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「この誓いを胸に 第十一話(GS)」

カジキマグロ (2007-09-29 04:15/2007-09-29 11:17)
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雨が降り始めた。
季節外れの雨だ。
凍える程冷たく、体から温もりを容赦なく奪っていく。
そんな最悪の雨だ。

(目に映る景色は心の色を表すか………。)

横島は詰まらなそうに窓の外を睨みつけていた。
病院に着いたとたんに降り始めた雨は、落ち込んだ気持ちを更に落ち込ませる。
本当に最悪だ。

横島が視線を、窓から椅子に座っている美神へと移す。

泣いてくれれば慰める事もできた。
大声で泣かなくて良い。
すすり泣くだけでも良かった。


しかし美神は虚ろな目をして、恐ろしいほどの無表情だった。


泣く気配?
それどころか口を開く気配すらない。
全てを拒絶するような空間が、彼女の周りには展開していた。

「美神君……。お母さんの事は本当に残念だった。」

唐巣が苦しげな表情で美神に声をかける。
横島はその時、彼の事を心の底から尊敬した。
自分には、今の美神に声をかける度胸は無い。

あれだけ美人の泣き顔は見たくないと思っていたのに……。
目の前で泣き顔よりももっと酷い、表情を失くしてしまった美人に声すらかけられないのだ。

(チキンだと判っていたが最悪のチキン野郎だ。俺は……。)

横島は心の中で自分を罵る。
唐巣が美神に向けて何か言葉を投げかけているが、今の彼の耳にはその内容が、全く入ってこない。
だがそれは美神も一緒なのだろう。
彼女は唐巣の言葉に何の反応も示さない。
それでも諦めずに語りかける唐巣は、本当に凄い。

横島は己の中で膨れ上がる嫌悪感から、この場にいる事が辛くなった。
そして気付いたときには、彼は美神に背を向けようと、体を動かしていた。
その時一瞬……ほんの一瞬だけ顔上げた美神と目が合った。

何も映し出さない暗い……真っ黒な瞳。

横島はそんな彼女の瞳から目を逸らし、完全に背を向けると、無言で廊下を歩いていった。


この誓いを胸に  第十一話  冷たい雨の向こう。


病院について時、美神美智恵の遺体は担当医から見せて貰えなかった。
何でも話しによれば、彼女がかかっていた病は妖怪の毒が原因らしく。
それが新型の毒である事から、治療法も判らず医者達も手を拱いていた。
そしてついに先程容態が悪化。
肉が内側から腐り始め、あっという間に亡くなってしまったのだ。

それで彼女の遺体は完全に腐ってしまった。
そういう理由から娘にすら遺体を見せていない。

横島もその話を美智恵の担当医…黒田と言う男から聞いたとき、驚愕の余り暫くその場に立ち尽くしてしまった。
自分ですらそうなのだ。
実の娘である美神令子本人のショックは計り知れない。

ため息を吐きながら横島は、自動販売機のスイッチを押す。
彼が買ったのは紙コップのお茶だ。
何でも良いから喉を潤したかった。

「やあ、横島君。」

すると後ろから、聞いた事のある中年の声が聞こえた。
振り返ると其処には佐久間がいた。
彼も美智恵の死にかなりのショックを受けた人間の一人だが、美神と違い。
その目はギラギラと不気味に輝いていた。
そんな彼の目を見て横島は、追い詰められた獣のようだと思った。

「どうも……。」

素っ気無く返事を返した横島は、コップに口をつけ喉を鳴らす。

「少し話しをしないかい?」

佐久間が張りぼてのような笑顔を作り、横島の近くにある椅子に座る。
横島はそれに対し無言で、同じ様に近くにある椅子に座った。
二人は向き合っているが、お互いの顔を見ようとはしなかった。

「令子ちゃんのお母さん……。美智恵君とは古い付き合いだった。」

佐久間がポツリと言葉を紡ぎ始める。

「僕が彼女と会ったのは、僕が28のとき彼女が25のときだった。僕はその時からGS犬の調教師になろうと、本場アメリカで必死に修行をしていたんだ。彼女はその時にオカルトGメンを日本に設立させようとアメリカで活動をしていた。」

「オカルトGメン?」

横島が聞きなれない単語に眉をひそめ、首を傾げる。

「簡単に言えばGSのお役所版だよ。正式名称はICPO超常犯罪課という。」

「へ〜〜。」

横島が適当な相槌と共に虚空を見上げる。
別にそんな話に彼は興味などなかった。

「彼女は美しかった。そして何より強かった。僕は彼女に憧れた。そして誓ったんだ…もし彼女が日本にオカルトGメンを設立出来たら、そこに加わって彼女を助けようと……。」

佐久間が其処で一旦言葉を区切り、深いため息を吐く。
彼は少しの時間で大分やつれた。
余程美神美智恵という女性が、彼の人生の支えだったのだろう。

「しかし彼女は死んでしまった……。だが、彼女が残したものはある。数年後には日本にもオカルトGメンが設立される。僕は彼女の為にもそれをこの手で育てて生きたい。なんとしてもっ……。」

