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「極楽大冒険 Report.07(GS)」

平松タクヤ (2007-04-04 21:55/2007-04-05 00:09)
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 -Narration-


 美神事務所での一コマ。

 「美神〜、きつねうどん食べたいー」 

 「肉……、肉が食べたいでござる……」

 「あー、もうやかましいわねぇ!!」

 今まで事務所のハウスキーパー担当だった氷室キヌが横島忠夫と共に独立開業するために離れてから、美神事務所ではこういう日常が延々と続いていた。もちろん部屋のあちこちは散らかり放題、棚も整理整頓など考えてもいない様な有様だった。

 「美神、料理できるんでしょ?ならきつねうどんくらい作れるじゃない」

 「やーよ、めんどくさいもん」

 キヌの存在があまりにも大きかったため忘れられがちだが、美神は決して料理や家事が出来ないわけではない。むしろキヌには及ばないものの、結構いい線はいっているといえる。ただ、彼女自身があまりにも面倒くさがり屋のためにその威力を発揮することが無いだけのことなのだ。

 「横島クンはともかく、やっぱおキヌちゃんの抜けた穴は大きすぎるわよねぇ……。仕事じゃなくて生活面だっていうのが笑えないけど」

 家事がキヌに集中しすぎていた弊害が、こんな形で出てしまったのである。美神はこのような状況になることを全く想定していなかったため自業自得ともいえるが。

 「あれほどの逸材、そうそういるもんじゃないからねぇ……。誰か安い賃金でも文句言わずにテキパキ働いてくれる家事担当はいないもんかしらねぇ……」

 「言ってることがムチャクチャよ、美神……」

 タマモは溜め息をついた。

 (ハァ……。おキヌちゃん、よく何年も相手してたなぁ……)


 一方その頃……。


 「よ、横島さん……本気なんですか?」

 「与えねばなるまい!!プレイボーイに天罰を!!」

 『そう!!これは天に代わって悪を討つ正義の業!!決して私怨からではない!!』

 「『聖戦だ!!プレイボーイにすみやかなる死を!!』」

 横島と幽霊が、バロムクロスを組んで嫉妬の炎に燃え上がる。その目は本気だとキヌは思った。


 「ねぇ、ダーリン♪」

 「何だい?」

 フェラーリ男とその彼女の会話に聞き耳を立てる二人。

 「今夜、や・ら・な・い?」

 「何を?]

 「ナ・ニ・を」

 「バカだなぁ、そんなこと出来るわけ無いだろ。キミが可愛そうじゃないか」


 「何だと……」

 横島は『キミが可愛そうじゃないか』という台詞から、フェラーリ男は既に可愛そうな事をしている、何かのアクションを起こしていると確信した。

 「あの野郎……羨ま……いや酷ぇことしやがるぜ……」

 『きっと……深雪もアイツに可愛そうな事されたんでしょうね……。ま、自業自得ともいえるッスけど……って、何やってるんだアイツ!!』

 「何ィッ!?」

 例のフェラーリ男が、彼女の唇を大胆に、そして堂々と奪っていた。二人が唇を離すと、その間には唾液が糸を引き地面に滴り落ちた。

 「あんにゃろう……あんな公衆の目の前で……しかも舌を入れてやがるぜ……」

 『舌を……舌を入れてもいいのか!!』

 舌を入れたディープ・キスを見せ付けられて、血管を浮かび上がらせ目を充血させながら更にいきり立つ二人。

 「『はっ!?』」

 次に例のアベックが見せた行為に横島と幽霊は頭の中が一瞬真っ白になる。


 「ダーリン♪」

 女がフェラーリ男の右手を強引につかみ、その掌を大胆にも自分の左胸に押し当てた。


 ムニュッ


 「どう、あったかくてやわらかくて気持ちいいでしょー♪」

 「あ、ああ……。やわらかいんじゃなくて、プニボョーンだよ」 


 「『!!!!!』」

 衝撃の行為に、血の涙を流す横島と幽霊。幽霊でも悔しいときは血の涙を流すものである。

 「し……舌を入れた上にチチまで揉みやがって……」

 『女も女ッス!!あんな簡単におっぱいを揉ませるなんてなんとも安っぽい女ッスよ!!』

 俺の……俺のプニボョーンをよくも……よくも!!」

 横島のある意味身勝手とも言える怒りは頂点に達した。しかし、それと同時に……。

 「『俺の』……?」

 「あ゛っ……」

 ひゅ〜どろりらどろりら、という擬音が聞こえてきそうな声に横島が振り向くと、そこにはジト目の女子高生が立っていた。生身であるにもかかわらず、背後に青白い人魂を浮かばせて。

