インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始▼レス末

「ヨコシマな物語 第壱話(GS+オリジナル)」

如月由闇 (2008-05-06 12:20)
BACK<

 「腹減った〜。」

とある東京の町、今日は休日のため学生達でにぎわっている。そんな中、1人のバンダナをした青年が歩いていた。頭の上に一匹の黒猫を乗せている意外は、極普通の男である。 自分で言っているように彼は空腹であった。と言うのも、彼は朝食を食べていないからである。それには事情があった。
彼の両親が仕事の都合でナルニアに住んでいる為、一人暮らしをしているのである。もちろん生活費は送ってもらっているが、その金額が少ない為借りているアパートの家賃でほとんど消えてしまうのである。
そんな彼の名前は横島忠夫。前の話から約2年。中学2年生から高校1年生へと成長していた。
この日から、彼の物語は加速する。


  ヨコシマな物語 第一話


「くっそ〜、あのクソババァ。食費ぐらい送ってくれてもええやないか。
 …はぁ。すまんなぁ、アオ、お前にまでひもじい思いをさせて。」
「にゃ〜。」
気にするな、とでも言うようにアオは返事をした。実際、彼女の場合ねずみを狩ったりして自分の食料は確保できるので心配無いだろう。
「いい加減バイトでもしないとまじでヤバいぞ。…よしっ、そうと決まったら早速可愛い 子のいるバイト先を探さねば。」
そう言って横島は駆け出そうとして…止まった。
「待てよ…。」
彼は何か思い付いた様子でにやりとすると、電車であるところへと向かった。…金額的に帰りは歩きになりそうだ。


「それで、私の所で働きたいということですか。」
「何でもやるんで、よろしくお願いしまっす。」
そう言われると、村上霊能事務所の社長、村上志保は観察するかのように横島へと目を向けた。
志保とはアオのことがあってからも相談のためたびたび会っていた。アオの保証人でもある為、横島にとっては少なからず恩のある人と言える。
ちなみに、横島が此処に来たのは、志保が知り合いであるというのもあるが、美人であるからと言う理由が大きい。美人がいるかどうか分からない所を探すより、1人とはいえ確実に美人がいる所を選んだのである。
「…結果だけを言えば、残念ながらダメです。」
しばらく考え事をした後、志保はそう言った。
「ダメっすか?」
「ええ。普通のGSなら荷物持ちなり何なり手伝ってもらうことがあるでしょうが、私の 場合少し特別なのです。」
その言葉のとうり、彼女は普通のGSではなかった。たしかに、普通の除霊もやらないことはない。しかし、彼女の専門は医学では治せない霊的障害を治すことである。
近年、霊などによる事故が増えてきており普通の医者では何もできないということが時々ある。そういう時のために彼女のようなオカルト的知識だけでなく、医学的な知識も持つものが必要なのである。ちなみに、志保はCS免許だけでなく、医師免許も持っている。
その為、彼女の仕事には横島のようにどちらの知識も持っていないものは邪魔にしかならないのである。そういったことを横島へと説明した。
「そうなんすか。それじゃ無理っすね。」
そう言って横島は残念そうな顔をした。
「ですが、」
「はいっ?」
「一ケ所、丁度いいバイト先を紹介しましょう。」
そう言って彼女はにやりと笑った。


村上霊能事務所から車で約30分。多くの武家屋敷が並ぶ中、そのうちの一つの前で志保は車を止めた。
「ここです。」
そう言って降りると2人は門の前へ向かう。
「でかい家っすねぇ。誰の家なんすか。」
「私の友人です。」
門の横にあるインターホンを押してそう答えた。
しばらくすると、
 ガチャ キィ−
「どうもお久しぶりです、志保さん。どうぞ中へ。」
桜色の髪をした女性がそこにいた。
その女性を見た瞬間、すぐに横島は動いた。
「お嬢さん。髪の色が素敵ですね。僕と一緒にどこk「横島さん。」…いえ、何でもない です。」
「えぇ〜っと、どちらさまでしょうか。」
困ったように首をかしげた。


