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「龍 第2話(まぶらほ+リアルバウト)」

太刀 (2005-02-02 05:57/2005-02-02 06:05)
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♬〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜〜〜♬〜〜

メロディ−が聞こえる。わたしはこのメロディ−が大好き。
わたしの大好きな人が、1番大切な宝物と肌身離さず持っているハ−モニカから流れるこの音を聞くと心がいつも暖かくなる。
初めて会った時、泣いて無茶なお願いをするわたしの為に魔法で雪を降らしてくれた。

中東で偶然に再会した時も、彼は昔のまま優しかった。
一緒に暮らしていた半年の間、度々わたしの隣に座って聞かせてくれた。
そんな彼と再び別れるのは身を切られるより辛く悲しかった。
彼の旅に付いて行こうとするわたし、彼の為にならないと止めようとするお父様。
そんな、お父様を半年間病院送りにし、地図を書き直すぐらい地形を変えると、彼は笑顔で(引きつく笑顔)で絶対また会えるからと約束のキスをしてくれた。

あれから3年・・・・・わたしは再び彼と出会えた。
でも今、わたしの意識は靄が掛かったようにぼやけている。
もしかすると彼と出会えたのは夢だと思うぐらいに、目を覚ますと彼はいない。自分の部屋のベッドでまどろんでいるのではないかと・・・・・・・・
でもわたしの意識は目覚めていく、まるでメロディ−に誘われるみたいに。

「ここは?」

まだ意識がはっきりとしない所為か、自分のいる場所が良くわからない。
そんなわたしに気がついたのか椅子に凭れながらハ−モニカを吹いていた男の子が立ち上がり、わたしに近づいてくる。
男の子は心配そうな表情で、わたしに話しかけてきた。

「良かった!夕菜。気が付いたんだ。あれから意識が戻らないから、心配してたんだけど大丈夫みたいだね」

夕菜は目の前にいる男の子が、あの約束を交わした和樹で、自分は確かに和樹と再会を果したことを思い出した。
直ぐにでも彼を感じたいとベッドを乗り出したが、手を付いた先には柔らかくプニプニする弾力ある物体があり、手の支えが耐え切れず物体の持ち主ともどもベッドから落ちてしまった。

「痛い・・・・・・ここは何処だ?私はなんでここにいる?」

「あ!凛ちゃんも気がついたんだね」

ベッドから落ちて夕菜の下敷きに為りながら凛は、意識を取り戻した。
そんな和樹の声を聞きつけたのか、キッチンに立っていた玖里子も着けているエプロンで手を拭きながら和樹の傍にきた。

「夕菜ちゃんに凛も意識が戻ったみたいね。良かったわ、丁度お湯も沸いたから、みんなでお茶にしましょ。和樹はいつものでいいわね。コーヒ−は無いけどダ−ジリン、アッサム、モ−リシャス、ウバがあるけど二人共どのお茶にする?」

笑顔で聞いてくる玖里子に、夕菜と凛は自分の倒れた経緯を思いだした。
なにか叫ぼうとしたが和樹が制止した。
流石にこれ以上、和樹の前で醜態を見せたくなかったのか二人は大人しく、お茶が用意されるまで静かにする事にした。
玖里子のエプロン姿を後ろから眺めていた和樹だが、何か思い出したのか玖里子に冷蔵庫を開けてくださいと言った。

「玖里子さん。冷蔵庫に作ったシュ−プリ−ズがはいっているから一緒に出してください」

パイとクリ−ムを交互に重ねたサクサク感と、程好い甘味の手製の菓子があるのを思い出した。千早や沙弓それに、千早の妹の山瀬神代にも好評だったので昨日の晩に作っておいたのだ。

「分ったわ。和樹の作るお菓子は美味しいものね。それと悪いけど夕菜ちゃんと凛のティ−カップは、千早ちゃんと沙弓の物を使わせてもらうわよ」

和樹の手作り菓子が、そんなに嬉しいのか上機嫌でお茶をいれ、手際よく机に並べていく玖里子。
長年連れ添った夫婦のような二人の空気に、機嫌がドンドンと悪くなる夕菜と凛だったが、お茶の用意も終わり和樹が作ったシュ−プリ−ズを食べると表情が一変した。