 「い、いや、これはその、言葉のアヤなんやーっ!!仕方なかったんやーっ!!」

 「もうっ、そんな横島さん、知りませんっ!!」

 そういってキヌはぷんぷん、と頬を膨らませてぷいっとそっぽを向いてしまう。こればかりは横島の自業自得だ。

 「そ、そんなぁ!!おキヌちゃん、俺が悪かったーっ!!機嫌直してぇぇぇぇっ!!!」

 「聞こえませーん」

 「嫌わんといてぇぇぇっ!!何でも言うこと聞くからさぁ!!!!」

 両手を合わせてペコペコと頭を下げて必死に謝る横島。『何でも言うこと聞く』という言葉にようやくキヌが振り向いてくれた。

 「本当ですか?」

 「ほ、本当だって!!だからお願い、許してぇ……」

 「じゃ、約束しましたからね。破ったら承知しませんよ?」

 セクハラカップルとは対照的に、端から見れば痴話喧嘩以外の何物でもないやり取りをするカップルがそこにあった。その隣では、幽霊がなにやら苦しそうな顔をしていた。

 『こんな時にお前は何故……何故俺の言うことを聞かないんだぁーっ!!』

 どうやら先ほどのセクハラカップルを見て興奮してしまったらしく、股間を押さえて幽体を震わせていた。

 「……死んでるくせにもっこりすんな……」

 キヌに必死で平謝りしていた横島も呆れかえるほどの情けない姿であった。男の悲しすぎる性というものだろうか。


 「というか、俺達はアイツらに復讐するんだろ!!そしてお前のこの世の未練を断ち切るんじゃなかったのか!!」

 『あ、そうでしたね……』

 当初の目的を思い出し、冷静さを幽霊は取り戻した。それに同調して横島は拳を握り締め、それを天に向けてかざす。

 「既に俺の怒りは頂点に達している……。今の俺なら神すら殺してしまうかもしれん……」

 『今、俺達の怒りを鎮める事が出来るのはヤツ等の血のみ!!』


 「こ……怖いよ怖いよーっ!!!」

 キヌはこの台詞が耳に入ったその時、横島と幽霊は事故としてフェラーリ男を叩き潰すつもりだということを直感した……。


 「極楽大冒険」
 Report.07 KISS


 「じゃ、そろそろ行こうか」

 「ウン♪」


 バタン……ガォォォォォォン……


 フェラーリが走り去っていくのを見て、横島達もクルマに乗り込んだ。

 「よし、追いかけるぞ……って、幽霊」

 『何スか?』

 「お前何で助手席乗ってんだよ」

 運転席で首だけ90度左に向けていた横島の目が座っていた。

 『何でって……ナビゲートするためじゃないッスか、横島サンを』

 「アホかぁーっ!!」

 幽霊のごくまっとうな答えを一蹴する横島。その表情は思いっきり力んでいた。

 「助手席には可愛い女の子が乗るのが鉄の掟じゃ!!さ、おキヌちゃん、こっちに」

 「え……いいんですか?」

 「いーんだよ。女の子に乗ってもらうほうがこのクルマにとってもな。さ、ベルト」

 横島の強引な……というか彼女持ちなら当たり前とも言えなくもない考え方によって、助手席にはキヌが座ることとなった。幽霊は悲しそうな顔をして後部座席へと移る。

 『ううう……俺も、俺も生きているうちに助手席に可愛い女の子を乗せたかったッス……シクシク……』

 「あ……あの……、ごめんなさい、幽霊さん……」


 グォォォォォン……


 キヌが幽霊を慰めている間に、横島はクルマのエンジンをかけていた。

 「おキヌちゃん」

 横島が、キヌに優しく語り掛ける。

 「ちょっと怖い思いすると思うけど、俺を信じて我慢しててくれ。絶対事故ったりとか、おキヌちゃんを悲しませるようなことはしねーから」


 ドキンッ


 隣に座っている想い人が真顔で言った『俺を信じて』という言葉に、キヌは心臓がドキドキしてしまう。

 (そ、そんな……、私が横島さんを信じないわけ無いじゃないですか……。それなのにこんな曇りの無い顔で言われたら……私……)

 両手をフトモモの間に置いて、キヌはモジモジとしていた。顔も真っ赤である。

 『……羨ましいッス……』

 後部座席から見る純情カップルを羨ましがる幽霊だった。しかしもう彼にはこんな幸せは味わうことは出来ない。哀れ。

 「よし、行くぞ!!」

 横島はギアを一速に入れ、クルマを発進させる。


 ゴァァァァァァッ!!


 「す……すごい加速ですね……」

 クルマの性能に驚くキヌ。彼女は元々三百年前の人間で自動車など現代社会の文明には疎かったが、この加速力が凄いものであるということはその身で実感することで解ることが出来た。

 『どうッスか?これが俺が手塩にかけてチューンした『轟天号』の実力ッスよ!!』

 「「ご……ごうてんごう!?」」

 『アレ?二人ともどうしたッスか?』

 「「…………」」

 あまりにも直球過ぎるネーミングに、横島もキヌも目を点にして呆然とするしかなかった。


 「この際そのネーミングについては問題としねーことにする。で、例のフェラーリはどこいったんだ?」

 『俺、見てくるッス』

 そういって幽霊が屋根をすり抜けて、車外に出て高く上がって周囲を見渡す。

 「やっぱりこういう場合、幽霊ってのは便利ですよね」

 元幽霊少女が言うと説得力がありすぎる台詞だ。幽霊は空を飛ぶことが出来、壁もすり抜けることが出来る。だから偵察にとても最適であり、人を探すことなど朝飯前だということはキヌ自身がその身(霊体?)で証明している。今回のように道順を探すときも、空からナビゲートしてくれる。ただ彼の場合は車縛霊であるためにクルマから半径五メートル程度しか離れることが出来ないが、高度なら何メートルも高く上がることは出来る。

