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「運命と宿命外伝 過去への清算(弐)(GS+オリジナル)」

九十九 (2007-09-08 23:28/2007-09-09 06:23)
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緊張し、新幹線に乗ったのがおおよそ二時間程前になる。
正直、気が気でない心境で臨んだのだが、呆気ない程、拍子抜けする位に、何事も無く宇都宮駅、それから黒磯駅に着いた。

高速で移動する堅固な密室。それが新幹線という乗り物だ。窓は小さく扉もそう簡単には開かない。私をどうにかしようとする連中が居たら、この中で勝負を仕掛けてくる、そう思っていたのだ。

襲ってくる狩人の多くは、GS協会もしくは政府から雇われた者達からなる。権力を醜く着膨れするほど持っている奴らだ。新幹線の一両を独占し、結界を張ること位、容易くやってのけるだろう。

そんな事を考え、さながら戦争をやる様な気構えを持って、新幹線に乗ったのだが、全く無駄になった。逃走する準備もばっちり出来ていたのだが、それも、無駄になってしまった。そこまで考えをめぐらせると、私は苦笑した。それは、まるで襲撃を期待しているように思えたからだ。


黒磯駅に着き、持て余す程のバッグを肩に担いだ。
時刻は十二時二十五分ジャスト。次に乗るバスは、三十五分発、那須湯本・ロープウェイ行になる。目的地の殺生石がある那須湯元までは、ここからバスで約三十五分程。つまり、一時過ぎには着くことになる。余りに順調過ぎる事に懸念を抱いたが、こんなものかも知れないと、その不安を押しやった。

その一つの根拠に、ここまで来ていながら、殺生石から漂う気配が感じられない事が上げられた。仮に私の予想通り、殺生石に何らかの反応があったら、間違いなく、虫の知らせにも似た匂いが私に届く筈である。それなのに、私の第六感にも嗅覚にも何の異常も見られない。

安易な子供染みた思索だったが、私は一人満足して頷いた。何も無ければ、それに越したことは無い。また、私は大手を振ってあの世界に戻れるのだから。


新幹線を降り、小走りで改札を抜けると、世話しなく首を左右に振る。
数秒ほどの時間を掛け、私は目的の物を視線に収めると、直ぐに近寄った。

バスの券売機には平日で観光シーズンを外れているせいか、一人も並んでいない。ついてると心で喝采を上げつつ、目的地までの金額表示を見て硬貨を投入。少し焦ったせいで、危うく小銭を落としそうになった。自分の馬鹿さ加減にちっと舌打ちを零す。ここまで順調にきているのだから、最後まで予定通りというか、最短時間で行きたいのだ。その焦燥が手先の感覚をずらしてしまった。もう一度舌打ちをして、今度は正確な指捌きでボタンを押す。びーと切符が券売機から吐き出された。次いでお釣りがちゃりんと受け皿に落ちてくる。それらを素早く片方ずつで両手に取ると、直ぐに駆け出した。

時間的猶予は余りにも少ない。先ほど見た案内図を、脳裏に描きながら走る。切符を咥え、空いた手でコーチの、シンプルで無骨とも取れる小銭入れを取り出した。先ほどのお釣りを小銭入れに入れ、また切符を手に戻す。バランスが崩れたせいで左肩に掛けたバッグがずり落ちそうになる。走りながらバッグを掛けなおし、外に出た。

途端、むっとするような、生暖かい風が頬を撫でる。無機質な灰色に覆われた空は、今にも泣き出しそうな顔をして、無機質な同色の人口地面を見下ろしていた。梅雨真っ只中の今の季節を思えば何ら不思議なことは無かった。むしろ、この時期に空が泣いていないと、お百姓さんが特に大豆生産者さんが困るだろう。それは、同時に私を困らせる。お揚げユーザーの私としては、大豆が打撃を受けるというのは何とも許しがたいことだ。

もっとも、空に癇癪を起こされても、それはそれで困る。適度に笑って、適度に泣いて欲しいものだ。そう、どっかの泣き虫保護者兼相棒のように。思わず苦笑した。ほんの些細な天気の事でさえ、あいつと結び付けようとする短絡な自分が、何とも可笑しかったのだ。どくされたなと、改めて思う。腰に挿してあるワルサーを一度撫でると、私はタイミングよく到着したバスに、転がり込むようにして乗り込んだ。


バスのタラップを上り車内を見渡す。思っていた以上に広々とした車内は、既に十席ほど埋まっていた。前のバス停から既に乗っていた人達だろう。皆が荷物を荷物棚に載せ、思い思いに寛いでいる。