「「おいしい」」

玖里子が入れたお茶と絶妙に合う菓子に、二人の中にある不愉快な気持ちが一気に無くなり昇華されていく。そんな二人を和樹は嬉しそうに見ていた。
自分が時間と手間を架けて作った菓子で食べてくれる人が笑顔になるのは、どんな世辞より嬉しい。
食事は、栄養を摂って身体を動かす力を補給するだけではなく、美味しさも味わい。気持ちを前向きに。生きる気力を湧かせる物と考えている。
先生と一時期、世話になった傭兵キャンプの食事は最悪だった。
嫌がらせと思える程、不味かったので班が同じになったメンバ−3人と野生の野豚を捕って、よく調理したものだ。
メンバ−の一人がカロリ−メイトが好物と聞いた時に、チ−ズケ−キを作って食べてもらったが、あの時の表情は初めて文明に触れた未開の住人といった感じだった。
でも、狙撃者とゲ−ム狂に大半もっていかれたな・・・・・・・


「さて・・・・・・何から、話せばいいのかな?」

和樹は飲み終えたティーカップをテ−ブルに戻すと、自分を見つめる3人の少女へ顔を向けた。

「全部です!どうして玖里子さんや凛さんが、わたしの和樹さんに馴れなれ過ぎるかハッキリと説明してください」

夕菜が凄い剣幕で玖里子と凛を威嚇しながら、机をバンバンと叩いた。

(宮間教授・・・・・・・夕菜がアグレッシブになってるんですが・・・・・・・)

中東で再会した時は、和樹の周りに夕菜以外の女の子はいなかったから知りえなかった・・・・・・・・いや、なんとなく分かっていたが目を逸らしていた夕菜の嫉妬を目の当たりにした。
夕菜の事を好きか嫌いかと質問されれば、好きと答えれるが、愛しているか?と質問されれば当惑する。
だいたい恋愛感情を未だ幼稚園児よりもニュアンスが低い和樹に求めるのが酷と言うものである。

「わたしの?わたしのとは、どう言った意味で言ってるのですか?」

怒気が籠もった声で凛が夕菜をキッと睨みながらセリフの意味を訊く。

「もちろん夫婦と言う意味です!凛さんは知らないのかも知れませんが、わたし達は結婚の約束をしています。凛さんや玖里子さんの入る隙間はコレぽっちもありません!」

人差し指と親指の間を一ミリほど空けてテ−ブルの向かいに座っている凛に見せる。

「なっ!?何を馬鹿な事を!ぼん太兄様は私のパ−トナ−になると約束してくれた!夕菜さん!嘘をつかないでいただきたい!そ、それに・・・・・・・約束の証にと・・・・・・・せ、接吻をしてくれた・・・・・・」

最後の方はか細い声だったが、夕菜と玖里子の耳にハッキリと聞こえた。
夕菜は耳を真っ赤にした凛を見て茫然とするが、直ぐに我に返って「いや〜今日はやけに喉が渇くな〜」と二杯目のお茶をカップに注ぎ香りを楽しんでから静かに紅茶を飲む和樹に「嘘ですよね」と問いただした。

「え?」

いきなり標的を凛から自分に変えられて返答できなかった。数秒続いた沈黙は肯定の証と夕菜はいきり立った。

「キ、キスの1回や2回どうしたと言うですか!わたしと和樹さんは互いの身体で知らない箇所が無いくらい親密です」

ああ・・・・・・互いの身体に知らない所は無いか。あれは中東で夕菜がポチョム菌の病に侵された時、夕菜を助ける為に生涯3回目の魔法を使った時だ。
夕菜を何とか助けたものの両腕が炭化する程、激しいダメ−ジを受けてしまった。
医者からは、もう直る見込みは無いと宣告されたが、持ち前の回復力と世界一の魔力。それに神気を応用して3ヶ月で元の状態まで回復させた。

