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「素晴らしい日々へ 第二十四話(GS)」

ほんだら参世 (2007-04-03 00:33/2007-04-03 00:35)
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どうも、横島忠夫です。
……まあ、そろそろやめねえかって突っ込みはきっぱりすっぱり無視するとして、何から語るべきかな。
まあ、一言で言うと今現在私は未だかってないピンチに陥っとります。
はっきり言って、文珠が無効化された時なんかとは比べものになんないほどだぜ。
なぜって言えば、


目の前のおキヌちゃんの笑顔が、さっきから一ミクロンも動かず固定されとるからとです。
誰か助けて、どこぞの壊れアシュでも良いから……


*  *  *  *  *  *


 「でも、本当に良いんですか、横島さん?」

 そう言う目の前のおキヌちゃんは嬉しそうだけど、どこか良いのかなっていう感じの不安げな感じの混ざった複雑な表情を浮かべていた。
 まあ、ああいう説明を受けてから一ヶ月程度でこうやって茶店で顔を向き合わせながら、のんびり茶をしばいてる現状に対して思うところがあるんだろうな。
 妙神山から電話で今日の事を誘った時も、何か呆然としてるような空気が受話器越しに伝わってきたからなー。

 「ああ、大丈夫だって。 一応、応急手当的な事もしてもらったし、修行も最初から根を詰め過ぎてもいかんからって言われたし。 ほら、某アメフト漫画でいう超回復を狙った完全休養日ってことだよ。」

 「……そうですか。 じゃあ、今日は一杯遊びましょうね♪」

 俺の説明でどうやら納得してくれたらしく、おキヌちゃんはいつも通りの明るい笑顔を見せてくれた。
 ああ、もうこれでもかって位に罪悪感が……
 言えねえよー、今日おキヌちゃんを誘ったのは、3股ぶちかまさせてくださいなんて言いに来たのがメインなんですなんて、どうやって 「ほう、3股ですか。」 な、何い!!!」

 め、目の前のおキヌちゃんの笑顔が、笑顔がーーーー!!
 おおおおお、手に持ってるカップが、力を入れてるように見えないのピキピキとヒビ入ってるしーーーー!!

 「お、おキヌちゃ 「説明してくれますね♪」 ハイ、ゼンシンゼンレイヲモッテイタシマス。」

 何時もと変わらぬ笑顔と口調が最高に怖かとです、おキヌ様。


*  *  *  *  *  *


 「……と言う訳です。」

 何時の間にか床に正座というか土下座をやりながら、目の前のおキヌちゃんに妙神山であった事を全て伝えた。
 ちなみに店の床でそんな事をしている俺を注意しにくる店員はいない、なんせおキヌちゃんが発する黒っぽいオーラを感じて逃げちゃたからねー。
 ………いいのかよ。

 「そうですか、わかりました。」

 それまでジッとこちらを見下ろしながら話を聞いていたおキヌちゃん(何時の間にやら巫女服装備、その手にはネクロマンサーの笛が)はそう言って息を吐いた。
 同時に纏っていた物理的な重さを感じさせる空気も無くなったので、そこで俺もやっと頭を上げておキヌちゃんの顔が見ることが出来る。
 顔を上げて見えたおキヌちゃんの顔は、何と言うか口を尖らせて頬っぺたを膨らませて、見下ろす角度なのに見上げられてるような感じになる表情であった。
 ………萌え ゲフンゲフン

 「う〜。  私の時は最初は『こうなったらもう、おキヌちゃんでいこう』なんて言ったのに、タマモちゃんや小竜姫様は最初から素直にOKって言われたんですか〜!!」

 「……………は?」

 おキヌちゃんの絶叫を聞いた瞬間、俺は全身の力が抜けた、ええ抜けましたよ。
 引っ叩かれてさよならと言われるのすら覚悟していたのに、こんな気の抜けるような内容の魂の絶叫を聞かされるなんて考えてなかったんだからしょうがないだろう、誰だって呆然とするわい。

 「あの〜、おキヌちゃん? それだけで…ひっ!」

 何時までも呆然としてるわけにもいかんからとなんとかそうおキヌちゃんに聞いてみたが、それは完全に失敗だった。
 何故ってそりゃあ、おキヌちゃんの目が危険な感じに光ったからさ。
 だってもうギンッってレベルだぞ、無垢な子供が見たら三日三晩悪夢にうなされてトラウマになってやさぐれた思春期を過ごすことになるくらいだぞ、はっきり言って涙じゃなくて別のモンを漏らしそうになったんだぞ!

