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「横島大戦 第四話(GS+S大戦)」

とくなぎのぞむ (2004-12-25 02:44/2004-12-25 13:28)
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『気付きおったか?』

『いえ、まだのようですね』

某所。
無駄に神々しさ、そして禍々しさあふれるその場所で、額に茨の冠をかぶった自己犠牲の精神を説いた中年と、背から六対十二枚の羽を生やしたエセ関西人が、向き合っていた。

『っていうか、あれで気付け、というのが少し無理があるのでは?』

『そうでもないやろ。少し考えれば分かるとおもうんやけどなあ・・・』

『っていうよりむしろ今は勝手に私の名前を使って勅令を出したことを追求したいのですが?』

『ま、人生いろいろやで、キーやん?』

『・・・・・・・・・・・・一応、既に私の“人生”は終わっているのですがね? サっちゃん』

『・・・・・・・・・・・・ナイス突っ込みやで、キーやん』

なんてさわやかに言うサっちゃんに、キーやんは深くため息をついて口を開いた。

『まあ、貴方のその性格は今に始まったことではありませんしね・・・。・・・取り敢えずハヌマンが少々小ざかしい真似をしているようですが』

『ハヌマンはあの場から動けん代わりに、妙神山の権限全て持っているっていっても過言ではあらへん。ま、それはまだ予想範囲内なんやけど・・・』

『問題は人間界、ですね』

『あの小僧は下手に力あるGSとの交友が強いからな。・・・それに、やめ方もやめ方やし』

『気持ちは分かりますが、ね。そちらのほうはもう既に手を回してありますが、一応、“候補”ではあるのでしょう?』

『もちろんや。・・・というより、もうワイらは見守ることぐらいしかできひんからな・・・。これからどうなるかは、もう誰にもわからへん。分かるとすれば、・・・<意思>くらいや』

『だったらあんな意味の無く意地悪な勅令出さなくてもいいでしょうに・・・』

キーやんのその言葉に、サっちゃんはニヤリと笑って答えた。

『当たり前や。ワイは悪魔やで?』


横島大戦
第四話   『初舞台 椿姫の夕』


「はふう〜〜」
春の日の優しい柔らかな陽射しの中、艶のある長い黒髪をポニーテールにした少女、真宮寺さくらは、なんか疲れたようなため息をつきながら中庭に備え付けてあるベンチに座り込んだ。
「何でこんなことしてるんだろう・・・?」
ポツリと呟く。
さくらは、自分がこうなったときのことを、思い浮かべていった――


「カンナが抜けた代役を、さくらにつとめてもらう」
「へっ!?」
いきなりの米田の発言に、素っ頓狂な声を上げるさくら。
しかし、その発言に驚いたのはさくらだけではなかった。
「ふ、ふざけないでくださいまし!!」
バン! とテーブルをたたく音とともに、和服を微妙な形で着た美(少)女――神崎すみれが立ち上がる。
「俺はふざけてなんかいねえが?」
「ふざけているではありませんか!! こんなド田舎から来たようなド素人を、いきなり舞台に出すなどと・・・! アイリスでさえ厳しいレッスンを受け、ここにいるというのに・・・! わたくしは認めませんわよ!」
ギン! と、ものすごい剣幕で怒鳴りたてるすみれに、米田は耳を小指でほじくりながら応える。
「ああ? 仕方ねえだろうが? どこかの誰かさんのおかげで、カンナが抜けちまったからな。舞台がまわらねぇんだ。もう前売りも発売しちまったからな、いまさら中止、なんてことは出来ねえだろうが」
「・・・・うぅ・・・」
それを言われてしまっては、すみれに言い返す言葉は無かった。
なぜなら、カンナの抜け出しを手伝ったのは、他ならぬすみれなのだ。
たじろぐすみれを見た米田はここぞとばかりに手をパンパンと打つ。
「よぉし! 他に異論はねぇな? なら横島、さくら、ついて来い。おめえらが使う部屋にあんないするからよ」
「は、はい!」
「うす」
それぞれの返事をし、ふらふらと歩く米田についていく、横島とさくら。