バスの座席は十一列あり合計四十五席の大型のものだ。それの一番前に金槌を細身にした様な杖を持つ女が一人、その反対側にカップルと思われる男女が一組座っており、ハイキングに行くと思われる五名のグループは、ちょうど真ん中に座っている。それから、一番奥に男二人と女一人。こちらも何らかのグループなのか、どこか楽しげな雰囲気が窺えた。

ぱっと見た中には年配客は居ない。皆が三十にも成っていない若者と呼べる年代だ。その事に少々引っ掛かるものがあったが、こんなものかとも思う。

注意だけは忘れず、私は左肩に掛けたバッグを上に持ち上げ、やはり狭い車内を奥に奥にと進んでいく。前方に席を取ってもいいが、戦闘者の常で背後に人が居ることを許したくないのだ。それに、今の状況なら尚更だろう。

その際、さり気無い仕草で、既に席に着いていた人達に視線と嗅覚を巡らせた。見た感じでは車内の全員に、不自然な所は見当たらない。皆が動きやすい服装で、私の装いと似たようなものだ。

そして、嗅覚による霊波探査。これにも、全くと言っていいほど当たり、霊能力者並の霊力を発している人は居なかった。霊波迷彩服を着ている可能性もあるが、それは無い。あれには一種独特の臭いというか、異臭がするのだ。これは、犬神を始めとした超感覚を持つ者でないと判らない程微かなものだが、私は自信を持って断言できる。伊達に九尾の狐の転生体ではない。なにより、最新の霊波迷彩服の臭いは既に覚えている。

迷彩服でないとすると、後は隠行になるが、それの達人といえる横島の気配を見抜く私だ。やはり、その線も薄い。ならば、この中の人物達は霊気だけなら一般人と見ていいだろう。

しかし、霊能力者以外の狩人。そいつらの常套武器である拳銃、硝煙の臭いも嗅ぎ取れない。勿論、念力発火封じのお札や、霊気、妖気封じの結界も感じ取れてはいなかった。

最奥から三列手前の窓際の座席に座り、隣の席に荷物を置いた。前方の人物達も観察でき、後方の人からも適当な距離を置いた席だった。一度、溜息に近い深呼吸をすると、狙ったかのようにバスの扉が閉まった。ややあって、運転手からのお決まりの文句が流れる。いよいよバスが発進した。


ちりちりと拭えぬ疑念が産毛を逆立てさせた。
出来すぎているのだ。今の状況が。フリーで動けるのは私のみで、私の味方になる様な人達は、皆が何らかの用事で動きが取れなくなっている。つまり、今の私は孤立無援といっていいだろう。

九尾の狐の最大の擁護者である横島忠夫は、つい先日の酒呑童子討伐事件で(討伐といっても、実際は横島や私の手引きで殺した様に見せ掛けただけで、今頃は恋人の茨木童子と共に全世界行脚の真っ最中)重傷を負い、現在は妙神山にて療養中。美神達、神父、それにピート、他仲間と言える人達も、その酒呑童子事件の収拾に尽力している所だ。

ただ、その中で一番こういう荒事に向いていた男。伊達雪之丞だけは本人的にはおそらく不運なことに、事件に関わりあっていない。

彼は別件も別件で、日本どころか地球外、約三十八万キロの彼方に存在する月に行っているから。一月ほど前に月に向け出立したのだから、そろそろ戻ってくるだろうが正確な日付は知らない。

事件の最中は、雪之丞が居ないことを横島が愚痴っていたし、私も同様にあの馬鹿等、勝手な事を言って彼の存在をはっきりと認識していたが、最後、横島が瀕死の重傷を負った辺りから、それ所ではなくなってしまったからだ。

酒呑童子の決死の一撃は、横島のチャクラにまで及び、横島は身体的にも霊体的にも甚大な被害を受けた。酒呑童子を倒した後、格好つけて、茨木童子がいる前ではへらへらした態度を貫いた事も、傷の悪化を深めた一因に違いない。それが、あいつの良い所の一つではあるが、やはり悔しく思う。

童子達に然るべき処遇を与えた後、横島はぷっつりと、糸が切れたマリオネットのように崩れ落ちた。何の予兆も無く、ただただ自然に横島の体は意識を失った。

その時、誰よりも早くあいつを支えれた事が、私には何より嬉しかった。両者共に血塗れで、ムードなんかありはしない。けれど、初めてだったのだ、横島が私を守ったのではなく、私が横島を守ったことが。

だけど、同時に悲しかった。ここまでの傷を負っているのに気付けなかった自分が、ここまでの傷を負っているのに気付かせなかった横島が、どうしようもなく悲しかった。

妙神山の医療室に運ばれ、あいつは生死の境をさ迷い続けた。老子の修行部屋の様な空間で横島は眠り続けた。現存する横島の文珠を全て使い切り、やるだけの事をやったが、横島はなかなか目を覚まさない。その余りにも柔らかな表情、ずっと閉じられた瞳は、もう一生開かないのではないかと思わせた。