 「それだけ、それだけと言うんですか。 場に流されたというのも少しはありましたけど、私の誠一杯をあんな返事で返した人が、それだけと言うんですかーーーー!!!」

 さっきの絶叫は小手調べだぜって位の絶叫をおキヌちゃんは叫んだ、その背後にはデフォルメされた虎が見えたような気がする。
 はぁはぁと息を乱しながらも少しは落ち着いたらしいおキヌちゃんは、一度深呼吸した後にこほんと咳払いをして真っ直ぐにこちらを見つめた。
 どうやら、会えなくて溜まっていた不満ってのが爆発して、思わず叫びを上げてしまったってことらしい。

「ええーっと、ああそうだ! 小竜姫様とタマモちゃんが横島さんを好きになった切っ掛けは聞いていますか?」

 「なにやら空気を変えようと必死になってるように感じるけど、まあそれは良いとして。 あの二人が俺を好きになった理由は聞いてるよ。」

 あの日のあの後に、それはきっちりと聞いてある。
 二人の気持ちを疑った訳じゃあ無いけどそこはそれ、やっぱり告白ってやつをされたら何でって聞くのは当たり前だからな。

 「実は二人とも同じ理由だったよ。 あの二人が俺を好きになった切っ掛けは、……」

 ”楽しかったから”だった。
 自分は武神であり高潔だる存在であることを忘れてしまうくらいに、前世の記憶により染み込んだ人間達への憎悪の感情が霧散してしまうほどに。
 俺と一緒に話し、笑い、共に過ごす時がどうしようもなく楽しかったからだそうだ。
 神族と妖怪、これから長い時を生きるであろう二人の一生の中で、どれだけ時が経っても輝きが色あせないであろうことを確信できるほどに、大切なものだと感じることができるからだそうだ。
 俺が二人に聞いたことを余す事無く伝え終えると、おキヌちゃんは薄く微笑んでそうですかと呟いた。

 「何で楽しいんだって聞いたら、小竜姫様は何ででしょうねって苦笑してたし、タマモには理由なんかどうせも良いでしょって突っぱねられたよ。」

 「ふふ、そうですか。 ………ねえ、横島さん。」

 おキヌちゃんに呼びかけられてあの時のことを思い出しながら天井を見上げるようにしていた顔をまた向き合わせるようにすると、そこにあったおキヌちゃんの瞳に俺は吸い込まれるように感じた。

 「私は貴方が好きです。」

 おキヌちゃんの再びの告白が聞こえた。
 俺はおキヌちゃんの瞳から目をそらせずに呆然としていたが、それでもその言葉の一つ一つが自分の中に染み渡っていくのを感じる。

 「理由は二人とほとんど一緒ですよ。 あなたと過ごす日々がとても楽しくて、とても輝いていて、とてもとても素晴らしいもので。 私はあなたとこれからも一緒に生きていきたいんです。 ありのままの今まで通りのあなたと。」

 その顔に浮かんでいるのは慈母の微笑み。
 俺の全てを受け入れて、俺の全てを抱きしめ、俺の全てを愛してくれていると確信させてくれる微笑だった。
 その時俺は自分がどれだけアホなことを考えていたのかを、ようやく気付くことができた。
 勝手なイメージ? 違うあれは勝手なイメージなんかじゃなかったんだ。

 「だから、あなたが共に過ごしたいと思う大切な誰かは、私にとっても同じですよ。」

 今まで一緒に過ごして、俺の中に入り込んできていたおキヌちゃんを信じる事ができなかった俺は、ホンマもんの大馬鹿野郎だ。
 おキヌちゃんは俺を本当に理解して信じてくれて、あの日の東京タワーで俺をああやって諭してくれたって言うのに、俺の方は信じきることができていなかった。