 『横島サン、ヤツは三つ目の交差点を左折、首都高のほうに向かってるッス』

 「首都高だな、よし」


 幽霊のナビゲートもあって、轟天号(命名・前オーナーの幽霊)はあっという間に首都高某インター料金所に到着した。しかしここで新たな問題が発生。

 「幽霊、このクルマってETCつけてるのか?」

 『いや、つけてないッス』

 「ちぃっ……ならいちいち財布出さなきゃいけねーのかよ」

 横島は財布をズボンのポケットの中に入れている。クルマの運転席に座ってベルトをつけている状況では非常に出しづらく、また財布から金を出して支払い、釣り銭を貰って収納し、財布を元に戻すだけでもかなりのタイムロスとなってしまう。だからこそETCなる文明の機器が普及したわけだが。

 「ふう、やっと出た……。料金七百円っと……げっ!!」


 ちりーん


 あまりにわずらわしかったのか、横島は小銭七百円分を車内に落としてしまう。いちいち拾っていたら更に時間がかかる上、後続車にも迷惑がかかってしまう。

 「畜生、急がなきゃいけねーっつーのによぉ……」

 『なにやってるんスか……』

 貧乏性ゆえ落ちてる金を探すのには必死な横島。幽霊も呆れた顔をして手伝う。

 「あのぉ……、私が立て替えておきましょうか?はい、ななひゃくえんです」

 そんな滑稽ともいえる姿を隣で見ていたキヌが、その小さな掌に七百円分の小銭を乗せて横島に差し出した。

 「うう……、やっぱ気が利くねぇ、おキヌちゃん……」

 『……純情可憐で腕も立つ彼女。俺が欲しかったのはこういうコだったんスよぉ〜!!』

 出来た彼女とは、こういうのをいうのである。


 なんとか料金所をクリアし、首都高に入る轟天号。順調に並行する他のクルマをパスしながらどんどん前へ、前へと進んでいく。

 『横島サン……』

 高速を飛ばす中、後部座席の幽霊が不安な表情を見せていた。

 『マジで……このクルマでフェラーリに勝てるんでしょうかねぇ……』

 いくらベース車がWRCで活躍しているインプレッサでチューニングを施しているとはいえ、相手は世界のスーパーカー、フェラーリである。普通に考えれば相手はあまりにも悪すぎるとしか考えられない。今、横島はそんな相手に挑もうとしているのだ。

 『横島サン……やっぱ相手が悪すぎるッスよ。深追いはしないほうがいいんじゃ……』

 「そ、そうですよ。幽霊さんも言ってることですし、危険な走りはやめた方が……」

 キヌも幽霊の意見に賛成していたが、横島はニヤリと口元に笑みを浮かべていた。

 「今更何言ってんだよ。この轟天号であのフェラーリのナンパヤローを打ち負かしてやるんだろうが」

 『え……?』

 「それにここはサーキットじゃねぇ、公道だ。公道じゃ何が起こるかわからねぇ。カタログスペックの優劣だけで勝負は決まらないのさ」

 そう、公道はレース場ではない。色々な車が走っている道なのだ。いくらフェラーリといえども、並走するトラック等に道をふさがれればその性能をフルに発揮することは出来ないのだから。

 『横島サン……、どうしてそこまで……』

 「それは俺が、ゴーストスイーパーだからだ。アイツの鼻っ柱を折ってやって、お前のこの世への未練を断ち切らなきゃいけないんだよ。お前が安心して成仏するためにな」

 かつては色香目当てでやっていたGSの仕事であったが、様々な出来事、出会い、別れを経験してこの仕事に誇りをもつまでに、横島は成長していたのであった。

 (横島さん……)

 成長した横島の姿に、キヌも心を打たれていた。しかし……。

 「それに……あんな羨ましいことしていたあの女たらしに天誅を下さねばならないしな……さっきも言ったとおり、これは聖戦なのだ!!決して私怨などではない、天に代わって悪を討つ正義の業なのだ!!ハーッハッハッハッハッハッ!!!!!」

 「ハァ……」

 目が嫉妬の炎で燃えている。やっぱり横島は横島であった。キヌは額に手を当てて呆れていた。


 「見つけたぜ、フェラーリ!!」

 ついに轟天号の視界にフェラーリの姿が入った。さっき横島が言ったとおり、前を走るトラックに道を塞がれて性能をもてあましていた。

 『横島サン、気をつけてくださいッス!』

 「おうよ!」

 アクセルを踏み込み、フェラーリの後ろにピッタリと張り付く轟天号。しかしフェラーリの前を走るトラックが車線変更すると、一瞬で加速して突き放していく。

 「速ぇ!!あれがフェラーリの加速ってヤツか!!だがな!!」

 こっちも負けじとばかりに、轟天号も加速する。この交通量、フェラーリはフル加速を使うことは出来ない。クルマとクルマの隙間を縫って一台一台パスするごとに、軽快な走りを見せる轟天号はあっさりとフェラーリに追いつく。