そんな横島の背中に、和服の美女――すみれは複雑な視線を送いた・・・
驚きと嬉しさ、そして困惑が混じったような、そんな視線を――


と、まあこんなことがあって、さくらは晴れて舞台に立つことになったのだ。
とはいえ、いきなり舞台に出るなんてことは無く、やはりとても厳しいレッスンを受ける必要があった。
言っておくと、さくらは別に運動神経が悪い、なんてことはない。
幼年期のころは大木に登ったり、山の中を駆けずり回ったりしていたし、現に今は北辰一刀流免許皆伝である。
ただ、すこしドジなだけ、只それだけ。
しかし、今回ばかりは時が悪かった。
帝國歌劇団四月公演、『椿姫の夕』の初公演は二週間後。
歌劇なんて産まれてこのかた一度もやったことの無いものを、たった二週間で売り物にしろ、などと無茶もいいとこなのである。
しかし悲しきかなさくらは生真面目すぎた。
常識的に考えても不可能なものを、本気でやろうとしているのだ。
「ふう」
もう一度ため息をつく。
ふと帝劇の中にある時計を見てみると、もうそろそろ休憩時間が終わりそうな時間であった。
さくらはスッと立ち上がり、
(私よりもまだ小さいアイリスだってあんなにがんばってるんだから、私もがんばらなくっちゃ!)
「よしっ!」
と、両の頬をたたいて気合を入れる。
と。
「あれ?」
ふと、視界の隅にあるものが映った。
「・・・横島さん?」


「ふっふっふ・・・」
中庭でさくらに見つかっているのも知らずに、何故か泥棒ルックの横島は、怪しげな笑みを浮かべながら壁伝いに移動していた。
「俺が此処に来て早三日・・・いっつもマリアさんに邪魔されて何も出来なかった苦汁の日々!! しか〜し!! 今日俺はついに行動するのだ!!」
演説っぽく拳を振り上げる。
「仕事の合間を見つけては命がけのストー・・・もとい、綿密なリサーチを決行!! そしてついに、俺はマリアさんがいつもこの時間にシャワーを浴びることを発見したのだ!!」
『・・・そんな事をやっていたのか・・・』
心眼の呆れを通り越して感嘆の混じった突っ込みを軽く無視しながら、横島は背に火山(!?)を浮かべ、もう回りを気にせずに叫ぶ。
「もうこうなったら、俺は、ヤル!! たとえこの小説が18禁になっても、作者が18歳未満でも俺はやってやるぞコンチキショーー!!!」
もう暴走寸前で怪しげなことを口走る横島。
はたから見ていて相当ヤバイ。
そんな彼に、声をかける少女がいるのだから、この世は不思議でいっぱいだ。
「・・・あの〜・・・横島さん?」
「はうわっ!!!???」
びくぅっ、と、極端なリアクションで驚く横島。
それにより、少々異世界にダイブしていた思考も、正常に戻る。
「さ、さくらちゃん・・・」
「どうしたんですか横島さん? なんか急に叫びだして・・・」
さくらのその言葉で、またもビクッと身を縮ませる横島。
横島の計画がばれること=死につながっているのだから、当然といえば当然だろう。
しかし、さくらは横島を責めている様子は全くと言っていいほど無かった。
強いて言うなら、心配しているような、そんな感じだ。
此処で一つ確認しておこう。
現在、横島がいる時代は太正。
横島が今まで生きてきた時代は昭和〜平成。
つまり、先程横島が口走った言葉のほとんどは、太正時代には存在せず、さくらには何の意味かも分からなかったのだ。
まさに不幸中の幸い、というやつであろう。
「大丈夫ですか? どこか悪いとか」

