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「その誓いに・・・ 第弐話(Fate+月姫+いろいろ)」

くろの (2004-12-31 19:18/2004-12-31 19:20)
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このお話は主人公最強及び至上主義である作者によって作成されております。
また、原作の設定と著しく異なることがございます。

そういうのがお嫌いな方は読まないことをお勧めいたします。

見苦しい所が多々あると思いますがご容赦ください。
(ご指導よろしくお願い致します)


泣き止んだ女性を優しく身体から放すと士郎は、
彼女の目を真っ直ぐに見据える。

「士郎様?」

士郎が身体を放すと同時に、
彼女は身体を維持させるのに必要な魔力が彼から流れてくるのに気付いた。

「うん、少しだけ魔力を渡したんだ。本当に少しだけだけどね」

何気ない士郎の言葉に彼女は絶句する。

「契約をしていないのにですか?」

「うん、抱きしめたじゃない」

多少、恥ずかしさで頬を赤く染める。

「それだけで、ですか?」

初めの方は声に純粋な驚きが含まれていたが、
言葉の途中でやがて士郎に抱きしめられて泣いたのを思い出したのか、
彼女の頬は士郎よりも赤く染まっている。

だが、彼女の驚いた通り士郎のやったことは、
魔術師にとっては異常である。
契約や性交渉によって明確なラインを構築せずに、
肌と肌の触れ合いのみで相手に気付かれずに魔力の受け渡しをする。

その辺の魔術師に知られれば驚愕する事実である。
何故なら、相手に気付かれずに魔力を渡せるということは、
多少その方法を研究することができれば、無理やり契約することが可能になるのである。
下手をしたらそれだけで封印指定を受ける可能性がある。

「多少の魔力は無駄になるけれどね。
それよりも貴女に聞きたいことがあるがある」

「何でしょうか、士郎様?」

自らの主となる男の魔術の巧みさを思い知らされた女性は、
多少の緊張を含んだ声で返す。
(彼女の中では士郎がマスターになることは決定事項だった。
さらには、士郎が押しに弱いことは女の勘で気付いていた。)

「しっ、士郎様〜っ!?」

驚きのあまり、士郎の声が裏返っている。

「ええ、私は貴女に付いて行く事に致しました。
既に死しているこの身ですが、ご存分にお使い下さい」

地面に正座して指を三本着いて深々とお辞儀をする。

所謂、「不束者ですが、よろしくお願い致します」
という台詞が似合う動作である。
まあ、彼女が妙に顔を赤らめているのを見る限りそのつもりなのだろう。

だが、彼女が顔を上げた時、
士郎の顔がしかめていた。

「嫌なのですか?」

目を潤ませて士郎を縋るような目つきに見つめる。

「い、いや! そういうわけじゃないよ…ただ」

抜群の効果を発揮した彼女の目に、
動悸が早まった士郎は手をパタパタと振るう。

「ただ?」

「うん、さっき誓っただろう? ‘君を利用しない’って…
それに貴女は生きては無いと言ったけどね、それは間違えだよ。
貴女はそこに存在して、息をしている。それに、暖かいじゃないか。
それは生きているってことだよ」

士郎の言葉に女性はうれしそうに頷く。

「はい、解りました。
ですが、士郎様は私を利用しているのではありません。
私が士郎様のなさりたいことを勝手にお手伝いするだけのことです」

台詞の後半部を人差し指を立てて、
説明する様はさながら教師のようである。

「それは屁理屈って言うんじゃ――」

女性の迫力に士郎は珍しく気圧されている。

「屁理屈も何もありません。事実です」

きっぱりとした言葉に士郎は何も言えない。

「分かったよ。好きにしてくれ…じゃあ、初めに聞きたいことがあるんだ」

士郎の真剣な顔に女性はゴクリと喉を鳴らす。

「貴女の名前は?」

「…えっ?言っておりませんでしたか?」

予想外の言葉に女性は目を丸くする。

「うん」

彼女の言葉に子供のように頷いて返事をする。

出会ってから一時間は経っているというのに、
士郎は名前すら女性から聞いていなかった。

まあ、士郎は幾多の人々と出会い、
交流してきた経験があるために人の本質を見抜く目を持っていた。

今までそれが外れたことは無い。
それ故に、士郎は女性の悲しみと心の奥底に隠している優しさを見抜いていた。
名前を知らずとも、彼女を抱きしめることに躊躇はなかった。

「…クスクス、そうでしたね」

士郎の意外な子供っぽさに、
思わず笑いがこぼれる。

「何か可笑しなこと言ったけ?」

彼女に笑われる理由が分からず、
士郎は首を傾げた。

「クスクスクス…」

分かってない士郎の言葉がつぼに嵌ったのか、
女性は暫らく笑い続ける。

「むぅ…」

美しい女性に笑われるということが、
男としての自尊心が許せないのか士郎は小さく唸る。

「クス…失礼致しました」

ようやく笑い終えると真面目な顔をして、士郎を見据える。
その目に僅かに浮かぶのは脅えの色だった。

「私の真名はメディア。クラスはキャスターです」

自らの伝説を目の前の少年がいかに思うか、
士郎が口を開くまでの間、彼女にはとても長く感じられたことだろう。

だが、彼女の不安は

「うん」

という士郎の一言で吹き飛んだ。

「うんって・・・それだけですか?」

士郎の言葉に困惑しながら、
彼女は士郎に問いかける。

彼女のマスターであった協会から派遣された魔術師は、
彼女の伝説に脅え、その力に嫉妬した。
だが、目の前の少年は唯の一言で済ませたのだ。

「それ以外になんと言えばいいんだ?」

彼女の問いに士郎は逆に困惑した。

「私は家族を殺した裏切りの魔女なのですよ!
先ほども自らのマスターに令呪を使い切らせて、
殺したばかりなのですよ!!」

彼女の慟哭に納得したのか、士郎は拳で掌を打つ。

「ああ、そういうことか。
でも、嫌悪すべきはメディアを操った女神と貴女を裏切った男だろう?
それに、貴女が魔術師を殺したのはそいつが下衆だったんだろう?」

「………」

自分をここまで信じている少年に、
メディアは良い意味で言葉を無くした。
そして、この少年と出会った奇跡に感謝した。

「今、改めて誓いましょう。
‘私メディアはこの身ある限り、衛宮士郎に従い、彼の者の杖と盾とならん’」

メディアを目を閉じると、
詠うように澄んだ声で契約の言葉を唱える。

「‘誓おう。我が命運は汝の杖に預けん。我が力の限り、汝を守り、敵を粉砕せん’」

対する士郎はメディアを見つめ、
色気の無い無骨な声で返答の言葉を朗々と読み上げる。

神聖な誓いが交わされると士郎とメディアの間に明確なラインが確立した。

「マスター、契約は成されました」

「マスターは止めてくれ。名前で呼んでくれ。
できれば、様付けしないで…」

本当に嫌そうに顔をしかめている。
今まで我慢していたのだろう。

だが、

「いいえ、お名前で呼ぶのは構いませんが、
それだけは絶対に譲れませんわ、士郎様」

どうやら些細な希望はにべも無く却下されたようだ。

思わず士郎は空を見上げる。

(今夜はいい月夜だ)

ちょっと現実逃避していた。

メディアの真っ直ぐな視線を感じると、現実逃避を終わらせ、
士郎は視線を夜空から彼女に向ける。

「メディア、聖杯戦争について知っている情報を全てを教えて欲しい」

歳相応の少年の顔から戦場に赴く兵士の顔になった士郎の顔を、
メディアは赤くなりながら見つめている。

(先ほどの優しい顔も良いけど、今の顔は男を感じさせてくるわ)

心の中でこんなことを思っていた。
士郎の心に触れた彼女は最早、士郎を疑うことをしない。

「ええ、召喚されているのは
バーサーカー、アーチャー、ランサー、ライダー、アサシン、そしてキャスターたる私です。
最強のカードであるセイバーはまだ召喚されておりませんが、近日中には召喚されることでしょう」

キャスターの言葉に士郎は考え込んでいる。

「それぞれのマスターは?」

「判っているのはバーサーカーのマスターはアイツベルンだということだけです。
あそこは全く隠していませんからね、余程の自信があるのでしょう」

「……そうか」

メディアの言葉に士郎は頷く。

「取り敢えずは聖杯戦争はまだ始まってないんだな?」

「ええ」

「 よし! じゃあ、今日はもう家に帰るか」

くるりとメディアに背を向け、士郎は来た道を引き返す。

「どうしたんだ? どこか怪我をしたのか?」

士郎の切り替えの早さに呆然としているメディアに
士郎は顔を向け彼女を促す。

「い、いいえ!大丈夫です!!」

ようやく気が付いたメディアを伴い石段まで戻ると、
メディアに振り向く。

「良し! ちょっと急ぐぞ」

「きゃあっ!」

メディアが返答する前に、
士郎は世に言うお姫様抱っこで彼女を抱え上げる。

「し、士郎様! 私は大丈夫です! 降ろして下さい!」

顔を赤くしたメディアの抗議に耳を貸さずに
士郎は石段を三段飛ばしで駆け下りる。

何故、急に士郎が急ぎだしたかというと、

(ヤバイ、桜を待たしてるの忘れてた)

からである。

桜は確かに普段は優しいが、
一旦怒り出すと手に負えない。

あの寒気と恐怖を感じさせる笑顔に何度、平謝りしたことか、
身体をブルブルと震わせながら思い出している。

麓に駐車している愛車である黒いHUMMERに駆け寄ると、
助手席にメディアを押し込み、運転席に乗り込んでエンジンをかける。
端から見ると誘拐犯そのものである。

「士郎様、免許は持っておられるのですか!?」

「メディア! シートベルトをして、口を閉じてろ! 舌を噛むぞ!」

メディアの疑問を見事に無視した士郎の言葉に、
メディアは慌ててシートベルトをして、口を閉じる。

HUMMERの巨体がタイヤを「ギャギャギャッ」と音と煙を立たせて、急発進する。
あまりの急発進にメディアの身体はシートに押し付けられる。

士郎は法定速度を遥かに超える速度で道路を走り抜け、
カーブと言うカーブを巨体を滑らせるようにドリフトでクリアしていった。

「〜〜〜〜〜っ!!!」

士郎の言葉を忠実に守っているメディアの閉じた口からはくぐもった悲鳴が響いていた。

「メディア!世界には国際免許ってのがあるんだよ!!」

メディアの疑問にようやく答えるが、
既にメディアは意識を失っていた。

「ははははははっーーーー!!!!!」

このあと暫らくの間、
冬木市では「悪魔のHUMMER」が噂された。

曰く、「慣性を無視している」
曰く、「空気抵抗を無視している」

と、さながら怪談のように…
(というか怪談そのもの)

士郎のステータスが更新されました。

騎乗A+

重度スピード狂<へヴィー・スピードジャンキー>


あとがき:

くろのです。

今日はメディア、士郎の杖たる彼女との契約について書かせていただきました。
これからもまだまだ彼の下には、集まって来ます。

士郎の愛車「HUMMER」は私の願望です。あのごつい車が欲しくて欲しくて……
この前にコンビニの駐車場に止めてあった「HUMMER」を携帯のカメラで撮りまくりました。しかも、全角度から…持ち主に無断で……

話は変わりますが、今日の十時からバイトがあります。つまり、バイト先で年越しなのです!
しかも、去年の大晦日の時もバイト先で年を越しました。
二年連続でバイトで年越しなのです(T _ T)
オーナーに頼まれると断りにくいです。「NO!」と言える人間になりたい…

皆様、良いお年を!


レス返し

草薙様>
士郎の銃は切嗣から受け継いだものではありません。
切嗣の銃は彼と共に墓の下です。

Dan様>
 士郎は銃を投影できなくはありませんが、余程のピンチにならない限り銃を投影することはありません。
精々、銃弾ぐらいです。それでも卑怯なのですが…
 しかも、今は訳があって碌に魔術を使うことができません。できるのが今回の魔力の受け渡しぐらいですね…
 「ショックガン」や「ゆびでっぽう」は士郎がアニメを見る暇が無かったために、「ドラえ○ん」は名前ぐらいしか知りませんw 

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