 『しっかし、運転上手いッスねぇ……』

 「まあ、高校生のとき仕事で色々やってたからな……コブラとかF1とか……」

 『え……えふわん!?』

 幽霊が硬直する……という表現もおかしいが。無理も無い。コブラはともかく、人工幽霊のサポート付とはいえF1なんて一般人が運転できる代物ではないのだから。


 「ダーリン、なんか変なのが付いてくるわよ」

 「何だって?」

 フェラーリの運転席で、バックミラーに写るクルマに女が気付く。男のほうもその車種を見て思い出した。

 (なるほど……あの時の負け犬君か。だが残念だったな、深雪にはもう飽きたんだよ……それにそんな国産車ごときでフェラーリに勝てると思ってるのか?)

 男はニヤリと笑みを浮かべ、前のクルマが空いた隙にフェラーリを割り込ませて先に進む。

 「ついてきな!!また屈辱を味あわせてやるぜ!!」


 ガォォォォォン……


 首都高での追いかけっこが続く中、両車は長い直線の道に入る。

 「こんな小競り合いで一喜一憂できるのもここまでだぜ!!このストレートで、お前はバックミラーから消えてなくなるんだからな!!」

 フェラーリ男はシフトを入れ、ペダルを思いっきり踏み込む。タコメーターはレッドゾーンに突入し、甲高いエンジン音を上げる。

 「フェラーリの加速についてこれるか……」


 ウォォォォォォ……


 「あひゃぁん……」

 「どうだぁ、このG!!しびれるだろォ!!!」


 一方、轟天号では……。

 『横島サン、この長いストレートは奴の独断場ッスよ。勝ち目あるんスか?』

 どんどん突き放していくフェラーリをフロントガラス越しに見る幽霊は内心『勝てっこねぇ……』と思っていた。しかし横島は相変わらず余裕だった。こめかみに井桁を貼り付けながら。

 「勝てもしねー戦いをやるバカがどこにいるんだ?俺が復讐すると言った以上、アイツの敗北は決まってるんだよ……フッフッフ……」

 (こ……怖い……)

 どこからどう見ても嫉妬に燃えているようにしか見えない、と隣のキヌは冷や汗をかいて思っていた。

 「見せてやるぜ、これが俺流のドラテクだ!!」

 横島は自信満々に、懐からビー玉のような『都合のいいシロモノ』文珠を取り出し、ステアリングを片手で握りながら念を込める。

 ”速”

 文字が入った文珠をインパネにぶち込んだ。

 「うらぁーっ!!!!」


 グロォォォォォォッ!!!!!


 文珠が込められたと同時に、轟天号が狂ったような加速を見せた。スピードメーターはただ上昇する一方で、周りの景色もあっという間に後ろにすっ飛んでいった。

 「ちょ、ちょっと横島さん!!いくらなんでも……」

 空気抵抗など完全に無視したあまりの速さには、キヌも突っ込まずに入られなかった。自然法則すら凌駕する都合のいいシロモノ、それが文珠であった。

 『す……すげぇッス……あ、ヤツを追い抜いたッス!!ザマーミロッス!!』

 フェラーリすらあっさり追い抜いてしまった文珠ブースト。これは人並みはずれた煩悩を持つ横島だから出来た技である。

 「でも、危ないから絶対に真似しないで下さいね?」

 「って、誰に言ってるのさおキヌちゃん」


 「な……なんだぁーっ今のは!!」

 得意のストレートであっさりと追い抜かれたフェラーリ男は、明らかに常識では考えられない光景に驚くだけだった。

 「くそったれが!!フェラーリ様が国産車ごときに負けてたまるか!!」

 いきり立ったフェラーリ男はレッドゾーン全開で轟天号を追う。轟天号も文珠の効果が切れたのかスピードが落ち、ストレートが終わる頃には背後にぴったりとくっつかれてしまった。

 「このまま抜いちまってもいいけど、気が変わった……」

 背後に付くと、フェラーリ男は何かを思いつき企んだようだ。そして、轟天号を抜くことなくずっと後ろで煽り続ける。

 (あーあ、また始まっちゃった。こうなるとダーリン、あたしのことなんか目に入らないのよねー。まったく、こーんなにカワイイ彼女がナビシートに座ってるっていうのにさー)