 「おキヌちゃん。」

 「はい。」

 憑き物が纏めて落ちきった気分でおキヌちゃんに呼びかけると、彼女はこれから俺が何を言おうとしているかをわかってる様な感じで微笑んでいた。

 「馬鹿でスケベでハーレム上等の最低男ですけど、これからもよろしくお願いします。」

 「あ、あはは。 そうですね、よろしくしちゃいますね。」

 流石にその物言いに対してはおキヌちゃんは笑みを引きつらせてるような感じだったが、俺がしたようにぺこりと一礼を返してくれた。
 無人の喫茶店で頭を下げあう男女ってのも中々に変なものだが、そんなことはどうでも良い。
 顔を上げたおキヌちゃんと目を合わせ互いに微笑を交わしながら、俺はおキヌちゃんに小竜姫様にタマモ、三人と過ごす日々がどれほどに楽しいものになるかに思いを馳せていた。

 「まあ、真面目な横島さんが良かったら、記憶喪失になった時に元に戻そうとしなかったんですから、そんなに気にしなくても良かったんですよ。 馬鹿でスケベじゃなくなったら、そんなの横島さんじゃないんですから♪」

 ………おキヌちゃん、やっぱり少し怒ってないですか?


*  *  *  *  *  *


「冗談だって言ってくれてたけど、あれ絶対にマジで言ってたよな、おキヌちゃん。」

 部屋の真ん中でぶっ倒れながら、俺はそう呟いた。
 ちなみに、老子との稽古はいつも通り散々っぱら小突かれて終わっている。
 いつかギャフンと言わせてやるぞ、チクショウ。

 「いよっこらしょっと!」

 何時までも寝転がっていてもいられないので、痛む体に気合をいれて起き上がる。
 さっきまで考えていたあの時の事を考えて、俺は天井を見上げた。
 あの時の事があるから、俺は今この時でも自分を見失ったりヤケになったりしていないのだ、例え違う世界の中にいても俺は俺で有り続けている。

 「まあ、帰ることを諦めたわけでもないけどな。」

 こっちとあっちを自由に行き来する方法を見つけ出し、二世界に渡ってのハーレムを築く!!
 っつーか世界が違おうと、おキヌちゃんが俺以外の誰かのモンになるのは嫌なんじゃー!!!

 「あっ、鍛錬は終わったんですね。」

 後ろから聞こえてきた声に振り向くと、そこには小竜姫様がいた。
 その顔に浮かんでいる笑顔は、何故かいつもより嬉しそうなものに感じられる。

 「ええ、いつも通りの稽古の名を借りたプチリンチは終わりましたよ。」

 「あ、あははは。 そうですか、美神さん達の修行も先ほど終わりましたから、皆さん横島さんの事をまってらっしゃいますよ。」

 小竜姫様のその言葉にそうですかと返し、とりあえず汗を流すことにする。
 あいにくシャワールームなんて気の利いたものは無いので、軽く汗を流すにも風呂場に向かわなきゃならんびのだ。
 そうして風呂場に向かった俺の後ろに、何故か小竜姫様がぴったりとくっ付いて来ていた。

 「うぃ、なんですか、小竜姫様? あっ、もしかして背中を流してくれたりするんですか?」

 「ええ、それもありますけど。 まだ言い忘れていた事があるんです。」

 小竜姫様の最初の一言に思わずガッツポーズをかましたが、次に出た言葉に少し訝しげな表情になってしまった。
 その小竜姫様の表情を読み取るに、結構俺が困った事になるような事を話すことがわかるからだ。
 あの日の告白以来小竜姫様は結構性格が変わってしまい、タマモに影響を受けたのか俺が困っている姿を見るのを楽しむようになってしまっている。
 まあ、状況に余裕がある時しかそんな事はしないので、まだ良いと思う。
 しかし考えてみると、この前のあのヒャクメの登場の仕方にこの人が関わってる可能性がある様に思えてきた。

 「まず最初に、皆さんに貴方の事を話しました。」

 「………そうですか。」

 いつかは話さなきゃいかんと思っていたがどう切り出すかを悩んでいたので、代わりに話してくれた小竜姫様に感謝する気持ちが半分、自分で話せなかった事をふがいなく思う情けないという気持ちが半分、結構複雑な気分だ。