けれど、それ以上に私は、今度こそ横島が変わってしまうのではないかと恐怖した。知っているのだ。私は横島の急激な成長の秘密を。だから、楽観的に大丈夫と言える人達が羨ましく、妬ましかった。

だが、その心配も幸い杞憂に終わった。あいつは意識を取り戻すと、看病していた小竜姫に、何をするよりも先に飛びついたのだ。そんな事、明確な意識すら無く、生を勝ち取るために、生きる伸びる為だけに、女に飛びつく奴など横島忠夫しかありえない。その事実が私を感激させた。

横島が生きているということが、その事実が堪らなく嬉しかった。ただ、その後はあれだ。そこで、そのまま行く所まで行けば、横島も男を証明出来たのだろうが、そこは根性無しの横島忠夫。煩悩を刺激といっても、ただ、抱きついて小竜姫の柔らかさと温かさを求めただけだ。

どうやら横島忠夫という男には、根源部分から意気地というのが欠落しているらしい。何というか、横島の業の深さが垣間見えた瞬間だった。

その後、何故か傷が増えた横島の話によると、童子の攻撃であいつは冗談抜きに死に足を踏み入れていたらしい。彼岸の渡し守に会ってきたと言っていたし、憎たらしい事に、愛しの彼女とも一時の再会を果たしたと言っていた。あの時の横島の表情は、今でもはっきり覚えている。穏やかで、朗らかで、まるで死期を悟った老人の様な、そんな安らいだ顔だった。

横島の眠っていた間の事、これからの事を話し終え、いよいよ心霊調査官ヒャクメが、横島に重大な事実を告げた。

それは、横島から文珠生成能力が失われているということだった。元々、霊体を破壊するべスパの妖毒、彼女からの魂の付与、それに過酷すぎる修行の為、横島の魂魄はぼろぼろだったらしい。そんな、ぎりぎりの一線で耐えていた横島の魂魄は、童子との戦いでとうとう決壊した。

サイキックソーサー、栄光の手等、基本的な霊能力に関しては、多少出力は落ちるが問題なく使え、時間が経てば今まで通りの力が発揮できるらしい。
けれど、文珠だけは判らない。最悪、この先一生、文珠生成能力は復活しないかもしれない。ヒャクメは、そう、横島に告げた。

それは死刑宣告に近しいものがある。
“文珠使い”それが横島忠夫の二つ名だ。その代名詞が失われ、最大の切り札までもが無くなるというのだ。それを聞いた時の横島のショックは計り知れない。

皆が横島の心境に閉口していた。けれど、横島の反応はとてもじゃないが、私達の想像するものではなかった。特に何を言うことも無く、ただ一言、そっか、と溢しただけだった。気負っている訳ではない、我慢している訳でもない、在りのままの自然体で、横島忠夫は自身の半身が無くなった事に納得したのだ。

私だけは、その時の横島の表情を見ていない。皆に詰め寄られる横島を視界の端に収めながら、噴出した強烈な憤怒を抑えるのに精一杯だったから。

何故、認められるのだろう。自分を自分足らしめるモノを喪失して。どうして、あそこまで安寧な言葉を溢せるのだろう。自分自身の誇りを失くしているのに。私には無理だ。私だったら、きっと恨む。折角助けたというのに、この結果を作った酒呑童子を。妖毒を打ち込んだべスパを。そして、何度も救った世界を。きっと、私は恨んでしまう。

結局、拭い切れぬ不信感を抱きながら、私は横島の看病もそこそこに妙神山を飛び出した。それが昨日の事。書置きしてきたから、大した問題にはなっていないだろうが、今では横島に対して申し訳なく思う。子供染みた手前勝手な理屈であいつを避けたのだから。

促されるようにして、ヒップバッグに付いている、取り出し易さを主眼としたポケットに手を入れた。いつもは数センチの綺麗な宝玉が幾つも入っているのだが、今は乾いた布の感触が返ってくるだけだ。

信頼の証である文珠がないことが、戦力的にも精神的にもひどく空虚に感じられる。ポケットに広がるからっぽな空間が、現在の私を表しているようで寂しかった。


前から後ろに流れる景色を、取り留めもなく眺めていた。山間部に現れる木々の群れ。明朝に降った雨を身に纏う樹木は、滴る水滴により色気にも似た深い美しさを醸し出していた。五月雨雲に覆われた森は、暗い鬱蒼とした雰囲気をより一層強め、その妖しくも艶やかな誘い込む装いとは裏腹に、人の侵入を拒んでいるようにさえ見える。

この嵌め殺しの窓が残念でならなかった。もし窓が開放できたら、雨が手伝う濃厚で芳醇な緑の匂いがむせる程に押し寄せて来るに違いない。その、まっさらな自然の香りを鋭敏な嗅覚が捕らえ、妖狐の内に残る野生を心地よく刺激するのだ。