 クルマに夢中になって自分のことをかまってくれない男に不満な顔をする助手席の女。不満のあまり、ついに大胆な行動に乗り出した。

 「ねえ、ダァ〜リィ〜ン……♪」

 色目を使い、ステアリングを握る男の右手を強引に自分の胸へと運ぶ。良く見ると女の服の胸の頂には、小さな突起が浮かんでいた。

 「あたしとフェラーリ……どっちが好きなのォ?」

 男の指を、胸の小さな突起に触れさせる。男も唾をゴクリと飲み込んだ。

 「今日は、つけてないんだ、ブラ♪ ダーリン、こういうの好きでしょ〜?ねぇ、『下も』確かめてみない?」

 女は只でさえ短いタイトスカートの裾をスルスルと捲り、右足を上げて『見えてしまいそう』なポーズで男を誘惑する。男はスカートの中を覗きこむが、それでもすぐ運転の方に気が回ってしまう状態であった。

 (あたしとフェラーリ、どっちが好きだって?笑わせんじゃねぇ!!俺にとっては……フェラーリこそが最高の女なんだよ!!)


 『あ……あの野郎……無茶苦茶羨ましい……いや、女の子を弄びやがって……』

 後部座席からガラス越しにフェラーリの室内で行われていた『行為』の一部始終を見ていた幽霊が、これでもかといわんばかりの負のオーラを漂わせていた。

 「おい、なんか邪念を放ってるみたいだがどうしたんだ?」

 「へ、下手したら悪霊になってしまうくらいの禍々しい霊気ですよ……」

 『あのフェラーリ野郎……運転中にも関わらず女の子の胸いじくり回して、しかもスカートの中覗きこんでるッスよ……!!』

 「な……なんだとォ!!???」

 ステアリングを思いっきり握り締め、歯を食いしばって怒る横島。

 「さんざん人を煽っておきながら、テメーは助手席の女の子にあーんなことやこーんなことしてんのか……。許るさん、許るさーん!!!」

 (……横島さんも邪念放ってるんじゃないんでしょうか……?)

 『許るさん』と振り仮名を間違うくらいに横島の怒りは沸騰していた。そういう彼も助手席に贔屓目無しに可愛く純情可憐な彼女を乗せているのだが、怒りのあまりそれに気付いていないのか、それとも彼女にだけはセクハラしちゃあいかんと我慢しているから欲求不満になってるのかそれはわからないことであった。

 「俺は意地でもどかねーぞ!!」


 フェラーリが轟天号の背後にへばりついてかなりの時間が経つが、それでもフェラーリは一向に抜こうともしない。

 「時速190キロか……頑張るじゃねーかよ。ま、フェラーリにとっちゃこんなスピード、ナビシートの女とあーんなことやこーんなことできるくらいに余裕だけどな。さっさとどかねーと後悔するぜ……クックック……」


 『おかしいッスね……アイツ、どうして抜こうとしないッスかね?』

 幽霊もフェラーリの様子がおかしい事に気付く。フェラーリの性能なら時速200キロオーバーでも余裕で抜いていけるはずなのだが、それをしないということは何かを企んでるに違いないということに。

 『……まさか!!』

 そして、あることに気付いた。

 『横島サン、俺達はめられちまったッス!!この先、強力なオービスがあるッスよ!!』

 「おーびす?」

 現代社会の機器に疎いキヌが質問してきた。

 『ああ、オービスってのはスピード違反のクルマを取り締まるための装置ッス。速度オーバーのクルマが通り過ぎたらパシャって写真取られて警察から呼び出し食らう、って寸法ッスよ』

 「け……警察って……横島さん!!開業前だっていうのに警察沙汰起こしたら大変です!!」

 『そうッスよ!!こんな200キロ近いスピードで捕まったら、赤キップ切られるのは確実ッス!!さらに刑事手続処理略式裁判で、超悪質ドライバーとして警察も容赦しねーッスよ!!相当な罰金取られた上、前科も残っちまうッスよ!!』

