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▽レス始

「シロちゃん 大暴走!(GS)」

アイク (2007-03-22 13:37/2007-03-22 13:39)
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それはある春間近のある日の事だ。シロにある一通の手紙が届いた。
手紙の内容は簡単。長老から大切の話が有り、一時的だが直ぐに帰って来いと言うのだ。

基本的に人狼の里で長老の言う事は絶対。

シロはすぐさま美神にその手紙を見せ、帰郷の許可を得、里へと帰った。

その際、美神のイライラは横島がその身をサンドバックにし、他に飛び火しない様に・・・
なんて事は無く、美神の横島に対する折檻が3割程増しになっただけだ。


「ちょ、長老・・・もう一度言っては下さらんか?」

「何度でも言おう。主は人狼以外の種族と結ばれてはいかん」

長老の一言はまだ幼いシロの胸を無慈悲に抉る。
否定して欲しいという思いの下、シロは言うが、希望は無く絶望だけがあった。

長老も好きでこんな事を言った訳ではない。人狼の里では何故か女子が生まれにくいのだ。
その為、貴重な人狼の女が別の種族と結ばれれば、さらに人狼の減少に拍車をかけてしまう。

孫の様に可愛いシロが大きく落ち込む様子に長老は内心涙しながらも、心を鬼にする。

(何故でござる何故・・・)

シロの頭には“何故”の文字が埋め尽くされていた。
シロの思いの人は言わずを知れた霊波刀の師、横島忠夫だ。
その彼と結ばれないという事がシロを絶望の淵へ追いやる。


(!待つでござる!先生には文珠というモノがござった!ソレを使えば・・・
 ダメでござるな・・・今拙者が迫ろうとも、先生はご自分を“ろり”じゃないと言うだけでござる。
 う〜む・・・どうしたものか・・・)

「シロ、どうしたのじゃ?」

俯いていたシロがいきなり顔を上げ、
パァ・・・っと笑顔になったかと思うと次の瞬間落ち込み、そして真剣に悩む。
そんなシロの様子に長老は不思議に思い、心配する。
だがそんな長老の声は考えに没頭するシロにはまったく聞こえない。

(とにかく先生が人狼化すれば問題無いでござるな・・・
 天狗殿の所へ行き、人間を人狼化する薬が有るかどうか聞いてみるでござる。
 その前に・・・・・・)
「長老?人狼ならばよろしいのでござるな?」

「っ!?・・・う、うむ」

シロはいきなり笑顔で長老を見、優しげな声色で長老に問うた。
シロの目を見た瞬間、長老の顔が引き攣り、少し体が震え始めた。

「それならば問題無いでござる。
 長老、どうしたでござる?体が震えてるでござるよ?まだ春先故お体にはお気をつけよ・・・
 それでは拙者は失礼する故・・・」

「そ、そうじゃな」

そう長老を気遣う様にシロは言いながら退室した。
長老の尻尾が股間の間に納まっているのは・・・長老の威厳の為に見なかった事しよう。

一人になった長老はパタッ、と倒れてしまった。

「長老、お聞きしたい事が有り・・・長老!?誰か!長老が倒れた!!医者を呼べ!!!」

そう言いながらその人狼が見たのは顔色が悪く気を失った長老の姿、
平穏な里は一気に慌ただしくなる。


――――――――――――――――・―――――――――――――――・――――――――――――


「天狗殿!お聞きしたい事が有るのでござる!」

「い、いきなりどうしたのだ?人狼の娘よ」

天狗の目にも留まらぬ程のスピードで現れたシロに天狗は焦った様にシロに言った。

「実は、人間を永久に人狼化させる薬は無いかと聞きに来たのでござる!ござればぜひ頂きたい!」

「うむ。その様な事であれば有る。だが、薬が欲しければ・・・分かっておるな?」

シロの言葉に天狗は刀を抜き、剣先をシロに向け、好戦的な笑みを洩らす。
シロは右手に霊波刀を出す。霊波刀の輝きは何故か禍々しいが・・・

「行くでござる!でやあぁぁぁあああ!!」

「な、なんと!?」

「拙者の先生への愛はお主如きでは止められんでござる!!!」

ゴン!ゴン!ガキ!ベキ!バキ!ボキ!
                チィィンッ!!!

