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「光は体の中で 5(GS)」

一夜 (2007-06-26 23:30)
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夜が開け朝もやも晴れた時間、斉天大聖は横島がいる部屋の前に居た。

「横島、起きておるか?」
「は、はい」

 横島の『はい』と言う返事に斉天大聖は違和感を覚えたが特に気にせず言葉を継いだ。

「話がある。入るぞ」
「いや、ちょっと待って」

 横島の言葉を聞き流し部屋の扉を開けた斉天大聖は目に写ったのは布団にくるまって寝ている令子だった。

「やれやれ……」
「勘違いすんじゃねぇぞ、!」
「せんよ。励ましに来ただけじゃろ。キヌもおるからの」

 ため息と共に発せられたその言葉に毒気を抜かれた横島は話を元に戻すことにした。

「……で、話って何だよ」
「なに、今日これからの予定を話に来ただけじゃ」
「予定?」
「お主此処に何をしに来たか覚えてるか?」
「……文珠か」
「うむ。 なぜお主が文珠を作れないのか調べる。」
「え?」
「子がおるからって理由だけじゃ不自然じゃ。それが一体どういった風にお主に影響与えておるのか……それがわかれば、またすぐに文珠が作れるようになるかもしれん」
「……そっか」

 (文珠が使えても……多分それじゃ、ルシオラは救えないよなぁ)

「もしかしたら……ルシオラも、どうにかなるかもしれん」

 意外な言葉に横島の目が開く。しかし斉天大聖は首を横に振る。

「可能性は薄い……期待はするな。」
「じゃぁ何でそんな事言うんだよ」
「お主のやる気が上がるかと思っただけじゃ」
「……なら、世界中の裸の美女を集めて持って来いってんだよ」
「お主も変わらんの」
「うるせぇ」
「……まぁよいわ……そういうわけじゃ、すぐに準備せい」
「いえっさぁ!」

 ワザとおどける横島を見て斉天大聖は やれやれと少し呆れる。

 (……こやつなりに、気を使っとるんじゃな)

「美神も、キヌ起こして来い。一時間後に道場じゃ。」
「……わかったわよ。」

 起きてる事がばれた令子は、バツが悪そうに布団から起き上がった。


 二人に告げ、一足先に部屋をでたそこに小竜姫がいた。

「老師」
「おぉ、戻ってきておったか」

 二人は話しながら修行場の方へ歩きなが話を進めた。


「はい。道真殿に会ってまいりました」
「うむ、で返事は?」
「これを預かってまいりました」

 小竜姫は斉天大聖に本を渡した。

「これは?」
「中に、文珠の記載があるらしいです」
「……それだけか?」
「はい。」

 斉天大聖の顔に焦りが浮かぶ。 

「……精製方法は?」
「知らないとの事です。」
「なんじゃとぉ!!」
「な、何でも神界から支給されてるそうです」
「神界からじゃと?」

 そう言うと、考え込む斉天大聖をびくびくと小竜姫は覗き込む

「……いや、あいつは文字が違うよのぉ……」
「あの……」
「まぁよいわ。」

 考えることをやめた斉天大聖は小竜姫に向き直る。 

「ご苦労であった小竜姫。 ゆっくり休め。」
「いえ、今から横島さんの修行があるのでしょ? 」
「修行ではないが……聞いておったのか。」
「はい。休むのはその後にします。」
「何で人間一人にそこまでするかのぉ」
「斉天大聖様こそ。」

 そういうと、二人はどちらからとも無く笑い出した。 


 あれから一時間後、修行場におとずれた三人を待っていたのは小竜姫だけだった。

「あれ? 小竜姫様だけですか?」
「はい、老師は今部屋にいます。」
「何よ、自分が一時間後って言っておいて」
「何か準備してるのですか?」
「さぁ……私にもわからないのですが……」
「役に立たないわね」
「誰が役立たずですかぁ!」

 小竜姫の怒声が響き渡る。

「すぐにカッとなって、それでも武神か」

 それをたしなめたのはいつの間にかその場にトランクを持って現れた斉天大聖だった。

「……すみません。(だって人が寝ないで福岡からトンボ帰りしてきたってのにひどいじゃないですか……)」

 一人で、いじける小竜姫を放っておき、斉天大聖が話を勝手に進める。
「さて、じゃぁやるかのう、横島」
「おう」
「まぁ、今からやるのは修行ではない。言わばお主の霊はの質と量の検査じゃ。別に命に関わる事もないから安心せい」
「具体的に何をやるんだ?」
「まずは、今文珠は出せるか?」
「ストックしてるやつなら出せるけど。」
「じゃぁ、一つ出せ」
「おう」

 そういうと横島は一つ文珠を渡す。
 それを受け取った老師は紙を一枚取り出し地面に敷くとそこに文珠をおいた。
 すると、菜箸程度の大きさの如意棒を手に出現させると、一気に文珠を突き粉々にする。