佐久間が力強くそう言いきる。
まるで死んだ恋人の為に、これからの人生を捧げるような言い方だった。
故に横島には、今の彼の姿が滑稽に見えた。

「……どうやってっすか?」

横島が冷めた目で佐久間を見ながら口を開く。
すると彼はまた、瞳にギラギラした光を溜めて横島の方を見る。

「横島君……キミに折り入ってお願いがある。オカルトGメンが日本に設立したときに…是非、入ってくれないだろうか?」

横島は苦笑を浮かべると、少しだけ肩を竦めた。
そして間髪いれずに口を開く。

「お断りです。」

「何故かな?」

横島が拒絶するのを予想していたのか。
佐久間は眉一つ動かさずに、断る理由を彼に尋ねる。

「面倒だし……信用ならないからです。」

「妖弧の件でかい?」

意味深な笑みを浮かべる佐久間の言葉に、横島がその顔から表情を消す。
あの事件は、民間に知れられると非常に不味いので、その情報の殆どが消去された。
故に今現在その事実を知っているのは、一部の人間だけの筈なのだが……。
この男はどこからか、その情報を仕入れたらしい。

「やはりあんたも信用ならない。」

警戒心をあらわにした横島が、足に力を込めて椅子から立ち上がろうとする。

「待ってくれ。この話はキミにだって悪くないのだよ。キミがオカルトGメンに入ってくれれば、妖弧だって安全が正式に保障されるんだ。そうすればこれからキミの妖弧が、命の危険に晒される事もなくなる。」

「なるほど……。自分達の手の届く範囲で監視をしたいと?」

「言い方は悪いが……そうだね。」

佐久間が目を瞑りながら、横島の挑発的な台詞を肯定する。

「正直な事で……。」

横島は吐き捨てる様にそう言うと、コップの中のお茶を一気に飲み干し、椅子から勢い良く立ち上がった。

「返事を聞かせてくれないかな?」

「返事? 勿論お断りや。」

クシャクシャに丸めたコップをゴミ箱に向け投げ捨てる。
そのゴミは綺麗な放物線を描くと、吸い込まれるようにゴミ箱に入っていった。

「キミはまだ子供だ……。何も判っていない。一時の感情でチャンスをふいにしようとしている。確かにキミにとってお役所は信用ならないだろう。しかしこの世で心から信用出来る人間などいたりはしない。所詮皆誰もがお互いを疑いながら生きているんだ。そういったバランスを取りながら生きていく事が人生なんだ。判るかい?」

「判る? あんた……馬鹿だろ?」

横島が小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら佐久間を見下ろす。

「俺には心から信用できる人物がちゃんといるよ。」

「それはキミの幻想だ。」

「あんたにはいるのかい?」

「………私にはいない。」

佐久間の表情が少しだけ険しくなった。

「なら、それがあんたの全てだ。俺と一緒にするな。」

横島は興味をなくしたように佐久間から視線を外すと、そのまま彼に背を向け、何処かへと行ってしまった。
佐久間は、そんな横島の背中を暫く虚ろな瞳で眺めていた。
そして完全に横島の姿が見えなくなると、視線を何も無い天井へと移した。

「違うな。僕にもいたよ。心から信用できる友が……でも、彼女はさっき死んでしまった。」

弱弱しい台詞と共に、一滴の涙が彼の目から零れ落ちた。


「あ〜〜あ……。最悪や。全く……。」

横島は不機嫌そうに表情を歪めて、暗い雰囲気が漂う廊下を歩いていた。
嫌な事があった日には、嫌な事が何重にも重なって重く肩にのしかかる。
正直もうこんな所から出て行き、早く家に帰りたいと思っていた。

しかし……。

しかしだ……。

美神の事が、どうしようもなく気になってしまう。
横島の足は、無意識の内に彼女が先程までいた所へと歩を進めていた。

(でも行って如何するんだよ?)

歩くスピードが、少しだけ遅くなる。

(この前みたいに飛びつくか? ……無理だな。そんな空気じゃない。)

ゆっくりと、しかし前へ前へと動いていた足が完全に止まってしまう。
そして横島は近くの壁に背を預けると、本日何回目か判らないため息を吐いた。

体が鉛のように重い。

普段なら美人の下に赴く時は、重力が無くなった様に体が軽くなり、蝶のように優雅に舞えるのだが…。

「此処で舞ったら人間失格だしな。」

苦笑を浮かべ、横島がふと窓の外を見る。
外では相変わらず雨が、物凄い音をたてて降り続けていた。

「あれ?」

横島が不意に声を上げる。
彼は外で見た事の女性が、傘もささずに病院から出て行くのを発見したのだ。

「美神さん?」

横島は怪訝な表情を浮かべ、その女性の名を呟く。
一体彼女は何処に行くつもりなのだろうか?