「は、はぐううぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」

シロの目はドコか逝っちゃっている様だが問題なく、動機は不純だが単純に強い。速い。

目にも留まらぬ見事な連撃は天狗を滅多打ちにする。
背打ち(みねうち)モードだったのか打撲音がBGMだ。
さらに、ある一撃が全ての男の天敵、大切な所を強襲し、金属音の様な擬音をたてる。
その一撃は天狗の意識を根こそぎ奪い去る。
天狗の目はぐるんと動き白目になると、力が抜ける様な声と共に大地に沈んだ。

「天狗殿、何寝てるんでござるか?」

「っ!な、何を言っておる!拙僧は寝ておらん!」

そんな天狗に、シロは無慈悲な笑みを浮かべながら霊波刀の狙いを天狗の大切な所につけ、
再び強力な一撃を振り下ろそうとする。が、天狗はかなり焦り立ち上がりそうシロに言う。
腰がかなり引けているのは・・・見なかった事にしてあげて欲しい。

「では薬を・・・」

「う、うむ・・・」

天狗はウサギの様にぴゅんぴょんと跳ね、薬を取って来、薬の入った小さな竹筒を白に手渡す。
だが、ふと思いついた様にシロは天狗を笑顔で見る。

「効果は抜群でござろうな?もし間違っていたのならば・・・」

「も、問題は無い!約束する上説明する!!じゃから霊波刀を収めんか!!!」

まるで獲物を痛めつけるのを楽しむ様な獣の様な笑みを浮かべ、
シロはぺロッと自分の唇を舐めながら再び霊波刀を展開し、天狗に言う。
天狗は一気に後退し、焦りながら大声で言った。悲痛な叫びに聞こえる。

「本当でござるな・・・?」

「うむ!その薬を飲み、満月を見れば獣化する!
 ちなみに無色透明無味無臭の上睡眠促進効果付き、滋養強壮効果も有る優れ物じゃ!」

「ではなぜ人狼の数は増えていないのでござろうか?
 この様な薬がござれば人間の女人を人狼と化し、子をなし、増えるでござろう?」

「その点は拙僧に勝たぬ限り薬が手に入らん為だ!」

「なるほど・・・今宵は満月!拙者は急ぐ故失礼するでござるよ!」

シロは天狗の説明に納得し、大慌てで走り出し東京へ向かう。
時間は昼前、上手く行けば夕時には到着する。

一人になった天狗は・・・人狼の里長同様に倒れてしまった。


――――――――――――――――・―――――――――――――――・――――――――――――


「ただ今戻ったでござる!」

「ふぉ!いはぁいほふぁやふふぉもっふへぇひはふぁ(お!意外と早く戻って来たな)」

「あ、シロちゃんおかえりなさい」

元気良く戻って来たシロに横島は食事中の為『はひふへ語』で言い、
タマモとおキヌはテレビを見ていたが、おキヌは見るのを止めシロにそう言った。
シロはありえない事に昼頃に到着したのだった。

「おキヌ殿。美神殿はいらっしゃるでござろうか?」

「ええ。執務室で書類整理とかをしていると思うわ」

「では失礼するでござる」

「・・・シロちゃん。どうしたのかしら?」

「ゴックン・・・さあ?」

すぐさま執務室に入ったシロに首を傾げるおキヌに横島。
横島はそんな事を気にしないと言わんばかり、また食べ始めた。
タマモも我知らずとテレビを見続けるのみ。


「美神殿、ただ今戻ったでござる!」

「あら、早かったのね。用事はもういいの?」

「はいでござる!」

扉を開け、元気にそう言うシロを見ながらそう言い、再び書類整理を始める。

「ところで美神殿。今日は仕事はござるので?」

「別にないわよ〜横島クンにも言っといて〜」

「分かり申した」

シロの機嫌の良さそうな声に美神は首を傾げるも、まぁ良いかと書類整理を再開する。

「先生。まだ食べてたのでござるか?(好都合でござるな・・・)」

「ふぉう(おう)」

シロはいつも道り元気な笑顔でそう言う。横島はいつも通りに返す。
シロが笑顔の下でそんな事を考えているとは誰も思わないだろう。

シロは竹筒の中身、人狼化の薬をコップの水に溶け込ませる。

「んぐぅ!?」

「先生!コレを飲むでござる!」

横島は食べ物を喉に詰まらせ、シロは薬入りの水を手渡す。

「ングッングング・・・ぷはぁあああ・・・あ〜死ぬかと思った・・・」

(成功でござる。獲物はもう間近でこざる・・・)