「なにすんのよぉ!」
「いいから、見ておけ」

 そう言うとトランクからバーナーを取り出し火を付けると、そこに粉々になった文珠をふりかけると、文珠が黄色い光を帯びた火の粉となる。

「へぇ……」
「何か炎色反応みたいですねぇ」
「まぁ似たようなもんじゃな。こうやって霊気の質をみるんじゃ」
「で、どういうことがわかったの」
「ふむ……ほとんどが人間の霊気で出来ておるが……少し魔力が混じっておるようじゃ」
「そうなの?」
「ふむ。いくつか青い炎が出たからのう」
「見えなかったわよ?」

 斉天大聖は耳のイヤリングを指差した。

「これで、見えたんじゃよ。」

 それ見て令子は一つの疑問を覚えた。

「そういえばヒャクメは?」
「……奴のことは気にするな」
「「「「え?」」」」
「さて、次じゃが」

((((な、何をしたヒャクメ))))

「次、はこれじゃ」
「電球?」
「これを手に持って霊気を送るのじゃ」
「なるほど、これで今の霊気の質を見るのね。」
「そういう事じゃぁ」

 令子と斉天大聖のやり取りを聞きながら横島は霊気を電球に送る。電球は黄色に強く発光した。

「やはりのう……」
「どういう結果なんですか?」

 はやるキヌに、斉天大聖はゆったりとした言葉で返す。 

「今、コヤツの使う霊気には一つの魔力も含まれておらん」
「じゃぁ」
「混じっていた魔力は全部ルシオラのところに集まったというわけじゃ」
「つまり、霊気の質が変わったから文珠が作れないんですか?」
「でも、それならアシュタロスと戦ったときも霊気の質が変わったことになるぞ?」
「それに、ほかの栄光の手やサイキックソーサは関係ないのもイマイチピンとこないわね?」

 それぞれに疑問をぶつける人間三人。

「まぁまぁあせるな。次はこれじゃ」

 そう、言葉で制すると斉天大聖は横島に紙粘土を渡す。

「紙粘土?」
「神界のな」
「これをどうするんだ?」
「まず、これで霊波刀をつくるんじゃ」
「霊波刀を?」

 そう言いながら横島は紙粘土をこねはじめる。


「違う違う。手で持って、いつもの霊波刀を作るように念じるんじゃ」

「念じる……おぉ!」

 横島の右手に持たれた紙粘土は栄光の手と同じ形に変形した……大きさは三分の一だが。

「じゃぁ同じように文珠をイメージしてみろ」
「こんな感じか……おぉ」

 さっきまで刀が、手のひらでビー玉大の玉になった。

「じゃぁこれをもっと小さくしてみるのじゃ」
「小さく……」

 すると、紙粘土はビー玉大の玉が2まわり程小さくなった。

「これが限界か……」
「だな」
「本当ならBB弾で程になるべきなのじゃが……やはり、少し能力が落ちとるのう」
「そうなのか?」
「霊気より魔力の方が圧縮させやすいからのう……少し楽しとったんじゃろ」
「へぇ、じゃぁ霊気の圧縮能力をまた上げればいいのか?」
「そうじゃな、具現化能力は落ちておらんからな。」

「そっか……それで、文珠は作れるようになるのか……」

 普通なら、喜ぶ所だが横島の表情に歓喜はない。

 (……やはり期待通りとはいかないか)

「ところで、横島。文珠とは何じゃ?」

 突然の斉天大聖の言葉に思考を遮られる。

「へぇ?……えっと、霊気を圧縮した玉で、文字を念じ込む事でさまざまな効力を発揮する物?」
「まぁ殆ど反則技よね」

 令子のちゃちゃが飛ぶ。

「じゃぁ、その反則技の欠点はなんじゃ?」
「欠点?」


 悩む横島を横に令子が答える。

「使い捨てな所ね。一度っきり」

 頷く斉天大聖。

「あとは神通力や魔力に影響を与えられない。」

 小竜姫のその答えに、キヌが疑問をぶつける。

「え?でも、魔族に攻撃は効いてたし、攻撃防げてましたよ?」
「そういう意味ではなくてね……魔族が傷ついたとき文珠ではヒーリング出来ない。それは文珠には魔力を増幅させることが出来ない。同じ用に神族が傷ついたときにもヒーリングは出来ない。攻撃したり、防御は出来るけどね」
「だから、あの時……」

 横島がぼそりと呟く。その言葉で一瞬冷たい空気が流れるが、令子が言葉を繋ぐ。


「つまり……今回も、お腹の子に対しては有効では無い」
「そうじゃな……」

 誰もが斉天大聖の言葉に落ち込んだ。が、まだ言葉に続きがあった。 

「……文珠は、そうじゃな」
「もんじゅは?」

 小竜姫のその言葉に、斉天大聖はほほ笑む。

「小竜姫! 文珠とはどう書く?」
「どうって……」

 小竜姫は地面に『文珠』と書く。

「うむ、ではこうすればどうじゃ?」

 そう言うと、『文』と『珠』の間に『数』と言う漢字を書き加える。

「文数珠?」
「もんじゅず?」

 小竜姫の言葉に令子がオウム返しをする。 

「うむ。」
「どういうこと?文珠を数珠状にするって事?」
「それでどうなるんですか?」

 令子とキヌが立て続けての質問に斉天大聖が答える。

「数珠状にする事で、半永久的な効力を持つ。」
「なに?!」
「ただし、その為には常に霊気を送ることが必要となるがのう」
「何か、ますます反則の度合いが増すわね」
「霊気さえ送れば、永久的な結界を作れる……しかも強力な結界がの」
「それが?」