「横島君?」

「あっ……唐巣さん。」

窓の外を凝視していた横島の隣に、何時の間にか唐巣が不思議そうな表情を浮かべ立っていた。

「如何したんだい?」

「いっ……いえ………。」

唐巣の問いかけに戸惑いながらも答える横島。
そんな彼の様子が可笑しかったのか。
唐巣はますます首を傾げた。

「大丈夫かい? 何かあったんじゃあ……。」

「いやっ…本当に何でもないっす!」

横島は語尾を強めながら慌てて否定をする。
しかしこれでは何かあると言っているようなものだ。

「そうかい。なら良いんだ。」

だが横島の怪しすぎる態度にも、唐巣はそれ以上何も追求しなかった。
唯その代わり肩に手を置かれた。
優しそうな顔とは裏腹に、大きく傷だらけの手。

本当にこの人は良い人だと、横島はその時改めて思った。
普通こう言う時は、好奇心から更に訊ねるものなのだが。
悪戯に人の心へ深入りはしない。
その代わり、人を落ち着かせる笑みと声……そして大きな手を持つ。
神父とはこの人にとって当に天職なのだろう。
その時横島は、本当の神よりもこの人の方が俄然信用できると思った。
何故かは判らないが……。

「あっ…そういえば…。」

横島は、今一番気になる事を思い出した。
美神は如何したのだろうか?
彼はその事を唐巣に聞いてみる事にした。

「あの〜〜。美神さん如何しました?」

「美神君かい? 彼女は今仮眠室で少し横になって貰っているよ……。」

「えっ……。」

横島が目を大きく見開きながら声を上げる。
では先程見た女性の姿は見間違えだったのか……。
否、自分が彼女を見間違える筈が無い。
あれは確かに美神令子だった。

「横島君?」

眉をひそめ、黙り込んでしまった横島へ、唐巣が心配そうに話しかけてきた。

「はい?」

「大丈夫かい?」

「えっ……ああ。はい、大丈夫ですよ。」

「そうか……ならいいんだ。しかし何か悩みがあるのなら遠慮無く私に言ってくれ、必ず力になるから。」

「はい。そうさせて貰います。」

横島の返事を聞くと唐巣が満足そうに頷き、その場を後にしていった。
彼の姿が見えなくなると、横島は直ぐに病院の外に出た。
傘など持っていないから、冷たい雨が彼に容赦なく降り注ぐ。

「あっちか?」

病院から出て直ぐの道を左に曲がる。
そっちの方向は住宅街から少しだけ外れた場所で、明日予定されていた除霊現場があった筈……なのだが、まだ詳しく聞いていないので自信は無い。

横島は最近良く当たる嫌な予感を感じながら、雨にぬれた歩道を走っていた。
かなりの全力疾走なので、地面を蹴ると同時に水滴が跳ね上がり、横島の背を汚す。
だが、そんな事は如何でもいい。
今重要なのは美神に一刻も早く追いつく事だ。
美神が外に出てからまだそんなに時間も経っていなし、何より彼女の歩く速度は異常なほど遅かった。
自分の足ならば直ぐに追いつける。

「いた!」

横島は美神の後ろ姿を見つけると、少しだけ声を荒げた。
そして其処から更に速度を上げて、彼女の隣に並んだ。

「美神さん。何やってるんっすか? 風邪引きますよ?」

出来るだけ優しく美神に声をかける横島。
しかし彼女から返事は何も返ってこない。
亡霊のような足取りでフラフラと、前へと進んでいくだけだった。

「美神さんっ……。」

横島は仕方なく少しだけ語調を強め、美神の肩に手を置く。
すると彼女はゆっくりと虚ろな瞳を横島へと向けた。

「何?」

「いや、何じゃなくて……。風邪引きますよ?」

「そう………。」

「そうってあなた……。何処の綾波レイみたいな反応を返してるんですか?」

「別にいいでしょ?」

「まあ、確かに……。」

横島は苦笑をしながら肩を竦める。

それから二人は終始無言で、ゆっくりとした足取りで歩いていた。
たまに通りかかる通行人が、雨の中傘もささずのんびり歩く少年少女に怪訝そうな表情を浮かべる。
しかしそれだけで声をかけて来る気配は全く無かった。
まあ、今はそれの方が有難い。
警察など呼ばれたら面倒だし……。

長い時間雨の中を歩いていた所為で、ついに地肌まで水分が到達したのを横島は感じた。
このままでは風邪を引くカウントダウンが始まってしまう。
だが、それよりも早く美神の足が止まった。

「着きましたね。」

横島が隣にいる美神へと声をかける。
最も反応が無いのは判っている。
彼女はじっと目の前の、古びた木造の屋敷を睨みつけていた。

(瞳に色が戻ったな…。)

横島はそんな美神の横顔をチラリと見てそう思った。
だが、それは余り喜ばしい事ではない。
彼女の瞳の中にある色は、憎しみや嫉妬と言った類のものだからだ。

「美神さん。除霊するんですか? だったら今度にしません? 今日は………。」

「嫌だったら帰っていいわよ。」

美神は素っ気無くそう言うと、屋敷の方へ歩いていく。
横島はそんな美神の態度に肩を竦めると、彼女の直ぐ後について行き屋敷の敷地内に入っていった。

屋敷の敷地内は、長い事手入れをされていなかったらしく、草が伸び放題で少し歩きにくい。
それに雨の所為で地面がぬかるんでいる。
これでは思わぬところで足をとられて、身動きが出来なくなる可能性もある。
険しい表情で辺りを見回していた横島が、美神の肩に手を置く。