ふうぅ。と息をつく横島にシロは獲物(横島)を追い詰めたと思い、ふと口の端を少し吊り上げ、
ニヤリと笑う。その目は正に狩りの最中の狼だ。
焦ってはいけない。獲物が危険を察知しては逃げてしまう。

ゾクッ
「うぉ!?」

「どうしたんでござる?」

急に自分を襲った悪寒に横島は奇声をあげた。
一方のシロはいつもの天真爛漫な笑顔で横島を見る。

「いや・・・何か・・・?」

「まぁいいでござる。今日は仕事が無いそうなので帰ると良いと思うでござるよ」

「・・・しかたがないな。じゃあおキヌちゃん!俺、帰るから!」

「分かりました〜」

横島は自分を襲った悪寒の正体がまったく分からんと首を傾げながらも家に帰る事にし、
事務所を後にする。横島の後ろ姿にシロはまた笑った

(?・・・どうしたのかしらね?まぁ良いか・・・)

「散歩に行ってくるでござる〜!」

シロの不自然な様子にタマモは気付いていたが、気にせずテレビの続きを見る。
シロはそう言い残し、散歩に出かけた。


自分の部屋についた横島は無性に眠かった。

「ふぁ・・・ねみい・・・晩飯まで時間が有るし、まぁいいか・・・」

横島はそう言いながら横になる。すると直ぐに深い眠りへと堕ちた。
そんな時だ。シロが来たのは。
横島は無用心に鍵を閉め忘れたのだ。この事実にシロはその笑みを深める。

カチャ

鍵を閉める音がやけに大きく感じさせた。
獲物はもう自分の目の前、逃げ道は塞いだ。後は牙を突きつけ終わらせるのみだ。

「早く夜になるでござる」

シロは夜が待ちどうしい。シロの呟きは部屋に消える。


「う、うぐぅぅぅぅ・・・なんだ・・・?」

夜になり、横島は酷く息苦しく感じ、目を覚ました。
寝惚けている為かクラクラする頭に朦朧とする意識、そんな横島を見下ろすシロ。

ゾクッ
「!?シ、シロ?おまえなんで・・・?」

自分を不敵に見下ろし、少し笑っている様なシロの姿を確認できた横島に、
昼に感じた以上の悪寒が襲いかかる。意識が一気にクリアになる。
いつもとぜんぜん違うシロの様子に横島の喉は不自然に渇き、体は動かない。
横島はなんとかそう口にしたが、シロは何も言わず沈黙をもって答え、横島に近づく。

「っ・・・!」

「苦しいのでござるか?先生?まぁいいでござる。
 先生・・・ちょっとアレを見れば楽になれると思うでござるよ」

シロは始終笑顔だが、その笑顔は狩りを楽しむ肉食獣そのものを感じさせる。
獲物である横島は抵抗らしい抵抗は出来ない。
自分の顔を両手でそっと掴み、そう言うシロの様子は大人の魅力を・・・
魔性の魅力を横島に感じさせる。

(俺はロリじゃない。俺はロリじゃない。俺はロリじゃない・・・)

「さぁ、見るでござる」

「っ!?・・・ぐるぅぅぅぅぅぅ・・・
    わぉぉおぉぉぉおおおおぉおおおん!!!

