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「ちびタマモ おまけ(GS)」

テイル (2007-07-28 00:19/2007-07-28 00:27)
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 わたくしの捧げ物に一杯の挿絵が付きました。
 たかす様、感謝感謝でございます。

 というわけで、調子に乗ってみました。平にご容赦……。


 某月某日朝。横島がタマモにナニしてから翌日のこと。
「というわけで、タマモがベッドから一歩も出ないんでござるよ。いつものぐーたらとはやっぱり違うでござるし……」
 横島のアパートの前でシロは心配そうな表情を浮かべていた。いつもはいがみ合っていても、それでもタマモは仲間なのだ。あそこまで様子がおかしいとやはり心配だった。
 そもそもの原因は、昨日タマモと横島の間にあった何事かだろう。具体的なことをシロは知らないが、原因であることは間違いないはずだ。ならばその詳細を知る横島ならば、あのタマモを何とか出来るかもしれない。
 本当は何があったか聞きたい欲求を押さえつけ、シロは横島に頼み込む。
「お二人の間に何があったのか……それはもういいでござる。だから先生、お願いでござる。タマモを何とかして欲しいでござるよ。美神殿も、おキヌ殿もそう望んでいるでござる」
「み、美神さんと……おキヌちゃんも……?」
 しゃがみ込んだシロの足下で、俯せに息も絶え絶えだった横島が、震えるように口を開いた。
 シロが元気に頷く。
「はいでござる。昨日先生と出かけたことを話したでござるから、お二人も先生が何とかしてくれることを期待しているでござるよ!」
 横島のただでさえ青い顔が、みるみるさらに青くなる。
 シロは横島のその顔色に気づいて、にっこりとした笑みを浮かべた。
「それじゃ先生、拙者は先に帰るでござるから、早く来て欲しいでござるよ」
 フルマラソンの三倍の距離をオサンポさせられ、倒れ伏す横島をそこにおいて……シロはしっぽを振り振り去って行く。


 某月某日昼。
「遅いわぁぁっ!」
 百キロを超えるマラソンの疲れを押して、やっとこさ事務所に訪れた横島。そこに待っていたのは問答無用のアッパーカットだった。
 地面すれすれから放たれたそのアッパーは横島の顎を真下から捉え、そのまま天をも突けとばかりに打ち抜かれる。宙を舞う横島。そこにアッパーを放った主がさらに追撃。空中の横島に飛びつくと、受け身を取れないように腕を足で極めつつパワーボム。
 事務所がずしんと縦に揺れた。
「シロが今日の朝に伝えに行ったでしょうがっ! それから何時間経ってると思ってんの!? 呼んだらすぐに来んかっ!! 聞いてんのかっ!」
 床に刺さったまま無言の横島に対して、美神はさらに怒鳴り散らす。
 見かねたようにおキヌが割って入った。
「まあまあ美神さんそれぐらいで。そろそろ仕事の時間ですし」
「おキヌちゃん……甘いわよ」
「でもまあ、わたしもそろそろ実習の時間ですし……」
「むうう」
 おキヌの言葉に呻きつつ、美神は時計に目を向ける。
 確かに時間はなかった。そろそろ依頼人と会う時間だし、おキヌも六道女学院の実習でそろそろ出なくてはならない。
 怒鳴り足りないが、仕方がなかった。
「横島くん! タマモを何とかしなさいよ!」
 美神は鼻息も荒く背を向けると、用意していたバックとシロの手を握った。
「え、あ? 美神殿?」
「まったく。本当ならシロタマ両方連れて行く予定だったのに……」
 戸惑うシロに頓着せず、ぶつくさ言いながら美神は部屋から出て行く。
 ぽかんとした表情のまま引きずられてシロの、聞いていないでござるよぅ〜、という声が遠く聞こえた。
「大丈夫ですか、横島さん」
 横島の手を引いて起きる手助けをしながらおキヌは言う。
「今日の依頼は犬神の力がとても有用だったとか。それなのにタマモちゃんはあれだったから、それで美神さんは荒れていて」
「おキヌちゃん……」
「私もそろそろ出かけなくちゃ。横島さん、タマモちゃんのことをお願いします」
 おキヌはにこりと笑うと扉の前まで歩き、そこで振り返った。
「横島さん。タマモちゃん、昨日から何も食べていないんです。冷蔵庫にご飯の準備がしてあります。おうどんは茹でればいいだけですからね」
 それじゃあ。優しげな笑みを残しておキヌは出かけていった。

 あとで横島が冷蔵庫を覗いてみると、タマモ用としてきつねうどん一式が、横島用としてカップ麺が一個入っていた。
 その場で横島が崩れ落ちる様を、人工幽霊壱号だけが見ていたという。


