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▽レス始

「横島君の才能〜第一話〜(GS)」

大和 (2007-02-27 23:20/2007-02-28 07:44)
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とあるビルの一室

薄暗い会議室のような部屋で二人の男性が会話をしている。

若い男性がレポートを見ながら壮年の男性に報告する。  

「これが関係各省及び政府に報告されている公式の情報です。」

パサッ

そう言って机の上にレポートを置く、それを見ながら壮年の男性は質問をする。

「韮崎君、これしか無いのかね? 彼に関する報告は、たったの3行だよ。」

           
ー人類唯一の文珠使いー

ー敵移動要塞に潜入、それに伴うスパイ活動ー

ー西条輝彦の指揮の下、美神令子が文珠を利用しての敵魔神を倒すー


「はい、これがー魔神大戦ーに関する報告書で記入されている横島 忠夫氏に関する公式情報です。」

淡々と報告する韮崎

壮年の男性は、納得していないのか訝しげな表情で次の質問をする

「一般に流れている情報は?」

人類の敵・世界の裏切り者という認知から、撤回報道そして人類側のGS(見習い)としての最終決戦の参加といった内容です。」

「その事に対する反応はどうなってる?特に撤回報道の認知度などをたのむ。」

「はい、まず撤回報道の認知度に関してですが、あまり良い状況とはいえません。理由に関しては多々ありますが、主な要因としては報道各社の姿勢によるものが大きいといえます。
具体的な例として大手報道機関による大規模な撤回報道は復興活動中の混乱期に報道したきりです。
それと一部スポーツ誌及び週刊誌等の拡大解釈によって情報の混乱がみられます。」

ピクッ

何か気になることがあったのか眉を振るわして口を開く。

「拡大解釈?どういった内容かね。」

「戦中に報道された敵魔族が女性体のみだったことを理由に、肉体関係等があったのではないか?といった内容です。この情報の根拠は魔族に捕らわれたのに身体的損傷及び精神の改ざん
所謂洗脳等が行われなかった事を理由にしているようです。
横島忠夫氏が未成年という事もあって名前の報道はされてませんが、人物の特定及び想像は比較的容易にできるようです。」

とても信じられないような内容だが日本の報道の真実といったものはこうゆうものである。

壮年の男性は苛立ちが隠せないのか震えた声で言う。

「その事について政府の対応は?」

「総務省を通じて是正勧告を出しましたがあまり改善がみられないようでしたが、
財界の方から圧力があった様で徐々に沈静化しているようです。」

「どのあたりが動いてる、やはり六道あたりか?」
特定の個人の為に動けるような企業は、六道の様なオーナー企業ぐらいしか不可能だろう。

「はい、六道本家がかなり強い圧力をかけて動いてますが、他にも村枝グループなども動いてるようです。
六道は美神美知恵からの依頼もあったようですが半ば自発的に動いているようです。
村枝に関しては村枝商事が積極的に動いてグループ内の意見を統一、特に社長が精力的に動いた模様です。
おそらく横島百合子氏が動いたと思われますが裏づけはとれてません。」


   〜第1話〜動き出す世界〜 


         ー六道本家ー〜10日程前〜  

美神美知恵は焦っていた、確かに歴史を変える訳にはいかなかった、同じ歴史を辿る為に裏で動いた、
しかし、その事だけに囚われていなかったか?
戦後、特に彼のアフターケアに関して動けなかった、何故だ?確かに歴史は変えてはいけなかった。
けれど今問題になってるのはあくまで戦後の話だ、彼がああなるのは知っていたのに何故その後のフォローの準備が出来なかった。

「ええい、しっかりしなさい美神美知恵!」

パチッ

そう言って自分の頬を叩く

「美神家の人間は決して諦めない!なら今からでも彼の為にやらなくては。」

ガチャッ

ドアが開く

開けた音に反応してドアの方に顔が向く、するとメイド長のフミがあらわれた。

「お待たせしました、奥様が応接間の方でお待ちですのでご案内いたします。」

「わかったわ。」

そう言うと椅子から立ち上がってフミの後ろを付いて行く。

コンコン

フミがノックしてドアを開ける。

ガチャッ

「奥様、美神美知恵様をお連れしました。」

まずフミが先に部屋に入り美知恵の入室を促す。

「先生お久しぶりです。」

そう言って軽く会釈する。

「あら〜美知恵ちゃんひさしぶり〜、もう退院したの〜、 お見舞いに行けなくてゴメンネ〜。とりあえず座って〜話はそれから〜」

美知恵が来るのを待っていたのか部屋の中で立っていた六道婦人、座るのを促して自分も一緒に座る。

「はい、それで先生にお願いがあって「フミさん紅茶おねが〜い、はちみつ多めにね〜、美知恵ちゃんも紅茶でいい〜?」

話を遮って言われた美知恵は少しコメカミをひくつかせながら

「ええ、それでお願いします。」
(クゥッ  落ち着くのよ、私!ここでペースを握られるのは拙いわ)