 「横島さんが前科者だなんて……そんなの嫌です!!横島さん!!ダメ!!」

 とてつもない罰則が課せられるという話を聞いて、キヌは横島を必死に説得しようとする。しかし横島は……。 

 「なーるほど!!フェラーリ野郎が俺達を抜かさずにあおり続けてるのはそういうわけか……そんなに罰則が付いちまうとはねぇ。おもしれえ!!」

 などと余裕をかましていた。

 「横島さん……ひょっとして『まぞ』ですか?」

 「ちょっ、おキヌちゃん!!」

 こんな状況にも関わらずボケを無意識にかますキヌであった。

 「なあ幽霊、そのオービスってどこにあるんだ?」

 『な!?横島サン……何言ってるんスか?』

 「いいからオービスがどこにあるか教えてくれ」

 『おいッス……。生前この道を走ったときに確認したッスけど、この長いストレートが終わると緩やかに左に曲がるコーナーがあるッス。その出口ッスよ』

 「ほぉ」

 「よ、横島さん!!捕まったらどうするんですか!!」

 心配でたまらないキヌ。しかし横島はそんな心配も聞く耳持たないような感じだった。

 「幽霊。で、そのオービスってどのへんが撮影ポイントなんだ?」

 「横島さんったら、もう!!どうなっても知りませんよ!!」

 とうとうキヌも諦めてしまったようだ。

 『……よく言われるのは、カメラの三十メートル手前でスピードを計測し、十メートル手前で撮影って聞くッスけど、本当かどうかはわからないッス』

 「よし、わかった!」

 オービスの撮影ポイントを確認すると、横島はまた懐から文珠を今度は二つ取り出した。


 「フッ、バカな奴め。俺の挑発にまんまと乗りやがって……。女に捨てられただけじゃなく、警察沙汰まで起こしちゃお終いだぜ!!」

 フェラーリ男はこれから起こる未来予想にほくそ笑んでいた。

 「所詮、負け犬はどこまで行っても負け犬なんだよ……クックック……」

 長いストレートも終わりが近づき、いよいよトラップ―オービスが待っていた。このまま進めば前を行く轟天号が写り、フェラーリはその影に隠れて写らないというのが男の目論見であった。ここで急にスピードを落としたとしてももう間に合わないだろう。男は勝利を確信していた。

 「さあ、恥をさらしな、負け犬君!!」


 「さん!!にー!!いち!!」

 オービスの目前、横島は右手で文珠二つに念を込める。そこに込められた文字は……

 ”転””移”

 の二文字である。

 「俺の煩悩を舐めんじゃねぇっ!!」

 カッコいいのか悪いのかわからない台詞を吐き、横島は先ほどの文珠二つをインパネにぶちこんだ。


 フッ……


 「な……ヤツが消えた!?」

 目の前のクルマが急に消えるという、またもや信じられない光景に遭遇したフェラーリ男。

 「ど……どこにいる!?」

 慌ててサイドウインドウ越しに隣の車線を見るが、轟天号の姿は無い。そしてバックミラーを覗き込んだとき、彼の表情は真っ青になった。

 「う……嘘だろ!!」

 そう、バックミラーには先ほどまでフェラーリが後ろからあおり続けていた轟天号が写っていたのだ。運転席のドライバーが「ニヤリ」と口元に笑みを浮かばせてるのが確認できた。

 「そ……そんなバカな……って……ゲェーッ!!!!


 パシャ!!


 真っ赤なフラッシュがフェラーリを包み込んだ。そう、オービスがバッチリとフェラーリの姿を捕らえていたのだ。

 「や……やられた…………」

 轟天号をオービスの餌食にするどころか、逆に自分がオービスで晒し者にされてしまったフェラーリ男。合掌。


 『よ……横島サン!?今のは何スか……?』

 轟天号の車内でも、幽霊が信じられない顔をしていた。

 「ま、ちょっとした大道芸さ」

 横島の大道芸。それは、オービスの撮影ポイントギリギリで文珠の「転移」を使い、フェラーリの後ろに回りこむというものであった。高速道路でこういう行為は危険なので絶対に真似しないで下さい、といいたいがこんなこと横島以外に出来るわけが無いのは言わずもがなである。

 「全然『ちょっとした大道芸』じゃないですよ。犯罪ギリギリじゃないですか……」

 一歩間違えれば警察沙汰だっただけに、キヌは呆れた顔をしていた。

 「いやぁ、大人げねー真似してゴメン。上手くフェラーリの影に隠れられればえーんやけど……呼び出しされたらどーしよー……」


 フェラーリとの一悶着も終わり、横島達はサービスエリアで休憩を取る。

 「おー、タイヤがあちぃ」

 『横島サン、あのフェラーリ野郎今頃どうしてるんでしょうかねぇ……』

 「さあな。オービスに捕まっちまったからあの女の子にボロクソ言われて泣いてるんじゃねーのか?想像するだけで面白いな」

 彼等の復讐は終わった。フェラーリ男を警察沙汰にするという最高の形で。

 「へっ、女の子に散々セクハラした報いじゃ!!」

 横島は自慢げに、中指を突きたてて勝ち誇る。

 「あら、横島さんも人のこと言えないんじゃないですか?」

 「う゛……」

 長いこと彼のセクハラ三昧を傍で見てきた彼女の言葉が横島に痛く突き刺さった。

 『ホント、仲がいいッスねえ…………あ……あれ?』

 幽霊の姿がどんどん薄くなっていく。

 「幽霊さんが消えていく……あ、そっか。この世の未練が無くなったから、成仏できるようになったんですね」

 『マ……マジッスか!?』

 幽霊のこの世の未練が無くなった……つまり、彼を自殺に追いやる原因となったフェラーリ男に屈辱を味合わせることで彼を現世に縛り付ける怨念が消滅したことにより、彼は晴れて成仏できるようになったわけである。

