おキヌが戦っている同時刻、某電車にて・・・。
「あ~あ、今日はウラタロスに譲って失敗だったぜ」
「何言ってるのよ。アンタが行ったら良太郎の負担が大きいじゃない」
「そりゃ~、良太郎の鍛え方が悪いんだよ」
電車の中にて、一人の赤鬼と女性が話していた。
「あのねぇ、良太郎はアンタみたいに戦いには向いてないんだから」
「とは言ってもよ、やっぱ戦いはかっこ良くなきゃ駄目だぜ」
そんなこんなで話している中、女性が何かを思い出し、赤鬼に尋ねる。
「そういえばモモタロス、アンタ前に突然消えたわね。何があったの?」
女性の言葉に、モモタロスと呼ばれた赤鬼が青ざめ、何かをブツブツと
呟き始めた。
「あ・・・・あの天然女・・・・・恐ろしい奴だ・・・・・・もう憑依したくねえ」
そんな様子に女性が?マークを浮かべる中、突如モモタロスを呼ぶ音が響く。
「あれ、今良太郎は戦っているけど・・・?」
「・・・・・ま、まさか!?」
モモタロスが何かを察知した次の瞬間、モモタロスの体が粒子化し始めたのだ。
「も、モモタロス!?」
「あ~~~!!あの天然女だけは~~~・・・」
モモタロスが何かを言い終える前に、その姿は消えてしまった。
おキヌが手に入れた能力・・・それは実体無き霊体を憑依させ、その能力を引き出す事。当然、実体化していないモモタロスもまた、その該当者の一人だった・・・。
エピソード九 私、参上です!!&懐かしき友との再会
場所は再び六道女学院。その舞台では、髪を真紅に染め、かっこよさ優先の名乗りを上げたおキヌに、会場が騒然としていた。ただし、三名だけは相変わらず青ざめていたが。
そんな事は全く気にせず、おキヌは自分の肉体に憑依させたモモタロスに話しかける。
(お久しぶりです。モモタロスさん)
(お久しぶり・・・じゃねえ!!何でまた俺を呼んだんだよ!?)
(だって、私は格闘苦手ですから・・・戦える人で思いついたのが、モモタロスさんだったんです)
(無茶苦茶言うな!!前にいきなり呼ばれて、俺はあの訳が分からん巨大猿と戦わされたんだぞ!!)
(でも、楽しそうだったじゃないですか)
(ま、まぁイマジン相手よりはやりがいがあるけどよ・・・・ってそうじゃなくて!!)
モモタロスが再び抗議しようとしたが、それは相手の選手である忍の言葉によって遮られる。
「なにやら隠し玉のようですが・・・・今更何をしても遅いですわ!!」
そう言うと、忍はおキヌめがけて霊的触手を放つ。しかし、このまま黙っているおキヌ・・・いや、桃キヌではない。
「・・・今更もクソもねえ!こっちは取り込み中なんだよ!!」
おキヌの声で、モモタロスが叫ぶ。そして叫びと同時に、彼女の右手に燃えるような赤い霊波刀が出現し、触手を弾き飛ばした。
予想外の反撃に、忍は悲鳴を上げながら後ずさる。しかし、本当に驚いているのはGSメンバー側。
「お、おキヌちゃん・・・霊波刀出したんか!?」
「そんなアッサリ出せるもんなのかよ・・・」
「ビックリですケンノー・・・」
男衆三人は驚愕していた。しかし、美神たち修行組の三人はさして驚いていなかった。何せ、既に見たことがあるからだ。
「な、なんて力・・・」
忍がおキヌの力に驚く中、桃キヌの中ではおキヌとモモタロスが相変わらず話していた。
(つうかお前いいのかよ?俺のスタイルで戦ってもよ?)
(戦ってもらってるんです、不満なんてありませんよ)
(ならいいんだけどよ・・・)
(力を使う事で躊躇や迷いは負けに繋がっちゃいます。それくらいなら、私は迷いません!!)
(・・・・はぁ、わ~ったよ。ただし、俺は最初から最後までクライマックスだぜ?)
(望むところです)
(うっし、行くぜ!!)