その時の3ヶ月間の生活は、夕菜とマン・ツ−マンと言って差し支えない程の生活だった
何しろ両腕が使えないという事は、今まで当たり前にできた事の9割は出来なくなる。
食事も風呂もトイレもだ。
男の矜持なんて薄っぺらなものだったと今では達観している。
しかし、なんだ・・・・・・夫婦の間で隠し事は無しですと一切合切に見せるのは不味いんじゃないかな。多少、隠し事があった方が仲が上手くいくとも言うし・・・・・・・
まぁ、あの時の経験で夕菜の身体で知らない場所は無いと言うのも事実だ。

「ヘぇ〜和樹そうなんだ」

今まで黙っていた玖里子がニッコリと微笑みながら和樹を見つめるが、目は笑っていない。
ゾクリと背筋が凍る。

「夕菜ちゃんは和樹の総てを知ってるんだ。でも昔の話でしょ。今の和樹はどうかしらね?」

玖里子が妖艶な笑みを浮かべ、夕菜と凛を見る。その視線の意味を正しく理解したのか二人は玖里子が今まで大人しく成り行きを見守っていたのは圧倒的なアドバンテ−ジを有しているからだと気がついた。

「く、玖里子さん!貴方は!!!」

夕菜の周囲に数多の精霊が呼びだされる。青く半透明な女性の姿を見せる水の精霊ウンディネ−ネと焔を全身から吹き出す火の精霊サラマンダ−が飛び交う。
凛も鯉口をきり白刃を煌かせる刀を抜いた。

「チッ」

戦闘態勢に入る2人に、舌打ちして和樹が瞬時に動いた。

「えっ!?」

「あっ!?」

夕菜に呼びされた精霊は和樹が振るう左の手刀で掻き消された。常人では視認不可の銀色の神気が閃光となり精霊を倒したのだ。

「凛ちゃん、刀を納めるんだ」

殺る気満々の凛が構える刀の刃先を空いている右手の指先で摘む。凛が両手に力を籠めて振り解こうとするが、微動すらしない。
凛は気功術の応用で瞬間的なら、本来持っている力を数倍以上に高める事ができるにも係わらずにだ。 

・・・・・動かない。それに今の技、修司の斬月。ぼん太兄様、貴方は一体どこまで強くなったのですか?
精霊を倒した銀色の閃光。凛の師匠、人狼族の修司が獣人化した時、月の加護を得るシルバ−ウルフの獣気で生み出す破邪の技。
妖魔を滅し、魔法の効果をキャンセルする月の光。
人という種族には根本的に修得が無理といわれる技だ。

「和樹さん!何故とめるのですか!」

凛は和樹との実力差をあらためて認識して刀を納めたが、夕菜は玖里子を庇い立てするように見える和樹の行動が理解できなかった。

「何故って・・・・・そりゃあ・・・・・・・」

自分の生活空間で攻撃魔法を使われれば堪ったものじゃないからだ。

「酷い・・・・・浮気ですか!わたしよりも玖里子さんの方がいいのですか!?はっ!もしかして胸ですか!?あの無駄に大きい胸に騙されたのですか!あんなの脂肪の塊です。あれだけ大きいと感度も悪いです。それに、あんなものは飾りです。お偉いさんには分かっていないんです。リックOムの足を付けたらパ−フェクトOオングなんて詭弁です!」

夕菜、あの時の事で胸にコンプレックス持っているからなぁ。
3年前、挟めなかったのが余程くやしかったのか?
なにしろ互いに13歳の時だ。そりゃ無理だったと今では思うのだが・・・・・・
でも、同年ドイツで再会した時、玖里子さんには挟んでもらったので個人差か。

夕菜が和樹の心を読めれば、死の制裁を与える事間違いなしの考えをしながら、和樹は激憤する夕菜を宥めにはいった。


右の頬が赤く腫れ上がった和樹が改めて自分を見つめる3人に視線を移した。
夕菜は、どうにか冷静になって反省している。
誤解を解きアグレッシブモ−ドから戻す代償に支払った頬がちょっと痛い。
和樹は自分が身内と認識した相手には、どうしても甘くなるなと痛感していた。

