某月某日、その日美神除霊事務所は静寂に包まれていた。
ただしそれは嵐の前の静けさといえるものだが・・・
絶句する美神、目を円くするおキヌ、
口をポカーンと開けるシロタマコンビ
神剣を構える小竜姫と銃を構えるワルキューレ、
期待に胸を膨らませるパビリオ
そして気絶している横島忠夫を抱きかかえるその静寂の原因となる白拍子風の着物を召しているショートボブの髪型をし、触角の生えたスレンダー美女が居た・・・そうあの事件で命を散らしたルシオラが・・・
蛍と眼とあなたと・・・
第1話 思いがけない復活
どうしてこうなったのか少し時を戻そう。
横島忠夫はいつもどおりに事務所に行き、いつもどおりにセクハラをし、いつもどおりボロボロになっていた。横島自信に変わりはなかった。しかし横島の内は違った。
「憂鬱だわ・・・」
呟いたのはあの事件で命を散らしたルシオラだった。
「ヨコシマの体内で過ごして約数ヶ月、まさかこんなにヨコシマが女性に好かれているなんて・・・」
この数ヶ月ルシオラは横島の体内で横島の日々を観察していた。本人曰く「未来のパパ」の監視というがこの呟きからそれは疑わしいものだが。
「美神さんやおキヌちゃんがヨコシマを好きなのは分かっていたけど・・・」
この数ヶ月で横島は多くの女性と会っていた。事務所メンバーはもちろんのこと、お隣に住む花戸小鳩、同じ学校に通う机妖怪愛子、妙神山の管理人小竜姫と保護観察処分を受けているパビリオ、それとおまけにサボりにきている某除き魔(ひどいのね~)と魔族の女戦士ワルキューレとベスパ。このほかにもなぜか来日(?)し、横島に月のときのお礼を言いに来た月神族(メンバーは迦具夜姫、朧、神無あと数名ほどだった)アンドロイド娘などもいた。そして全員横島に対し好意のある視線を向けており、中には顔を赤くするものも居たが、鈍感な横島は風邪でもひいているんじゃないかと勘違いしていた。平和な奴である。
「そりゃ自分が惚れた男がもてるのは気分良いわよ。でもここまでもてているとなると逆に嫌。というよりなんか他の女性に何が何でも渡したくないわ。」
「未来のパパ」になるんじゃなかったのか?
「どうにかして復活したいけど、無理にやれば私もヨコシマも共倒れ・・・それも良いかもしれないわね・・・」
ええと、惚れた男ですよね?
「でもそうすると、来世までお預けだし・・・」
殺す事に躊躇してください。
「やぁね、冗談よ、ジョ・ウ・ダ・ン(ハート)」
冗談に聞こえない気もしますが。
「何かこう凄いエネルギー体的なものがあればもしかしたら私の霊気片を補えるかもしれないけど、できれば神気か魔力が望ましいんだけどヨコシマは人間だし、外側から無理して入れると私もヨコシマもやばい事になるだろうしなぁ。ヨコシマの前世が神族か魔族なら潜在的なのが多少取れるかもしれないけど、ヨコシマの前世は陰陽師だって言うし・・・はぁ。」
ため息を出し黙々と考えるルシオラ。そして・・・
「やっぱりヨコシマの霊気片から少し引っ張るしかないわ!上手くいけば二人は会えるし、失敗したらその時は二人仲良くあの世へGOよ。大丈夫、天界の最高指導者も愛のために行動しなさい的なことを聖書に載せていたし!」
唐巣神父が聞いたら髪がマッハであの世へGOな言葉を声高々と叫ぶルシオラ。もう誰も止められません。つうか冗談じゃなかったのか?