次の瞬間、桃キヌは凄いスピードで走り出した。そして、忍目掛けて刃を振り下ろす。
「きゃああ!!」
「行くぜ行くぜ行くぜーーーーーーーーーーーーーーー!!」
二度・三度と刃が振り下ろされる。忍はなんとか回避するが、少しずつ体力を消耗していった。
「この、忍者野郎が・・・・逃げるんじゃねえ!!」
「逃げなきゃやられます!!」
「だったらさっさとやられやがれ!!」
そう言うと、更に霊波刀の出力が収束され、洗練された刃へと変化していく。
「うりゃあ!!」
桃キヌが霊波刀を振り上げると、思いっきり忍がいる場所めがけて振り下ろす。しかし、紙一重で避けると、忍は霊的触手を放った。放たれた二本の触手は、桃キヌの霊波刀に巻きつく。
「げ!!」
「これで、その力は使えません!地面に・・・・倒れなさい!!」
忍の霊的触手から、地面に倒れろの念が送り込まれる。それにより、桃キヌは膝をついてしまった。
「や・・・・やべえ!!ぬおおおおおおおお」
桃キヌがなんとか立とうとするが、霊波刀に接続された触手の念が強いために膝をつくので精いっぱいだった。
「早く倒れて・・・・五秒間地面に伏せなさい!!」
「まずい!!このままじゃおキヌちゃんが・・・」
横島が悲痛な面持ちで見る中、タマモがボソリと呟く。
「大丈夫よ。おキヌちゃんには、おキヌちゃんにしか出来ない必殺技があるから」
その言葉を聞き、ハッとタマモを見る横島。すると、タマモは笛を吹くようなジェスチャーを行う。それを見て、横島はピーンときた。
「なるほど、そういう事か」
「そうよ。だから撫でてヨコシマ」
「はいはい」
タマモの上目遣いに勝てず、ついついタマモの頭を撫でる。それにより、ふにゃーんとなるタマモ。
「狐ばかりズルイでござる~!!」
「シロもだな。ほいほい」
そう言って、シロの頭も撫でる。一体試合中に何をしてるんだか(汗)。
「さぁ、ギブアップしたらどうです・・・今度こそ」
伏せろの念に精一杯堪える桃キヌ。そんな中、おキヌがモモタロスに話しかける。
(モモタロスさん)
(な、なんだ天然女!今やべえ状況なんだよ!!)
(私が今から、この霊波刀にネクロマンサーの笛の念を送ります。それで触手が外れた瞬間に、一気に決めちゃってください)
(わ、わかった。頼むぜ!!)
(はい!!)
そう言って、おキヌは霊波刀にネクロマンサーの念を送った。それにより、霊的触手を通じて忍に“離してください”という念がダイレクトに伝わる。
「な・・・なんで!?」
忍の意志とは関係なく、霊的触手が解除された。
「よっしゃ!んじゃ一気に決めるぜ。おれの必殺技・・・」
そう言うと、桃キヌは腰を深く落として必殺の体勢に入る。それを見て、忍も身構える。
「パート2´(ダッシュ)!!!!」
その言葉が発せられた瞬間、桃キヌの手に存在した霊波刀が分離した。そして、彼女が振るう軌道に沿って、刃が動く。そしてそれが忍に当たった瞬間・・・。
≪ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーン≫
派手な音を立てて、大爆発が起きた。そして、その場には目を回して気絶した忍の姿があった。
「へ・・・決まったぜ」
そう言って、モモタロスはおキヌの身体から離れていった。
「す、凄いよおキヌちゃん!!」
「えへへ♪横島さんに褒めてもらっちゃいました」
おキヌが下りてくると、横島たちがすぐに駆け寄った。
「それにしても、あんな裏ワザがあるとはな。恐れ入ったぜ」
「すごいですノー」
雪之丞やタイガーも素直に感心していた。そんな中、横島を呼ぶ声が響く。
「おっと、最後は俺だっけか」
「そうだな。いっちょかましてこい」
「頑張るですジャー」
皆の応援を受け、横島が檀上に立つ。しかし、向こうには相手の選手が見当たらなかった。
「あれ、相手は?」
『横島選手の相手の選手ですが、先ほどの戦いで恐怖のあまり戦線離脱という事のようです』
「なんだそりゃ!?」
横島が思わず突っ込むが、皆はなんとなく理解していた。何せ今までの戦いで、GS側が常識外れなのはわかりきっており、尚且つ先ほどのおキヌの試合がやりすぎたのである(汗)。
『・・・・ここで予定変更のようです。横島選手には、六道側の講師と戦ってもらうようです』
「・・・っておい!?」
横島の意見はアッサリと無視され、六道側の講師が呼ばれる。そして、その講師が舞台に上がった瞬間、舞台下にいた雪之丞が驚愕の声を上げた。