「では、貴方がアルバイトとして雇ってほしいと言う横島様でしたか。」
「そうです。あと様とか付けなくていいっすよ。」
「なら、横島さんと呼ばせていただきます。」
横島は今、女性の案内のもと長い廊下を歩いている。ちなみに自己紹介はもう終わっており、彼女は桜花と名乗った。
それにしても、桜色の髪の女性、猫を頭に乗せた青年、白衣を着た女性と、なかなか奇抜な組み合わせである。


「こちらです。」
そう言うと桜花は一つの部屋の前で止まった。
「入りますよ、椿。」
志保が襖を開け中に入るのを見て横島もそれに続く。
「やっほ〜。志保、久しぶり。」
そこには、1人の女性がいた。
髪は長く、ポニーテールにしている。和服を着ているが、それをだらしなく着崩している。美人と言うよりは可愛いと言う言葉が当て嵌まる人だ。
そんな女性に反応しないわけがない横島だが、志保に睨まれすごすごと引き下がった。
「相変わらずだらしのない格好ですね。」
「別にいいジャン。誰が困る訳でもないし。」
志保の言葉など気にもしないという感じで、椿と呼ばれた女性は答えた。
「で、後ろのがココでバイトしたいっていう子?」
「そうです。この間来た時、やっぱり桜花1人では手が足りない、などと言ってましたか らね。丁度いいでしょう。」
どうやら広い家のわりに使用人と言える人は桜花だけのようだ。そう言えば人の気配があまり無かったな、などと横島が考えていると視線を感じた。椿と呼ばれた女性がじろじろと見つめていたようだ。
「えと、横島忠夫って言います。とにかく、何でもやるんでよろしくお願いします。」
「へぇ。…猫又を飼ってるなんて変わってるね。」
次はアオの方に目を向ける。
「えっと、そうですか。」
「…ん、志保の紹介なら信用できるし、雇ってあげよう。」
「まじっすか。有り難うございます。」
「どう致しまして。私の名前は四方院椿って言うの。よろしくね。」
そいう言って椿はニコリと笑顔をうかべた。
その笑顔に横島が思わず赤面する。それに気付かないまま、椿は話を続ける。
「とりあえず、平日は学校が終わってから、後、土曜日にも来てもらおうかな。時給はだ いたい900円ぐらい。それでいい?」
「あっ、はい。それでいいです」
横島が赤面した顔を誤魔化すように思いっきりうなずいた。アオはいつの間にか横島の横に移動していて頭から落ちることを免れた。そうしていると、志保が横から話し掛けてきた。
「話が決まったようなら私達は一旦帰りましょう。あぁ、帰りに本を借りて行くのでその つもりで。」
「りょ〜かい。」
「本?」
横島が疑問の声をあげると志保が説明した。
「この屋敷には興味深い本が沢山ありますから。来た時にはよく借りて行くんです。」
「へぇ〜。」
「御案内しましましょうか?」
「いえ、もう何度も行ってますから場所は憶えています。それより、横島君を玄関までつ れていっといてください。」
「…わかりました。」
そう言われると桜花はさっさと引き下がった。
「そういう訳で横島さん、悪いんですが車の所で少しの間待っていてください。できるだ
 け早く終わらせますから。」
「わかりました。」
話が終わり、椿以外の三人が立ち上がった。
「それじゃ、2人ともバイバ〜イ。桜花、見送りお願いね。」
「わかりました。」


