「えーと、あなた私のサーヴァントよね？」
「こっちが聞きたいわよ！！何、さっきの召還は！！あんな乱暴な召還初めてよ！！」
赤い服を着たツインテールの少女、魔術師遠坂凛と修道服を着た金髪の彼女に召還されたサーヴァントの出会いは、こんなやり取りで始まった。
「ロゼット、落ち着いて。」
興奮する金髪の少女、ロゼットに対し、彼女の後方から現れた見た目中学生位の男の子が取り成そうする。その姿を確認して凛は更に訝しげな顔をした。
「二人？って言うことはあなた達、サーヴァントじゃあ・・・・っ！！」
凛はある推論にたどり着き反射的に警戒態勢をとる。それは彼女達はサーヴァントはサーヴァントでも自分のサーヴァントではなく、敵のサーヴァントとマスターではないかという答え。だが、それはすぐに否定される。
「いえ、彼女は確かに君のマスターだよ。僕はクロノ、彼女の宝具という形で存在している。」
「ちょっとー、ほんとにこの女があたしのマスターなの？」
少年、クロノの話した言葉に、ロゼットが不満の声をあげる。その言葉に凛は青筋を立てるが、とりあえずそれは無視してクロノに対しより重要な部分に対し問いかける。
「宝具って・・・・生命体が宝具になるなんて事あるのかしら？」
「うん。使い魔のようにその存在にまつわる一種の武具的存在はそのまま宝具になる事があるんだ。僕と彼女の関係はそれに近い。もっとも、僕達の場合はそれだけじゃなく、世界とかわした契約内容にも関係してるんだけどね。それから、僕達のマスターが君である事がレイラインが通じてる事からわかる。確認してごらん。」
凛の答えにクロノは素直に答え、最後に一言は凛とロゼット、二人に対して投げかける。言われた通りにした二人はそれで納得の意をしめした。
「どうやら間違いないようね。それで、あなたは何のサーヴァント？セイバーじゃないわよね？」
凛が二人の姿を見て言う。剣はもっていないし、そもそも武術関連に長けているようには見えない。
「あー、やっぱりあなたがマスターなんだ。ま、いっか、魔力供給は十分だし、態度悪いけどそんなに悪い娘じゃなさそうだしね。よろしく、私はロゼット＝クリストファ、クラスはシスターよ。」
「僕はクロノ、よろしくね。」
そう言って二人が自己紹介する。だが、それを聞いて凛は凄く嫌そうな顔をして言った。
「シスターの英霊？もしかしてあなた代行者なの？」
シスターの意味が姉妹ではなく、教会の修道女である方の事であるのはその姿を見ればすぐにわかる。そしてシスターの中、教会の代行者ならば中には英雄にふさわしい実力のものもいるだろう。だが、個人的な知り合いと世間一般に浸透するイメージからかなり嫌な印象があった。
「ちょっと！！カトリック系のあんな奴らと一緒にしないでよ！！私達はあんなに頭固く・・・・まあ、固いのもいるけど、あそこまで偏執的じゃないわ。」
その凛の態度にロゼットが激昂する。それは彼女だけでなく、生前の彼女の仲間達に対しても侮辱のようにも感じたのだ。
「だとするとあなたはプロテスタント系なのね。そういう勢力があるのは聞いた事があるわ。一緒にしてごめんなさい、謝るわ。ところで、あなたも彼女の同僚か何かなの？」
そんな彼女に対し、凛は素直に謝罪した。そして次に少年の方に目をやり尋ねる。それを待っていたかのように黙っていた少年が答える。
「僕は・・・・悪魔だよ。」
「悪魔！？」
その言葉に凛は驚くクラスによってその力は全く違うが高位の悪魔ならば二十七祖や神にすら匹敵する力を持つと言われているのである。そして、目の前の少年のようにしっかりとした人格を持つ悪魔というのは大抵が強いのだ。その存在は大概が邪悪と言われているが、中には例外もいると言われている。この少年はその例外なのか、あるいは目の前の少女がよほどの存在なのか凛は頭の端で考えた。
「驚いたわ。それにしても教会の人間が悪魔となんて・・・・いえ、代行者の中には二十七祖すらいる事を考えればそれほど特殊でもないのかしら？」
「まあ、異端ではあったけどね。けど、彼はいい人・・・・・ってのは変か。いい悪魔よ。それに私の相棒。公私ともにわたってね。」
「公私？」
「ええ、私達は恋人同士なの。」
そう言って柔らかに笑うロゼット。その言葉が発せられた瞬間に急に大人びたその雰囲気、表情は同姓の凛すら見惚れるほど美しく、そして温かだった。