――――強いて言うなら精神が。

なんて心眼が言いかけるが、そこは全力で阻止して。
純粋無垢な瞳で、心配してますオーラをかもし出しながら聞いてくるさくらに、横島は内心冷や汗をかきながら、話を逸らそうと試みる。
「い、いや・・・なんでもないんだよ。そ、それはそうと、どうだい? 舞台のほうは」
「あ、はい、何とかがんばってます」
途端、にっこりと顔をほころばせるさくら。
「私なんてまだまだなんですけど」と付け足す。
「・・・・・・」
どう見たって、満面の笑みを作るさくら。
そんなさくらの表情に、対して横島の表情は曇る。
横島には分かったのだ。
彼女が、少々無理を隠していることに。
「・・・兎に角無理しないで。ホントにしんどいときは、周りに頼ってもいいんだからさ」
「わぷ」
横島は少し逡巡した後、さくらの頭に手をぽんとおいて、易しく言う。
それはあたかもがんばりやで無理ばっかりする妹を諭すような物言いで。
そんな横島の突然の行動に、当然さくらは戸惑う。
しかし、不思議と、嫌な感じはしなかった。
むしろ、心地いい・・・
そんな感じ。
対して横島にとって、この時間は拷問そのものであった。
何せ、まさに美少女といっても過言ではない少女が、無防備に(←ここ、重要)自分に身を任せているのだ。
此処で行動を起こさねば、“漢”がすたる!(熱弁)
(やる! こうなったら俺はやる!!(悪魔横島) 
ああ、でもさくらちゃんは俺を信じて身を任せているのに・・・(天使横島) 
何を言ってやがる! 身を任せるってことは、イイってことだろーが!?(悪魔横島) 
けどそんなことをすれば、もういろいろといろんな場所から抗議が・・・(天使横島) 
てめえ! さっき自分で言ってたことを忘れたのか!? (悪魔横島) 
うっ!! し、しかし――(天使横島)
据え膳食わねばなんとやら。てめえ、男だろ!? だったらバシット決断しやがれ!(悪魔横島)
うう・・・(天使横島))
なんて葛藤を心の中で繰り広げながら、ゆっくりと、しかし着実にもう片方の腕は、さくらの肩にまわろうとして――

しかし、そう簡単にいくほど、世の中は甘くは無くて――

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何やっているの? 横島くん?」
「はうわっっ!!??」
絶対零度の声とともに、

ゴリッと

背に押し付けられる拳銃『エンフィールド改』。
「ま、まりあサン・・・」
背に冷たい感触を感じながら、ゆっくりと両の手を上げる横島。
因みに心眼は既に知らぬ存ぜぬを通していたりする。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハハハ、コンニチハまりあサン」
「こんにちは横島くん。・・・いま、さくらに何かしようと?」
「ハハハ、イヤダナア、ソンナコト、スルワケナイジャナイデスカ・・・。デハ、俺ハ仕事ガ残ッテイルノデコレニテ」
「あ、いけない! もうこんな時間!」
シュタッと、何故か爽やかに手を上げて、逃げるように去っていく横島。
さくらもはたと時計に目が留まり、急いで舞台へと走っていく。