夕菜は全世界に100人といないSSクラスの魔法使いだが、結局のところ荒事とは縁のない生活を送ってきた。
いくら一撃で要塞を破壊できる魔法を扱える魔法使いといえど戦闘訓練をうけていない相手を和樹は警戒こそすれ恐れはしない。
戦いにかんして言えば和樹はスペシャリストだ。プロ中のプロと呼ばれてもおかしくない戦闘技術と精神力を有している。
それに引き換え夕菜は素人だ。本気で戦えば負ける事はない。
プロだから素人に対して余裕とか隙が生まれるとか、そういう事ではなく。
隙を見せてなお、絶対に埋まらない実力の壁こそが、素人とプロの違い。

プロの和樹が素人の夕菜の攻撃を受けた根本的理由は、彼女の事を敵として認識するのが無理だったからだ。
もう一つ理由を述べれば和樹が先生と呼んで慕う『素の状態ですでに変身しているのと同等の戦闘能力を持っているヒ−ロ−』と違い和樹は一応、自制している。
本当に一応だが・・・・・・・・


「これから話す事は、とても長くなるけど3人ともいいかな?」

和樹は自分の過去を話すことは滅多にない。
自分の家系や能力を他人に知られたら、厄介事が増えるだけで禄な事にならないと分かっているからだ。
それに他人が自分をどう評価していようと気にもとめない。葵学園での和樹の評価は魔法回数残り5回の劣等生となっている。
劣等生のレッテルは周囲から軽く見られるが、それなりに有効につかえる。なんせ初めから和樹を侮って近づいてくるのだ。
そんな連中が和樹の力に気付くのは死んでからだ。羊の皮を被った龍を喰いものにしようと輩は何ひとつ現世では知らされる事なく冥界の門を潜りぬける。

和樹の持っている力を見せれば周囲の態度は手のひらを返したように変わるだろうが、同時に異端者として見られる。
絶対に自分に矛先が向かないと分かっていても、道端の花を無造作に摘む程度の感覚で自分の命を奪える相手を恐れない人間は極少数。

夕菜や凛に玖里子は、そんな極少数の人達に分類される。無論、和樹限定だが、それでも無闇に脅え排斥しようする連中よりも遥かに上等だ。
だからこそ、3人には聞いて貰いたいのだろう。

「わたしは和樹さんの妻として、和樹さんが今まで何をやってきたのか知りたいです!」

「私は今までずっと修行に明け暮れてきた。そんな私の剣が、ぼん太兄様にはまったく通じなかった。私もぼん太兄様がどんな修行をしてきたのか教えてほしい!」

「あたしも、もちろん聞きたいわ!和樹と11歳まで一緒に過してきたけど、姉さんに連れられて海外へ行ってからドイツで再会するまで、和樹が何をしてきたのか聞いていないし、ドイツで別れてから葵学園で会うまでの出来事も話して貰ってないわ」

3人の了解は得た。さあ、どこから話そう?
思い出せる一番、古い記憶から辿れば・・・・・・・・・・そう、あの時からだな。
和樹はゆっくりと今まで自分がどう過してきたか語り始めた。


―5歳―

しくしくと小雨が降り始めた。
両親に連れられて初めて訪れる家の縁側で、和樹は雨に打たれながら泣きじゃくる幼い女の子を握り締めていた。
ずっと泣き続ける女の子は、父さんの弟の子供で、僕の従兄妹に当たる式森沙夜(さや)。
今日、初めて会った時からずっと泣いている。
僕より一つ下の4歳でも、二つの柩に入っている人が二度と目を覚まさない事が、わかっているみたいに。

「退魔中にやられたらしい」「馬鹿な・・・・」「森最強の蒼雲様に匹敵する強さだぞ?」
「子を庇い」「あの子はどうする?」「影森が」「SSクラスの魔法回数」

集まっている大人達が色々と騒いでいる。断片的に聞えてくる言葉の意味などよくは分からないが、この子のことを話しているのが分かった。
嗚咽しつづける女の子。そんな姿を見て何もできない自分に、今まで感じた事のない感情に囚われ、やり場の無い怒りを感じた。
子供なりに一生懸命、泣き止む為に慰める和樹。そんな和樹を見て沙夜は泣き声で喋りだした。