 「んー、小竜姫様なら喋っちゃいかん事まで喋るわけないですよね。 まっ、ありがとうございました。」

 自分の中の複雑な気持ちを消化しきれないので思わず苦笑をしながらではあるが、小竜姫様に感謝の言葉を言った。
 だが、その言葉に対して小竜姫様がイヤーな予感のする笑顔を見せ、その次に言った言葉によって感謝の気持ちなんてモンは銀河の果てまでぶっ飛んでいった。

 「あと、もう一つ。 タマモちゃんとシロちゃんが到着してますよ。 唯さんの気が昂ぶってるのが感じられましたから、早速一騒動起こしてるみたいですね♪」

 「って、それがわかってるならフォローに行くなり何なりしてくださいよ!! あいつの事だから鎮火するどころか喜んでガソリンぶち込んで燃やしまくって、それで焼いたいも食いながら俺が被害を被るのを笑って見物するくらいは平気でやるんですから!!!」

 言うが早いか、俺はすでに駆け出していた。
 すでに手遅れかもしれんが、少しでも被害を小さくしたいと思ってしまうのが人情ってもんやろーーー!!

 「がんばってくださいねーーーー。」

 後ろから聞こえる声にちくしょーーという叫びで返して、俺は今日はどれっ位飛ぶことになるかな、何て考えていた。


あとがき

うぃ、遅くなりました、ほんだら参世です。
入社二年目を、一ヶ月を超える出張をやる羽目になった仕事先で迎えています。
しかも、休みが日曜日しかなく、祭日・土曜日も出勤です。
同期の皆は、二年目の突入に際しての飲み会でもやってんだろなーーー。

まあでも、出張行ってるから遅れたってわけじゃなく、単純にスランプです。
現在の連載作のネタがまとまらず、なんか新しいクロスものやらのネタが浮かんだり、まだ十話位進まないと使えないような所のネタが浮かんだりしてます。
見える人とネギまのクロスやGSとリリなののクロスやら、なんで極楽のネタが浮かばず他のクロスのネタが浮かぶんやーと叫びつつ、勿体無いからとネタ帳にプロットを書いてる俺がいる orz

まあ、一年以上も休んでた後遺症と思って、当分はのんびりやってく事にしますんで、できればそれに付き合ってやってください。

次回は久方ぶりに、今作品のメインヒロイン?たる彼女の登場! 
お楽しみに〜〜〜


>零式さん

いやーありがとうございます。
その面白いの一言が自分の燃料ですよ(笑)

 >私にはどーやっても書けないものですんで。

リビドーに身を任せなさい、あれはその先にあるものです(爆笑)


>読石さん

うぃ、タマモは影のハーレム支配者的存在ですからね、すごい人ですよ〜〜。
小竜姫様に関しては、自分もその光景を思い浮かべて萌えましたから、それは正しい反応です(笑)

 >最後に私も、いじめシリーズを楽しみに待つ者の一人です。

結構待ってる人多いんか、ん〜〜ちょっと頑張ってみっかな〜〜〜。


>亀豚さん

そんなに楽しんでいただいて、そして萌えていただいて、自分は嬉しいとですたい。
だから俺も叫びましょう!!

萌ぇぇぇぇぇEEEEEEE!!!

ちなみに私は何気にタマモスキーだったりします。


>たぬきちさん

横島はあと少し卒業できるぞって所で例の事件があり、結局高校中退で妙神山に。
その後、合間に両親に説明に行ったりおキヌちゃんとデートしたりタマモや小竜姫様としっぽりしたりとしながら、修行も3年目に入りどうにかルシオラの霊期構造の暴走を一人でも抑えられるようになった所でこっちの世界に来たって設定になってます。


>偽バルタンさん

築いてるっつーか築かされてるっつーか。
まあ、幸せなのは間違いない生活を送っとりますね。


>内海一弘さん

ははははは、黒化したおキヌちゃんは自分も書いてて怖くなるんでやりませんよ。
……ホントデスヨ、オキヌチャンハカワイイオンナノコナンデスカラ


>イスピンさん

基本的に自分は可愛い小竜姫様を目指してますんで、これからも可愛いお姿をお送りできると思いますよ。

おキヌちゃんの反応は今回のようになりました。
スランプ中で悩みながら書きましたが、納得していただけるようなものだったでしょうかね。

………こ、ここにも俺のいじめ師としての復帰を望む声が(汗)

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