二人の勇者がついにその前に立った。
長い苦難の道のりの果てに。
「ついに来たな、ダ・サイダー……」
「あぁ、そうだな、ラムネス……」
「長かったな……」
「あぁ、長かった……」
「どれだけこの時を待った事か……」
「苦労したよなぁ、俺様たち……」
「でも、ようやく着いたんだ!俺は今!!猛烈にやる気になってるっ!!」
「おうよ!思う存分!!やぁぁぁぁぁぁぁってやるぜ!!」
カチャカチャ……ジーー……ジョロロロロロロロロロ……。
い、以上、途中の公衆トイレ衛星からお伝えいたしましたっ!!
おわぁーーっ!!ひっかかったぁっ!?
NG騎士ラムネ&40EX’
〜アン・ドゥ・メダメダ大攻防戦!!〜
#5「急げ勇者!愛と裏切りの黒い罠!?」
「ふぃ〜〜……俺は今猛烈にすっきりしているぅ〜〜」
「まったく、いきなりアルミホエール号のトイレが壊れるとはなぁ。死ぬかと思ったぜ」
「お帰りなさい、ラムネスさん、ダ・サイダーさん」
「ただいま、ミリィさん」
「ん?ミリィは行かないのか?トイレに行っトイレ?ってかぁ?ぬわっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!」
「ビェェェェェェイ♪ダーリン今日も絶好調ジャン♪」
「わ、私はいいんですっ!!それより皆さん、もう少しでメダメダワールドに到着しますよ」
「本当か、ミリィさん!?そっか……もうすぐ着くんだ!うぅ〜〜っ!!俺は今!!」
「猛烈に熱っっっっっ血してるぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「あーーっ!!こわ、ダ・サイダー!!それは俺の台詞だって!!」
「ぬわっはっはっはっはっはっは!!先に行ったもん勝ちだぜぇ!!」
「あそこの暗黒ガスを抜けた先ですわ!早く行きましょう!!」
「くっそー、矢尾の奴……。こうなったら!!ようし!!暗黒ガスを突き抜けて!!メダメダワールドへ!!」
「行ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃってやるぜぇ!!」
「こらーーっ!!矢尾一樹ぃ!!」
「ぬわっはっはっはっはっはっはっはっは!!アルミホエール号!!発進!!」
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!
暗雲、ではなく暗黒ガス渦巻く宙域へ颯爽と前進するアルミホエール号。
果たして、その先に待っているものは!?
さて、所変わってこちらはメダメダ城の一室。
そこではミルクたちが濡れた服を乾かし、ミリィと名乗る女性と向かい合っていた。
「で、アンタが言うには、アンタの母親である女王がなんか企んでる、と?」
「はい。恐らく母、アン・ドゥ・メダ・プルトニウム94世はこの星に眠る最終兵器、『ヤマモトヤマ』を起動しようとしているに違いありませんわ」
「最終兵器ぃ!?」
「ヤマモトヤマぁ!?」
「なんだかお茶が飲みたくなる名前ですわ〜〜」
「お茶のCMではありません。あれは恐るべき兵器なのです。伝説によれば星を一撃で砕くとか……」
「で、なんでアタシたちが攫われなきゃいけないの?アタシたちには関係ないじゃない?」
「いえ、関係はありますわ。五千年前、先代の聖なる三姉妹の方々があれを封印したと、そう伝えられているのです」
「という事は〜〜、私たちにしかその封印を解く事はできないと〜〜?」
「はい……」
「はんっ!アタシたちがそんなもんの封印解くと思ってんのかい!!」
「そうよ、そうよ!アタシたちはそんな事絶っっっ対しないわ!!」
「それができるのです。この星の筆頭大臣であるパスカル・ヘクトは催眠術の達人……。彼の手にかかれば……」
「「そういう事だ!!ふはははははははははははははははははははははははは!!!!」」
「誰っ!?」
バンッ!!
部屋のドアが勢いよく開き、なぜかスモークとバックライトに照らされた二人の影が現れた!
「くっくっくっくっく……キーロ・メーテル!!参上っ!!」
「はっはっはっはっは……アール・ヘクト!!参上っ!!」
「「我ら!!闇の隠密部……ゲヘッゴホッゴホッ!!」」
「ちょっとアール!!スモーク焚き過ぎだよっ!!」
「す、すいません、キーロ様……」
「なんなのよ、アンタら……」
「キーロお姉様!?もうこんな事はおやめください!あれは復活させてはいけないものなんです!!」
「えぇい、おだまり!!姫として大切に育てられたお前なんかにとやかく言われる筋合いは無いよ!!アールっ!!やりな!!」
「へい!キーロ様!!むむむむむむむむむ……ハーーーーッ!!」
アールが両手を顔の前で組み、精神を集中し、その目をカッと見開いた。
「なにっ?」
「いけませんっ!あの者はパスカル・ヘクトと同じく催眠術を……うっ……」
「眠くなってきちゃった……」
「いけませんわ〜〜……」
「ミルクッ!!ココアッ!!うっ……くそ……」
「くっくっく、さぁ聖なる三姉妹を女王陛下の下へ連れてくよ!」
「へいっ!!」
一方ラムネスたちは。
「うわっ!?なんだっ!!」
「くっ……!舵が効かねぇ!!どうなってやがるっ!!」
「ダーリン!!あれを見るジャン!!」
「ブ、ブラックホールだミャー!!」
「「なにぃっ!!」」
暗黒ガスを抜けたアルミホエール号の前には、巨大なブラックホールが待ち構えていた!!
