さて、この世界には魔法と呼ばれるものが存在する。
その魔法と呼ばれるものは、生涯の使用回数と呼ばれるものが存在している。
簡単に言うと、一生の内に使える回数が限定されているのだ。
そして、その回数を使い切った人間は灰になると言う。
それは事実だ。
実際、灰となった人間は確認されている。
そう言った意味で、この魔法回数は貴重であった。
回数自体は個人によって差が出てくる。
一般的な平均は2桁。
多い人物なら、10万は超えると言われている。
当然ながら、回数が多い人間ほど将来は優遇された。
彼の名は式森和樹。
魔法回数が僅か7回の少年である。
だが、彼には別の力があった。
それは魔法とはまったく別物の力であった。
その力を、人々は畏怖の念を込めてこう言った。
『両儀なる瞳』と。
◆ ◆ ◆
『やくそくだよ、せかいいちのまじゅつしさん』
遥か昔に約束したと思われる言葉。
今となっては、何を約束したのか和樹にはわからない。
ただひとつだけわかることがある。
それは、
「確か、あの女の子って人の話を聞かなかったよなぁ。
こっちが話を聞けと言ってるのに、結局話を聞かずに帰るし。
もしかして、あの子ってサイコ?」
おい・・・
ちょっと待てやこら。
先ほどまでのシリアスな雰囲気は何処にいったんだ!?
「まぁ、気にすんな作者。SSなんてそんなもんだ」
いや、モノローグに突っ込みを入れてどうする!?
・・・・・コホン。
話がそれたようだ。
とりあえず、本編に戻すとしよう。
「あ〜思い出してきた。確か結婚しようとか言ってたような」
などと言いながら和樹は時計を見た。
すでに時刻は9時をとっくに過ぎている。
どうやら完全に遅刻のようだ。
「ま、いっか・・・どうせ遅刻ならゆっくり行こう」
そう呟くと、和樹はゆっくりと服を着替え始めた。
細身でありながら、極限まで鍛え抜かれた体は無駄な脂肪や筋肉が一切見当たらない。
また、体のいたるところに傷があった。
それが、この式森和樹の人生を物語っているようにも見える。
「まったく、今日はなんか嫌な事が起こるような気が・・・」
(くす、大丈夫ですよ和樹さん。あぶなくなったら私のジャムで)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なにやらよからぬ言葉を聞いたようだ。
どうにも某冬の街の謎の主婦の言葉を聞いたらしい。
ま、些細なことだろう。
「と、いけない、いけない。さっさと学校へ行こう」
そう呟くと、和樹は勢いよく玄関のドアのノブを回した。
これが、彼の平凡な日の日常の終わりを告げる一コマだとは、和樹自身、気付くはずもなかった。
あとがき
つぅわけで、まぶらほの小説です。
とりあえずギャグでいこうと考えているんですが。
ギャグなんてやったことがないので初挑戦です。
頑張ります。
では。