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「学校で逢いましょう! 6話(GS+学園物)」

純米酒 (2007-12-16 01:26/2007-12-17 20:44)
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 朝起きてパンを咥えて器用に口だけで食べ進めながら、よれよれの制服に袖を通す。

 今日も慌ただしい学校生活が始まる――という所まで思考は回ることはなく、留年したあかつきには母親が遠いナルニアの地から般若の面を片手に飛んで来る……とリアルに想像してしまい、出席だけはしっかりしておこうと誓いを立てる横島。

 その股間の辺りにはなにやら紫色の髪の毛の人物が息を荒げて、ズボンの留め金をカチャカチャと弄っていた。

「朝っぱらから何しとんじゃメドーサ!」

「何って……朝ごはん?」

「何が『朝ごはん?』だ! イカ臭いまま学校になんか行けるかっ!」

「大丈夫大丈夫♪ ちゃんと全部飲んであげるから。好きだろう、こういの」

「っ…………」

「じゃ、いただきまーす♪」

 一瞬の隙を突かれた横島になすすべはなかった。


  学校で逢いましょう! 第6話

 〜始まる学校生活〜


 美味しいミルクとソーセージを朝食にしたというのは、メドーサの言。
 心なしか肌もつやつやとしている様子に、横島と彼と腕を組んでいるメドーサの一歩後ろを歩く小鳩は「ソーセージと牛乳ってお肌にいいのかしら?」と純真な勘違いをしていた。


 校門周辺で神無、朧姉妹と合流。

「おはよう」
「おっはよー♪」
「うっす」
「おはようさん」
「おはようございます」

 挨拶を交わすと昇降口まで五人で校庭を進む。
 その際に、神無が横島の服装の乱れや寝癖などをかいがいしく直してやっていたり。
 この世の全ての嫉妬の視線を一身に受けかねない横島だったが
『この程度の嫉妬を受け流せなくて、何が幸せだ! この俺を嫉みたければあと3倍……いや1.25倍は持って来い!!』
 と、半ばヤケクソ気味に状況を堪能し、満喫している。


「ところで神無、結局鬼ごっこの決着はどうなったの?」

 神無の隣であれこれ囁いては彼女を赤面させていた朧の唐突の一言に、神無は今まで一番真っ赤に茹で上がってしまった。

 全身の血液が顔に集まっているだろうと見て取れた。
 見れば、横島の頬にも朱がさしている。どうやら朧の言葉が耳に届いたようだ。
 メドーサは何が楽しいのかといった風の神無の視線を受けたあと、サムズアップで答えるだけだった。

「え? 何、何! 目と目で通じ合ってるなんて、なんかいやらしぃ♪」

 一人で盛り上がり黄色い声を周囲に振りまいて、またこの一団は衆目を集めるのだった。


 校庭から聞こえた黄色い声に気がついた愛子は、鉛筆を走らせていたノートから視線を校庭を横切る異様な一団へと向ける。

(これも青春なのかしら?)

 ――だとしたら、随分とただれている青春であるが。

 予鈴と共に、校門付近からあがった悲鳴に目をやると、閉じた鉄柵製の門扉に大男がぶつかっていた。少し前までは横島もあそこで一緒になって門扉にぶつかっていたと思うと胸に何かさびしいものを感じる愛子だった。

 それでも、これから始まるホームルームに備えて慌ただしく教室に駆け込んでくる異様な一団に、苦笑いで挨拶の言葉をかける。
 つい先日までの学校生活とは一味も二味も違うこれからの学校生活に複雑な思いを馳せ、「学校生活を堪能しよう」という学校妖怪ならではの存在意義を全うするために気合を入れる愛子。


 だが、そんな愛子の気合を根こそぎ奪うような先制のパンチが思わぬところから――本当にだれもが想像しなかった所から降ってきたのだ。


「出席とるぞ〜……いない奴は手を挙げて返事しろ〜……」


 全身から放たれるまったくもってやる気を感じさせないオーラは仕草や声色までに顕著に現れている。教卓で何かの液体を攪拌しつつ、絵の具で汚れた白衣を着た女性は、見間違いでなければ非常勤講師の暮井緑ではないか?

