インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

!警告!壊れキャラ有り

「アシュ様の野望日記 3回目(GS)」

キツネそば (2007-04-11 16:40)
BACK<

三界を騒がせた事件のあと。

なぜか消滅するはずが、人間として転生してしまい。力も能力も失ってしまったアシュタロス。
しかし、野望は大きく三界征服だったりした…………。


「失礼します」

凛々しい挨拶と共に、その部屋に姿を現したのは、アシュタロスが創りし三姉妹が次女ベスパである。
ここは魔軍本部、ワルキューレ少佐の執務室であった。

「かけたまえ少尉」

ワルキューレの促しに、ベスパはもう一度「失礼します」と言った後、執務室に用意されている来客用ソファーに腰を下ろした。
それを見届けると、早速ワルキューレは用件を切り出す。

「今日、君を呼んだのは他でもない『なぜか復活してしまっているアシュタロス』についてだ」

ベスパに緊張が走った。
いつかは来ると覚悟していたことではあったが、遂にという思いが彼女を満たす。
そんな想いが、上官の話の最中だというのに彼女をして口を挟ませた。

「あ、アシュ様……いえ、アシュタロスは既に人間として転生した身です。力も失い、神魔にとってなんら脅威では……」

彼女をワルキューレはじろりと一瞥する。

「──すみません、失礼しました」
「……まあいい。話を続けるが、復活したアシュタロスが脅威でもなんでもないのは、お前自身が語ったとおり。なのだがアレでも前魔王だ、アレでも……な」

「アレ」という単語を二度繰り返したワルキューレ、そのあたりに現段階で彼女がアシュタロスをどのように見ているかが察せられる。軽く眉間に皺を寄せた上官を、ベスパは複雑な思いで眺めた。

「なので、上層部はアレに監視をつける必要性があるという結論に達した。そして迷惑なことだが、実行を我が部隊が引き受けることになった」

これからのことに、おおよその見当をつけるベスパ。かつての主君であったアシュタロスを彼女自身に監視しろというのだろう。
皮肉の効いたこの措置に思わずベスパは呟いてしまう。

「……踏み絵というわけか」

ほとんど口の中での独り言であったが、ワルキューレには聞こえてしまったらしい。
彼女と目が合い、気まずさを感じたベスパは視線を軽く下げた。


だが、聞こえてきたのはこんな言葉

「そんな上等なもののわけないだろう?」


──あれれ?


「……えーと」
「はっきり言おうベスパ、誰もアレに関わりたがらないんだ。アレを監視できるのはお前しかいない……頼むから了承してくれ」

ある意味、非常に切羽詰ったような表情で訴える魔軍少佐。それもそのはず、もし仮に、彼女がこれを固辞したならば、消去法により自身がこの任務につかなければならないのだから。

こうして、魔軍少尉ベスパは人界での任務に付くことになったのである。


「たしか、このあたり……あ、あった」

ベスパは紙に書かれた地図を手に、人界の街をさまよっていた。
地図が示すのは、アシュタロス監視部隊のセーフハウスらしいのだが、稚拙な手書きの地図は、はっきりいって下手な暗号よりも分かりづらかった。

お巡りさんや、付近の人たちの協力で、なんとか目的地に到着したベスパ。
彫りの深い顔立ちと、赤茶の頭髪から、外国の人と判断されたらしく、皆親切に接してくれた。
むろん、ベスパの美貌と抜群のスタイルが男どもを協力的にしていた最大の要因であったことは言うまでもない。

そんなベスパの目の前には、木造モルタル二階建ての、とっても家賃の安そうなボロアパートが雄々しく建っていた。

「……魔軍も台所事情が苦しいのかね、いくらなんでもコレはないだろ?」

これから任務期間中を過ごすことになる物件だったが、彼女のお気には召さなかったらしい。造りからみて、風呂もついていないようだ。
ベスパはぶちぶちと文句を言いながら、地図に書かれた部屋に向かった。

鍵穴に鍵を差し込もうとする。
しかし既に鍵は開けられおり、室内には人の気配があった。

(……任務はワルキューレ少佐の直接指揮で同僚はいないはず)