 (それがどうした)横島は焦れた。続きの言葉が気になる。

「例えば、体内に魔族一体分の魔力があっても耐えれるほどのな」

 斉天大聖の言葉の意味を皆がわかった。……ルシオラが横島の中で育つことができる。

「もし、これが作れればのう。」

 横島は、息を飲み慎重に言葉を繋ぐ。これ以上令子を傷つけないように。

「……どうすれば、作れるんだ?」
「数珠にするには108つの文珠が必要じゃ」
「108つ……」
「ちなみに、今のストックの文珠は使えんぞ、少し魔力が入っているからのう」
「じゃぁ」
「心配するな。お主は時期に文珠はすぐに作れるようになる。元々霊気を練る事は得意な奴じゃ。ここで三日も修行すればな。」

 落胆しかけた横島を斉天大聖の言葉が救う。

「……そっか」

 安堵した横島に説明を続ける。

「あとは……紐じゃ」
「紐」
「文珠を結ぶ紐じゃ。霊気を纏いまた108つの文珠の霊力のバランスを取ることの出来る糸」
「それは、どこにあるんだ」
「……今、現世では無理じゃな……じゃが、平安京なら。」
「平安京?」
「陰陽師が強力な霊気を込めた紐ならば……可能じゃろうな……」
「つまり……」
「私の能力が必要なわけよね」
「お主しか無理じゃな」

 令子の言葉を肯定する。

「でも、今はまだ、時間移動は禁止じゃないの? 本当にしていいの?」
「それは、わしがどうにかする……まぁ一度世界を救ったお主達だからのう。認めさせるわい。」
「じゃぁ、誰が修行をつけるんだ?」
「それは、小竜姫とヒャクメで見てもらえ。」

 小竜姫がうなずく。それに横島も頷き返す。

「じゃぁこの三日間で、わしは上と交渉。小竜姫とヒャクメは横島の修行。 その後、横島と美神には平安京に飛んでもらう」
「……あの、私は?」

 名前を呼ばれなかったキヌがおずおずと質問をする。それに答えたのは、令子だった。

「おキヌちゃんはわたしと一緒に来て……飛ぶのは三日後ね?」
「今の予定じゃそうじゃな」
「その間にしておきたいことがあるの……おキヌちゃんは私を手伝って」
「! わかりました」

 キヌはこぶしを握って令子に同意する。

「うむ……各自やるべきことをして三日後に備えるんじゃ」

 頷く三人。

「よし、時間は三日ある。修業は焦らんでも大丈夫じゃ……体に負担掛けるなよ。」

 斉天大聖は横島にそう言葉をかけ修行場を後にした。


 声をかけられた横島はうつむき涙を堪えていた……自分の為、ルシオラの為に皆が動いてくれる……そのことに感謝の涙を流していた。

「行くわよ、おキヌちゃん。」
「はい」

 (感謝しなさいよ)

 そう思う令子の顔は、いつもの自信と美しさを取り戻していた。


 あとがき と言い訳と時々日記

 えぇ、5日と言いながら……m(_ _)m まぁこの間に年齢一つ増えたり、元カノに電話で小一時間説教されたりとかあったりしたんですが全く関係ないですね。

 えっと今回で5回目なんですが……話が何か急展開です。原作ますますかけ離れてる気がします……大丈夫かな……

 あ、あとね……この突っ込みはしないでいただきたい……
「それぐらい、ヒャクメ霊視出来ないの?」

 ……出来ません。って事でお願いします。


 ○Tシロー様

 えぇ……独自の解釈なんですけど。。。何か、横島と道真に共通点が浮かばなかったので……こうしてみました。

 ……ヒャクメですから。はい。


 ○名無しのGS様

 はい……複線張りっぱなしの風呂敷広げ……今回で大分回収できたかな、、、と思ってますが……
 はい……口調は、少し直しました。ご指摘ありがとうございます。


 ○D・ARKMAN様

 えっと……仏具も神具の一種……てくくったらまずいですよね。はい。えっと、次回ちゃんと回収できます……多分。


 ○ZEROS様

 わは、多分ほとんど知りません。ですから、次回神界に交渉すると同時に文珠の勉強をしてきます。あのサルが。


 ○内海一弘

 (何で二回ゆうたん?)←まっちゃん風
 ヒャクメは……ヒャクメなんで。今回はこうなりました……はい。


 ○?様

 感想を述べ憎い話でしたか……精進いたいます。


 あ、次回最終回です。 ではでは。

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