本免許が発行され、自分で仕事を取れるようになったので横島はエミの事務所を辞めた。だがそこは横島、恩義を感じているので何かあったら呼んでくださいといって辞めた。ちなみにそのことを美神に言わなかったのは、確実にほぼ毎日呼び出しを食らうためである。
そして本免許が発行されてから横島は定期的(1週間に1,2回。全て休日)に仕事をこなした。仕事をする理由は金銭面的なことではなく、顧客離れを回避するためである(エミのところで有名になったので顧客が付いた)。この世界は信用第一というだけあって顧客離れはかなりの痛手なので横島とルシオラはこの辺は徹底的に気をつけた。そんなふうに除霊をこなし修行と治療を行っているうちに季節は秋になっていた。
蛍と眼とあなたと・・・
第10話 各々方の閑話休題的な日常?
そしてこの日もお得意様の依頼で紅葉狩りの遊歩道に出没する霊の除霊をしていた。内容はこの遊歩道で紅葉狩りを楽しんでいたら心臓発作で突然死してしまい、自分が死んだことを理解できていない霊の説得というものであり、横島とルシオラの手に掛かればすぐに終わってしまうものであった。なので、カオスチームはお留守番。マリアは寂しそうな表情をし、横島はちょっぴり良心が傷んだという。ちなみに依頼料は雀の涙程度(この世界では雀の涙だが一般的には鯨の涙といえる)だったがついでに紅葉狩りも楽しもうというルシオラの提案により受けていた。どちらかというと除霊がついでに見えるが・・・
そんな『ついで』感覚の除霊はアッサリ終了した。
「話の通じる霊で助かったよ。おかげで文珠を使わないですんだし。なにより本人が納得して成仏できたしな」
横島は今回の結果に満足そうである。元々横島は争いごとが好きではないので話し合いですむならそれにこしたことはないのであった。
「ところで仕事は早めに終ったけどこれからどうすんだ?」
予想以上に早くに仕事が終ってしまったので横島はこのあとどうするかをルシオラに尋ねた。
「心眼と話してみたけど、この近くに滝があるみたいだから行ってみない?」
ルシオラの提案に横島は反対する理由もないので、
「んじゃ、早速行ってみようぜ」
一行は滝へと向かった。
「へぇ、そんなにでかくないけど綺麗な滝だな」
「うむ、しかも地脈からの影響もでかくかなりの霊力が流れている。この場にいるだけでもいい影響を受けられるぞ」
心眼は満足そうに滝を見ている。
「最近休日はゆっくりする暇もなかったし、ここで少し休まない?仕事の報告は今携帯で済ましたし」
「そうだな、たまにはゆっくりするのもいいな」
横島はすぐに横になろうとしたがルシオラに釣竿を渡される。しかもこの釣竿についている釣り針はまっすぐなただの針に見える・・・なぜか金色で魔力を感じるのは置いといて・・・
「これを滝付近で垂らしていれば地脈から自動的に力を吸い取るから霊的中枢区の治療に当てられるの。さ、がんばって力を釣り上げるのよ」
「がんばっても何もただ垂らしてりゃいいんだろ?」
横島のその問いにルシオラは、
「そんな心構えじゃ、龍を釣り上げることは出来ないわよ」
ルシオラ姐さん、あなたは横島を仙界にいかしいたのですか?
「よくわからんがとりあえず難しいことを考えず垂らしているよ・・・」
横島は胡坐をかいて座った。そこにルシオラが、
「じゃあ、私はヨコシマの膝枕で寝ているから」
ルシオラはそういうと寝てしまった。ついでに心眼も。残されたのは釣竿をもった横島のみ。
「・・・それにしてもこんな穏やかに過ごせる日が来るなんて考えもしなかったな」
横島はルシオラの寝顔を見ながら呟いた。数ヶ月前までは美神のところで前線(たまに文字通り盾にされたり)で除霊したり、セクハラして美神の折檻受けたり、黒いおキヌちゃんの存在に気づき始めたり、シロのフルマラソンに付き合わされたり、タマモにきつねうどん奢らされたり、ヒノメのお守りの最中に燃やされたりと平穏とは程遠かった。
「なんか思い出したらブルーな気分に浸れるな・・・」
横島の顔に縦線が走る。
「でも今はこうやってルシオラといられる・・・もう二度と失ってたまるか。ルシオラは俺が絶対に守る・・・」
横島はルシオラの頬に触りながら心に誓った。ちなみにルシオラの頬は赤くなっていた。理由は・・・・・・言わぬが華ということで。