「僕達の関係は傍からみれば変に映るかもしれない。けど、僕達は共にいる為、ただそれだけの為に英霊になった。その思いは本物でそして何よりも強い誓いだ。だからこれ以上聖杯に望むことなど何もないし、召還に応じたのは英霊の座にいるよりも現界している方がよりお互いを感じられるからに過ぎない。けど、だからと言ってこの戦いに手を抜くわけじゃない。僕達は君の勝利の為には全力を尽くすよ。」
クロノがそう宣言する。クロノの言葉どおり、彼の見た目の幼さや悪魔と教会の人間が恋人同士であることに凛はほんの一瞬だけ違和感を覚えた凛だったが、二人の間に流れる雰囲気に直ぐにそれは意味のない考えだと気づく。そして、自分にとって何より大事な事に彼らは全力を尽くしてくれると言う。ならば、そのクラスが予定と違った事も彼らの関係も彼女にとっては気にすることではない。
「わかったわ。これからよろしくお願い、シスター、クロノ。」
「ええ、よろしく。あ、それからあなたの名前教えてもらえる？」
凛の言葉に対し、元の雰囲気に戻ったロゼットは手を差し出し、そう返してきた。それに対し、凛は一瞬驚いたような表情を見せた後、直ぐに笑顔を浮かべ、そして彼女の手をとって言った。
「私は凛、遠坂凛よ。」
（後書き）
以前投稿したものを原作の最終巻を読んで見てそれに合わせ
てちょっと改変してみました。設定もTV版準拠から原作版をベースにしたものに変わっています。おかしいところがあったら指摘してください。時間的や知識の乏しさから長期連載は無理ですが４話くらいの小連載で許されれば続きを書きたいなと今は思っています。
＜英霊になった理由＞
世界を救った両者が共に死の間際にずっと一緒にいたいと願った為、その願いと代償に英霊と宝具になった。
クラス：シスター
真名：ロゼット＝クリストファ
性別：女
マスター：遠坂凛
属性：秩序・善
筋力：Ｃ
耐久：Ｃ
敏捷：Ｃ
魔力：Ｃ
幸運：Ｂ
宝具：Ａ
＜保有スキル＞
弾丸強化Ａ
補足説明：精神的に極限まで高まった状態の時、弾丸の威力を１ランクと＋分アップさせる。
（例）
セイクリッド Ｄ→Ｃ＋
ゴスペル Ｂ−→Ａ
変身 Ｃ
クロノが大人の姿になると彼女も成人の姿に変わる。能力的には変わらないが性格が大人っぽくなる。
＜宝具＞
【セイクリッド（聖油を込めた弾丸）】
ランクＤ
補足説明：真名を発動せずとも使える武器。死徒や悪魔、反英霊など魔や悪の属性を付けられたものにはランクＤ＋まで威力増大。
【ゴスペル（福音を与えし魂の一弾）】
ランクＢ−
補足説明：死徒や悪魔、反英霊など魔や悪の属性を付けられたものにはランクＢまで威力増大。
【破壊の十字架（困難を破壊する十字架）】
ランクＣ−
補足説明：爆弾と同じような使い方ができる。
【防御の十字架（神の守護を生み出す十字架）】
ランクＣ−
補足説明：前方にシールドを展開する事ができる。
【命の時計（時を奪いし契約の証）】
ランクＢ〜Ａ＋
所有者の残りの寿命を魔力に転換し、契約した悪魔に与える代物。これにより、クロノは本来の上級悪魔の姿に戻って戦う事ができる。また、英霊化した際、命を削らなくても魔力を直接与える事でも効果が発動できるようになっている。
クロノ
性別：男
属性：混沌・中立
筋力：Ｄ 〜 Ａ
耐久：Ｂ 〜 Ａ
敏捷：Ｃ 〜 Ａ
魔力：Ｃ 〜 Ａ
幸運：Ｃ 〜 Ｃ＋
補足説明：普段はその力の大半が封印されているが、命の時計によってその封印を解いた時のみ、提供される魔力や命の時間によって本来の力に近づける。また、封印されている時でも弱い魔術なら使える。
＜保有スキル＞
自由行動Ｂ
マスターによる礼呪の縛りを直接的には受けず、ロゼットからも絶対的な支配力は持たない。ロゼットが存在する限りはマスターが居なくなっても現界でき、ロゼット無しでも３日は現界できる。
呪文省略Ａ＋
悪魔はよほど大掛かりな魔術や魔法で無い限り呪文詠唱や結界、道具などを用いなくてもそれらを使用できる。
時間凍結Ａ+
一定範囲の空間の時間を凍結させる。凍結させた範囲の物質を破壊する事はできず、また持続し続ける為には膨大な魔力を必要とする。ランクＡ以上の抗魔力の持ち主やそのレベルの攻撃ならある程度抵抗できる。