「美神さん。やっぱり今日は止めましょう。」

「五月蝿いわね。怖気づいたんなら一人で帰りなさいよ。」

肩にあった横島の手を払い除け、美神が舌打ちをしながら神通棍を取り出すと、霊力を込めてそれを伸ばす。

「コンディションが最悪なんですよ。それに道具だって十分に持って来てないでしょう?」

「っ………。」

横島の言葉に美神が表情を歪める。
事実彼女が今持っている除霊具と言ったら神通棍のみだ。

「別に焦る事は無いじゃないっすか? 今日は引き上げましょう。」

横島が微笑みを浮かべながら美神の肩に再度手を置く。
だが、彼女は乱暴にその手を払い除けると、横島を凄まじい形相で睨みつけた。

「あんたなんかに判らないっ……。私は強くなければならないのよ! ママと約束したのよ!!」

美神は震える声で怒鳴り散らす。
彼女はその時肩を震わせ、目には涙を溜めていた。
そんな姿を見た横島は、表情を歪め視線を彼女の目から外しそうになった。
だが彼は拳を硬く握り、その衝動に耐え、美神の目線を真っ向から受け止めた。

「だから少しでも強くなろうと戦うんっすか? 確かに実戦は大事です。しかしそれはちゃんと下準備をしてからの話であって、今此処で戦う事はリスクの方が断然大きい。だから俺は反対です。美神さんがやろうとしている事は、自分が強くなる為の行為ではなく………。」

横島は其処で一旦言葉を区切り、大きく息を吸う。
嫌われるかもしれないがしょうがない。
彼女に死なれるよりはマシだ。

意を決した横島は口を開いた。

「………唯の自殺行為だ。」

言いすぎとは思ったが、後悔はしていない。
此処で美神を力ずくでも止めておかないと、自分はもっと後悔すると思ったからだ。

横島の言葉を聞いた美神は、一瞬目を大きく見開いた。
そして彼女は次の瞬間、硬く口を閉じて、下を向いてしまった。
彼女の肩は先程よりも小刻みに震え、拳は力強く握られている。

二人の間に重い沈黙が訪れる。
雨の音が、また強くなったように感じた。

その時だった。
横島達から丁度右側にある草むらから、一匹の大型犬が姿を現した。
横島は犬には詳しくないので、その犬の種類などは判らなかったが、何となく犬と言うよりは狼に見えた。

(こいつ………。)

横島がその犬を睨みつけながら一歩体を後ろに引く。

「なっ……何?」

美神もその犬の異変に気付いたのだろう。
神通棍を犬に向け、正眼に構えをとった。

「ウゥゥゥゥゥ………。」

犬が血走った目で横島達を睨みながら、一歩一歩着実に近づいてくる。
その犬の背には、全く別の犬の霊が取りついていた。

「くっ……。犬の分際で私を舐めるんじゃないわよ!」

美神が神通棍を振り上げ、犬に向かって切りかかろうとする。
速く、無駄の無い良い動きだった。

しかし犬は、そんな美神よりも速く動き、彼女に向け襲い掛かった。

「危ない!」

そう叫びながら横島が美神にタックルをする。

「キャッ。」

間一髪で犬の攻撃から美神を護れた横島は、両手で確りと彼女の体を抱きかかえた。

「ちょっ……。あんた。」

「黙って!!」

そして美神の抗議を大声で黙らすと、彼は足の裏を、何時の間にか此方に飛び掛って来ている犬の方へ向けた。

そして足の裏から霊気を放出する。

「ぎゃいん!!」

苦痛の声を上げ、犬は後方に吹き飛ばされた。
横島はその反動を利用し、地面を転がりながら犬との距離を一気に開ける。
そして美神を抱きかかえたまま屋敷の中へと入った。

屋敷の中に入った横島は、美神を腕の中から下ろし、ポケットから一枚の札を取り出すと、それを床にはった。
すると畳み六畳分の空間に、ドーム状の簡易な結界が張られた。

「ふう。まずはこれで一安心か……。」

一息ついた横島が、額の汗を拭う。

「何で逃げたのよ…。」

隣で不機嫌そうに此方を睨みつけながら美神が口を開く。
心なしか彼女の顔が赤い。

「犬……。だからです。」

「何あんた……。犬が怖いの?」

「怖いっすよ。人間は訓練された犬に勝てないですから。」

横島の言葉に美神が目を見開いて驚く。

「そうなの?」

「そうっす。犬は人間よりもずっと感覚器官に優れ、機動力だってある。美神さんだって見たでしょ? さっきのあの犬の動き。」

「ええ、そうね……。」

美神は険しい表情で横島の言葉を肯定する。
先程は確かに自分の方が先に切りかかった。
しかし実際は相手の方が速かったのだ。
もし横島のタックルが無かったら、今頃腕が食い破られていただろう。

「それにあの犬は霊に取りつかれている事もあり、霊力に対する耐久力も持っている。ほら見てください。」

横島が屋敷の外指差すと、その先には雨の中犬が此方を静かに見つめていた。
如何やら完全に横島達を敵と思ったらしい。
この場から去る気配は無い。

「俺の霊波を食らってピンピンしていますよ。少しぐらいダメージがあるのを期待していたんですが……。」

此方を警戒しながら八の字を描き、歩き回っている犬の姿を見て、横島は思わず苦笑をしてしまった。

「でも、あの犬が訓練されたと決まった訳じゃないんでしょ?」

美神の言葉に横島は、首を横に振った。

「いや。恐らく訓練されていると思います。それが霊の方か、あの犬自体かは判りませんが……。美神さんを襲ったときあの犬は神通棍を狙って飛び掛った。それはあの場で一番の脅威が神通棍と判断したからです。だから神通棍を狙った。まあ、その御陰で俺達には怪我が無かったんっすけどね。」

横島が泥だらけのジャケットを脱いで右腕に巻き始める。

「……何してるの?」

そんな彼に対し、美神が怪訝そうな表情をして問いかける。

「俺達には残念な事に時間が余り無い。暗くなったら犬には絶対に勝てないからです。だから直ぐにでも決着をつけなくてはならない。」

右腕にジャケットを巻き終えた横島は、今度はベルトを外し右手に巻き始める。

「しかし俺には勝算があります。」

横島は不敵な笑みを浮かべて、自信たっぷりに美神の方を見る。
男がここ一番で見せる表情は不思議な輝きがあり、見る人が見たら憧れたりする。
特に横島は容姿が悪くなく、また百合子と大樹の息子なので自信に満ちた不敵な表情が似合う。

故に美神は、不覚にも横島のその表情に見とれてしまった。

「どっ……如何するのよ?」

美神は気恥ずかしくなって横島から視線を外し、誤魔化すように言葉を投げかけた。
すると横島はポケットからまた一枚のお札を取り出した。

「俺があいつを押さえるんで、そしたらコイツを発動させて下さい。俺が今持っている最も強力な破魔札です。」

「判ったわ。でも……大丈夫?」

美神が心配そうに横島を見つめてくる。
それが横島にはたまらなく嬉しかった。
やっと元の美神令子に戻りかけてると、彼は思ったからだ。

「大丈夫っすよ! 任せてください!」

故に横島は自分の胸を力強く叩き、出来るだけ明るく美神へ振舞った。
そんな彼の態度に美神は苦笑を浮かべる。

「あんまり調子に乗って失敗すんじゃないわよ?」

「そん時は二人で天国へランデブーしましょうよ。」

「嫌よ。私は美神令子よ? こんな所で死ぬつもりはないわ。」

「あらら、残念。なら俺も頑張りますか。」

隣で、不敵な笑みを浮かべている美神を見ながら、横島は楽しそうに笑う。
そして二人は結界の外へ出る為に、ゆっくりと動き始めた。

横島は右腕にグッと力を込める。
表面上平静を保ってはいるが、彼の心臓は先程からずっとビート音を奏で続けていた。

「ねえ、横島君?」

結界の外まであと一歩と言う所で、唐突に美神が横島へ声をかけて来る。

「はい?」

「あんた一人だったら逃げる事出来たでしょ?」

「…………。」

予想外の質問に横島は、何も答える事が出来なかった。
そんな彼を無視して、美神は言葉を続ける。

「今日の除霊現場で見せてくれたあの動き……。あれだったら此処から簡単に逃げれるわ。」

「まあ………ねえ……。はい。」

横島は如何答えたら良いのか判らず、曖昧な返事をしまう。

実際美神が言ったとおり横島は、この場から何時でも逃げれる事が出来た。
何故かと言うと、彼には高速移動術の運歩があるからだ。
しかしそれを使うには、一つだけ問題がある。
あれは基本的に、二つの霊気コントロールを同時に行わないといけない、案外高度な技であり、今の横島には他人を乗せてその技を使う事は、まだ出来ないのだ。

まあ、先程のように唯霊気を放出するだけなら出来るが……あれは着地が上手く出来ないと言った欠点があるので、下手をすれば絶体絶命の危機を引き起こしてしまう可能性が出てくる。

だが、上記の問題よりも何より、横島が今運歩を使わない最大の理由は、美神一人置いて逃げるなど出来ないからである。

「………ありがとう。」

次の瞬間、美神の口から恥ずかしげに紡がれた言葉は、横島にとって予想外のものだった。
彼は彼女のプライドを傷つけたので、叱咤されると思っていたのだ。

「へ?」

故に横島は、目を丸くして思わず彼女に聞き返してしまった。

「はいはい、行くわよ!」

しかし美神は顔を真っ赤にして、その話題を無理やり終わらせると、横島よりも先に結界の外へ踏み出した。

「ちょっ……ちょっと待って下さい! 俺が先頭です!」

「むっ……。先に言いなさいよ。」

美神は不機嫌そうに頬を膨らませながら立ち止まる。

「すいません。では此処で最終確認をします。俺が先頭を行き、美神さんは直ぐ後について来てください。そして俺があいつを押さえたらあいつに取りついている霊を分離させます。そしたら美神さんは、その霊を除霊してください。」