ベスパに緊張が走った。彼女はスカートの中に手を入れると、内腿に忍ばせておいた小型の拳銃を手に取る。そして、ドアを蹴破って室内に突入した。

真っ直ぐに突き出した銃と共に、室内の正面上下左右をすばやく確認、脅威目標はこれを速やかに排除しなければならない。

「な、なんだベスパちゃんでしたか。脅かさないでほしいでちゅ」
「パ、パピリオ!?」

しかし、そこに居たのは、彼女の妹である、三姉妹が末妹パピリオだった。
彼女は耳にイヤホンをあてて、なにやら聞いていたようで、玄関にきたベスパに気がつかなかったらしい。

「あんた何してるのさ?」
「何とは酷いでちゅね、私は神族側の監視任務要員でちゅよ」

説明のとおり、パピリオはアシュタロス監視任務における神族側の要員であった。
彼女は小竜姫の弟子ではあるが、あくまでも魔族。したがって、神族側の代表としてはどうなんだ?という立場なのだが、神族側は満場一致で彼女を選抜したらしい。
まあ、ベスパ選抜におけるワルキューレの苦悩と同じレベルの事柄が神族側でも起きたのであろう。

「……それじゃ二人で任務って訳か」
「そうでちゅ、よろしくでちゅね、ベスパちゃん」
「ああ、よろしくパピリオ」

二人はお互いの顔を見て、ニッコリと微笑んだ。任務ではあるが、離れ離れになっていた姉妹がこうしてまた一緒に暮らせるのである。
それは打算もなにもなく、ただ本当に嬉しいことだったから。


「さて、とりあえず散らかしちまったから、片付けないとな」

ベスパはそう言って室内を見渡した。彼女の荷物は既に魔女の宅急便で届けられており、幾つかのダンボールが狭い部屋に積みあがっている。これだけの荷物を箒一本でどうやって持ってきたのか謎だったが、ベスパはあえて考えないことにした。

パピリオのほうは、既に片付けてしまったらしい。ベスパの荷物も大して量はないから、さほど時間もかからずに整理してしまえるだろう。

そして、彼女は積まれている一番上のダンボールを見たのであるが、それを密封しているはずのガムテープが既に剥がされているのを見つけた。

「……パピリオ、あんた勝手に人の荷物を」
「いいじゃないでちゅか、姉妹に隠し事はなしでちゅよ」

そう言って、手を振るパピリオ。彼女はベスパが入ってきた時のように、再びイヤホンをつけると、ポータブルサイズのプレイヤーのスイッチを入れた。

「まったく」

これ以上言っても暖簾に腕押しである。そう判断したベスパは、溜息一つ吐くと、片づけをはじめる為ダンボールを開けた。

開けたのだが、そこでピシリと固まってしまう。
ギギギと油の切れたカラクリ人形のようにパピリオの方に首を回すベスパ。
そんな彼女をパピリオはきょとんとした表情で見つめた。

「……あ、あんたが聞いてるのは……その……」
「あ、これでちゅか?」

そう言って、イヤホンをはずすパピリオ。すると小さなスピーカーから、なにやら『あ、あ、あ、ダメ、横島ぁ』という青少年が思わず前かがみになってしまう秘密の音声が部屋に響いた。

「ベスパちゃんも中々いい趣味してまちゅね〜」
「!?!!○×△□」

ニヤリと笑う末妹と、真っ赤に茹で上がった顔の次女。

「ち、ちがう!ちがうんだ!……これはアシュ様が無理やり」
「へ〜〜ベスパちゃんは無理やり渡されたものを”わざわざ”任務先まで持ってくるんでちゅか〜?」
「!?えええーーーーっとえーとね、それはね……備え……そう!備えなの!!もしもの時に軍人としては備えるべきでしょ?そうよね?そうだよね??アシュ様だって困るじゃない!だからね、だからそうなの!!」

もはや「だからそう」とかいう訳の分からない超論理を展開するベスパ。口調もあせってしまうとそうなのか、すっかり姉御言葉ではなくなってしまっている。
この可愛らしい姉をからかうことは楽しいが、パピリオがこの辺で勘弁してあげようと口を開きかけたその時だった。

