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「ゆうしゃとまおう  プロローグ(GS)」

らいとにんぐ (2008-02-06 21:45/2008-02-06 22:10)
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「…………」

 今の夢は何だろうか。
 とてもリアルな、まるで実体験したかのような夢。いや、夢で済ませることなどできはしないだろう。
 そう、これは“本当”だ。俺が体験してきた未来の“本当”なのだ。
 横島忠夫は、幼いながらにそれを確信した。


 背中が汗でビッショリと濡れていた。


「うーん……」

 昼ご飯を食べて外に出る。母親からは元気がないので心配されたが、身体に問題はないので適当に誤魔化す。
 今日は日曜日なので、普段ならば親友の銀ちゃんと遊ぶのだが、生憎とそんな気分にはなれなかった。

 彼は朝からずっと悩んでいた。
 夢で見た未来の現実を思い浮かべる。今もまだ鮮明に思い出せる。
 ソレは、幼い少年にとっては恐怖だった。
 未熟な力。考え知らずな行い。弱い意志。なにより、まだ10才でしかない少年には理解しがたい煩悩。
 そして――“魔王”

 圧倒的な力を持つ存在に八つ裂きにされる自分。
 何故魔王と戦っていたのか。何故こんな事になったのだろうか。一人で戦っていたのだろうか。仲間はいたのだろうか。
 何故、何故、何故……

 分からない事ばかり。だが、これはゲームではない。
 勇者が魔王を倒して平和になる。そんな簡単なモノではないのだ。リセットなど出来ないし、ヘタをすると死に繋がる。
 もちろん、そんなことが子供に理解できる訳もなかった。しかし、子供だからこそ理屈ではなく本能とも言える感覚で感じとっていた。

 強くなろう。

 魔王という存在は恐怖だった。恐いモノ知らずの子供が考えだした、単純な答えだ。
 純粋だからこそ、逃げるという選択肢を思いつかなかった。

 最近流行っているマンガに、強くなる為に必要な3要素というのがのっていた。
 力、知恵、精神。
 精神というのがまだよく分からなかったが、後の二つは分かる。

「うっし、やるか……!」

 横島忠夫は、“恐怖”を倒すために力を求めた。


 これが横島忠夫の原点。始まりだった。

 横島忠夫は、勇気でも正義感でもなく、純粋な“恐怖”という感情から始まった。


______________________

プロローグなので短いですが……すいません。

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