「OK……。いいわよ。」

「じゃあ…。行きましょうか。」

美神の前を横島が歩き、此方を静かに睨みつけている犬へと近づく。
すると犬の方も警戒しながらゆっくりと横島達の方へ動き始めた。

一歩。

また一歩。

さらに一歩。

そしてお互いの距離が3メートルと言う所で、その歩みが止まる。

犬の攻撃範囲まで後一歩。

横島が無言でファイティングポーズをとる。
その後ろでは美神が、雨でお札を濡らさないように注意しながら、何時でも飛び出せる体制をとっていた。

暫く両者はその場で睨み合い……。


沈黙。


「ウウゥゥゥ……。」

口を痙攣させながら犬が、威嚇するように唸り始める。
涎がボタボタと口から垂れているその姿は、何とも言えない迫力だ。

横島は周りの音が聞こえない程に集中していた。

狙うは一点だけ。
犬の舌だ。

雨で常時濡れている筈なのに、唇が乾く。
舌で舐めて乾きを潤そうとするが同じ事……直ぐに乾く。
自分が緊張している事が、其処から嫌と言うほど伝わってくる。

心を落ち着かせようと、横島が息を少し吐いたその時だった。

犬の顔が一瞬さらに険しくなると、凄まじい勢いで横島へ飛び掛ってきた。

犬の大きな口が不気味に開かれ、その中にある無数の牙が見える。
どれも黄ばんで汚いのにナイフの様に鋭く、尖っていた。
あれに噛まれたら間違いなく肉を食い破られ、骨を噛み砕かれるだろう。

だが、此処でそれに気圧され、恐怖したら負けである。

横島は歯を食いしばって半歩踏み出すと、犬の口の中を目掛けて右腕を突き出した。
口内は涎で気持ち悪いほど湿っていたが、気になどならない。
彼は親指と人差し指で、犬の舌をガッチリ掴むと、そのまま地面へと叩き付けた。

「美神さん!!」

横島は犬に霊気をぶつけて、犬本体と霊を分離させる。

「ぎゃああああああああ!!」

霊が無理やり分離させられる痛みから絶叫する。
元は犬なのに人間くさい叫びで非常に耳障りだ。

「極楽へっ……。」

そんな中横島の声に反応した美神が、破魔札に霊力を送る。
すると彼女の霊力に呼応して破魔札が、眩い光を放ち雷のような物を放電し始める。

横島は、美神のそのすさまじい霊力の出力に目を見開いた。
異常だ。
異常すぎる放出力だ。
あれでは強すぎて自分達まで被害を受けてしまう。

「ちょっ……美神さ……。」

「行かせてあげるわ!!」

完全に自分の世界に入っていた美神には、横島の声は届かず。
裂帛の気合と共に放たれた破魔札が、更に強力な光を発し大爆発した。

此処が住宅街から外れていて本当に良かったと、横島は後々思った。


屋敷の古びた縁側で、横島と美神がぼんやりと空を眺めながら腰をかけていた。
二人とも服が破れていたり、顔に泥がついていたりと見るも無残な姿である。

「雨……止みそうっすね。」

横島が隣の美神に話しかける。

「そうね……。」

雲の切れ間から出ている太陽の光を見ながら、美神は横島の言葉に頷く。
そんな彼女の腕の中には、気を失った犬が抱きしめられていた。
少し毛が焦げてはいるが、命に別状は無いだろう。

「思ったんですけど……本当に明日予定の除霊現場って此処だったんですか?」

横島が如何しても腑に落ちない疑問を美神にぶつける。
もしそうならば、あきらかなミスだ。

「多分。」

「多分って………。」

「大体の場所しか知らなかったのよ。」

美神はその質問に、相変わらずぼんやりと空を眺めながら答えた。
そんな彼女に、横島は思わず顔が引き攣ってしまうのを感じた。

今回の現場は、熟練のGSでもやられる可能性が十分にあった。
資格すら取っていないガキに任せるような現場ではない。
横島に犬対策の知識が無かったら、二人とも今頃は恐らく死んでいただろう。

(まあ、無事生き残れたし良いか?)

横島は、疑問系で自分を納得させようとする。
それに此処で自分が美神に文句を言ってもしょうがない。
唯不快な思いをさせるだけだ。
そういうのは彼女の先生である唐巣に任せよう。

「ごめんね…。」

美神が何時の間にか空から視線を外して、犬のぐったりとした顔を見ながら横島へ謝罪する。
その表情は暗く、本当に申し訳無さそうだった。

「別にいいっすよ。それに生き残れたし。」

「うん………。」

微笑みながら紡がれた横島の言葉に、美神の表情が少しだけ柔らかくなった。
だが、次の瞬間彼女は眉をひそめ、何やら難しい顔で横島の方を向いた。

「ところで横島君ってどうやって犬を取り押さえたの?」

「ああ、あれは犬の舌を指で摘んだんっすよ。そうすれば犬って肉体構造上、何も出来なくなるので…。」

「へ〜〜。案外博識なのね。」

感心したように声を上げる美神を見て、横島は苦笑した。

「まあ、漫画から得た知識なんですけどね。」

「………なんだ。感心して損した。」

美神は呆れたように肩を竦めると、横島から視線を外す。
しかし彼女の表情は、穏やかな笑みだった。

「まあ、でもそれの方が横島君らしいわね。」

「どうも。」

横島もまた美神から視線を外し、空を見る。
もう大分雲が晴れてきた。
雨も殆ど止み始めている。
ならば早く帰った方がいいのかもしれない。
体はもう寒さと疲労でかなりだるい。

