文珠使いの物語 第一話
奏でましょう、癒しましょう、あなたの笑顔の為に。
◇◇◇
奏でましょう、奏でましょう。
この笛の音を奏でましょう。
血まみれで倒れてる少年の横で巫女服の少女が泣いている。
癒しましょう、癒しましょう。
わたしの全てを賭けて癒しましょう。
何も出来なかった自分の不甲斐なさに少女は泣き叫ぶ。
あなたの笑顔の為なら命も惜しくは無いから。
だからあなたは笑って欲しい。
少女の涙は少年を濡らす。
奏でましょう、奏でましょう。
あなたの為に奏でましょう。
少女は覚悟する。
他には何も望まない。
ただ、あなたの笑顔を・・・。
戦う事を・・・。
◇
その日はいつも通りに始まって、いつもと違う終わり方をした。
横島さんが遅刻して、美神さんが怒り、わたしが止めて終わり。
いつもと同じ始まりだった。
「横島さん!
横島さん!!」
ひどく消耗しきってる横島さんに必死に呼びかける。
美神さんはいない。
シロちゃんもいない。
タマモちゃんは寝ている。
今、ヒーリング出来るのは私だけ・・・。
もしかしたら間に合わないかもしれない。
「だ、大丈夫だよ、おキヌちゃん。
こんなの少し休めば回復するから・・・。」
そうは言っても弱弱しい微笑みしか浮かべる事しか出来ない横島さん。
額に浮かぶ玉の様な汗。
真っ青な顔色。
何よりも・・・。
ボロボロになった自転車が・・・シロちゃんのサンポの過激さを物語っていた。
「横島さは~~~ん!!!」
◇
あの後、全霊力をヒーリングに回し、横島さん自身の回復能力で体調を取り戻した横島さん。
今日は美神さんが取った大口の依頼も無事に終わり、珍しく事務所を休みにした日だった。
今日は横島さんも事務所で夕食を取る事になったので材料の買出しから帰ってきた時、事務所の前にあったボロボロの自転車と真っ赤に染まった横島さんが転がっているのを見つけた。
「よ、横島さん!?」
一体、なにが起こったのか・・・。
美神さんの折檻によって出来た傷とは違う!
シロちゃんの霊波刀でも無い。
タマモちゃんやひのめちゃんの火とも違う。
なんかヤスリで削った様な感じだ。
・・・はっ!
まさかシロちゃんのサンポ!?
「やぁ、おキヌちゃん・・・。
きょ、今日の晩御飯って・・・何?」
ボロボロになりながらも今日の献立を笑顔で聞いてくる横島さん。
かなり引き攣ってましたけど・・・。
「今日はお刺身です。
イカも安かったので細切りにしてイカそうめんにでもしようかと・・・。」
急いで献立を告げる私。
食欲で少しは回復するかしら?
「そうか・・・、くっ!
ならば倒れる訳にはいかない・・・。
おキヌちゃんの美味しい料理を喰わないままあの世に逝ってたまるか・・・。」
そう言って立ち上がり、事務所にフラフラになりながらも入る横島さん。
・・・横島さん、大丈夫かしら・・・?
続く
あとがき
・・・ねむっ!!
欠伸をかみ殺しながら・・・というか半分寝ながら書き綴った今回の作品。
一応、自分でも誤字・脱字を探しましたが、もしあったら教えて下さい。
では・・・お休みなさい。
感想、待ってま・・・ぐ~~~~。(Zzz)