ざざーーーーん
ざざーーーーん
波の音が聞こえる。
ざざーーーーん
ざざーーーーん
どこから聞こえてくるかは分からないが、ただ、あたりに波の音が響いている。
不思議なことに潮の香りも、水の匂いもしない。
ただ、波の音が聞こえるだけ。
ざざーーーーん
ざざーーーーん
眼を開ければ、どこから波音が響いているのかが分かるのかもしれない。
ただ、オレは眼を開こうとはしない。
開いたらこの夢が覚めることが分かっているからだ。
ざざーーーーん
ざざーーーーん
ある暗部の物語
第一話 作:桜始開
「お呼びですか、火影さま」
ここは火の国、木の葉隠れの里。
そこの頂点に立つ男、三代目火影の執務室だ。
オレはそこに呼び出されていた。
「うむ、ある任務をやってほしい。柊(ヒイラギ)」
柊(ヒイラギ)とはオレの仕事場での名前だ。
特に深い意味はない。
他の誰ともかぶらないようにといわれて、とりあえず選んだ残り物の名前みたいなものだ。
「分かりました、どのような任務で」
拒否はしない。出された任務を遂行するのは「忍」として当たり前のことだ。
それに相手は「教授(プロフェッサー)」と冠される三代目火影さま。
間違っても、俺の能力でこなす事が出来ない任務を渡すことはない。
「ガトーカンパニーを探れ」
「わかりました、で、どれほど?」
「全てじゃ。ガトーカンパニーの裏側全てを調べろ」
「御意」
「そして、もし、火の国に対しての危険が見受けられし場合、処分せよ」
「はっ!」
そういうとオレは、依頼書を受け取るとすぐにその場から立ち去る。
時間はない。すぐにガトーカンパニーに忍び込まねばならない。
情報は生ものだ。今この瞬間にも新たな情報が生み出され、古き情報は死に往く。
そういえば、この任務のランクを聞くのを忘れていた。
だが、別にいい。今まで一度も聞いたことなどないのだから。
他のやつらはどれだけ任務を受けたとか、どんなに高いランクの任務を受けたとかといって自慢しているらしいが、
俺にはその気はまったくない。
別に高いランクの任務を数多く受けたところ何になる。
重要なのは任務を遂行したか否か。
ただそれだけだ。
オレの名は柊(ヒイラギ)。
仕事場での便宜上の名前だが、仕事中はこの名で通している。
所属は暗部。木の葉の闇といったところだ。
暗部といっても、それほど優れているわけではない。
暗部では最下級に属する。
中忍のやや強いぐらいだろう。
だが、それは忍び同士の戦いにおいてだ。
オレが暗部に属する理由は無音殺人術(サイレントキリング)、そして、潜入・隠密・情報収集能力の高さだ。
誰にも見つからず、息吹一つ感じさせず、路傍の石よりもさらに気配を薄く。
そうすれば、十分暗部としてやっていける。
誰にも見つかりさえしなければ、戦闘力など要らない。
ガトーカンパニーに潜入してから、一ヶ月。
もともと、黒に近すぎるやつらだ。
潜入などしなくても、十分こいつらの悪事の証拠など山のように出てくるだろう。
それなのになぜ、火影さまが俺に潜入任務を命じたか。
簡単だ。潜入任務はあくまで表向き。ガトーカンパニーの社長を殺せということだろう。
証拠だけでこいつらを潰せるのならとっくに誰かがやっている。
ただ、それを許さないほどの力をこいつは持っている。
金だ。
有り余るほどの財力を利用して、警察・政府を掌握し、ありとあらゆる証拠を金で潰す。
世の中金さえあればなんでもできるということを実際にやっているやつだ。
ならば、そんなやつらを止めるはどうすれば良いか?
これも簡単だ。殺せばいい。
どこぞの軍隊とかならば、郡の上層部数人と数個の小隊を潰せば良い。
ありがたいことにガトーカンパニーはガトー一人のワンマン組織だ。
ガトー、一人殺せば片はつく。
だが、俺はガトーを殺さない。
いや、殺せないといった方がいいか。
ガトーのヤツはかなり臆病だ。
いや、用心深いと言ってやろう。
そのお陰でここまで自分の組織を大きくできたのだろうからな。
そのため、やつの周りには複数の護衛がいる。
前に言ったように俺の戦闘能力はかなり低い。
といっても、一般人やそこらのごろつき相手には勝てる自信はある。
だが、護衛の中に忍びがいる。それも特上の。
霧隠れの鬼人、桃地再不斬。それと、白。
この二人がなんでガトーの護衛なんかしてるのかと不思議に思ったが、いくつかの情報と数日の監視でわかった。
一時的な身の隠し場といったところか。
クーデターを起こしたとか聞いたな、金も要るだろうしな。
おっと、これは別にどうでもいいか。
白だけならまだ良いが、桃地再不斬。
こいつには勝てない。
だが、最近この二人はガトーの元を離れて別のことをしている。
ガトーのそばを離れることが出来ないため何をしているのか分からないが、まぁ、ガトーの命令だ。
碌な事ではないだろう。
桃地再不斬と白、それと二人の忍びがガトーの護衛から離れた、が、だからといって殺せるわけではない。
「木の葉の忍び」がガトーを殺したとわかってはいけないのだ。
あくまで殺したのは「木の葉の忍び」ではない別のヤツ。
もしくは、別の里の忍びでもいい。
ここらへんはいろいろと横の繋がり、縦の繋がりとかで問題があるらしい。
まぁ、悪名高いガトーカンパニーはなんだかんだ言って大きな会社だ。表にも裏にも。
それを木の葉の忍びが暗殺したとなれば問題になるのは当たり前だろう。
さて…………どうしたものか。
後書き
ノープランです。見切り発車です。俺的には実験的な作品です。
もしかしたら、削除するかもしれません。
いや、ある程度のプロットとかはありますよ。
こいつでこんなことしたい的な、アホみたいなプロット。
基本的にこの柊(ヒイラギ)さん、ストーリー(原作)にはあまり食い込みません。
あの話の裏には実はこんなことが!!! 的な自分勝手な創造を書き連ねようかなと思ってます。
まぁ、それほど頭が良い訳ではないので、矛盾する点があるかもしれませんが、そこら辺はやさしく指摘してください。
最近特に忙しいし、それに他の作品も続きも書かねばならぬので、テンポ自体はめっちゃ遅い上に短いです。
でも、原作でいうと、サスケ里抜け、ナルト修行の旅へ、サクラ綱手弟子入りぐらいまでは行きたいですね。
とあるキャラをスレさせたいなと、ひそかに思ってますが…………どうしましょう?
というか、スレキャラ有りでいいのだろうか?