だが、この窓ではそんなものは空想の中でしかない。頭上から流れ出るクーラーの臭いとの格差に、私は落胆した。

右に左にと、決して広いとは言えない車道をバスは縫うようにして走っている。その車内、私は揺れる体を抑えながら、在るはずも無い郷愁の念に囚われていた。

それは、数年前の一つの出会い。とろそうな巫女服姿の女と、馬鹿そうな赤いバンダナをつけた男、その二人に助けられた時の短い記憶。

草木を掻き分け、一心不乱に森の中を走っていた。耳元でなる凶悪な破裂音。獰猛な猟犬の獣臭。それを指揮する人間の殺気染みた怒鳴り声。強烈な死の気配が膨らみ、私を押し潰そうとしていた。心臓が、肺が、躯が、ひたすらに貪欲に生を求めていた。

怖かった、死ぬことも怖かったが、何より人間が怖かった。信じられるのは自分だけだった。全てが私を追い立てていた。世界が私の敵だった。その中で、あの二人だけが私の唯一の味方だった。

とても懐かしく、とても素晴らしい一つの出会い。私には故郷というものはないが、きっとあの光景が一つの故郷なのだ。けれど、そこまで大きい気持ちを持っていながら、私はあの二人にお礼を言っていない。ついつい意地を張り、今更だしと何かと言い訳をつけては後送りにしてきたのだ。

もし、私が無事に戻れたら、今度こそ伝えようと思う。ありったけの感謝を込めて。そう、無事に戻れたらだ。

さっきから、微かな、匂いにすらなら無い程の、小さな負の気配が、前後の人物達から洩れていた。気のせいと言えばそれで済む、奥歯に物が詰まったような些細な違和感。それは、常人はもとより、美神ですら何とも思わないような、小さなものだ。けれど、犬神特有の超感覚は確かにそれを感じ取っていた。

さて、どうするか。しばし、思案すると答えは簡単にでた。考え込んでもどうにかなる問題では無いのだ。こういう時はとにかく場を動かすしかない。なにより、膠着して困るのは相手より私なのだから。

仕方無しと、ほんの少量だけ隠していた妖力を露出させた。妖狐特有の甘い匂いが仄かに漂う。二流ならともかく、一流ならこれで気付く筈だ。それをまた直ぐに隠した。そして、あたかも失敗したという風に、首を大げさに振って辺りを伺う。一、二、三人。今この瞬間に視線を向けていたのは僅かに三人だったが、その三人は皆がグループで会話をしていた奴らだ。まあ、決まりだろう。何事も無かった用に窓に目を向け、またぼんやりと外の景色を眺めた。


数分後、先手を打って奇襲を掛けようとしていた私だが、相手もなかなかやるようだ。こっちの思惑がばれたのか、嫌な気配、不吉な気勢が一瞬にして膨らんだ。

ちっと舌打ちし、即座に動く。
もはや、私の直感はイエローを通り越して、既にレッドだ。自身の迂闊さに嫌気がさすが、それどころではない。左肘を思いっきり窓にぶつける。だが、渾身の力を込めた私の肘撃は、あっけなく跳ね返された。舌打ち。防弾ガラス製の窓は私の肘撃位ではびくともしない。

「動くな!!」

前後左右から、けたたましい怒声が響き渡る。
だが、そんなもの知ったことではない。周囲に鼻を巡らせると、予想通り全ての人物が敵だった。

零れる殺気を嗅覚で見抜き、即断で攻撃を開始する。
右手、バスの後方に向かって狐火を放射。同様に左手からも。凄まじい熱量が大気を焦す。しかし、相手もさる者。左右共に一人を盾にすると、その空いた空間を埋めるように、座席を飛び越え、天井を足場に、様々な角度から私を狙い打つ。だが、遅い。座席に預けたバッグを前方に見えるバスの側面、その窓に思い切り投げた。それで、一瞬。次いで、投げた動作をそのまま駆ける動作に、これで二瞬。その直後、私の残像を、大気を切り裂く不吉な裂傷音が車内に響いた。自他共に舌打ち。自は相手のプロの手際に、他は獲物の運動能力に、背筋がざわつく。これは恐怖か。

飛翔し、駿馬を思わせる機敏な動きで、私は窓に膝を打ち込んだ。妖力を通した全力の膝撃は、防弾ガラスといえど耐えられるものではない。だが、しかし、堅固な盾には皹すら入れることが出来なかった。

着地、刹那の漂白感。背中に這い寄る嫌悪を無視し瞬時に反転。黒に染められた髪は、既に金色に変わっている。自身の判断に思いっきり舌打ちをした。甘いのは私だった。まさか、レベル轡ラスの防弾ガラスを使ってくるとは。