どうやらこのルシオラ相当横島の影響を受けているようだ。しかしこのルシオラの暴走を止める物がいた。ただしそれを物というには失礼であるが。
「さっきから五月蝿いな、おぬしはなにものだ。」
その声に反応し、顔を向けるルシオラ。
「誰よってキャッ、眼が浮いている・・・あなたこそ誰よ」
「フム、確かにこういう場合は先に名乗るのが礼儀だな。わが名は心眼、小竜姫様の神気を授かり横島忠夫に仕える九十九神なり。わけあって今はこやつの身体の中で力を蓄えているが時が来れば復活する予定だ。」
これを聞いたルシオラは良い実験材料もとい、良いエネルギー体を見つけたと内心ニンマ リしていた。
(これよ、これがあれば復活できるはずだわ。エネルギー体としてはまだ出力不足だけど、横島の意識化にしまっている文殊をちょっと拝借してブースター代わりにすれば問題ないし、なによりもこんな不思議物体を目の前にしたら科学者としての血が騒ぐわ。)
何かとんでもない事を言っている気もするが、ルシオラは止まらない。
(しかも本人は心眼って名乗っているから多分ペス(ヒャクメとよんで欲しいのね~)と同じ能力が使えるかもしれないわ。そうすればヨコシマの浮気も全て把握できるし、ウソも見抜ける。これは逃す手は無いわ。)
「黙ってないでおぬしも名乗らんか。」
「え、あ、すいません。私はルシオラで、ヨコシマの恋人ですけどある事件でヨコシマを助けるために・・・」
暫らくお互いの身の上話が続きそしてルシオラは先ほどの事を提案した。そして
「フム、確かにそうすればお互いに復活できるがそうするとお互いが一つになり分離できなくなってしまうな。」
「でもそうすれば私とヨコシマはまた一緒に夕焼けが見られるんです。お互いの存在を肌に感じられながら・・・」
さっきまでヨコシマを殺そうとしたとは思えない発言である。「なんか言った#」イイエナニモイッテマセン。
「フム、おぬしの気持ちは良く分かった。よかろう、我が身を使うが良い。ただし我が身と融合するという事は我が人格とおぬしの人格も融合するということになる。多少性格が変わるがそれでもよいな。」
「覚悟なら、ヨコシマに命を賭けた時から出来ているわ。」
「では横島の文殊を使い融合するぞ。」
そういうと同時にルシオラは「増」「幅」と書かれた文殊を心眼に使い、続けて「融」「合」を使用した。
二人は光に包まれ神気と魔力が一つになっていく。そしてそれはボロボロ状態から復活した横島にも影響する。
「なんだ、身体から力が溢れてく・・グッ・・・ア、ア、ア、アアアァァァァァ!」
突然、横島から光があふれ出てきて驚く事務所メンバー。
「ちょ、横島君!」
「どうしたんですか、横島さん!」
「しっかりするでござる、先生!」
「何か変なものでも食べたの、横島?」
一人だけずれているが、そのうち横島から光の放出が止まる
しかし横島は気絶したまま。美神は手早く妙神山に連絡を取り、原因を調べてもらう為にヒャクメにきてもらう。他にも小竜姫とパビリオ、そしてたまたま来ていたワルキューレもその場にきた。
ヒャクメが霊視して10分経過した。
「ヒャクメ原因は何なの!?」
美神が尋ねると、
「それがよく判んないのね~、横島さんの中に私と同じような能力が感じられて、それが邪
魔しているのね~。」
「「「「「「ヒャクメと同じ能力?」」」」」」
「それはどういうことですか、ヒャクメ」
今度は小竜姫が尋ねる。
「そのままの意味なのね~、横島さんの中に心眼の気配がするのね~」
そう言うと同時に美神、おキヌ、小竜姫はあのことを思い出した。
(((まさかあれ)))
そんなことを考えていると再び横島は光に包まれ、一人の女性が横島から出てきた。そして冒頭に戻る。
あとがきという名の言い訳と反省
皆様始めましてパチモンと申します。
今回初の投稿となりまして色々とつたない部分が
かなりあると思います。その辺も含めてご感想と
修正を必要とする部分を送ってくださると、幸いです。
皆様の感想だけがこの小説の執筆エネルギーとなります。
よろしくお願いします。