横島はシロに魅了された事に自分はそんな特殊な趣味は持ち合わせていないと、内心否定する。
そんな横島にシロは月を、満月を見せた。

横島は全身の血が沸騰する様に熱く感じ、獣の唸り声にあとに、
狼の咆哮をあげながら、その姿を半人半獣の姿、大きく獰猛な狼の姿に変え、
目の前の女、シロに襲い掛かった。
シロがニヤリと笑い、横島の欲望を受け入れるのはすでに決定事項で、
横島の魂に眠る蛍の化身が『しっかりして!ヨコシマ!』と言うも、
横島の自意識はすでに無く、本能の塊になった人狼横島忠夫は己が欲望を解放させた。


「うわぁあああぁぁあああああああああ!!!」

朝、横島は叫びながら目を覚ました。目は大きく見開き、額には大粒の汗がびっしょり。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・ゆ、夢か?」

「何がでござるか?」

自分が狼男になり、シロに襲い掛かるという事は悪夢だったのだと、
息を整えながら横島は判断するも、当のシロの声で横島は固まった。
シロは後ろから横島の頭に抱きついている状態、横島の触感は直にシロの柔肌を感じる。
布の感触が無い事から自分とシロが何も着ていない事が分かる。
横島は嘘で有ってくれと思いながら、ゆっくりと振り向いた。

「シ、シロ?」

「先生♪昨日は激しかったでござるな〜♪」

そこには裸で、実に楽しそうに機嫌の良く、妖艶に笑うシロ。
シロの表情から、アレは夢ではなかったと思い知らされる横島、
そんな横島を見、更に楽しそうにシロは笑う。

「って待て!俺が狼男になるはずが・・・」

「残念でござる♪先生は天狗殿の霊薬で既に人狼の仲間入りでござるよ♪
 その証拠にほら、尻尾が♪」

ありえないと横島が言う前にシロは決定的な証拠を横島に見せる。感じさせる。
横島には髪の毛と同色の、犬の様な尻尾が生えていた。

「な、なんで・・・」

「拙者が昨日の昼食時に手渡した水に入れといたのでござる。
 これで既成事実とやらは完璧でござろう?拙者と祝言を挙げてくだされ♪」

「・・・・・・・・・きゅ〜ん」

わけが分からない様子の横島にシロは妖艶に笑いながら横島にそう告げる。
横島が弱弱しく犬の様に鳴くのは仕方が無い事だろう。
尻尾が表す落ち込み様は可哀相なほど分かり、その姿には哀愁漂う。

いくらシロの策略とは言え、横島がシロに手を出したのは事実、
横島は男として責任は取らねばならないと分かっている。シロの言うとおり、結婚すれば良い事だ。
結婚せんと言う程横島は酷くない。冷徹ではない。

横島は望まぬ内に人生の墓場に入り、その首に、薔薇色のものごっつい首輪と鎖をされた。
恐ろしいのはどんなに可愛く見えても、女であろうとも、狼は狼・・・
そして、どんな種族でも女は魔物という事だ。


こうして、犬塚シロは“横島シロ”になった。

戸籍等は横島の両親が用意した。
自分達の息子が性犯罪者に!と思った両親だが、横島の話を聞くと顔を引き攣らせながらも笑った。
美神達の反応は・・・
祝言前に新郎が死に掛けたと言えば理解できるだろうか。火傷もおったのは秘密だ。

最終的に横島はタマモの攻撃(愛)にも屈する事となるが、余談だ。


更に余談だが、
このシロの大暴走っぷりは初めての発情期によるホルモンバランスが崩れた為と診断された。

子孫を残そうとする本能は恐ろしいモノが有る。


―後書き―
今回はダーク等は一切なし!ギャグと壊れで逝きました。シロがなぜか黒くなりましたが・・・
映画ヴァンヘルシングで主人公が呪いで狼男になったのを見て横島の人狼化を思いつき、
更に構想を練ってコレが誕生しました。
突っ込み所が満載?
おキヌちゃんや美神さんがどうなったかは・・・各自でお願いします(土下座)

15禁と壊はいりますかね?いらないと思うんですが、どうなんでしょう?
レス返しは『闇に染まる 第十三話』に書きます。

>DOMさん。
見ているか分かりませんが、まず「時の流れに」をクリックし、
圧縮版 序章全話 の圧縮ファイルの上にある、
大きめで、何の変換か分かりませんが、『時の流れに〜序章 全てに零に〜』と書いてあるのを、
クリックしてみて下さい。多分それでイケルと思うんですが・・・

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