「…………ねえ、横島君。」

少しの沈黙の後、美神が言いにくそうに口を開く。

「なんっすか?」

「私って……弱い?」

悔しそうに歯を食いしばりながら紡がれた美神の問いは、非常に答えにくいものだった。

弱いといえば…弱いだろう。
だが横島だって、他人へ偉そうに言えるほど強くない。
彼のGSとしての強さは精々C級ぐらいだ。
まあ、それでも異常ではあるが……。
故に彼は直ぐに答えを出す事ができず、押し黙ってしまう。

「正直に言って。」

美神が横島の顔を凛々しい目で見つめる。
恐らく今の彼女ならば、横島がどんな評価を出そうとも怒りはしないだろう。
逆にちゃんと答えなければ怒られる。
そう思った横島は、覚悟を決めて口を開いた。

「美神さんが目指すのって唐巣さんとか、お母さん見たいなS級のGSですよね?」

「ええ。」

美神は迷い無く頷く。

「そうですか……。だったら今の美神さんは弱いですね。それも圧倒的に弱い。」

「…………そう。」

横島の言葉に、美神は自分でも判ってはいたが、物凄く落ち込んでしまった。
やはり改めてはっきりと他人から言われたら辛い。
そんな彼女の姿を横目で見ながら、横島は言葉を続ける。

「でもそれは俺だって同じです。俺だってまだ弱い……。今回だって唐巣さんなら、俺達みたいに苦戦なんかしなくて終わらせる事ができたでしょう。」

「そうね。判るわ……。」

「それに落ち込む必要は無いと思いますよ?」

横島が微笑みながら落ち込んでいる美神の肩に優しく手を置く。
美神は、今度はその手を払い除けなかった。
彼女は唯、そんな横島の楽観的な台詞に怪訝そうな表情を浮かべ首を傾げた。

「何でよ?」

「俺の師匠……八神の爺さんが言っていました。A級のGSには努力でなれる。しかしS級のGSには天才でしかなれないって……俺が見た限り、美神さんはそのS級に届く天才の一人ですよ。」

「本当に?」

「ええ。理由としては霊力の総量もそうですが……何よりも一回の放出量です。あれが美神さんは半端なくデカイ。俺もかなりある方なんですけど、そんな俺なんかよりもっとある。霊力の放出量があればあるほど数多くの強力な道具を使用できます。美神さんはお母さんと同じ様に、凄腕のGSになれる可能性を十分に秘めているんですよ。」

「そう………なんだ。」

「そうですよ!」

美神は今一信用しきれてないようで、曖昧な表情を浮かべている。
だがこれは事実なのだから、彼女にはもっと自信を持って欲しいと横島は思っていた。

「今までそんなに放出力無かったのに……。」

美神が自分の手の平を見ながらポツリと呟く。
そんな彼女の台詞に横島は驚いてしまった。

「そうなんっすか?」

「ええ、あんなの始めてだった。」

「もしかして、土壇場で目覚めたのかもしれないっすね。」

「そんな事あるの?」

「俺は結構土壇場で目覚めるタイプですよ。」

横島は誇らしげに笑いながら胸を張った。
美神には、そんな彼の姿が子供っぽく見えてしまい。
彼女の表情に思わず笑みがこぼれた。

「綱渡りな人生ね。」

「ラブアンドピースが人生のテーマである俺としては、勘弁して欲しいっすけどね。」

「少なくともピースはこんな所にいる時点でアウトね。」

「確かに。」

横島と美神は顔を見合わせると、声を上げて笑った。
そしてひとしきり笑うと、美神は顔から笑みを消し、ゆっくりと立ち上がった。

「私はあなたに嫉妬していた。」

犬を抱く手に力を込めて、彼女は横島の顔を見ずに語り始める。

「あなたの強さに嫉妬していた。私が欲しくて欲しくて堪らないものだったから……。自分より年下であるあなたが、その力を持っている事が本当に羨ましかった。ねえ、だから教えて。」

とても澄んだ瞳で横島の目を見つめる美神。
かわいい美人ではなく、凛々しい美人なので、その落ち着いた表情は迫力があった。

「あなたは如何して強くなったの?」

横島は思わず生唾を飲んでしまう。
今日彼女と会ってからは、不機嫌な姿や亡霊の様に希薄で頼りない姿しか見ていなかった。
故に自分の両足で地面に確り立って、全身から気迫に満ち溢れている彼女の姿が、恐ろしいほど美しく横島には見えたのだ。

