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「クロノFate 7話(Fate+クロノクルセイド)」

柿の種 (2005-02-01 23:18/2005-02-02 09:45)
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「さて、今日の方針言っておくわよ。慎二にコンタクトを取るわ。」

「彼がマスターかどうか確認するのね?」

早朝、前日のように“ぬぼー”っとした凛が牛乳を飲んで頭をすっきりさせたところで今日の行動について話し合う。

「ええ、あいつの手には令呪を確認できなかったけど、他の生徒にもそれらしいのはいなかった。だから、直接コンタクトをかけて見るわ。自己顕示欲の強い奴だから適当にカマかけてやれば、案外あっさり白状するかもしれないし、そうでなくても二人っきりの状況になれば、近くにサーヴァントを待機させようとするでしょうからね。」

「けど、それって、ちょっと危険じゃないの?」

ロゼットの心配の声をあげる。それに対して凛は頷いた。

「もちろん、あなたには霊体化して警護してもらうわ。慎二の方は、あんな奴にやられたりしないから、サーヴァントの方だけに注意を払ってちょうだい。それで大丈夫よ。」

「わかったわ。まかせといて。」

凛の言葉から自分達に対する信頼が感じられて、ロゼットは自信たっぷりに頷く。凛もその反応に満足そうだ。

「けど、マスターである事はともかく、結界を張った事は簡単には言わないんじゃないかなあ?」

そこで、今度はクロノが発言した。
あの結界は魔術師の常識と照らし合わせても人間としての倫理観と照らし合わせても間違いなく外法である。そんな事を簡単に他者に明かすとは思えない。

「普通に考えればそうね。まあ、最悪、マスターであることさえわかれば有無を言わさず倒してしまえばいいわ。乱暴な方法だけど、どの道、敵なんだし、そいつが結界を張ったのなら倒せば結界は解ける筈だから。それで駄目なら、対象は他に居るって事だからその時は改めて他を当たりましょう。」

「あの、桜って娘の方がマスターって可能性はないの?」

そこで、ロゼットの言葉に対し、凛は一瞬だけ不快な表情を浮かべ、すぐにそれを隠す。

「・・・・そっちも勿論当たるわ。けど、性格的な事からすれば慎二の方が可能性が高いわね。最も、それはあくまで当人のみの話だけど・・・・。」

「サーヴァントがマスターを操っているっていう事?」

クロノの問いかけに凛は含むように答えた。

「それもあるし、バックに誰かついている可能性も・・・・・・あるわ。」

「そう・・・・。凛、あなた何か隠してない?桜って娘あなたと何か関係あるの?」

「何もないわ。ただの知り合いよ。」

感情を込めず、しかし、見るものが見れば明らかに嘘だとわかる態度で答える。
それを見てロゼットはそれ以上追求しようとせず、ただ静かに言った。

「そう、なら、これ以上何も言わないけど、私達でよかったらいつでも相談してね。」

「・・・ええ。」

それに対し、凛は一言だけ頷いた。


「一体この僕を呼び出して何の用だい?もしかして僕の誘いを受ける気になったのかな?」

「悪いけどそのつもりは無いわ。それより、あなた聖杯戦争のマスターね?」

凛のかまかけに慎二は一瞬驚いたような表情をするが、直ぐに得意そうな顔をして意外な程程あっさりと白状した。

「へえ、気づいていたのか。そうさ、僕はマスターさ。特別な存在、魔術師なのさ。」

まるで、誰かに自慢したいのを我慢していた子供のように聞かれて無いことまでペラペラしゃべる慎二。
凛はそこで、さらに情報を引き出そうとする。これだけでも十分であるが、情報は引き出せるだけ引き出して置いて、間違いはない。

「それで、この学校に張ってある結界もあなたが張ったのかしら?随分強力な結界みたいだけど。」

凛は学校の結界に対し、わざと不快感をみせず“強力な”と褒めているように聞こえる言葉を使い、さらに、“あなたのサーヴァント”が張ったではなく、“あなた”が張ったと言った。
その言動からサーヴァントの力を自分の力と誤認し、強大な力を得たと調子に乗っていると感じられる慎二なら、もしかしたらこれで自分から白状するかもしれないと計算しての事である。

「まあね。何せ、魔力はいくらあっても困らないだろ?」

そして、慎二はあっさり暴露した。凛は“やった”という会心の気持ちと共に、この場でぶちのめしてやりたいという衝動を抑え、冷静に話を続ける。

「そうね。ところで、あなたがマスターって事はあなたと私は敵同士って事でいいのよね?」

「まあ、待てよ、遠坂。僕は君と戦う気はないよ。それよりも僕と組まないか?僕と君が組めば聖杯戦争なんて楽勝だぜ?」

殺意を込めて言う凛に対し、慎二は少しおどけた口調で答える。凛は自らの殺意を押さえ、普段のお嬢様的な言葉で問い返す。

「あら、あなたと組む事で私に何かメリットがあるのかしら?」

「メリット?そんなの簡単じゃないか。僕と君、最高の魔術師が二人も組めばどんな敵にも負ける筈ないだろ。」

何か隠し札があるのでは無いのかとも疑っての問いかけだったが、返ってきたのは単なる根拠の無い自信のようだ。ならば、もうこれ以上聞くことは彼女にはなかった。

「生憎だけど、お断りよ。悪いけど、こんな結界を張るような奴は冬木の町の管理者としても、私としても絶対に許せない存在なのよ。それに、あんたみたいなヘボと組むのもお断りだしね。」