「っっ!!」

息つく暇もないとは正にこの事。
反転した時には、もう次の攻撃が迫っていた。前、右、左、それぞれに異なる得物を持った奴らは、敵ながら惚れ惚れするほどのチームワーク。だが、やられる訳にはいかない。金色の髪を広げ、幻術の光を放射する。一瞬、とろんとした瞳になる狩人達。しめたと思うが、それは、誤算だった。焦点の合わない瞳ながらも、扇状に拡がる三人からは、未だ濃い殺気がこぼれている。

揺れる体、振るわれる腕、スタン警棒、トンファー、鉄砂入りグローブ。そのどれもが、一撃必倒。響き渡る警鐘、逆立つ髪の毛。瞬間的に妖力を放出した。霊能力者でない奴らは、弾かれはしないまでも、一秒間の空白を作る。バッグを担ぐと、体をふわりと宙へ投げた。座席の上、中腰になりながら、再度狐火を全方位に放射。虚ろな目をした狩人達は、これで戦闘不能だろう。これで五人。

「どっけえぇ!!」

叫び、左手、バスの後方に飛んだ。
奥には女が一人だけだ。こいつさえ倒せば。だが、やはり一筋縄ではいかない。狐火の残照を貫き、高速で飛来するクナイ。私のジャンプのタイミング、狐火の消えるタイミングを狙った見事すぎる投擲術。毒に濡れ、体の中心、一番避けづらい場所に飛来するクナイを、両手に作った琥珀色のソーサーで弾いた。二撃、三撃と続け様に放ってくるが、遅い。逆にソーサーを投げ返し、敵を倒す。

その瞬間、奥の窓の向こう側、倒れる行く女の背からタクシーが見えた。瞬間的な映像にも関わらず、運転手の顔まではっきりと認識できたのは、妖狐の動体視力ゆえか。ちろりと、それだけでは無いという、引っ掛かるような感覚が湧き上がる。

だが、そんな余分は直ぐに掻き消された。
滾る殺気が、熱風の様に背中を焦したからだ。即効で反転。一番奥の座席を背に、妖気を噴出させる。呼吸、若干乱れてはいるが問題ない。喘ぐ心臓を抑え、眼前を強烈に睨み付けた。だが、襲い掛かる獰猛な狩人達は沈黙している。何故。数瞬の間。運転席の近く、杖を持った女は気障ったらしく、賛辞を送ってきた。

「さすがは九尾の狐ね。私達のチームをここまで容易くあしらうなんて惚れ惚れするわ」

馬鹿が、このまま一斉に攻撃していればいいものを。
女の言葉を無視し、ヒップバッグからワルサーP99を神速で引き抜くと、冷徹な瞳で哀れな的達を見やった。

馬鹿な狩人達は咄嗟にその身を隠そうとするが、余りにも遅い。連続する小刻みな振動、耳朶を打つ炸裂音、銃身から零れる白煙。綺麗に横滑りした小柄な拳銃からは、一息の内に五発もの弾丸が撃ち出される。

大気の壁をぶち破り、音速に到達する細身の流星。妖力を込めた僅か一センチのパラベラム弾頭は、狙い違わず狩人達の肩に突き刺さる。その直後、血液が迸った。眼孔が極限まで開かれた。呻きが車内に木霊した。膝を突き、呆然とした表情でこちらを睨む狩人達。そんな無様な奴らを見て、鼻で哂った。

「Si Vis Pacem, Para Bellum」

どうやら、私はこいつらを買い被っていたようだ。
いったい誰が妖怪は拳銃を扱えない等教えたのだろう、それとも、こいつらは私がワルサーP99を使うことを知らなかったのだろうか、いずれにせよ甘いことだ。敵の技量を調べず、装備すら知らなかったであろう、憐れな狩人達いや獲物達を一瞥する。

一流かと思えばとんだ二流か。苦痛を必死に抑え、疑問符を表情に貼り付けた奴らを見て、ことさらにそう思った。妖力、霊力を付与した弾丸は、霊能力者以外が喰らうと、たとえ小口径の一発だろうが、致命傷になる。知識としては知っていたのだろうが、おそらく実際に体験したのは初めてなのだろう。

まあ、その身に埋まった9mmパラベラム弾に込められた意味を悟ることだ。“汝、平和を欲するなら、戦争に備えよ”ってね。


ずれたバッグを担ぎなおし、素早い足取りで運転席を目指した。
私の予測からすれば、あまり時間を掛けると拙い事になる。事実、バスはスピードを上げると、急かすように道路を駆けている。おそらく、そのスピードは百キロを優に超えているだろう。その余波で、車内は揺れに揺れていた。