 そして、屋根裏部屋。
「えーっと」
 こんもりと膨らんだ毛布を見ながら、横島は頬を掻いた
 横島が部屋に入った時、毛布は一瞬だけ激しく揺れた。しかしそれだけだ。それ以降横島がベッドの端に座っても、毛布越しに軽く手を当てても、タマモはなんの反応も示さない。何度か謝りもしたが、それでも同じだ。
 しかし全く無視されているわけでも無いことは横島もわかっていた。毛布越しにタマモの意識がこちらを向いていることを感じていたからだ。
「なあタマモー。どうすれば許してくれるんだ?」
 横島は溜息をついた。
「確かに昨日はやりすぎたよ。暴走した。お前の気持ちも考えずに悪いことしたよ」
 反応なし。
「でもほら、なんというか昨日のお前はこう、妙な魅力があってさ」
 言い訳のように付け加えた言葉に、タマモの毛布がかすかに揺れた。それを横島は見逃さなかった。
 手応え有り。そう判断した横島は、さらに言葉を続けてみる。
「ほら、なんてったって昨日のタマモは滅茶苦茶可愛くてだな。いやぁ、本当に可愛かった」
 可愛いという言葉に反応しているのか、タマモがかぶった毛布がゆらゆらと揺れる。
「なんであんなに可愛かったんだろうな。こう脳みそがとろけるような感じになっちまってさ、思わず抱きしめちまったんだ」
 毛布、揺れまくる。反応は良好。
 しかしそのタマモの反応と引き替えに、横島の顔が段々と朱に染まっていく。
 横島は自分の言葉に照れていた。
「いやぁ、お前を抱きしめている時は幸せだったなぁ。温かいし柔らかいし良い匂いもするし……。そりゃ頬ずりもするしキスだって……しちゃったよなぁそういえば」
 毛布、噴火寸前の火山のごとく揺れる。
 横島、そろそろ自分で口にしていることで自分が追い込まれる。
「つ、つまりだな、えーと」
 真っ赤な顔でなんとか言葉を紡ごうとする横島。しかしそろそろ限界だった。
「………」
「………」
 両者、しばしの沈黙。
 しばらくの後、我慢できないように立ち上がったのは横島だった。
「タマモっ、そろそろ顔見せてくれよ! もう限界じゃあ!」
 自分の言葉に照れまくった横島は、照れ隠しをするかのようにタマモの毛布を剥いだ。
 そこに現れたのは、あられもない姿のタマモ。
「あ……う……」
 タマモは普段通りの姿をしていた。普段通りの身体に……昨日身につけていた小さなワンピースを着ていた。
 当然のように胸もお尻もワンピースからはみ出し、特に下半身は丸出しも同然。目に眩しいほどの真っ白なショーツが横島の目に飛び込んでくる。
「タ、タマモ……」
 タマモは、顔はおろか身体ごと真っ赤に染まっていた。そして若干涙ぐんだ瞳で、毛布を剥いだ横島を見上げている。
 両者、そのまま微動だにせぬまま石像と化す。
 やがてタマモが、涙声で呟く。
「は、恥ずかし、よぅ」
 その瞬間、横島は頭の中で何かがぷつんと切れる音を聞いた。それは昨日も聞いた音。しかし昨日よりも遙かに大きな音。
 図らずも横島の口から言葉が漏れる。それは昨日口にした言葉とほぼ同じもの。
 ……あくまでほぼ。
「そうだよな。俺はロリじゃない。その証拠に子供を抱きたいとか、いたずらしたいとか思わんし」
 手にしていた毛布をばさりと落とし、横島はゆらりとタマモと距離を詰める。
「よこしま……?」
 自分にのしかかるかのように近づいてくる横島に、タマモは動けない。動こうという気にもならない。ただ横島から伝わる熱にあてられたかのように、脳みそが茹で上がっていく。
 それを知ってか知らずか、横島はほぼタマモとの距離をゼロにするまで近づくと、そのままタマモの耳元で最後の言葉を紡いだ。
「そう、俺はロリじゃない。タマモに官能的な魅力を感じるのも、それは相手がタマモだからだ。タマモだから、こんな気分になるんだ……」
 そして横島は………。


 その日の夜。
 美神達が事務所に戻ってくると、そこに横島の姿はなかった。残されていたのは、ベッドの上で放心したかのように天井をぼおっと見つめるタマモだけ。
 明らかに昨夜よりも重傷の姿に、美神は人工幽霊壱号に報告を求めた。しかし人工幽霊壱号は何故か頑なにオーナーである美神の要求を退けたという。最もその事実自体が、重大な何かが起きたことを示唆しているのは言うまでもない。
 どちらにしろ、翌日が横島の命日になりそうなのは間違いなかった。


 あとがき。
 簡単ではございますが、おまけの後日談です。
 お粗末様でございました。

 追伸。
 要脳内妄想です。お許しあれ。

なお言うまでもなく、たかす様の挿絵その6を参考にしております。

 

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