「フミさんおねがいね〜。」

「はい、奥様。」

そう言って部屋を出てゆく

「それで、おねがい〜ってなに〜?」

「はい、よk「横島クンのこと〜?あの報道に関してかしら〜。」

美知恵の言葉を遮って質問する六道婦人

「は、はい。」

(クゥッ!何で今日の先生は攻撃的なのかしら、いつもの先生じゃないわ。)

「先生のお力で何とかしていただけないでしょうか?このままでは彼の傷を抉っている様なものです。
 表面的には彼は変わってない様にみえますが、いつ破綻するかわかりません。」

彼の瞳をみた時、吸い込まれるかと思ったほどの悲しい瞳
どこまでも深く深く悲しい、そして優しい瞳、あの後、彼に謝罪する為に機会を作って2人で会った。 
正直許してくれるとは思わなかった、それでもどんなに罵倒されようが頭を下げるつもりだった。

 
けれど彼の言葉は予想外だった、いや彼の性格を考えれば予想は出来た
けれどそれはとても低い確率・可能性の話、しかも本心から言っていた。


       ー横島のアパート前ー〜更に2日程前〜


美知恵は緊張した面持ちでアパートの2階にある横島の部屋を見つめていた。

「このまま眺めてたってはじまらないわね。」

(やっぱり緊張するわ、けどこれは私の責任、彼に謝らなくてわ。
 この時間に彼が部屋に居るのは確認済み、部屋の灯りも点いてるし間違いなくいる。)

カツッ カツッ カツッ

アパートの階段を昇っていく、そしてドアの前に立ち深呼吸

スー ハー

コンコン

「はーい、ちょっと待ってくださーい。」

ガチャッ

「アレッ、隊長じゃないですか、どうしたんスか?なんか急用でショーカ?」

GパンにTシャツ姿の高校生ぐらいの少年が少し驚いたようなしてる。

(マズイマズイ!わざわざ隊長が家にまで来るなんて何かしたのか俺?最近、覗きとかしてないぞだったら何で家にくるんだ?そーか!
西条だな!あのエセロンゲヤローがある事無いこと隊長に言いやがったんだなそーだ!そーに違い無い!)

カナリ痛い人みたいな想像をする横島だが、頭の中で考えている事を口に出さない辺り彼の成長がみられる

「あのね、横島クンに話があって来たのだけど中に入れてくれるかしら。」

「何の話か分からんスけどそれは全部西条の嘘です!俺を貶める為にわざわざ隊長を使ってまで仕掛けてきたんです、きっとそーに間違いないっス!あんな嘘つき中年ヤローなんかクビにしてください!」

興奮している所為か美知恵の問いかけに対する返答が無いまま一気呵成に言葉を繋ぐ。

そんな横島の言葉に何て反応していいのか美知恵はコメカミをおさえる。

(・・・・彼は変わらないわね、良い意味なのか悪い意味なのか判断に迷うところだけど。ってそんな場合じゃないわ、とりあえず落ち着かせないと話が進まないわ。)

「何を想像しているのか分かりませんが落ち着きなさい!話の内容に西条クンは関係ありません。」

「ヘッ!?それじゃあ何の用で来たんスか?」

苦手意識があるのか、美知恵の一喝で落ち着きを取り戻す横島。
これが娘の令子の場合は殴られないと落ち着かない、この場合は突っ込みか?

落ち着いたのを確認してから、もう一度

「とりあえず上がらしてもらって良いかしら?」

「アッ、スンマセン、汚い所ですけどどうぞ。」

そう言って抑えてたドアから手を離し、美知恵に中に入るように促す。

「ありがとう、おじゃまするわ。」

(しっかし西条のヤローが関係ないとなると隊長は何の話できたんだろうか?う〜〜〜ん考えても分からん、ま、いっか!聞いてみれば分かるし。)

「とりあえず、適当に座ってください。」

伸ばした掌をちゃぶ台のほうに向けて座ることを促す、そして美知恵が座ったのを確認してから冷蔵庫の方に歩き
扉を開いて中身を見てから「飲み物、麦茶しか無いんスけどいいですか?」と確認する。