 『どうもありがとうッス……』

 「いいってことよ。俺はGSとして当たり前のことをしただけだし。それに格安でクルマも手に入れられたしな」

 『横島サン……あなたのことは忘れないッス。幽霊とバロムクロスした男として、次の人生でも語り継ぎたいと思うッス……』

 「語り継がんでええ、そんなもんっ!!」

 「……なんかどっかで聞いたような台詞ですねぇ……」

 薄くなった幽霊が、徐々に上空へと昇ってゆく。

 『横島サン、俺、成仏するッス。轟天号のことよろしく頼むッスよ』

 「ああ」

 『それと……その娘、とってもいい娘ッスよ。だから、大事にしてあげるッスよ』

 「な……なにゆーてんねん!!」

 顔を真っ赤にして興奮する横島。その隣ではキヌも真っ赤になってモジモジしていたのはお約束。

 「まったくよぉ。なら、お前も再び生まれ変わるときはいい彼女見つけろよ」

 『もちろんッスよ……じゃ…………さよならッス……』


 シュゥゥゥ……


 天に導かれるように、幽霊の姿が見えなくなった。完全に成仏できたということだ。

 「行っちゃいましたね……。あの人、次は幸せな人生を送って欲しいですね」

 「でも面白い幽霊だったなアイツ。ま、おキヌちゃんほどじゃねーけど」

 「それってどういう意味ですか?それに私はもう幽霊じゃないです!」

 からかわれて頬を膨らませるキヌが詰め寄ってきた。

 「だってさぁ、全然怖くない幽霊だったじゃん、おキヌちゃん」

 「まだ言いますかぁ、もう、そんな横島さんには……」


 ピュウウウウウ……


 悪戯な風がどこからともなく吹いてきて、キヌの制服のスカートをぴらっと捲り上げ長い髪も乱れさせた。慌てて髪とスカートを押さえるが……。

 「きゃっ、風が…………あ……」

 「…………白」

 ……目の前にいた横島にスカートの中身をバッチリ見られてしまっていた……。その横島は鼻血なんか垂らしていた。

 「……見ましたね……」

 「あ……あの……これはだね……」

 スカートを押さえたまま頬を紅潮させ、涙を浮かべた瞳でキッと横島を見る。

 「責任……取ってもらいますよ?」

 「せ……責任って言われても……これは不慮の事故だし……」

 あくまでも事故だと主張する横島だが、キヌは涙目のまま引こうともしない。

 「それに、今朝は着替え覗かれましたし、さっきも犯罪スレスレの危険なコトして私を心配させましたし。クルマに乗る前に約束したこと覚えてます?」

 「約束……?」

 「『何でも言うこと聞く』って約束しましたよね?」

 「……あっ!!」

 横島は先ほどキヌの機嫌を直そうと必死で謝ってたときについ喋ってしまったことを思い出し、凍りついた。

 「だから、今ここで言うこと聞いてもらいます」

 キヌは横島の目の前にまで近づくと、涙目を吹いて横島を強く抱きしめる。

 「ちょ、おキヌちゃん?一体何を……」

 「責任です」

 「あ……む、むぐっ……」

 突然の行動にうろたえる横島だったが、言葉を言おうとした口が塞がれた。キヌの唇で。唇を当てた後、さらに舌を滑り込ませる。所謂『ディープ・キス』である。口の中で互いの舌がたどたどしくも絡み合う。数秒後、キヌが唇を離すと二人の唾液が絡み合い、下に落ちた。

 「はいっ、これで許してあげますっ」

 「お……おキヌちゃん?」

 「だって、さっき他の人の舌を入れたキスを見て嫉妬してたじゃないですか。横島さんだって、私とお付き合いしてるっていうのに。だから……ですよ」

 「あ……あう……」

 横島が自分に対してあまりにも消極的なので、自分から迫ったキヌであった。横島のほうは心拍数が上がり、言葉にならない声をただただ発していた。

 「横島さん」

 キヌがにっこりと微笑んで尋ねてくる。

 「横島さん、本当に私のこと……好きなんですよね?」

 「そ、そりゃあ……もちろんさ……。料理は美味いし、優しいし、可愛いし。それに今は生身だし」

 うろたえながらも、ちゃんと質問には答える。その答えを聞いて、キヌはさらに顔を紅くする。

 「あの日横島さんに『大好き』って言ってもらえたこと、私、凄く……すっごく嬉しかったんです。だって、三百年間も成仏できずに雪深い山中を彷徨うだけの幽霊だった私が再び人間として生きていけるようになって今ここにいられるのも、横島さんとの出逢いがあってこそのものですから……」

 最初は何時終わるかわからない地縛霊の苦しみから解放されたいがために偶然遭遇した横島を殺そうとしたのだったが、その後いろいろなことがあって成仏どころか生き返り、今はその殺そうとした者と彼氏彼女の関係になってるのだから世の中何が起こるかわからないものである。

 「そこまで言ってもらえると、なんか照れるな……」

 「だから、私は横島さんにずっと、ずーっと付いていくって決めたんです」

 頬を紅くしながらも、両手を広げて無邪気な子供みたいにはしゃぐキヌの姿がそこにあった。横島もいつもの煩悩丸出しではなく、純粋にその姿が可愛くてたまらない、みたいなことを考えていた。