「うるさいぞ!……まったく引越ししてきたら引越し蕎麦くらい持参してくるのが礼儀だろう?私は昼食を蕎麦に決めているのだぞ?」

聞き覚えのある声が響き、ベスパは慌てて玄関のほうを向く。
そこには彼女の旧主君が雄々しく仁王立ちしていた。

「ア、アシュ様っ!?」

突然のアシュタロス登場に素っ頓狂な声をあげるベスパ。

「む、誰かと思えばベスパではないか、それにパピリオ。息災であったか?」
「はいでちゅ。アシュ様も無駄に元気そうでなによりでちゅ」
「ハハハっこやつ、お世辞を言ってもサバ缶はやらんぞ?」
「ど、ど、ど、どういうことなの??」

ぺスパが疑問に思っているようなので説明しよう。
神魔の最高司令部は、アシュタロス監視において最高の条件を満たすべく日夜みんながカンシスキー。そこで発見したものは蜜あふるる約束の地。大変な苦労の果てに大変なモノを手に入れたらしいのですが、それが何かはキーやんにもわかるめえ。さりとてこれを見逃すサッちゃんではありませんので、判子を押しました。

「……よくわからないんだが、要約してくれないか?」

まったく、これほどの設定をかいつまんで話せるものじゃろか?
──つまりこのセーフハウスはアシュ家の隣なのでした……やればできるもんじゃね。


そんな風に、ベスパは電波で会話をしていたのであったが、彼女が現世にもどってきたところ、耳朶にこんな会話が聞こえた。

「ときにパピリオ。お前たちは何をしにここへ来たんだ?」
「アシュ様の監視でちゅよ?神魔から選ばれてここでアシュ様を見張るように言われまちた」

その言葉を聞いて、全てを悟ったという風にニタリと笑うアシュタロス。
ベスパは慌てて言った。

「ま、待ってください。私はアシュ様に不利になるようなことは決して……むしろ今でもアシュ様さえ、アシュ様さえ声をかけてくれれば何時でも……」

そんな憂いすら込めたベスパの言葉だったが、アシュタロスは手をもって彼女の言葉を制した。

「皆まで言うなベスパ。お前の気持ちは良く分かっている。かけがえのない私の娘だからな」

多少不満ではあったが『かけがえのない娘』というところでメロメロになるベスパちゃん。
さらにアシュタロスが、制した手をベスパの頭に乗せてナデナデなんてするものだから、元々ファザコン×純愛×敬愛×忠義といろんなものが振り切れているベスパちゃんは、もはや限界破裂Therapy。

「あ、あしゅさまぁ〜〜〜♪」

普段からはとっても想像もできないフニャフニャな声をあげてしまうベスパちゃん。
声どころか全身が軟体動物となってしまったようで、なでられるがままにフニャフニャと体をよじらせている。


しかし、ベスパちゃんにとって、至福の時間は突如終わりを告げた。
ナデナデしていた手は外されて、それまで笑顔だったアシュタロスは、精悍と言っていい顔をすると彼女に対して口を開く。

「ベスパ、今より私とお前は敵同士だ!我が野望を砕くというのならば、私は全力を持ってこれに抗おう!!」

(え?えええ!?)

気持ちが通じたのではないの?──突然の超展開についていけないベスパ。

「声をかけてくれれば何時でもやり合う、素晴らしい!創造主たる私への反逆、これが反抗期というものか!」

伝わらない、伝わってない、うれしはずかし乙女の気持ち。

莞爾として気持ちよく笑うアシュタロス。そのまま彼は「でわな」と挨拶を残して玄関から出て行こうとしたのだが、このまま彼を行かせまじとベスパは声をかけた。
なんとしても、自分の気持ちを父に、主君に、そして愛する人に伝えなければならない。

「ま、待って下さいアシュ様!」
「ん?」

振り返るアシュタロス。
その表情ははっきり言うと『まだなんかあるのかな?』みたいなどうでもいい顔をしていたのだが、まだぺスパちゃん化から完全に立ち直っていないベスパは、美化500%なアシュ様のお姿を見ると、最前の決意もお湯につかったチョコレートのように蕩けていってしまった。