 教室全体の空気が凍り付いている。
 当の本人とメドーサだけが普段どおりだ。


「あ、あのー。暮井先生……ですよね?」

「そうだけど?」


 誰かの声に冷静に応えて、先ほどまで攪拌していた毒々しい液体を一口で飲み干し、おまけにゲップまで披露してくれた。


 朝のホームルームを半分以上消費して本人の口から語られた、本人曰く『聞くも涙、語るも涙の物語』
 正当なる担任教師は「教師なんかにならないで田舎の家業継いでりゃ良かった」と泣きながら宣言して教室へ出向くのを拒否。
 何でもたったの一晩で10Kg以上も痩せてしまったとか。髪にも白いものが見え隠れし、泣き叫んで頭を振れば、それとわかるほどの抜け毛を周囲にばら撒いてしまう有様。

 もともと非常識な存在である妖怪やバンパイア・ハーフを受け入れていた彼であっても、今回の人外転校生は到底耐え切れるものではなかったのだろう。
 前者が長年夢見た理想の生徒の姿であったことと理性的であり生徒として模範的だった事が、彼を教職に踏みとどまらせていた。だが後者は転校初日に校庭にクレーター作り上げた後に平気で全力疾走して校庭中にうねを作り上げるような、まさに『化け物』な人外。

 そんな存在を相手にゴーストスイーパーでもないただの一般人の教師が怖気づかないはずがない。 
 そして当然のようにその他の教師達もそんな人外を相手にする自信なんぞ有る訳が無い。

 そこで、二人の争いを止めることに成功した暮井に彼ら人外の担当という白羽の矢が立った次第というわけだ。


「ようするに、お前たちの馬鹿騒ぎのケツもちさせられたんだよ」

 横島やメドーサ、神無に留まらず朧や愛子、果てはピートにまで恨みがましい視線が向けられる。
 言い訳したところで彼女の噴飯たる思いは晴れそうも無いので、全員が体を精一杯縮めて突き刺さる視線を甘受していた。もっとも暮井は何かぶつぶつとここにいない誰かに向かって恨み言を漏らしているので、そう簡単に晴れるような思いではないようだ。

 そのままなにか愚痴をこぼしつつ一時間目の授業担当教師と入れ替わるように教室を後にしようとした新担任が、はたと足を止める。

「あー……言い忘れてた。除霊委員と転校生トリオ、放課後に第二美術室に集合しな。職員室からパチってきた茶と菓子くらいは振舞ってやるから逃げないようにー」

 念を押すように再度横島たちを眺めた後、ぺたぺたとスリッパの音を残して去って行った。

 召集を掛けられたことに陰惨たる思いを募らせた横島は一時間目の授業が始まるのにあわせて、机に体重を預けて寝てしまうことにした。起きていても嫌な想像に思考を支配されて授業の内容なんて入ってくるはずも無い。ならば嫌なことを考えることが無いように寝てしまおうという魂胆だった。


 それに朝にメドーサと一戦やらかしていたので、妙に気だるく体が重かったのも横島を安眠に導いた要因だったのかもしれない。


 横島の意識がはっきりと覚醒したのは放課後だった。
 途中の昼休みに神無とメドーサに耳に息を吹きかけられて起こされて、昼食をとったような記憶がおぼろげながらある。実際に腹の虫が何も訴えない事実を鑑みるに、夢や妄想のたぐいではないようだ。
 朦朧としたまま夢のように素晴らしいイベントをスルーしてしまった自分に盛大に腹を立てながら、足は律儀に第二美術室へと向かっていた。
 いろいろと非常識な行動をとりがちな横島という男だが、ある程度常識はわきまえてはいる。その常識に従うのならば今は絶対為さねばならぬことがある。

 先日の一件で停学や退学にならないように頭を下げるのだ。

 あれだけの問題を起こして只で済むとは横島は思っていない。いろいろと自分に都合のいい妄想を繰り広げる横島であってもそこまで能天気な頭はしていなかった。

 退学にでもなろうものなら、母が包丁片手に飛んで来るに違いない。
 考えらる限りで最悪の展開である。仮に停学だとしてもあの母はきっと飛んで来る。

 そうならない為にも、一生分頭を下げる覚悟でいた横島だが、その第二美術室で予想外の事を告げられるのだった。


 続く―― 


 ――あとがき

 これは五体投地でも焼き土下座でも済む問題ではないと理解しつつ
 この連載を楽しみにしてくださっているかたがたに
 そして、サイト管理人様である米田さんに謝罪させていただきます。
 本当に申し訳ありません。