西条の1日〜もう諦めたら?〜
横島が美神のことをすっぱり諦めたので西条は非常に明るく美神のところに向かっていた。異常に明るいのはそれだけではないと思うが。明るく振舞っていないとやっていられないことがあったのだろう(ヒント:阿部さんで『アッー』な展開)
「やぁ、令子ちゃんおはよ・・・」
西条の挨拶は途中で消えた。なにせ中には夜叉が二人いたのだから・・・
「あら、西条さんいいところに」
西条にとってはバッドタイミングなところに。
「とりあえずゆっくりしていってください」
西条は今すぐにでも回れ右をしたい。ちなみにシロはストレスで里に一時帰還しており、タマモと妹二人は屋根裏部屋で結界を張り退避している。
「ハハハハ、ドウシタノカナフタリトモ」
西条は片言になっている。
「横島について話し合いたいことがあるのよ」
「もちろん相談に乗ってくれますよね?」
西条に選択権はなかった。そのまま椅子に縛り付けられ会議に強制参加・・・西条のライフポイントは0である
そのころの唐巣神父
「はぁ、最近ピート君の様子はおかしいし、美智恵君は連絡が取れないし、令子君にいたっては近づける雰囲気じゃない。いったい何が起きているんだろうねぇ」
唐巣がそんなふうに愚痴っていると唐巣の最近広くなってきた額が《ピキーン》と光り、
「む・・・今度西条君に私の常備薬セットを送ったほうがいい気が・・・」
ちなみにその常備薬セットの内訳は、育毛剤・発毛剤・増毛剤・鎮静薬・冷○ピタ・睡眠薬などである・・・西条は晴れて『苦労人』認定された。
ピート君の一日〜横島を狙う薔薇は悪・即・斬〜
横島がルシオラと紅葉狩りを知ったピートは、
「な、なんて羨ましい・・・そうだ今度タイガーたちをダシに使って横島さんを遊びに誘って・・・」
ピートがそんなことを考えていたら、
プスッ
「うっ」
ピートは背後から麻酔を打たれて倒れた。
「・・・それでは今から『再調整』を始めます・・・」
そこは薄暗い地下の一室。なにか怪しい機械が置いてある。そしてその地下室には蛍神魔、アンドロイド姉妹、褐色の呪い師がいた・・・
「テレサ、メス」
「・・・はい」
メスによってピートの頭はピーされた。
「マリア、針」
「Yes、ミスルシオラ」
渡された針によりピートのプビーはズキューンされ、
クチュッ、クチュッ
「アッ・・・アッ・・・」
映像がお見せできないのが残念なことこの上ない。まぁ、雑誌に載せたら確実にジャ○プ名物編集海苔が張られる映像である。
「では最後にエミさん御願いします・・・」
「ピート、今その呪縛から解き放ってあげるワケ・・・」
なにか怪しい呪文を唱えながら針に向かって霊力が放出された。
数日後、そこには元気になったピートの姿が、
「エミさーん!!!」
「ピートー!!!」
二人は抱き合い、
「「ラーブッ!!!!!」」
・・・ピートよ、強く生きてくれ・・・
美智恵さんと百合子さんの一日〜仁義なきGMsの戦いと旦那様方〜
そこは現在使用されていないアメリカの港にある倉庫。そこで一人の女が息を殺して、銃を構えて壁に隠れている。女の名前は美神美智恵、オカルトGメン日本支部支部長を務める、敏腕GS。そんな彼女は今追い詰められている・・・
「フウ、フウ、フウ・・・撒けたかしら?」
美智恵は壁から顔を出し様子を伺おうとした。その瞬間、
パスッ、パスッ、パスッ
「!」
「まさかこの程度で撒けたと思っているのかしら?だったらインドの菓子店で売っている洋菓子よりも甘いわよ?」
追っ手の名前は横島百合子。関西最強のおかんである。そして百合子は確実に美智恵の位置をつかんでいる。しかし銃弾の発射方向から美智恵も百合子の位置をつかむことができた。
(こんなに追いつめられるのはアシュタロス事件・・・いやハーピーのとき以来かしら?)
美智恵はこの状況を心のどこかで楽しんでいる。久し振りに味わう孤独の中での命を賭けての戦い・・・しかも一流GSである自分を追い詰めるほどの猛者。美智恵はどこからかペンダントを出し中の家族写真を見る。
(待っていてね、みんな、必ず生きて帰るわ・・・)
美智恵さんそれはあかん!死亡フラグやで!あまりにもお約束すぎますがな!
(この状況下では隠れているのは無駄ね・・・ならば!)