だから、出てきた精一杯の言葉は

「……あ、あの。おそば、お蕎麦食べていかれませんか?」


こうしてアシュ家の隣に「アシュタロス監視部隊」が駐留することになったのである。


本日の戦果
 入   :引越し蕎麦
 出   :特になし
 特記事項:敵対(?)勢力の出現


おしまい


後書きのようなもの

え〜と、こんばんわキツネそばです。

ベスパちゃん 登場です。
え?ベスパはこんなのじゃないって?…………ごもっとも;
ま、まあ大宇宙規模のナニかが起きたということで^^
次話のプロットはまったくありませんm(_ _)m

階級について
 ワルキューレは大尉から1個昇進してあります。
 ベスパの少尉は全くの適当……orz


レス返しです

>いりあすさん
アシュ様にもいずれ某プリンがつまった耳を持つ国王のごとく『とんかつ』を食してほしいものです。今はサバ缶が精一杯;
とりあえず今回は『出』が初めてゼロでしたから、上向きになってる?かな?

>meoさん
南米の財宝はまだあると良いですね。でもルシがアシュ様にそれを貢かどうかはまた難しいところだと思いますが^^
株は詳しくないのでかなり適当に書いてます、ご指摘ありがとうございました^^

>スケベビッチ・オンナスキーさん
そういえばオンナスキーさんは、某天才漫画家の神聖王国に御出演されていましたねw実に素晴らしい。
まあ、いつもどおり「キツネそば製品は突っ込みどころ”のみ”」で構成されております^^

>夢識さん
ベスパ(ベスパちゃん)登場させてみましたが、さてさてどうでしょう^^;
ベスパのアシュ様LOVEのところだけを無意味に無理やり無茶苦茶に冗長してお送りしていますw
シリアスで格好良いベスパ?そんなものこんなお話には存在しません;

>拓哉さん
小鳩一家はどこに行ってしまったのでしょうね?……まったく考えられておりませんw
アシュ様が頭の中をいじられたとのことですが、
「そのようなことは断じてありません!」アレがデフォです(⌒▽⌒)

>アミーゴさん
そうです、人口を増やそうとか、領土を増やそうとかアシュ様は常に正しいのです。
そしていつの日にか、蜜あふるる約束の地に我々を導いて下さるのです(⌒▽⌒)b
だたし、その日は弥勒菩薩が救済に現われるよりも遥か未来のことなのかもしれませんが……

>諫早長十郎さん
うぃ師兄!突き進んだ結果がこのようなことになりました(ノ_<。)
こまったものです;

>Quesさん
お待たせしました。初めての『プラス決算』です。
お蕎麦分の幸せ。来てます!アシュ様!運が来てますよぉ!!
ところでアホタ○スって、とても素晴らしいネーミングですねぇ^^

>内海一弘さん
ルシの復活をなっとくしていただけて、宇宙意思もおそらく喜んでいます^^
プロットないわ、キャラがアレなのばっかだわ、ネタは某王国だわで、
きっと終わり方は『作者の夜逃げ』なんじゃないかなと(ノ_<。)

>柳野雫さん
小鳩一家はおそらく幸せになっていると思いますよ^^まあ作者の気まぐれで登場したら不幸になってしまうかもしれませんが(この話に出て幸福はないw)。
ベスパでました、ベスパちゃんになってしまいましたが;

>金平糖さん
ベスパ……というかベスパちゃんがアシュ様を見限ることは決してありません。
アシュタロス……というかアシュ様がそれに気づくことも決してないのですが(ノ_<。)

>湖畔のスナフキンさん
さすがルシ好きのスナフキンさん、目の付け所が実にルシルシです^^
今回は登場しませんでした、次回登場するのかね?というかこの話って出れば出るほど不幸になる気がする……。

>asm.さん
アシュ様はこれがデフォです^^すくなくともこの宇宙では;
続きはこんなんでした;

BACK<

△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI