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「前夜祭 前編(NRUTO)」

Pr.K (2004-12-31 17:03)
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 地獄、今のこの光景を表現するならそれが相応しいに違いなかろう。

 げに恐ろしきは・・・・・・この光景を作り上げたのが、立った一匹の狐であるということだろうか。


 〜〜九尾の狐〜〜


 尾の一振りで風遁大突破以上の風――いや嵐を起こし、生み出したは燃え尽きることを知らない。

 息をするだけで常に全身のチャクラを活性化させられる『最強』の妖。

 こやつが何故この里に舞い降りたかなどワシには分からない。

 ただ、ワシには守る者があり、九尾はその侵略者である・・・・・・ならば、こうなることも必然だったのかもしれぬ。


 「ワシはそう思うよ。四代目」
 「やだなぁ先代。それじゃあ遺言じゃないですか」

 そう言っておどけるこの男の考えは、もはや極限状態のこの身をもってしても知れなかった。


――――NARUTO前夜――――


 「そうだ。これは遺言だ・・・・・・良いな?」
 「駄目です」

 そう言って真面目腐った顔をする。
 とっさに入り口に立つあたり確りとしている。どうやらワシをこの部屋――医務室から出す気はないらしい。

 迂闊だった。偶々倒れていた者を守るためとはいえ、防壁も張らずに九尾に突進してしまうとは・・・・・・どんなことでも1人で背負い込もうとする、この悪い癖はどうもワシにかけられた呪いの様なものらしい。
 その結果尾の直撃を喰らい全身骨折、生きているのがギリギリといったところだ。
 医者に言わせれば、安静にしてリハビリに勤めればまだまだ元気に生きられるそうだが。

 「ワシは、そこまで生きることに執着を抱くような年ではない」
 「あれだけ元気にさっきまで前線で動いてた人が言うセリフじゃありません!」
 「四代目よ、おぬしも強情じゃな」
 「それはあたり前です! アンタが企むことぐらいお見通しですよ、このエセ老人が!」


 「――屍鬼封印なんて、何考えてるんですか!? あれは僕が作った中でも最悪の術ですよ!!」

 もはや最後は絶叫だった、この部屋の防音設備が整っていなかったら、外に控えさせている連中がこぞってワシに金縛りをかけに来ていただろう。

 「・・・・・・老兵は去り逝くのみじゃよ」
 「死神に魂を奪われるのは、去るなんて言いません!!」

 屍鬼封印、自らの命を代償とし目標物の魂を奪う禁術。
 そう、奪われるのは、ワシの魂だけなのだ。


 「老人1人を人柱にすればこれ以上の犠牲は免れる・・・・・・それが最良だと何故分からん!」
 「分かってるから分からない! もう皆が傷つくのは嫌です。でもあなたが死んでも嫌なんです!」

 ――泣いている。

 「シメナワよ、お主は火影であろう! 火影とはこの里を健やかに治め時代を築いていくという義務があるのだぞ!」
 「それ言うならアンタも火影だっただろうが!」

 ――この男が、『黄色い閃光』と呼ばれ畏怖された男が

 「いい加減にしろよ! 死ぬとか人柱になるとか・・・・・・木の葉は、そんな柱で支えていいような里じゃないだろう!!!」

 ――泣いている。


         ◆


 「・・・・・・すいません。取り乱してしまって」
 「別にかまわんさ。この部屋にはワシら2人だけしかおらんしのう」

 まだ眼は赤いが、涙はもう止まっている。

 「確かに、ワシは早まっていたかもしれん。だが、この判断は間違いではない・・・・・・良いな? ワシとて孫の顔は見たいし、女風呂も覗き足らん。遣り残したことは数知れぬ。じゃが、おぬしはどうじゃな?」
 「僕は・・・・・・もう少しで息子が生まれます」

 そういえばそうだった。結婚してこんなに早く跡取りを残すとは思わなかったが、こやつには息子が出来るのだった。
 振って沸いたような戦火の中で生まれた子、出陣前にも名前を考えていたはずだ。

 「それだけではない。ワシほどの歳まで長生きしてもまだ生きたりないのだ。では若い者はどうなる? この戦で数多くの無念と共に散った者は、さぞかし、悔しかったであろう」
 「・・・・・・」

 「そんな者をこれ以上増やすのは我慢ならん。だから、ワシは決意したのじゃ! 木の葉を照らす炎になると!!・・・・・・分かってくれ」

 ツーっと、唇から血が流れている。痛々しいほどに、震えるその身からは悲しみが洩れて征く。
 こやつがなんと言おうと、ワシは逝く気だ。これ以上生きていても苦労をかけてしまうから。

 ワシは知っておった。こやつが、4代目が長老達に疎まれていることを。

 外国生まれの名もなき娼婦、それが母親だ。
 母から受け継いだその容姿は里でも目立っていたし、金髪の少年の名はワシの耳にも届いておった。
 しかし、こやつは、ありとあらゆる難題を――里からの差別すら跳ね除けてしまった。
 天才と呼ばれる人種だったのだ。下忍の頃から周りとは一線を越え、卒業する頃には中忍への内定も決まるほどの天才。
 故に疎まれた。暗部からの誘いもそ知らぬ顔で断り、他人と距離を置き続けるこの男は、ある意味で脅威に映ったのだ。
 戦争が始まれば激戦区に送られ、それでも何事もなかったかのように帰還する、ジライヤたち3忍とすら互角に戦えるその戦闘力。
 挙句の果てには、何を気に入ったのかジライヤが蝦蟇一族との契約をさせた。

 じゃがこんな男にも恋人が出来た。里でも人気者の美人さん――に見せかけたワシ直属の暗部。
 「寿退職」すると聞いた時は驚かされたが、その相手がコイツと知った時はもっと驚かされて、


 こやつのこのお気楽っぷりを知った時はついつい放心してしまった。


 結婚式でガマ文太を呼び出して、猪鹿蝶ともども大騒ぎしていた。嬉しそうだった。
 いつの間に知り合ったのかも聞きたかったが、まあ、別にいいじゃろう・・・・・・ノリで螺旋丸を打つのはやめて欲しかったが。

 そしてワシが後継者にこやつを選んだときの周囲の反対いったら――同い年ぐらいの古い連中だけじゃったがの。
 保守的な連中の多さ。これが一番の悩みだった。
 その態度が別に悪いとは言わない。守りに入るその姿勢は忘れてはいけないからだ。
 問題は、その連中が占める権力の割合が大きかったことじゃろうか?
 その時期暗部が数名『行方不明』になったことからも、その極端さは明らかだった。
 このままではこの里は駄目になる。そのことを危惧した采配じゃったが、反対意見は今でも多い。
 ワシという存在を盾にしてかなりの無理難題を言っていたらしい。
 無論ワシも睨みを効かせた、しかしものの見事に役に立たない。

 じゃから、きっとわしが消えるべきなのじゃ・・・・・・


 そのはずなのに、


 ドアを破って数名の忍びが部屋に入ってくる。

 「何用だ! 人除けをしている最中だぞ!!!」

 「申し訳ありません! ですが、ですが・・・


 ・・・木の葉病院が九尾の余波を!!!!」


 この事件さえなければ、消えるのは、ワシじゃったであろう。


後書き

短期で一気にけりをつけ・・・てみせる。

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