 こんな牛歩にも周回遅れしそうな速度では『連載』を名乗れないとは承知しておりますが、このシリーズだけは何とか書き上げたいと思っているので、どうか頭の片隅にでも、このお話をとどめておいていただけると幸いです。

 ――12月17日 修正
   自身の不勉強により読者の方々に不快な想いをさせてしまったことをお詫びします。


 レス返しをば……

・Februaryさん
 個人的体験からの教訓としても、女性のガチバトルを男に止める術はないと思います。


・ういっすさん
 その勝負方法はぜひともやってもらいたいもんです。
 でも男をしらない神無さんがどーやっても勝てそうもなさそうです。


・零式さん
 大変お待たせしました。申し訳ありません。ひとえに私の不行き届きであります。
 朧や愛子さんを参戦させるというのは私にはどう考えても不可能です……


・武者丸さん
 いわゆる拳で語る仲というやつです<ナックルトーキン
 鬼ごっこについては、神のみぞ知るというか、神様すら知りえない事です。


・アミーゴさん
 はじめまして、純米酒と申します。
 横島君に関してはアホではあるけど不幸にはならないと思います。
 というか、そういう風に運びたいです。


・akiさん
 ほぼ9ヶ月音沙汰無しですいません。
 楽しみにしてくださっているのに申し訳ないです。


・いりあすさん
 メドーサと神無に大笑いしてくださって、嬉しい限りです。
 エロスは書けませんでした……


 ――以下オマケ


  学校で逢いましょう! 第5.5話

 シーン2〜


  先日の決着は結局は勝者なしの引き分け……というのが、神無とメドーサの出した結論だった。
 昼休みの決闘も、体育での体力測定でも、その後の殴り合いや鬼ごっこでも
二人の納得の行く結果が出なかったのだ。
 もちろん二人の納得のいく結果というのは、横島が自分ひとりを見てくれる、ということである。


 その為には横島が景品のような勝負形態では意味が無い。
 二人がようやくそこに気づいたのは、朧に発見され、学校に戻る道すがらであった。

 そこに思考が行き着いたとき、神無は大いに焦った。
 何せメドーサはすでに横島と関係を持っている。
 それに引き換え自分は、思いは告げたとはいえ、いまだにスキンシップはとれていない。これでは性的魅力を彼にアピールできているとは到底思えなかった。

 実際にはブルマ姿や昼食前のちょっとしたやり取りでも神無の魅力の一端は十分横島に伝わっているのだ。伝わっていないのならば、悩みはしないのだから。

 それでも、男と女の認識にズレが生じるのは仕方の無いことであろうか。

 女性が好きで好きで好きで好きで堪らない横島に対して自分の性的魅力のアピールが足りていないのならば、何をすべきか――

 答えは決まっていた。自分も操を捧げ、彼に抱かれればいいのだ。

 決心した神無だが、処女故の未知への恐怖感は拭いきれない。

(最初は痛いだけだって聞くが……果たして、今の私に耐えられるだろうか?)

 月警官の長であったときに、痛みということは腐るほど体験してきている。
 それでも耐えられたのは、一軍をあずかる長であった責任感と、彼女が根っからの武人であったから。

(今の私は……きっと弱い……)

 なぜなら、横島が気になるから。
 彼が気になって気になって、普段の自分ではなくなる時間がある。

 それは強い彼女は『弱くなった』と思い込んでいるだけなのだが、人は思い込むだけでも変化するもの。

 それでも、一度決めたことは遂行しようとするあたり、神無は本当の意味でも強かった。


 夕暮れも終わりに差し掛かり、白く静かに地を見下ろす欠けた月が上り始める頃、校庭の片隅で神無は震える声で横島を呼び止めていた。 

 そして簡潔に「今夜、部屋に行く」と告げると全速力で回れ右して走り去った。


 横島は周囲を見渡す。 
 辺りには自分いがい誰もいない。
 つまり先ほどの神無の言葉は自分に向けられたもの。

 頬を力いっぱいつねってみる。
 痛い。夢じゃない。


「いぃぃぃぃぃやったぁーーーー! 俺の時代が来たぜーーー!」


 横島の奇行にまたかと顔をしかめる周囲の学生のほかに、屋上から告白の一部始終を見ていた女が、どこか嬉しそうに獰猛な笑みを浮かべていた。


 その夜、神無は横島の部屋へと赴いた。

 横島はというと、神無が来るまでの間に待ちきれずに布団の周囲を片付けたりそわそわと意味も無く部屋を歩き回っていたものだから、神無の到着と同時に、扉を吹き飛ばして飛び掛った。


「か〜んなちゃ〜〜〜ん♪」

「ヒィッ!」


 そんな横島を思わず全力で迎撃した神無を、だれが責められようか。


 血まみれの横島の介抱し、お互いが向き合ったところで、少々気まずい空気が辺りを支配していた。

 しばらく無言で、気まずさゆえに顔を見られない二人だったが、神無がポツリと呟いた。


「……メドーサなんかに、負けてなるものか……」

「横島……さ、触ってもいいぞ……」

 それは決意を秘めた力強く言葉でもあり、乙女の弱さを内包した神無の本音。

 神無は横島を誘惑している。ありていに言えば、モノにしようとしている。
 それは本能的な、あまりにストレートな求愛行動。

 そしてその行動は、横島にとって最上の効果をもたらした。
 結果、横島は神無を押し倒した。

 横島は自分に組み敷かれている抜群の女体に興奮を隠し切れない。
 よく似合うセーラー服が彼女の女性らしさを強調している。

 予想していたとはいえ横島の行動におびえを隠せない神無は無意識のうちに身をよじる。だが月を離れた彼女の力では何をしても無駄にすぎず、その行動がかえって男を駆り立てる行為だということに気づかない。

 前戯などろくにせずに突き立てられる横島の男性器。
 その感触に驚き、神無の肉体がビクンと跳ねる。

「くぅ……うぅ………」

 歯を食いしばり、涙があふれそうになるのを必死にこらえる。

 横島はさらに奥まで性器を突きたてようとする。

「んっ――あ、いやぁっ!」

 ついに痛みに屈した神無が拒絶の言葉を口にする。
 それでも、興奮している横島は止まらなかったが――


「やれやれ、見てらんないね…………」


 聞こえるはずのない第三者の声で神無も、興奮に身を任せていた横島も声の聞こえた方向に顔を向ける。

「な……」

 あっけにとられて声もでない二人。そんな二人を見下ろしていたのは、屋上で神無の告白と横島の絶叫を見ていた女――メドーサだった。

 不意のメドーサの登場に横島の頭は混乱していた。頭が真っ白になり、ただただ自分たちを見下ろすメドーサを間抜けな顔で、見ることしか出来ないでいる。

 一方神無は痛みに屈して、一瞬とはいえ横島を拒絶してしまった事に深い後悔の念を抱いていた。自分から抱いてくれと迫ったようなものなのに。なのにいざ事になったとたんこれだ。
 悔しさと情けなさで後から後からわいてくる涙を拭おうともせず、ただ天井の方を向いていた。

「あぁ神無、泣かなくってもいいよ。悪いのは横島なんだからさ。
 こういうときは男が優しくするのが常識ってもんだよ」

 そう言うと、横島と神無の間に割って入り、横島を軽く小突く。

「何を童貞みたいにガッついてんのさ。私とヤった時みたいに出来ないのかい?
 処女だっていうんだからじっくり時間かけてほぐしてやんないと、あんたも気持ちよくなれないよ?」

「あ……うん……」

 メドーサの心底あきれたような声で、横島はようやく我に返り始める。

「さぁほら、まずはキスしてゆっくり愛撫してやんな。アタシも手伝ってやるからさ」


 メドーサの言葉に従うように、横島は神無を優しく抱き起こす。
 その際に見えた涙にぬれた神無の顔をみて、横島はさっきまでの自分の行為がいかに鬼畜じみた行為であるかを悟った。

「すまなかったな、神無……」

 優しく抱きしめて、涙の跡に唇を這わせる。
 横島自身は女の子の泣き顔を見て喜ぶような趣味は持っていない。涙の跡を消そうと無意識での行為。

(今『すまなかった』と、横島は言ったのか?)

