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「司貴聖伝史(まぶらほ+???+他作品)」

イグレッグ (2005-01-03 11:37/2005-01-04 22:09)
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司貴聖伝史


第一話 少年と少女


僕は幼い頃一人の女の子に会った。

父に連れられ、初めて『外』の世界に来た時の出来事だった。

始めて見た『外』の世界を一人で散歩していた。父には気を付けろと言われながらこの町をまわっていた。

そして川の上に架かっていた橋を渡ろうとしたら、かすかな泣き声が聞こえた。
そこには女の子がいた。しゃがみこみ、両手を目にあて、頬を濡らしている。
左手に持ったペンダントが、涙で光っていた。

「どうしたの?」

少年はその女の子に声を掛けた。
返事はなかった。

何度か声を掛け続けたが、返事は返ってこなかった。女の子はただ悲しそうに、小さな声で泣いていた。 

何度か声を掛け、ようやく女の子は泣き腫らした顔を上げた。

「・・・・・だれ?」

「ぼくは・・・・・ぼくはせかいいちの・・・・・まじゅつし・・・・・」

名前を言おうとしたが、父から『外』の世界じゃ、軽々しく名前を言ってはいけないと言われて、咄嗟の判断で、適当に『せかいいちのまじゅつし』と名乗った
その時、女の子は驚いたように、濡れた瞳をぱちぱちさせた。

「・・・・・ほんと?」

「うっ、うん・・・・・」

「じゃあ、わたしのおねがいかなえてくれる?」

「いいよ、ぼくにできることなら」

その女の子は泣いていた理由を話した。
この子は、家が大きくて、両親はいつも忙しかった。この町に来たばっかりなのに、また引っ越さなければならない。今度は遠い外国に行くこと。

「わたし、もうどこにもいきたくない。ずっとここにいたい。ともだちだってつくりたい。もうおひっこしなんて、やだ」

それからじっと男の子を見た。

「ねえ、まじゅつしだったら、わたしのおねがい、かなえてくれる?」

「・・・・・えっ・・・・・」

女の子はその言葉を聞いて、顔を横に向けた。

「やっぱりできないんだ。パパとママとおんなじ。いつも、おひっこしはしないっていうくせに、すぐとおくにいっちゃうんだもん」

女の子はすねたような口振りで言った。

「ほんとはまじゅつしじゃないんでしょ、うそつき」

「でっ、でもべつのおねがいだったら、できるよ!」

男の子は開き直って言った。

「じゃあ・・・・・」

女の子は男の子の耳元でその『おねがい』を言った。

「うっ、うん、わかったそれなら・・・・・」

「・・・・・ほんと?」

「うん!」

「じゃあ、しんじる。ほんとうにみせてくれたら、えっと」

女の子ははっきり言った。

「おおきくなったら、およめさんになってあげる」

「うん!」

男の子は右手を空にかざした。頭を上げ、空を見る。

「えーい!」

変化はやがて現れた。

「わあ・・・・・」

女の子の顔に、驚きが、そして笑みが広がった。


ジリリリリリィィィィィッッッッッーーーーー

6時半にセットした目覚し時計が鳴った。

ベッドに寝ていた一人の少年が目を覚ました。

「起きなきゃ・・・・・」

少年は今でも眠ってしまいそうな顔で、洗面所へ行き、顔を洗い、ヘアブラシで整髪した。そしてパジャマを脱ぎ、制服に着替えた。エプロンを着けて、手馴れた手付きで朝食とお昼のお弁当を作り始めた。

パンにバターを塗り、ハムやチーズと野菜をはさんで、サンドイッチを作り、弁当箱に詰めて、ナプキンに包んだ。

そして、朝食を食べて。朝の身支度を済ませ、通学用のカバンを右手に持ち、ベッドの枕元の近くに置いてある竹刀や木刀を入れるような縦長のバッグを左肩に背負った。

「よっし! 行くか」

少年は今日も元気に行ってみようという気分で高等部男子寮『彩雲寮』の自分の部屋を出た。
階段を下りて、寮の玄関に向かおうとした時、近くの管理人室から彼を呼び止める声が聞こえた。

「式森さん」

彼を呼び止めたのは、喪服を着た彩雲寮の美人管理人尋崎華怜だった。

「管理人さん? 何のようですか?」

「はい。御実家からお電話がかかっております」

「じっ、実家から!?・・・・・」

少年は落胆した顔になり、肩を落とした。
その理由は、実家から電話をもらうたび、いつも長電話になってしまう。よりによってこんな朝の登校時間の時に。
少年は管理人室の受付に置いてある公衆電話の受話器を取り、通話した。

「もしもし・・・・・、うんうん・・・・・」

そしてこの長電話は2時間以上続いたのであった。

ようやく長電話を終わらせたが、無惨にも時計はすでに9時近くをさしていた。
完全に遅刻だ。

「遅刻だ! せっかく早く起きたのに!」

少年は慌てて走り、彩雲寮の玄関を出た。

「式森さん」

管理人の尋崎華怜が彩雲寮の門の前で箒を掃きながら、彼を笑顔で呼び止めた。

「管理人さん!? すいません、今急いでいるんで・・・・・」

呼び止められた少年はすぐさま走り出した。

「いってらっしゃい。どうか気を付けて・・・・・」

管理人の尋崎はベール越しの笑顔で、彼を見送った。

こうして、真帆良学園葵高等学校1年B組『式森和樹』の一日が始まるのであった。

そしてその日は、宿命の序章とも言える運命の出会いがあることを知らずに・・・・・


後書き

どうもイグレッグです。この小説は『まぶらほ』と『魔法先生ネギま』や他作品のクロス小説です。ちょっと原作と区別を出すため、『麻帆良学園』の『麻』の字をあえて『真』にしました。まぶらほの葵学園は真帆良学園葵高等学校と言う設定でいきます。物語が進むに連れて、ネギまや他作品のキャラを出演させます。感想があったらお願いします。

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