舌打ちをする。自分の予想が正しかったからだ。杖を持ったあのリーダー格の女。あの女が、何故わざわざ余分な話をしようとしたのかを考えれば直ぐに判る。

おそらく、このバスの向かう先には、大型の捕縛結界が敷いてあるに違いない。本来なら、敵はそこで勝負を決する予定だったのだろう。だからこそ、敵は簡素な武器だけしか持っていなかった訳だし、バスの窓を嵌め殺しの上に、レベル轡ラスの防弾ガラスという強固すぎる盾を敷いていたのだ。

しかし、こんな大掛かりな罠を張るなど、事前から準備をしていなければ不可能だ。おそらく、私がバスに乗り遅れた場合、他の手段で行く場合、その他諸々の可能性全てを吟味しているであろう罠を考えると、間違いなく『殺生石』に何かが起きている。

やはり、私は捕縛される訳にはいかない。じっとりとした嫌な汗が、全身を濡らしていた。左手首に巻いてあるGショックを見る、アナログとデジタルが混同している時計は、十三時五十五分を指していた。


狭いバスの通路を進む途中、その足は強制的に止められた。
杖の女が、裂帛の気合を持って通路に立ち塞がったからだ。先程までの高圧的な態度はなく、静粛なひっそりとした雰囲気さえも醸し出す女に、私は目を疑った。これが、本当に先程までの女なのか。

杖を正眼に構えた女からは、ワルサーの弾が当たるというイメージがどうしても浮かんでこない。ワルサーをヒップバッグに戻し、油断なくバッグを下ろした。とてもじゃないが、荷物を抱えたまま戦闘を行う気にはなれない。直感がそう語っていた。

女の構え、杖の取っ手を上に、石突を手に持つその姿、それはまるで金槌を振り下ろす様に見える。その思考、瞬間的に、ぞくり、ぞくりと、根源的な何かが、脊髄を駆け上がり脳の警鐘を叩き鳴らした。余りにもリアル、余りにも本能的な恐怖は、先程までの恐怖など児戯に思える。それほどの焦燥感。呼吸が、苦しい。

仇敵を見るかのような、鋭く強い視線が私を射抜いていた。さらりと綺麗な黒髪を流し、きつめの顔立ちを強張らせる女は、間違いなく美人の範疇に入る。そんな美女が視線に怒気込めるのだ、正に迫力が違う。

しかし、それは私も一緒だろう。金色の髪を揺らめかせ、私は徒手空拳の構えを取ると、殺気を込めて相手を睨んだ。

金色の髪と漆黒の髪、髪の色だけが私達を対比しえるなか、流血する女は不意に口元を曲げた。狙った仕草ではないだろうが、その姿は怖気が来る程に妖艶だった。武は舞に通ず。死を彷彿とさせながらも美を失わないその在り様。違いようもなく、女は達人だった。

見えない緊張が、私と女との中間に収縮し大気を揺らめかせる。もはや、戦いは避けられそうにない。二人の沈黙を無視するようにバスは悠々と進んでいく。

時間がないのは、私も女も一緒だ。胸の内で盛大な舌打ちを叩き、気取られぬほどの小さな動きで、運転席の上にあるデジタル時計を見る。時刻は十三時五十六分指していた。

一分か、安心感が胸に去来し、それが完全な油断となった。
視線一つ分の隙、瞬間、女が奔った。静から動へ、一をゼロに、犬神の驚異の動体視力でも、それは完璧には捕らえられない、それほどまでの疾駆。

直感が反射的に足を動かした。ステップバックし、左手をヒップバッグに伸ばす、同時、右手で狐火を放った。だが、そんなちゃち過ぎる火は牽制にすらならない。

狐火と空気が真っ二つに断ち割られ、焦げたような幻臭が鼻につく。初撃は避けた、次は私の番。膝を曲げ、足首からの駆動で空間を侵略する。その速さは先の女にも劣るはずが無い。

だが、女は私よりも一歩早かった。だんと、車内に轟音が響く。恐怖が全身を貫いた。新たに踏み込まれた左足、地面からの反発力、震脚を用いた、壮絶な振り上げ。燕返し。それは、獲物に飛び掛る蛇の顎。硬そうな杖、痛そうだなと思った。

世界の色が失われ、意識は真っ白に漂白された。脳裏には白いまっさらなキャンパス。そこに写るのは、無様に打ち倒された自分。独り冷たくなった自分。独り朽ち逝く自分。独り、独り、独り、独り、独り。