そして・・・

そんな横島を見、マリアは深く眉を曇らせていた・・・


そして、あっという間に二週間は過ぎて――


「・・・ふあ」
小さく欠伸をしながら、人気の無い廊下を歩いていくさくら。
明日はいよいよ公演日だ。
明日のためにも、早く眠らなければいけない。
いけないのだが、さすがに初舞台。
緊張しすぎて、眠れなかったのだ。
「あれ・・?」
夜景を見ようと、テラスまで出てきたのだが、どうやら先客がいたようで。
「・・・すみれさん・・・?」
「・・・さくらさん?」
それは、優雅に紅茶の入ったカップを傾けるすみれで。
「・・・えと・・・」
いつもの厳しいすみれを見ているせいか、どうも二の足が踏み出せないさくらに、すみれのお声がかかる。
「・・・なにやっていますの? 早くこちらにいらっしゃいな」
「・・・へ? あ、はい!」
促され、テーブルにつくさくら。
そして、おずおずと切り出す。
「えと・・・こんな夜遅くに何やっているんですか?」
「・・・・・・」
そのさくらの質問に、すみれは無言でさくらを見つめ、ポットの横に置いてあったカップをもう一つ取る。
そして、その中に八割ほど紅茶を入れ、さくらの前に出した。
「へ?」
「お飲みなさいな」
すみれの突然の行動に、唖然とするさくらに、そう簡潔に告げるすみれ。
そんなすみれに、さくらなちらちらとすみれを見ながら、紅茶に口をつける。
・・・と。
「・・・おいしい」
途端、ポッと驚き半分嬉しさ半分といった感じの表情になった。
その表情を見、すみれは満足したようで、また紅茶を一口飲む。
「当然ですわ。このハーブティーはわたくしが厳選した物。おいしくないはずがありませんわ」
また沈黙が降りる。
大して重くるしい、というわけではないのだが、どうも空気が嫌な感じである。
その沈黙を破ったのは、ほかならぬ、すみれであった。
「・・・わたくしは、公演日前には、こうやって、ハーブティーを飲むことに決めておりますの」
そういって、また優雅に一口飲んで。
「このニ週間、貴女はがんばってきましたわ。もちろん、わたくし達に比べるとまだまだですが、その二週間のがんばりだけは、貴女を裏切らないはず。・・・明日は、精一杯がんばりましょう?」
微笑む。
そのすみれの表情と言葉に、さくらは、
「はい!」
満面の笑顔で答えたのだった。


翌日、その日の舞台では、さすがに緊張し、細かな失敗をいろいろとしていた物の、アイリスやマリア、そしてすみれらのフォローによりいっぱしの女優として舞台にいた、さくらが、そこにいた。
そのときのさくらの表情は、とても、輝いている表情だったという。


因みに。
着替え中の楽屋を覗こうとした罰で、注連縄でぐるぐる巻きにされ、破魔の札を体中に貼られた横島がいたそうな。
めでたしめでたし。

「めでたくねえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」


続いていいですか?

次回予告
何とかさくらちゃんの初舞台も終わって。
帝劇内の空気も、ずいぶんと緩やかになったけど、俺が大変なのは此処からだそうだ。
伝票整理に足りなくなった道具やら設備の点検やら・・・ああ、俺がもう一人欲しい。
その大変な仕事の一つに、買出しという物があった。
ここで転べば漢ではない!
というわけで(どういうわけだ!?)買出しに出かける俺とかすみさん。
デートと浮き足立つ俺が、そこで見たものとは――!?

次回、横島大戦第伍話 『降魔と人魔』

太正櫻に浪漫の嵐!!


あとがきです
ども、連続徹夜記録を更新中のとくなぎのぞむです。
一応、サクラ大戦の世界が舞台なのでこちらに投稿してみました。
それにしても・・・
いや〜、やっとあの地獄から抜け出せました。
これでやっと眠れそうです。
ということで寝ます。
おやすみなさい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐう。


お詫び。
前回の投稿の際、次回予告が間違っておりました。
それにあわせて、修正しておきましたので、できれば見てやってください。


今日の叫び。
この時期になってまで原稿落とさないでください。
フォローするこっちのみにもなってください。マジで(涙)


はい、妙な叫びでものすごい勘違いをなさった方がいらっしゃるようですが、私は高校生です。
ここでの原稿は同人誌です。
私が所属しているサークルの大馬鹿がこの時期になって原稿落とすとかほざきやがったので、ここしばらく、本来漫画を書かない私までアシに駆りだされる始末で・・・
そのおかげで、ここ数日まともに寝てません。
私のややっこしい物言いで、混乱させてしまったようで・・・申し訳ございませんでした。

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