 確かに、横島に組み伏せられ性器を突き立てられた。
 だがそれは自分がそうしてもらおうと思ったが故のこと。

(あぁ、やはり横島は……優しい……)

 嬉しくて、神無の目じりにまた熱いものがこみ上げてくる。
 そしてあふれた涙がこらえきれずに一粒頬を伝う。
 それを見た横島は、ついばむような、軽いキスを繰り返していたが、はじかれるように体を離す。

(ああ、やめないで……やめないでくれ横島!)

「……やっぱり、俺相手じゃ、嫌だよな……」

 そうつぶやいた、横島の声は神無にきちんと届いていた。

「違う! その、決して嫌じゃない……横島なら、横島になら何をされても嫌じゃないんだ……嬉しくても涙は出るものです……」

 横島の首に手を回し神無からキスをする。

 そのまま息をするのも忘れて互いに唇をむさぼりあう。

 最初は唇同士を押し付けあうだけだったが、次第に唾液をすする音や猫が水を飲むような音が静かに部屋に響く。

 二人のスイッチが入ったことを離れていたメドーサが確認すると、唾液をたっぷりと含ませた舌で自分の指を濡らして神無の背後に回る。

「さて、そろそろ私も参加させてもらうかね」

「メドーサっ! 何をっ!! っっ!」

「言っただろう、アタシも手伝ってやるって」

 言うが早いか、メドーサは横島と抱き合う神無を後ろから抱きすくめ、自分の唾液で塗れた指を神無の股間へと伸ばす。

「ほら、横島。ぼーっとしてないで、胸でもなめてやんな」

 いきなりの刺激におとがいをそらす神無と、神無の肩越しに獰猛とも妖艶とも取れる笑顔を浮かべるメドーサ。

 幻想的であり、かつ生々しい光景。

 横島があっけに取られている間にも、メドーサの指は神無の股間を優しく蹂躙している。
 同性同士でツボを心得ているのか、メドーサの指使いによってすこしづつほぐれ、濡れ、男を受け入れる準備を始める。

(メ、メドーサなんかに……メドーサなんかに……)

 たかぶっているのが嫌でもわかってしまう。
 悔しくても前からは横島がたくし上げてはだけた胸を舐め、後ろからはメドーサが体をまさぐる。

 横島に胸の頂を含まれる。悦びの声を上げたい。
 すぐさまメドーサに中のかき回される。悦びの声など上げたくない。

 神無に逃げ場はなかった。
 そのまま、歓喜の刺激と羞恥からの刺激に耐えられなくなった神無は、一度大きく体をふるわせ、ピクンピクンと全身を痙攣させ、横島の胸へと倒れこんだ。


 はぁはぁと荒い息遣いが聞こえる中で、メドーサが立ち上がる。

「何で――」
「なぜ?」

 それに気づいた横島と、ようやく快楽の海から浮かび上がってきた神無が同時に声を上げる。


「今日は神無の番だからね、邪魔はしないよ――それに、アタシだって女だって事。あんな初体験にさせるのは忍びなかったってだけさ」


 それだけ、言うとメドーサは、唾液と愛液にぬれた指をティッシュで清めながら部屋を後にした。


 残されたのは硬くした男性器をさらす男と、太ももまで垂れるほどぐっしょりと股を濡らす女だけ。


 しばしの沈黙のあと、互いの状態を確認し、赤くなりそして――

「その……初めてだから……優しくしてくれ」

「……ああ」


 塗れぼそった花弁に肉棒がつきたてられる。

「ああ……あっ」

 破瓜の叫び。神無のロストバージンの悲鳴。女が生涯に一度きりしか上げない、上げられないその声。

「くうぅ……」

 神無は今度こそ痛みに負けまいと、ギリと歯を食いしばる。
 メドーサのおかげで、挿入こそ痛みを感じなくなったとはいえ、破瓜の痛みはまた別のもの。 

 そうして神無は乙女から女へ――


「優しくしてくれるって言ったのに……」

「いや、その、神無があまりにも可愛かったから……つい……」

「でも、嫌じゃない……」

「ん? なんか言ったか?」

「なんでもない……」

 神無はそれだけ言うと、体中を覆う気だるさに身を任せて横島に体を預けるのだった。

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