――――――――イヤダ。

本能が、直感が、体を勝手に開かせた。眼前に疾風が走りぬける。
一瞬の静寂。見詰め合い、透き通った瞳が私を睨む。女の顔には驚愕がこべりついていた。

その隙を逃さず、私は崩れたバランスを無視し、構えなど何も無く、ただ怒れる感情に任せ、思いっきり女の腹をぶん殴った。

呻き、腹を抑え後退する女を見て、漸く理性に色が戻る。はっとし、女が追撃に移る前に私も即座に後退。左手に握り込んだ塊のピンを外し眼前に放る。ヒップバッグから取り出した、切り札の一つ、閃光音響手榴弾、通称スタングレネード。

瞬き一つ、女は急ぎ肉薄せんとするが、甘い。今度こそ私の本領、狐火を放つ。妖力を多大に含んだ狐火は、大気を貪り、灼熱の炎を型作る。全てを焼き尽くす業火は、スタングレネードもろとも、女を焼き尽くすに違いない。

にやりと、勝利を確信した。だが、その笑みは直ぐに凍ることになる。女の杖の一振りで、狐火は一瞬にして消失したのだ。そんな馬鹿な。今度は、私の顔に驚愕がこべりつく番だった。だが、くそっ。呆然としている場合ではない、女は間に合わなかったのだ。

視線が交錯する。視覚と聴覚の感覚を一時的にカットし、耳にはソーサーの小型版を貼り付ける。直後、世界が閃光と轟音に埋め尽くされた。響くブレーキ音、激動する車体。光に満ちた車内、視覚など全く頼りにならない状況で、私は嗅覚の命ずるままにワルサーを二発撃ち放つ。当たった気配は無いが、女の気配、匂いは、右の座席に潜り込んだ。

左の座席の上に飛び乗ると、身を屈め背凭れを足場に駆け抜ける。これが、ラストチャンスだ。女が隠れた辺りに弾丸を撃ち込みながら、通路に落ちたバッグを変化させた右手で掴み取ると、即座に戻して肩に担ぐ。運転席までもう少し。足を速め、漸く運転席に辿り着くと、そこにはグレネードのショックを受け呆然とした運転手が座っていた。そいつを、噛り付くようにしてどかす。

バックミラーで見ていたのだろう、運転手はブレーキを掛けた時点で気を飛ばしていた。車内に満ちた極限の緊張感のなか、命を磨り減らすような運転をしていたのだ。バスを横転させなかった時点で、賞賛を贈るべきだろう。そのおかげで、私はこうして安全に車外に出られるのだから。

残弾数の少ないワルサーを撃ちながら、焦る手を懸命に抑え、運転手側の唯一開く窓を思いっきり開いた。濃密な、深い緑の匂いがとても気持ちいい。

ラストのパラベラム弾を通路に撃つと、私は身を翻し、狭いが広大な世界が広がる窓へ向かって大きく飛んだ。

空がとても広い。空気が美味しい。最高だ。
若干の浮遊感を感じる中、澄んだ空気が体全体を包み込む。存分な開放感を感じ、叫び出したい衝動に駆られた。

アスファルトの上に着地し、その硬い感触が脱出したという達成感をより一層大きくする。無論、喜びを噛み締めるのは後の話だ、私は深々たる森の中に駆け込んだ。


「やる気、無くなるわ」

森の中に入ってから数分後、疾走する足を止め、私は呟いた。
今日、何度目になるか判らない危険信号を認めたからだ。全身に漂うちりちりとした焦燥感。ほんと嫌になる。べっとりとした肌着が気持ち悪かった。

「で、いい加減出てきたらどうなの?」

うんざりした様な、呆れた様な声を中空に発する。
正直、私はよくやったと思う。声を微かにでも震わせなかった事を褒めたい気分だった。余裕ぶった声色は擬態もいいところ、私は既に窮地に立っているに等しい。

妖狐でなければ、おそらく気づけない程の微細な負の気配。純粋な第六感による予知は、敏感な嗅覚以上に危険感知に関しては信頼できる。だが、それでもここは、雑多な乱雑な臭いが立ち込める都会ではない、私のホームと言える森なのだ。それなのに、嗅覚になんの匂いも嗅ぎ取らせないなんて出鱈目もいいところ。敵は私の想像以上の達人らしい。

発言からおよそ二十秒ほどか、反応は全く返ってこない。いい加減、走り出そうかと思ったその時だった。つい最近どこかで聞いた、柔らかな声が木々の間から風のざわめきと共に流れてきた。

「お客さん。私、今暇してるんですよ。どうですか、何処か近くのうどん屋さんに行って、一緒に食事でもしませんか?」
「残念ね。私は既に昼食は済ませてるの。それに、顔も見せない相手と食事なんか行きたくないわ」
「そうですか。それでは、ディナー等どうでしょうか?顔を見せればご検討して貰えるのでしょう」
「………顔を見せればね」

この声に、この口調。どこに居るのかは、相変わらずさっぱりだが、相手の正体は脳裏に浮かんだ。どうやら、私は随分前からマークされていたらしい。これは、大事になりそうだと人事みたいに思った。