「な、何だと!!」

凛の言葉に激昂する慎二。そして、自らのサーヴァントを呼び出そうとする。

「もういい!!死んじゃえよ、お前!!ライダー、遠坂を殺せ!!」

「シスター!!パートナー!!」

慎二の呼び声に答え、今まで霊体化して待機していた紫の髪の眼帯をした女が現れ、とてつもない速度で遠坂に飛び掛ってくる。

ズキュュューン

だが、その進行を待機していたロゼットの銃弾が阻む。ライダーはそれを黒い杭のようなもので弾いた。

「喰らいなさい!!」

「ひっ。」

そしてそこで、ライダーの動きが止まった隙を狙い、凛が慎二にガントを放とうとする。すくみあがる慎二。だが、素早く行動復帰したライダーがそれを庇う。

「凛!!」

そこで、クロノが凛に駆け寄り、彼女の前に立ち、庇う位置取りをしながら魔力弾を放つ。

「くっ。」

慎二を庇い、避ける事ができず、またその身の対魔力以外、魔力対する防御手段を持たないライダーはそれをまともに喰らう。そこで更に入るシスターの追撃。

「これでどう!!」

銃弾を連発する。凛達は知らない事だがライダーは反英霊だった。そして、ロゼットの弾丸は魔の属性を持つ全ての存在に対し、付加効果をもたらす。
その大半は黒い杭で弾くものの、裁ききれなかった2発が通常の1.5倍程度に増大されたダメージがライダーに突き刺さる。

「いつっ、・・・このままではやられる。慎二、離れて安全な所に移動してください。」

「そうはさせないわ!!」

慎二は今、明らかにライダーの足かせになっている。それを逃さぬよう凛はガントを連発する。ライダーにとってはたいしたダメージは無いが、慎二とそれを庇うライダーの動きを封じるには十分すぎる援護だった。

「・・・・・・まずい・・・ですね。」

ライダーが憔悴しかけたあせりの声を漏らす。ライダーにしてみれば凛達は最悪の相手だった。敵の数が多くなれば守る戦いというのは難度が格段に増大する。
通常のマスターとサーヴァントのコンビにクロノという動く宝具が加わり、さらに全員飛び道具持っている。慎二を中途半端に放せばあっという間に狙い撃ちにされてしまう。
あまりに不利な相性だ。
それでも慎二をあらかじめ大幅に離れた所に居させておければまだ話は変わったかもしれない。
だが、現実は違う。状況は最悪。
もはや、慎二が敵の目の前に立った時点で彼女等の命運は決まったといえよう。

ヴァンヴァンヴァンヴァンヴァンヴァンヴァン

セイクリッドの弾丸が何発も叩き込まれる。その内の2発が急所に当たり、口から血を吐くライダー。

「これで・・・・・」

「・・・終わりだ!!」

そしてロゼットの十字架爆破結界とクロノの魔力弾が同時に炸裂し、ライダーはついに倒れ、そして消えた。

「な、なな!!何だよ!!どう言う事だよ!!くそっ、桜の奴こんな役立たずを押しつけやがってt!!」

慎二が喚く。だが、その言葉の中に凛には聞き捨てならないものが含まれていた。

「ちょっと待ちなさい!!今、桜って言ったわね、どういうこと!!」

「ひっ。」

ライダーを失い、抵抗するすべを失った慎二は凛の迫力にすくみあがる。だが、凛は容赦なく、攻め立てる。

「言いなさい。さもないと、容赦しないわよ!!」

「わ、わかった。言う、言うよ。あの役立たずのサーヴァントは桜が召還したのを、間桐の秘術でこの本に令呪を移して僕のサーヴァントにしたんだよ。」

そう言って慎二は一冊の本を見せる。その本は白紙だったが確かに魔力を感じた。

「そう、これで合点が言ったわ。魔力が無い慎二がどうやってマスターになったのか疑問だったけどこれなら確かに納得いくわ。」

凛が納得の意思を示す一方で僅かに曇った表情を見せる。

「そうさ、僕はあいつが戦えないって言うからあいつの代りにマスターをやってやったんだよ!!けど、あの馬鹿、あんな駄目サーヴァントを召還しやがって。くそっ、何であいつはあんな駄目なんだ。くそっ、くそっ、くそっ。」

凛の攻めが緩まった事で、再びわめきだす慎二。それを見て冷たい目で見る三人。

「わかったわ。もう、あなたに聞くことはないわ。けど、最後に私の管理地域で勝手な事をした罰を与えさせてもらうわよ。」

「えっ、おい、や、やめろよ、おい、やめてくれ。」

魔術刻印を光らせて威嚇する凛に命乞いする慎二。

「凛!!」

それを見て流石に止めようとするロゼット。だが、凛が答えを聞くとあっさり逆方向につく。

「大丈夫。命までは取らないわ。」

「それなら、いいわ。やっちゃって。」

「うわあああああああ!!!!」

そして、凛の手加減無しのガントが炸裂した。そこに込められた呪いは、しばらくの間、高熱と悪夢でうなされ、それが回復しても、男として死ぬ事になるというものだった。

「なるほど、こいつにはそれぐらいがふさわしいかもね。」

「ええ。それじゃあ、結界もちゃんと消えたみたいだし、教室にもどるわ。護衛引き続きよろしくね。」

凛からその話を聞いて意気投合するロゼットを見てクロノは思った。“女は怖い。”


(後書き)
何か、戦闘シーン、集団でぼこって凛達の方が悪役みたいだ・・・・。ライダー、哀れ。ほとんど見せ場も無く退場。好きだから生かしておきたかったけど、展開的に無理でした。

→投稿した後、別の展開が思いつきました。こっちはライダー生存ルートです。後で、こっちに書き換えるかもしれません。

ところで、宝具は
「テトラグラマトン(四つの聖文が刻まれし銃)」
「四つの聖文が刻まれし銃(テトラグラマトン)」
どっちの表記仕方がいいでしょう?

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