美智恵は百合子の位置を確認し、銃を捨て神通棍を両手に構える。
「美神家に負けはないのよ!」
美智恵はすばやく相手との距離をつめ神通棍を相手に叩き込む。だがそれを百合子は軍用ナイフ(大樹が新たにゲリラから取り上げた49人を殺した業物)で防ぐ。
「美神家だが何だが知らないけどこっちは一人息子を殺されかけたのよ!そんな奴に負けられるわけ・・・ないでしょうが!!!」
美智恵と百合子の戦いはこの後もエスカレートし美智恵は原子力潜水艦を持ち出しあの魔方陣を使い最強モード(しかも竜の牙付き)になり、百合子は南武グループの研究資料と研究員をすばやく入手し決戦兵鬼(中には数百メートル級のバスターなマシンや艦をもたた切ってくれそうな刀を構えたダイナミックな特機などが確認されている)を製造させ投入し、プチ第三次世界大戦がおきたというがそれはまた別のお話。
そのころのナルニアにいる横島大樹
「・・・いつかえって来るんだ、百合子は?」
いつまでたっても帰ってこない妻を心配そうに待って・・
「帰ってくる時期がわからんと下手に浮気できんな・・・」
訂正、全然心配していません。
そんなふうに愚痴っているとチャイムが鳴る。
「はーい、誰ですか」
大樹がドアを開けると鉄仮面をつけた男がいた。
「すいませんが水をいっぱいくれませんか?」
鉄仮面をつけた男がそう頼むと大樹は、
「(その仮面はずせば幾分か涼しかろうに)ちょっと待ってください」
大樹はそういうとミネラルウォーターをコップに注ぎ手渡す。
「いやー、すいませんね」
男は手渡されたコップの水を一気に飲み干す。
「いえいえ、ところであなたはいったいどんな職業の人で?もしかしてGSとか」
「いえ妻はGSですが、僕は大学の教授をやっていて動物行動学を専攻に研究しているんですよ」
大樹はふと頭の中に一人の男の名前がよぎった。
「もしかして美神公彦教授ですか?」
「おや、知っていたんですか?」
大樹がどうして男の名前を知っていたかというと、東都大学に美人な奥さん(ここが重要)を持つ鉄仮面をつけた風変わりな動物行動学の教授がいるという情報が耳に入っていたからである。
このあと二人はしばらく話し、最近妻と連絡が取れないという同じ境遇で盛り上がりすっかり意気投合し二人で飲みに行ったという。そのとき公彦は自分の能力をうっかり話してしまったが大樹は全然気にする様子はなかった。流石はあの横島の父親をやっているだけはある。そんなこともあり二人は奇妙な友情で結ばれた。
こんなふうに旦那同士は友人関係になっているのに奥様方は殺し合い・・・人生何があるかわかったものではない。
あとがき
やっとレポート・期末考査が終わってSSを更新できて一安心です。とりあえず夏休み中はがんばって更新したいなと考えています。
それではレス返し
放浪の道化師様
>西条〜!うしろ〜〜〜〜〜〜!!!
西条の心に金ダライが嵐のごとく落ちました・・・合掌
>って、最終的に都市伝説化ですかい!?
彼にはまだやってもらう仕事が残っていますので・・・
アミーゴ様
>自給千円て……もっと値上げしろ!
大丈夫です、ほとんど横島は自力で除霊したのですごい量の金を稼ぎました。それに元々数ヶ月ぐらいでやめる予定だったのでそんなに時給は高く出来ないと思いますし・・・
>ピートよ、お前はどこへ行く……。
たどり着いたのは「アッーーー」ではなく「アッ・・・アッ・・・」でした。
February様
>あと、ピート・・・ルッシーに再調整を食らわんようにな・・・
February様の祈りもむなしく彼は再調整を食らいましたとさ・・・めでたし、めでたし♪
>「霊波刀」は主に人狼族が使う「霊能」なので、「霊力のこもった刀」なら「霊刀」にしたほうがよろしいかと・・・
これは実は普通にミスって霊波刀って書いてしまっただけで、本当は霊刀って書いていたつもりだったんです。すいません。
HAPPYEND至上主義者様
>今後の展開次第ではもっともっと楽しくなる可能性を秘めた作品だと思います。これからも頑張ってください。
そのような激励の御言葉が執筆活動の原動力になるので本当にうれしいです。あと2,3話したら急展開を起こしたいなと考えていますのでご期待を。
>……もしかして、虹の裏側の格闘ゲームをご存知ですか?
えっと、すいませんオンラインゲームやパソコンゲームはやっていないのでわかりません。
通りすがり様
>それにしても西条哀れ・・・文殊の忘もすぐに解けそうなトラウマモノですな(笑)
今の彼には思い出している暇はなかったりします・・・禿予備軍の一軍ですから♪
>それにしても作者様、某大手掲示板というよりもにっこりした動画サイトの影響受けてませんか?^^;;
実は登録したのにログインできないという謎な状況で全然見ていません(涙)
(´ω`)様
>しかしっ!西条氏にはあの冥台詞を吐いて欲しかったっ!
>アッーーーーー!
吐かせるのを忘れていました・・・
>……すいません、巣に還ります……
しかしその巣の中にはすでに勘九郎が・・・逃げるんだー、遠くへ!