ややあって、敵は真正面の樹の裏から、溶けるようにすぅと現れた。朝の時とは違う、蜃気楼の様な、漠然とした雰囲気を持つ男は、気安い口調で言ってきた。

「久方ぶりですね。今ならタクシーの運賃、お安くしときますよ」

やはり、今日の朝に会った、あのタクシー運転手だった。
驚きを表に出さないよう顔を強張らせる私とは対照的に、男、青年は何が楽しいのか、にこにことした表情をしている。童顔でモデルでも十分やっていける程の甘い美貌を持つ青年は、今更ながらに、タクシー運転手とは思えない。自分の迂闊さに腹が立った。

「そう、でも遠慮しておくわ。人をタクシーで追い掛け回すようなストーカーと、一緒に居たくないの」

「気付いてたんですか?僕がタクシーで付いてきてたこと」

「奥の窓から見えたのよ、あんたがタクシーを運転してるところ。というか、あんた馬鹿じゃないの。わざわざこの辺のタクシーをぶん獲ってまで、タクシー運転手に成りすますなんて」

「失敬な。一つ言わして貰いますが、僕の本職は真面目にタクシー運転手なんです。だから、この服装も自前。別に成りすましてるわけじゃないんですよ」

「………なお更、馬鹿でしょ。あんた」

「まあ、馬鹿というのは否定しません。副業とはいえ、女性を追い掛け回しているんですから。けれど、………僕は本気です。タクシーでバスを追っかけたのも、伊達や酔狂ではなく、それがあの時は一番合理的だったから。駅の近くには確実にタクシーが居ますからね。……それで、僕の本気伝わりましたか?」

「ええ、伝わったわ。それで、陳腐な決まり文句が出る前に言っとくわ。私は大人しく捕まるつもりはない。………私の本気、伝わったかしら」

「伝わりましたよ、十分に」

青年は微笑を苦笑に変えると、残念そうに頷いた。その立ち振る舞いにも、一切の隙はない。こっちは口をからからにしているのに、全く持って理不尽だ。

「それじゃ、仕方ないですよね。一応、約束してるんですよ」
「それじゃ、仕方ないわよね」

言葉と共に漲る程の殺気を叩き付ける。だが、そんなもの青年には春の木枯らし程度のものらしい。青年は何も崩さなかった。表情は相変わらず優しい微笑みのまま、自身すら森の一部、自然だと言うような、完璧すぎる自然体。鳥肌が立った。

「ええ、本当に」

優しい包み込むような声色だった。
とんと、首筋に軽いが鋭い衝撃が走る。それが、手刀による攻撃と気づいたのは後になってからだ。膝が崩れ落ちる。どうやって?と疑問符だけがちらついた。言葉さえ出ない。私は青年から片時も目を離してはいないし、事実、青年は一歩も動いていない。それなのに何故、青年は私の直ぐ後ろに居るのだろう。凭れるように、私は意識を刈り取った者に抱きついた。

青年のベストを反射的に掴み、倒れこむのを一秒でも遅くする。意識が消え去る間際、ベストの裏に止められた漆黒のバッジが目に留まる。菊花の前に剣が描かれた簡素なもの。だが、これは………

「……て、んのう家………」

意識が飛んでいく。かろうじて繋ぎ止めていた一筋の糸も切れた。
膝を突き、咎を待つ罪人の様に顔を上げる。最後、閉じ行く瞳が映したのものは、淡い燐光。

青年の双眸は、青い光に染められていた。
それは何故か、とても綺麗で儚い、悲しい色に見えた。

やがて、その青を包み込むように、黒々としものが周囲を侵食する。混濁する世界で青い光だけが印象に残った。

仄かな燐光を残して、私の意識は消え去った。


あとがき
GS勢タマモのみ。
またしてもある意味暴挙な二話目。本編でも主人公は五話目までセリフすら無いので、問題は、無いといいですね?

では、レス返しです。
Sign様
お褒めの言葉、真にありがとうございます。今回の話は九割方タマモの一人称ですから、そう言って貰えると嬉しい限りです。テンポに関しては、今回もちょっと重いです。もっと軽く書ければと思います。

静かなねこ様
ありがとうございます。
自分の前に書いたもの見直すと、正直ひどいと言えるところが沢山あるので恥ずかしいです。ただ、今も成長したかといえば微妙ですが!特に更新速度とか。ともかく、楽しんで頂いていれば幸いです。

とり様
今回の外伝は、本編で今後出てくるであろう、差異というか疑問をなるべく取り払うものですので、そういう意味では完全な外伝では無いのかもしれません。本編もちらほら書いているので、気長にお待ちくれると助かります。

ここまで長々とした文章をお読み頂き、どうもありがとうございました。

それでは、九十九でした。

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