世界は荒廃していた。
「……」
荒廃した世界に１人の少年が在る。少年はただ、空を見ていた。
プログラムされた世界は、太陽を空に運び、夜を空に運び続けた。
だがこれを見る存在はもう、少年だけになっていた。
「……」
まだ１５歳程度の中性的な少年は、世界が荒廃する前のことを思い出した。
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１９９９年
巨大隕石が南極に衝突したという衝撃的な事件で、世界は急変した。
急変した世界を１つ１つ語るのは大変である。だから舞台を１つに絞ろう。日本という国の舞台だ。
日本には四季があった。そう、あった。
１９９９年の巨大隕石衝突以来、日本には夏を残して他の季節が死んだ。
荒廃した日本は地獄だった。
生きるために力を欲し、他者を冒し、侵し、犯していた。
そんな日本を中心とし、ある物語が書かれ始めていた。
進化の方向を失った人類を１つの単体生命として融合させ、究極の生命体になるという奇想天外な物語。
それが本格的に動いたのは、２０１５年からだった。
物語が進み、そして１人の少年を主人公として、物語は主人公にとって悲劇に向かった。だが物語の筆者は喜劇に向かったと喜んでいた。
そして究極の生命体が創られた。
――――――だが
生命体は、物語の終着点は、主人公の意思で崩壊した。
生命の海を撒き散らし、少年と少女が個体生命としてこの星に立った。
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「……」
少年は白い砂浜に仰向けになっている。目はうっすらを開けられ、その首をゆっくりと動かす。
右へ視線が回ると、そこには赤い、身体にフィットした水着のようなモノを来ている赤毛の少女が寝ていた。
少女の生命活動は既に終了し、瞳に光はない。
「……そう、終わったんだね、アスカ」
少女の名を呟き、少年はゆっくりと上半身を起こす。
「今、楽にしてあげるからね」
頬に触れた途端、アスカの身体が融けた。
オレンジ色の液体になったアスカは白い砂浜に飲み込まれていく。
「ゆっくりと、お休み」
ニヤリと嗤い彼は、既に昔の彼では無い。
物語が望んだ究極生命体の結晶なのだ。
残った赤の水着のようなモノを手に取り、視線を遠くに動かす。その先は紅い海。
「これが物語の望む最後の姿、ねぇ」
嗤う少年は、手に持っているソレを海に投げた。水飛沫が上がるのを見届ける。
ゆっくりと立ち上がり、辺りを見回す。そして半分倒壊したビルを見つめた。
「ねぇ、そこにいるんでしょう？ 千年伯爵さん？」
言うと、彼以外生命体の無いはずのこの場所に、もう１つの生命体が出てきた。
「なぜ気づいたのですカ？♡」
言う千年伯爵の顔は不思議がっているようだった。
ソレに対し、シンジは自分の頭を指で叩き、
「今の僕には、全人類の記憶があります。その中に、アナタに関する記憶があったのですよ♩」
「そうですカ♡」
「そこで僕はアナタに言いたいことがあります」
「？♡」
首を傾げる千年伯爵に、シンジは言った。
「僕を過去に戻していただきたい。時を旅する錬金術師ならばできるはずですよ」
「それで、何をしたいんですカ？♡」
「この世界にならない、もう１つの終焉へ導きたいのです。本音は世界をぶっ壊したい、と言ったところでしょうか」
「いいですヨ♡」
「交渉成立、ですね」
「そこでアナタにプレゼントでス♡」
どこからともなく取り出したのは骸骨の形の等身大プラモデル。
「ＡＫＵＭＡ、ですか」
「特別性ですヨ♡ 本人の魂を直接移せまス♡」
「……いりません」
「？♡」
ニコリと笑う千年伯爵。
「僕は僕であります。ＡＫＵＭＡは、僕のゴーストの存在を薄めてしまうかもしれない。だからいりません」
「そうですカ♡ 少し残念ですネ♡」
「ですが協力は絶対です。――――――少し待っていて下さい。カラダを変えてきます」
そう言ってシンジは紅い海に飛び込んだ。
数分後
ザバザバと海の中を歩きながらシンジは出てきた。
プラチナブロンドの髪を持ち、身体を捨てる前よりもイケメン（死語）な顔を持つ少年―――シンジ。
「それハ？♡」
「モデルは最後のシ者、ですよ。尤も、彼自身の生命は手に入れてませんから、完璧には似ませんけど」
ニヤリと嗤うのが似合うその姿は、不安定なのか、時折姿が別人に変わる。
「まだ安定して無いようですが、しばらくしたら安定します。そのまま行きましょう」
「わかりましタ♡」
「ああそう。戻るのは………」
その後、世界はガラス細工のようにヒビ割れ、崩壊した………
福音の鐘は、今鳴り響く
あとがき
初めまして、‘らいず’といいます。今後ともよろしくお願いします。
Ｄ-Ｇｒａｙ-Ｍａｎとのクロスです。他にもクロス作品多数の予定です。
＞アンケート
以下の内、ヒロインにするんだったらどの作品？
１、幻燐の姫将軍２
２、Ｄｕｅｌ Ｓａｖｉｏｒ
御存知でない方もいると思いますので、その場合は無視してくださって構いません。
「このキャラ出して欲しい」というのがございましたら遠慮なくどうぞ。作品名も添えてくださると嬉しいです。