今、横島は桜花と2人だけで長い廊下を歩いている。正確には2人と1匹なわけだが。
部屋から出た後、
「では、桜花さん。横島君をお願いします。あと、横島さんは桜花さんに手を出さないよ うに。」
「出しませんよ。」
「もし何かしたら、分かってますね?」
尋常では無い気配に横島はガクガクとうなずく。その度にアオが落ちそうになり慌てていた。桜花は状況がよく分かっていないようだ。
そういうやり取りの後、今に至る。
「………。」
「………。」
無言のまま廊下を歩いて行く。横島からすれば桜花のような美人となら幾らでも話をしたいのだが、志保のことがよっぽど怖かったのか話し掛ける様子は無い。桜花にも横島に話し掛ける様子は無いようだ。
「………。」
「…あの。」
横島はこの沈黙に耐え切れなくなったのか桜花に声をかける。
「何でしょうか。」
「えっと…。」
思わず声をかけたが、話題を何も考えて無かったようだ。
「…、この屋敷に椿さんと2人で住んでるんですよね。」
「ええ、そうですが。」
「この屋敷に2人だけって、寂しくないっすか?」
「いえ。特にそのようなことはありません。」
そう答える桜花。どうも感情の起伏があまりない人のようだ。
「そうっすか。」
「………。」
「…桜花さんも何か俺に大して質問はないっすか。」
「質問、ですか。」
「ええ、住所から好みのタイプまで何でも答えますよ。」
「…では、その猫、アオさん…でしたか。」
「?アオがどうかしたんすか。」
横島はきょとんとした顔になる。
「恐ろしいと思ったことはないのですか。」
「はいっ?」
最初何が言いたいのか分からなかった横島だが、少しして妖怪なのに恐ろしくないのか、ということが言いたいのだと理解した。
「別にないっすよ。」
実際、横島がアオのことを恐ろしいなどと思ったことは一度もない。それはアオが今まで妖怪らしいことを何もしなかったからという理由がある。なので妖怪であるということを意識したことはあまりなかった。尻尾が割けているのを見て、そういえば妖怪だったなぁ、などと思う程度である。
「何年も一緒にいるんで、もう家族みたいなもんっすよ。」
「そう…ですか。」
そう言った桜花の顔は、横島には笑っているように見えた。


帰りの車内にて。
「お待たせしてスイマセン。選ぶのにずいぶんと時間が掛かってしまって。」
「それでも一時間は掛かり過ぎでしょ。」
ちなみに後部座席には20冊以上の本が積んである。
「そういえば、今日はバイト先を紹介してくれて有り難うございました。」
「別にかまいませんよ。たまたま心当たりがあったというだけですから。」
横島としては、あんな美人が2人もいるところで働けるというだけで大満足だった。来週からのバイトが楽しみやなぁ、などとあやしい笑いをうかべていると、志保が話し掛けてきた。
「一応忠告しておきますが、」
「なんすか。」
変な妄想を止めて顔を向ける。
「椿は見た目程可愛い性格をしてないですよ。」
「へっ?」
思わず動きが止まる。
「かなりのめんどくさがりですし、それに…。」
「それに?」
「…まぁ、すでに決まったことですし、言わない方がいいでしょう。」
「言ってくださいよっ。というよりなんすか、その憐れんだ目は−!」
バイト先にちょっぴり不安を覚える横島だった。


あとがき
GWということで、2日連続更新の如月由闇です。もしかしたら明日にも更新できるかも知れません。
さて、ヨコシマな物語、2話目にしてオリキャラが3人と1匹と言う状況で、最終的にいったい何人になるのか不安になってきました。さらに美神とは違う所で働くことに。横島がフラグを立てたり立てられたりしてますが、最終的に誰とくっつくかは未定です。椿と桜花については今後重要なはたらきをする予定です。
横島が高校1年生ということで、原作の1年前です。だいたい10話までに原作の流れに入る予定ですが、どうなるかは分かりません。
アオの性格はまだ秘密です。性別についてはさすがにオトコノコということはないです。期待を裏切ってスイマセン。
ちなみに志保の能力はDOMさんの予想どうり霊波メスです。いきなり能力を当てられてしまい少し焦りぎみです。
とりあえず質問(?)にはできる限り答えていくつもりです。
私の作品に感想を書いてくださったメルマック星人さん、アベさんさん、DOMさん、そして今回も読んでくださった読者の方々、ありがとうございました。

BACK<

△記事頭

▲記事頭


名 前
メール
レ ス
※3KBまで
感想を記入される際には、この注意事項をよく読んでから記入して下さい
疑似タグが使えます、詳しくはこちらの一覧へ
画像投稿する(チェックを入れて送信を押すと画像投稿用のフォーム付きで記事が呼び出されます、投稿にはなりませんので注意)
文字色が選べます   パスワード必須!
     
  cookieを許可(名前、メール、パスワード:30日有効)

記事機能メニュー

記事の修正・削除および続編の投稿ができます
対象記事番号(記事番号0で親記事対象になります、続編投稿の場合不要)
 パスワード
    

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze