それは数年も前のこと・・・・。
俺はまだ中学二年くらいのこと・・・・。
俺は学校の帰りに、暴風族に絡まれていた。
「だからな、俺達にちょ〜っと金貸してくれればいいんだよ。」
「そうそう。そしたら痛い目見ずにすむぜぇ?」
そいつらの言葉に俺は、
「ざけんな・・・・誰が貸すか。
失せろ。」
と怒りをかみ殺した声で言った。
「んだと!?てめえ!ちょ〜っと優しくしてやりゃあ。
俺達はあのファンキースネイクだぞ!?」
「知るか。」
(それに真に優しいっていうのは稟みたいな奴のことを言うんだよ!!!)
「てめぇ!!おい、やっちまえ!!」
そいつの言葉で後ろにいた奴らが目をぎらつかせた。
そして、今にも俺を襲おうとしたその時。
「まったく、よってたかって、一人に多数って恥ずかしくないのかしら。」
という冷静な、それであって幼い子供の声が聞こえた。
俺達がそっちのほうを向くと、そこには銀色の髪をショートにして茶色い瞳をした神族の俺と同い年くらいの少女がいた。半そでショートパンツといういでたちで、そしてその少女の足元には銀色のA・Tがはかれている。
「なんだぁ?譲ちゃん。こんなとこでよぉ?」
と奴らの一人がニヤニヤと笑いながら少女に近づく。
「<まずい>あんた!!逃げろ!!」
俺がそう叫ぶと、
「あら、心配してくれるの?ありがとう。
でもね、一般人に迷惑かけるようなチキンに負けるほど下手じゃないわ。」
とすべての男を魅了しそうな可愛くて、それであってどこか妖艶な笑みを浮かべる。
それであってさらりと毒を吐く(汗)
その毒に反応した少女にニヤニヤと笑いかけていた男が
「ふざけんなよこの餓鬼!!俺達を誰だと思ってやがる!!?」
と吠えた(意外に短気である)。
「この程度の挑発で吠えるなんて・・・・雑魚の証拠ね。」
「何い!?おい、こいつからやっちまおうぜ!!」
その声に俺を取り巻いてた奴らがいっせいに少女を包囲する。
「おい!!やめろ!!」
と俺が少女を取り巻いた一人に飛び掛ろうとするが、
「うるせえ!!」
と腹を殴られる。
「ぐ・・・・」
俺が崩れ落ちるようにひざをつくと、俺を殴った奴は再び少女のほうに向く。
奴らの一人が前に出ると、
「俺たちファンキースネイクを敵にまわしたこと後悔させてやるぜ、お譲ちゃん!!」
と吠えた。
すると少女はお辞儀をして、
「名乗ってくれたお礼に私も名乗りましょう。
私の名前はメルファ。一匹狼のA・Tライダーよ。」
少女がそういうと、ふっとその姿が掻き消え、気がついたときには、
『ぎゃ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!!!!!!!!』
と奴らが全員刃物で切り裂かれたような傷を作り地面にふせった。
「ま、まほ・・・う?」
と俺が思わずつぶやくと、
「魔法じゃないわよ、失礼ね。
我が道『刃の道(ブレイドロード)』はいかがかしら?」
という声が聞こえた。
ふと後ろを見るといつの間にか少女がそこにいる。
「ブレイド・・・・ロード?」
「ええ、そうよ。
荒々しい『牙』とは違う。常に凛として冷静に、そして相手の急所だけを切り裂く。それが我が道『刃の道(ブレイドロード)』よ。」
そして少女はこちらを向き、
「大丈夫だった?」
と微笑んだ。
その少女の顔はお日様のような笑顔だった。
ジリリリ・・・・ジリリリ・・・・
「う・・・うん・・・・」
目覚ましの音に俺は起き上がり、そのうるさい目覚ましを止めた。
「・・・・ゆめ・・・か・・・。」
懐かしい夢を見たな〜と思いながら頭をぼりぼりかき制服に着替える。
<メルファと始めてであったときの夢だよな・・・・
あんときはマジでメルファに助けられた・・・・。>
そう思いながら前日に作り起きしていたご飯を食べ壁に目をやった。