「か・・・・・勘九郎!?」
そう、横島の目の前にいたのは、かつてGS試験でグロンギに憑依され、横島に助けられた鎌田勘九郎だったのだ。
「お、久し振りだな雪之丞」
「お・・・・お前本当に・・・勘九郎か?」
あまりの変貌ぶりに、雪之丞は驚きの表情。それは、横島や美神たちにとっても同じだった。
「あ~・・・まぁこれが今の俺だ。昔の事は忘れてほしい」
そう言って頬をポリポリとかく勘九郎。そんなこんなで、横島の方を向いた。
「あの時は助けてくれて、感謝する」
「あ・・・ああ、オカルトGメンから解放されたのか?」
「まぁね。それで、今はある意味人助けをする場所で働いているよ」
「へ~・・・」
「それじゃ、やろうか」
そんな流れで、審判の声が上がる。すると、勘九郎は鬼の形をした音叉を取り出した。横島や皆が何をする気かと思う中、彼は告げる。
「“歌舞鬼”・・・・・参る!!」
彼の声に従うように、彼の周りに桜吹雪が発生しだした。そして、勘九郎の身体を紫色の炎が覆う。そして・・・。
「はぁっ!!」
歌舞く“鬼”が、その場に現る。
「な!?」
横島が驚きの声を上げる。しかし、その隙を突いて、小刀を取り出した。
「音叉剣・・・桜吹雪の舞!!」
歌舞鬼の声に従い、桜吹雪が横島の周りを囲む。すると、まるで桜の花びら一枚一枚が光の線でつながり、結界のような形になった。
「乱れ桜!!」
歌舞鬼が音叉剣を振り下ろすと、桜の一枚一枚が横島に襲いかかる。
「げ!?サイキック・ソーサー!!」
横島はサイキック・ソーサー発動するも、面積が小さい桜の花びらを完璧には防げず、少しずつ横島の身体を傷つけ始める。
「こんにゃろ・・・・なら、俺だって奥の手じゃい!!」
そう言うと、横島は頭の中でキーワードを刻み込む。すると、横島の手に黄金の輝きを放つ剣が形成され始める。そして、彼は告げる。その剣を完全な形にする言霊を。
「約束された(エクス)勝利の剣(カリバー)!!」
そう、横島の技能・・・・いや、きたろう直伝の能力“言霊”。それによって、騎士王が振るったとされる聖剣が出現し、横島の手に収まる。
「どっせーーーーーーーい!!」
横島がエクスカリバーの剣風で桜を散らした。そして、そのまま歌舞鬼めがけて走りだす。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そのまま、横島がエクスカリバーを振り上げる。しかし、黙って見ている歌舞鬼ではない。
「鬼火・・・・・・はぁ!!」
歌舞鬼の口から、灼熱の炎が放たれた。
「あちちちちちち!!」
予想外の攻撃に横島はなんとか避けるが、Gジャンに乗り移った炎を消すためにコートを転がる。
「あっち~・・・・やりやがったな~~~!!」
横島は立ち上がると、再びエクスカリバーを構えた。そして、霊力をエクスカリバーに流し込む。
(出力を上げすぎたら、こっちもコントロールしきれん・・・・・やるっきゃないてか!!)
そして、再び振り上げる。しかし、今度はある程度の間合いをとって。
「約束された・・・」
そして、一撃は放たれる。
「勝利の剣!!」
エクスカリバーから放たれた光の刃が、歌舞鬼めがけて一直線に向かって突き進む。
「耐え抜いてみせる!!」
すると、歌舞鬼は番傘を取り出した。そして、その番傘に霊力を100%収束させ、サイキック・ソーサー並の盾へと作り変える。そして、その二つの力がぶつかった瞬間・・・。
≪・・・チュどーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン≫
コート内が火の海と化してしまった(汗)。そして、その場に立っていたのは、霊力をギリギリ残した横島だった・・・。こうして、六道女学院での戦いはひとまず終結したのである。
余談だが、桃キヌの存在が六道女学院で伝説と化すのだった・・・。
あとがき
投稿できた~wというか疲れた(汗)。
という訳で、今回の話はおキヌちゃんクライマックスであります。とにかく、おキヌちゃんで格闘戦をしてみたいという願望の果てができました。後悔はありませんw
さて、次回は・・・・・・何の話でいこうやら(汗)
とりあえずは・・・
1:横島のNewバイク編(クウガでいうビートチェイサーちっくな話?)
2:海での除霊合宿編(ウラタロスの出番有?)
3:復活のオレンジもとい、復活の鬼道編(展開予測不能w)
のどれかで行こうと考えています。では、次回まで・・・さらばです。