 「ありがと。じゃ、まだ陽も高いし、帰りのついでにどっかドライブしよっか」

 「はい!今度は安全運転でお願いしますね」

 「了解」

 すっかりいい雰囲気に包まれた二人であった。その後、二人が帰宅したのは真夜中の一時だったという……。


 それから暫くして。

 「ふっふっふ……。霊さえ憑いてなきゃもう普通のクルマだからな……」

 その名の通り、邪な笑みを浮かべる横島が街中に轟天号でやってきた。目的はもちろん『ナンパ』である。

 「せっかくクルマを買ったんだ。ここでガールハントしなきゃ損、損!!」

 相変わらずナンパに精を出す、それが横島忠夫という男であった。

 「おっ……かーいいねーちゃん発見!」

 横島のスカウターにかなう美女を発見するや、クルマをそそっ、と美女のそばにまで近づけた。そして運転席の窓を開いてニヒルな笑みを作り、ステアリングを片手に優しく美女に語り掛ける。

 「おぜうさん。僕と一緒に素敵な場所にドライブに行きませんか?さ、ナビシートにどうぞ……」

 「……」

 美女が沈黙している。

 (さては、俺に惚れたな?流石はいいクルマなだけはあるぜ……フッ)

 だが、この横島の目論見は完全に外れていた。

 「何言ってるんですか!もうかわいい彼女が乗ってるじゃないですか!!」

 「え?」

 横島が助手席を覗き込むと、『ひゅ〜、どろりらどろりら』という擬音が聞こえ、シートの上には青白い人魂を浮かべた髪の長い巫女装束の少女の霊が『ウフフ……』と氷の笑みを浮かべて佇んでいた。

 「のわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 「きゃぁぁぁぁぁっ!!!!」

 助手席に座った幽霊少女の姿を見て、美女は一目散に逃げ去ってしまう。横島も身の毛もよだつという表現が似合うくらいに震え出す。

 『よぉぉぉこぉぉしぃぃまぁさぁぁぁぁん…………』

 幽霊少女―つまりキヌの幽体離脱した霊体が世にも恐ろしい形相で横島に迫ってくる。横島は恐怖で顔を直視することが出来ない。

 「お、おキヌちゃん!!どうしてここにぃぃぃぃっ!!!????」

 『横島さんの考えてることなんてお見通しですよー♪幽霊さんがいなくなったからっていう魂胆でしょうけど、こうやって私がいれば『幽霊憑き』ってことに変わりはありませんからねー♪私だって伊達に三百年幽霊やってたわけじゃないですよー♪』

 歯をガチガチと鳴らしながら震える横島の首に、キヌが霊体の手を回してきた。生身の身体ではないためとても冷たい。恐怖がさらに倍増される。

 『前も言いましたよ?私は横島さんにずーっと『憑いて』いきますってー。さ、楽しいドライブ行きましょー♪』

 「堪忍やぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!俺が悪かったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!許してぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」


 結局最後はこんなオチが似合う、それが横島忠夫という男であった。


 おまけ。


 「ホントだって!!違反したのはチョイ前まで俺の前を走ってたこのインプレッサなんだよ!!ホラ!!」

 「バカも休み休み言え。時速200キロで前から後ろに回りこめるわけないだろ」

 「俺はこの目で見たんだよ!!信じられねーけどホントの話なんだよ!!」

 数週間後、フェラーリ男の所に警察からの呼び出し通知が届いたのは言うまでもない。そして免停を食らわされたが、この速度で免停で済んだのは幸運といえるだろう。


 あとがき。

 カーチェイスと積極的なおキヌちゃん、という話でした。
 原作がクルマ漫画じゃないからカーチェイスパートは結構曖昧になってしまいました(汗)。オービス云々は某カウンタック漫画が元ネタですが、GSらしさを演出するために反則アイテム文珠の出番となりました。今回私としてはこの形に落ち着きましたが、次やるときはもっと洗練されたのを書きたいですね。

 次回は『開業記念パーティー準備』の話となります。ここであのキャラが加入する……という展開ですのでお楽しみに。

 レス返し。

 >ばーばろさん
 横島だったら復讐するは我にあり、って感じでああいう風になりました(笑)。
 イケメンナンパヤローはどんなことがあっても横島の敵です(爆笑)。

 >内海一弘さん
 排ガス規制ですかね?
 ちなみに私のクルマは35万円です(だからどうした)。

 クルマの名前自体が轟天号だったというネタでした(汗)。

 >拓哉さん
 はじめまして。
 クルマのチューン云々に関してはトーシローなので、その辺は適当に読んでください(ヲイ)。
 まあ横島がこの車種を選んだのは『女の子にモテるクルマ』って動機ですがね(苦笑)。

 >いりあすさん
 冥子は世間知らずですからねえ(笑)。
 煩悩全開なら更に恐ろしいことになってたかもね……。
 シロは……不憫ですな(コラ)。

 >meoさん
 寝雪です(笑)。
 資本金は……そうでしたな(冷や汗)。

 >ゆんさん
 タマモは原作であまり活躍期間がなかったせいか、結構自由度が高いですからね。
 数少ないツッコミ役にも最適です(笑)。

 >海鮮えびドリアさん
 イラストご覧になってくださってありがとうございます。
 クロサキ君の暗躍は……まだ続くでしょうね(謎)。

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