、素直に答える。
「聞きました!? 偏差値69ですって!」
 その数字に驚いた女性の言葉に、ザワザワッと部屋に衝撃が走った。
「69ーー!?」
 今までずっと黙っていた、栗色の髪の女の子が、目を丸くして驚く。
「ねえ、ちょっと・・・聞いてるって・・・・聞いてないか・・・・はぁ」
 とにかくははやく誤解を 解かなきゃ

「ちょっと聞いてよ、俺は……」
 ああっ! ちょっとみんなぁ!
 誰か俺の話しを聞いてくれよなぁ!
「学部はどこですか?」
 急にクルッと振り返ってきた女性に、恥ずかしながらも一応答える。
「え…その…一応、法学部を……」
「聞きました!? 東大の法ですよ!!」
「……ねらってたけど」
 やはり、後半は誰も聞いてくれない。
 まいったな〜〜
 本当は東大を落っこちた浪人生なのに……
 ………あれ? 今?
 一瞬、あの女性と目があった、それも何か含むところのある目つきだ。
 うっ、なんかマズイことになりそう……
 女の子と話したことなんて妹以外にはあまりないはずなのに、俺の第六感がさっきからここは危険だと告げている。
「どうですか!!みなさん、ここはこの方をここにおいて差し上げるのは」
「え……ええ〜〜!?」
 ばーんと一指し指を上げ、ウィンクをしながらみんなに告げる女性。
 一方、俺はことに成り行きについてゆけずに、驚嘆の声を上げていた。
「それはアカン・・・・第一、ここは女子寮やで、男を入れるわけにイカンのや」
 と、すぐにきつね目さんの反論がでた
「まぁ、そうですわね、もちろんここは女子寮だから条件をつけて、滞在中もう一度さっきみたいな破廉恥な事したら即刻退寮ってのはどうでしょうか?」
 場をしきりまくってる女性にかなり渋りながらその女性もうなずく。
「なるさんとスゥちゃんはどうですか」
「私は・・・別に・・・・・・・・・行く当てがないならしょうがないかな」
「・・・・・・・・・・・・・・別にいい」
「きまりですね」
 決まったらしい。
「え!? ちょっと素子さん! ここは女子寮なのよ! そんなの勝手に決めないでください!!」
 激昂したショートの女の子が、荒々しく女性に突っかかる。
「しのぶちゃん・・・婆さまに会えずに悲しんでる青年を、このまま帰したりなんてかわいそうじゃありませんか」
その反論を頬に手を当てながらにこやかに返す女性。
「で、でも・・・・」 
「まぁ、東大生やし・・・少しは信用しといてやるわ」
「――えっ」
 腕を頭に組んで、後ろ向きながら言葉静かに返すきつね女。
「ちょっと・・・・なる先輩、あなたからも何か言ってくださいよ、なる先輩が一番の被害者なんですから」
「私は別に・・・・・・・・・・・悪い人には見えないし」
「そ、そんな・・・・なる先輩」


 俺も含めたみんなの目が、ショートの女の子に集まる。
 しばし経って、女の子は諦めたように顔を上げた。
「分かったわよ、とりあえず歓迎って事にしてあげるわ」
 え……?
「「「「「ようこそっ! ひなた荘へ!」」」」」
 ……え…あ…
「よ……よろしくお願いします……」
 何だか……
 変なことになっちゃったなぁ……
 俺は五人の女性たちにバレないように、こっそりと溜め息を吐いたのだった。
 まぁ、とりあえず野宿しないで済みそうでよかったよ
まだ、この先、どんな苦難があるか知らない俺はその程度しか思わなかった


 ガイザーです。この話は先日投稿したものを改定したものです
 さすがに、ちょっと・・・自分で納得できなかったので一度全部消去
しました。レスをくれた方々、どうも申し訳ないです

 題名のとおり、女性陣の性格を逆にしてみました。とりあえず話に無理が出てこない限りは原作のとおりに進めます。
 一応、僕が考えているイメージと逆のイメージで作ってみましたが
どうでしょうか

  

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