「俺は………。」

横島は一旦其処で言葉を区切り、咳払いをする。

大事な所だ。
心を乱して、へまをしてはいけない。
彼はゆっくりと言葉を選びながら口を開いた。

「俺には……守るものがあるからです。」

「守るもの?」

「そうっす。大切な誓いと大切な存在……。その二つがあるから俺は強くなろうとしています。」

「誓いと……存在か。私にもあるかしら?」

「存在については判りません。唯……誓いはあるんじゃないですか?」

横島が美神の目を静かに見つめながら言葉を紡ぐ。
そんな彼の言葉の意味を理解した美神は、虚空を見上げ目を瞑った。

確かに自分には誓いがある。
母との誓いが……。


『令子……強くなりなさい。ママがいなくても一人で立って歩いていけるように……。』


美神の脳裏に大好きな母親の声が響く。
もう大丈夫だ。
自分はこの誓いの為に強くなれる。

「うん、そうね。」

故に彼女は、横島の言葉を向日葵のような笑顔で肯定した。
此処に佐久間や唐巣がいれば、そんな彼女の表情に腰を抜かして驚いただろう。
もう何年も見せていない笑顔なのだから。

「さて、それじゃあそろそろ帰りましょうか……って、如何したの?」

自分を真っ赤な顔をして見つめている横島を不振に思った美神が、首を傾げながら彼に声をかける。

「あっ…いや、別に……。」

「ふ〜〜〜ん。変なの。」

それだけ言うと美神は興味をなくしたように、横島から視線を外し歩き始める。
そんな彼女の背中を横島は慌てて追いかけ、隣に並んだ。
心臓がまだ高鳴っており、顔が熱い。
彼はこういった不意打ちにはまだまだ弱かった。

「大丈夫?」

「へい。大丈夫っす………。ところで美神さん。その犬連れて帰るんですか?」

横島は頭を欠きながら、美神の腕の中にいる犬を見る。
結構大きいのでかなり重い筈なのだが、彼女は平気そうだ。

「ええ。この犬は霊に取りつかれていたから、もしかしてGS犬としての才能を開花しているかもしれない。連れて帰っておじさんに見てもらうわ。」

美神が妖艶な笑みを浮かべて、未だに眠っている犬の背中を撫でる。
なんだか犬が震えているのは気のせいだろうか?
横島の脳内BGMでドナドナが流れ始めた。

「それで……もしGS犬としての才能があったら?」

「勿論飼うわ。」

即答で答える美神。

(この人……転んでもタダでは起きないタイプだな。)

引き攣った笑みを浮かべながら横島は犬の冥福を祈った。


横島達が屋敷から去った後、物陰から一人の人間が音もなく現れた。

「心配で見に来たけれど……これであの子は大丈夫そうね…。」

その人間の声は、心地の良い女性のものだった。

「横島忠夫君……娘を如何かよろしくお願いします。」

その言葉の直後、屋敷の敷地内に眩い光と轟音を辺りに撒き散らしながら雷が落ちた。

そして次の瞬間には、その場には人がいた痕跡すらなくなっていた。


あとがき

まずは此処まで読んで下さった方々に感謝を。

原作よりも素直な美神で過激な突っ込みもなし……。
美神らしくねえっ。と書いていて思ってしまった私です。

さて、それは良いとして、カッコいい横島を書きたいなと思い書いてしまったこの話。
なんだか横島も横島らしくないと思いましたが。
彼も成長しているのです。
彼はあくまでもギャグキャラですがシリアスもこなせる万能キャラになりかかっています。
しかし彼の本質はギャグ。

という訳で、次回はシロタマメインで猫登場という話です。


レス返し。

那由多ソラ様。
どうもお初です。読んで頂き有難うございました。楽しんで貰えたのが非常にうれしいです。
美神の横島に対する暗い感情を上手く解消できたように書けたかどうか非常に不安です。
人間の心を書くのは本当に難しい。

万々様。
ママンは現在では死亡確認ですね。そして未来でカムバックw。横島は段々と姑息な手段や卑怯技を使ってきます。それにこの小説の横島は原作よりちょっと冷酷。

Tシロー様。
シロタマは危険回避。しかし母の死によって自棄になった彼女は、自分の力を示そうと暴走はしました。やっぱり此処まで不幸やストレスが重なると人間暴走すると思いましたので……。

ぐだぐださん様。
現状では横島の方が強いですね。原作では中学時代の美神は、才能だけあった素人らしいですから。この小説では神通棍が扱えるぐらいに強化はしています。
横島はかなりしたたかになってますねw。

風来人様。
パチンコって某長っ鼻海賊が使っていると情けない武器に見えますけど、あれ結構凄い武器ですからね〜。神父の髪は美神令子が元気になったので、またハラリハラリと抜けていきます。合唱……。

ながお様。
おキヌちゃんは家事万能娘ですし、シロタマ受けも良い事間違い無しです。(餌付け?)
それに生き返るし、そのイベント結構デカイし……ほんと気合入れて書きたいです。

DOM様。
美神編…荒れましたね。次に会うときは原作見ないなノリで書こうと思っています。
横島の除霊スタイルは思われている通りで後それに『霊力を物に圧縮して大量に込める』と言うのが付け加えられます。そしてそれが昇華したら文珠ですね。

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