「ブラックホールに吸い込まれたら何処に飛ばされるか分からないミャー!!」
「ミリィさんっ!!これはっ!?」
慌ててミリィを見るラムネス。
だが、彼の目に楽しげに微笑むミリィの姿が。
「オーーッホッホッホッホッホッホッホッホッホ!!かかったわね、勇者ども!!」
「なにぃ!?騙しやがったのか、てめぇ!!」
「そうよ!!我が名はセンチ・メーテル!!我が偉大なるアン・ドゥ・メダ・プルトニウム94世女王陛下の為に!!死ぬがいい!!勇者ラムネス!!そして勇者ダ・サイダー!!」
「くっそぉ!!」
「どうしようも無いのか!?タマQ!!」
「もうブラックホールに捕らわれちゃってるミャー!!」
「オーーッホッホッホッホッホ!!ではさらばだ!!勇者ども!!」
「どこへ行きやがるっ!!待ちやがれっ!!」
「フッフッフ、そりゃあ外へ逃げるに決まってお……る……って、逃げられないじゃん!!」
呆然と立ちすくむセンチ・メーテル。
こいつもアホだった。
しかしその時!
アルミホエール号はついに完全にブラックホールに飲み込まれてしまった!!
激しく揺れるアルミホエール号!!
「うわーーーーーーーーーーーーっ!?」
「くそぉーーーーーーーーーーーっ!!」
「ビェーーーーーーーーーーッジャン!?」
「ミャーーーーーーーーーーーーッ!?」
「たぁすけてぇーーーーーーーーっ!!」
そしてメダメダ城、謁見の間。
「女王陛下!!聖なる三姉妹どもを捕えてまいりました!!」
「おぉ、ご苦労であったな、キーロ。そしてアールよ」
「「ははぁっ!」」
「おっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!!これで最終兵器『ヤマモトヤマ』が甦るぞぇ!!わらわはドキドキスペースを治める女王となるのじゃ!!」
「その暁には、わたくしも全ドキドキスペース統一国家の宰相ですなぁ」
「その通り、パスカル・ヘクトよ、お主がいなければここまで計画を推し進めることはできなかったであろう。感謝するぞぇ」
「いえいえ、勿体無きお言葉にございます、女王陛下」
「それでは始めるとしようかの。行くぞ、ついて来い、闇の部隊、パスカル!!」
「「「ははぁっ!!」」」
玉座が床の下へと沈んでいく。
女王、パスカル・ヘクト、闇の部隊、そして聖なる三姉妹を乗せて。
地下、メダメダ城の地底に広がる広大な空間にそれはあった。
でかい。
ちょっと見にはその全容を量ることの出来ないほどの巨大な船。
そう、これが最終兵器、『ヤマモトヤマ』である。
「おっほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!さぁ!!聖なる三姉妹よ!!『ヤマモトヤマ』を復活させるのじゃ!!」
高々と笑う女王の言葉に、虚ろな目をした三姉妹がこくりと頷き手を取り合った。
「「「モ〜〜デンヨラカエウ……モ〜〜デンヨラカタシ……ヤマモトヤ〜〜マ……ヤマモトヤ〜〜マ……」」」
三人の口から怪しげな復活の呪文が紡がれていく。
それに伴い、巨大な戦艦がその巨大な全身を震わせるように振動し始めた。
「おーーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!!!!甦る!!甦るぞぇ!!わらわが全ドキドキスペースの覇者となるときが来たのじゃ!!おーーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!!!!」
「おめでとうございます!!お母様……いえ、女王陛下!!」
「女王陛下万歳!!」
「おーーっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ!!!!」
闇の部隊、そして女王が嬉々として戦艦を見つめる中、一人黙っていたパスカル。
その手に握られているのは拳銃!?
そして。
ズキューンッ!!
広大な地下空間に銃声が響き渡った!
ブラックホールに飲み込まれどこかへ消えていってしまった勇者たちの運命は!?
そして今まさに復活しようとしている最終兵器と大臣パスカル・ヘクトの行動の真意は!?
さらに操られてしまったミルクたちはどうなるのか!?
んでもって、このSSはこのままラムネらしからぬシリアス(?)な展開になってしまうのか!?
いよいよクライマックスも近づいてきたところで、待て!!次回!!
つづく。
あとがき
えぇーっと、なんか前話が見れなくなっちゃってるのでレス返しができないレス……。
すいません。
って、ダ・サイダーのダジャレが移ってんな、俺……。
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