そこにあるのは夢の中で少女がつけていたA・T、『刃』のレガリア。
あの時メルファから受け継いだ俺のA・Tだ。
「・・・・・・」
そのA・Tを見つめながらしばらくして、ふと時計を見ると6:30分。
「そろそろいかねえと。」
そう言って俺は立ち上がりカバンを持ち、玄関を出た。
俺の両親は二人とも海外で働いている。
てなわけで俺は親父達のいないこの家に住んでいる。
まあ週に三階ハウスキーパーが来るけど。
俺が玄関であくびをした、その時。
「よう和樹。」
と前の家から一人の俺と同じくらいの青年が出てきた。
俺の幼馴染で親友の土見稟だ。
こいつは親が二人ともすでに他界し同じく母親が死んでいる幼馴染の家で暮らしている。
一度その幼馴染とはごたごたが会ったんだが今は和解している。
こいつはいい奴だ。“当たり前のことが当たり前のようにできる”というすんげ美点を持っている。
手っ取り早く言うと“いい人”なのだ・・・・優しいしな。
「おはようございます和樹君。」
ともう一人声をかけてくれた栗色の髪をした優しそうな少女が俺に挨拶をした。
こいつがさっき言った稟と一緒に暮らしている幼馴染、芙蓉楓だ。容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群、家事万能、性格良好の完璧超人。それが楓だ。
だから結構人気がありファンクラブまである。
だが、楓は過去のごたごたで、稟に尽くすことを生きがいとしている。
というか楓は稟のことが好きだ。
だが過去のごたごたのせいで・・・・・いや、これはよしとこう。
まあ、そんなこんなで、俺は実は楓と稟を応援している。
はっきり言って過去に何にもできなかった・・・・いや、しようとしなかった償いのつもりだ。大きなお世話かもしれないけど。
そして俺たち三人はみんなバーベナ学園に通っている。
十年前、太平洋上のとある遺跡で、異世界に通じる二つの“扉”が発見された。
広大なる雲海に、幾多の浮き島が連なる神々の世界・・・『神界』
無数の小世界が複雑に結びついた悪魔たちの世界・・・『魔界』
そして、物理法則に支配された人類の領域・・・『人界』
人界各国の首脳、神界の神王、魔界の魔王、によってこの三世界が一つになったのはつい十年程前だ。
・・・まあ、バーベナ学園というのは魔法技術者育成のための学園だ。
この世界では魔法が使える。それは、神族、魔族、人族共に変わらない。
魔法回数が生涯で決まられていて魔力の強さも違う。
もっとも俺は魔法回数後7回だけどな。
稟は3千回、楓は1万2千回だ。
と、ここまで説明したとこで話を戻そう。
「はよ、二人とも、相変わらず仲いいねえ。」
と俺がニヤニヤ笑ってそういった。
すると二人は真っ赤になる。
その様子を見ていた俺はくすくす笑い
「じゃ、行こうか。」
と二人に言った。
「そ、そうだな。」
「え、ええ・・・・。」
そして俺達は学園に向かう。
しかし俺達は知らなかった。
俺=式森和樹と稟にこれからあんなことが起こるとは・・・・・・。
あとがき
はじめまして。木葉といいます。
【『刃の王』と『神にも魔王にも凡人にもなれる男』】第一話どうだったでしょうか。
このお話は、和樹と稟が主役で、毎回どちらかの一人称で行われます。
ちなみにまぶらほの他のキャラで出す予定なのは。宮間夕菜、山瀬千早、杜崎沙弓、風椿玖里子、神城凛、松田和美、仲丸由紀彦、紅尉晴明、を出そうと思ってます。
はっきりいってそれ以外のまぶらほの面々は出す予定はありません(特に2−Bとか2−Bとか2−Bとか・・・・)
ただせさえ濃い稟たちのクラスなのに、これ以上濃くしてもねえ・・・・
ってなわけで、次回に続く!!
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