「とうさまも、かあさまもいない。しらないヒトばかり!おにいちゃんはだれ!?さやをひとりぼっちにして、とうさまたちはどこにいったの?」

和樹は答えられなかった。
沙夜の両親が死んだ事は、子供である和樹にも解っていたが。何処に行ったのかと正面から聞かれれば、子供である和樹には何も言えなかった。

「二人は天国に行ったのじゃよ。じゃが、沙夜が泣いてばかりだと二人は安心して天国に行けない。それに沙夜は独りぼっちじゃない。今日から、そこにいる和樹がお兄ちゃんになるんじゃからな」

穏やかだが芯の通った声で、突然二人に話しかけてきた初老の男。髪は真っ白な白髪だが背筋は伸び全身から生気が溢れだしている。
老人は自分が沙夜の父親である『縁』と和樹の父親である『蒼雲』の親で、和樹と沙夜の祖父であると二人に教えてくれた。
初めて会う祖父に和樹は驚いたが、父親と同じ雰囲気を持ち。何より身体全身を駆け巡る血が、この老人が自分達の祖父であると感覚で受け入れた。

和樹は、蒼雲が弟の忘れ形見である沙夜を引き取り、和樹の妹として育てる経緯を祖父から聞かせてもらい、いまだ事態が分からない沙夜に和樹は宣言した。

「さやは、ひとりじゃない!きょうからボクがずっといっしょにいる!さやがあぶなくなったら、ぜったいにぼくがまもってあげる。やくそくする!だから、なかないで!!!」

真摯な態度で約束と言ってくる和樹に泣くのを止め、つぶらな目を大きく開いて驚く沙夜。
約束の意味が解かり自分は一人じゃないと理解したのか、沙夜は電池の切れたロボットみたいに、いきなり倒れこんだ。
慌てて小さな身体で支える和樹。沙夜の顔を見ると泣き後が痛々しく残っているが、安心した表情で眠っている。

「ずっと泣いていて安心したら緊張の糸がきれたんじゃよ。それにしても和樹よくやった!男は本当に泣いている女の子を笑顔に変えるぐらい強く優しくなければいかん!」

和樹のとった行動が、そんなに嬉しかったのか老人は和樹の頭を大きな手でクシャクシャと撫でながら、幼い孫を褒めた。
頭を撫でている老人にいつの間にか一人の男性が近づいてきた。
喪服と言ってもいい黒いス−ツをビッシリと着込み、辺りを油断なく見渡す目は鋭く、老人をいかなる危険からも守ろうとする光が宿っていた。

「御前。お時間です」

もう時間かと呟き老人は肩を竦め和樹の頭を撫でるのを止め、着物の懐からハ−モニカを取り出し和樹に手渡した。
手の中のハ−モニカは不思議な光沢で輝く銀色の素材で作られており、美術品のように凝った象嵌細工が淵を飾り、中央にはル−ン文字が刻まれている。

老人は和樹の空いている左手を取ると親指を軽く切り。血を滲ませる指をハ−モニカのル−ン文字に押し付けた。
すると血が吸い込まれる様にル−ン文字が銀色から紅い色に変わっていく。

「おお!受け入れたか!?このハーモニカは破邪の金属と言われるミスリルで作られているのだが、意思が在るのか今まで誰一人として受け入れず血を弾いていたんじゃ。だが、おまえのことを気に入った様じゃ」

いきなりの出来事に呆気にとられる和樹を置いて、老人は年甲斐もなく興奮しながらこのハ−モニカを和樹にやると言い。
自分が行った行為を忘れそうになったら、ハ−モニカをみて思い出せと、言い残し老人は待たせている車へ歩いていった。


宝物と妹が同時に出来た日だった。


あとがき

和樹の恋愛感情はナマケモノよりも鈍いです。和樹の好きは基本的に友愛の情に属するものになってます。これで何人、誤解を生むことやら・・・・・

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