「そんな気を使わなくて良いわ、突然来たんだし、でも折角だからいただくわ。」

そう言って麦茶の入ったコップを受け取る。

横島は美知恵にコップを渡し自分の分のコップをちゃぶ台の上に置き、座って気になっていたこと聞く。

「それで今日隊長は何の用で来たんスか?」

そう話を切り出されると、ピシッと背筋を伸ばして

「そうね、本題に入りましょうか。横島クン、謝っても許されない事かもしれないけどごめんなさい。」

謝罪をし頭をさげる

いきなり頭を下げられてビックリして一瞬固まる横島、直ぐに我に返ってあわてて止める。

「た、隊長、頭を上げてください、困ります!」

そう言われて頭を上げる、けれどしっかりと横島の瞳を見たまま

「たしかに歴史を変える訳にはいかなかったわ、けれど許されることじゃない事もわかってるわ。」

その台詞を聞いて美知恵が何のことを言っているのか確信する横島。
横島も背筋を伸ばして顎を引いてしっかりと美知恵の眼を見つめ返し

(そーだよな、俺だけじゃなくて隊長もあの事件の事に囚われてるんだよな。)

「隊長・・・謝んないで下さい、謝られると隊長を責めなきゃいけなくなります、それにアイツの事は今でも、いや一生忘れられないけど気持ちの整理はついてます
隊長のした事を一度でも恨まなかったって言ったら嘘になります、けど今は恨んでないっス。
むしろ自分が馬鹿だったんです、何も考えないで言われたまま動いて、自分の意思ってのが無かったんだと思います。
もし最初からあったんだとしても、普段の行動がアレだったからあっても無いようなもんですけどね。」

自分の想いを振り返りながらゆっくりと、そしてしっかりと眼を見据えて話す

(横島クン・・・・変わって無いと思ったけど、うん成長したわね。)
「そう言ってくれると嬉しいわ、けれどアレからそんなに経ってないのにずいぶん落ち着いたわね、何か切っ掛けがあったのかしら?」

「あのあと両親が来てくれたんスよ、世界の敵として報道されてからずっと連絡取ろうとしてくれてたみたいで。ものすごく心配されました、「世界の敵になっても私たちの息子に変わりわないんだから連絡ぐらいとれ」って。
そんときものすごい折檻されたけどなんか嬉しかったんスよね。」

とても大切な事を話してるようにはにかんだような笑顔で笑う横島

「そう、いいご両親をもったわね、って事はルシオラさんの事やあの事件のことも話したのかしら?」

「そうっスね、最初は黙ってたんスけど、ん〜〜今思い返してみるとただ拗ねているだけだったのかなっとか思いますけど、やっぱりお袋に隠し事は出来なかったスね、で結局、溜まってた鬱憤とか色々な物を吐き出して、慰められて説教もされて・・何て言ったら良いんスかね?
とにかくスッキリしたんスよ、一人で抱えてるとどんどん暗い方に思考が行っちゃうんスよね、あのままの自分だったら正直何するか想像つかなかったス、良いタイミングで来てくれて助かりました。」

「そう、横島クンはご両親のおかげで立ち直ったのね、正直その役目は私たち周りの大人が・・・いえ私がやらなきゃいけない事だったのに
(令子じゃ慰めるんじゃなくて殴りそうだし、西条クンじゃ喧嘩するし神父は・・・)もっと早く来るべきだったわね。」

何か含むところがあるのか、喋ってる途中で思考が入る

「いえ、そんな事は無いっス・・・きっと隊長だからって訳じゃなくって他の誰でも駄目だったんです・・・アイツに言われたんスよ「私の好きなヨコシマのまま変わらないでいて」って
それで今までと変わらない様に過ごしてたんスけど・・どっか無理してるようで、なんかギクシャクしちゃんですよね、美神さんやおキヌちゃんも気を使ってくれてるのか何かぎこちなかったし、そんときは気を使ってもらってる事も気づかなかったんで、その事にも腹を立てて、ソレを溜め込んでそのせいで更にギクシャクして・・・・そんな悪循環で軽い人間不信みたいな感じになってたんでスよ。
そんな時にお袋達が来てくれて、話が終わった後に言ったんスよ「親父とお袋の息子で良かった、きっと他の誰に言われても納得すら出来なかったと思う。」って、そしたら親父の奴なんて言ったと思います?
「親ってのは偉大だろ!」って言ったんですよ、ただのスケベ親父だと思ってたのにそんな事似合わないって思ってたのに、妙に納得しちゃったんですよね。」

「そう、じゃあ他に何か困ってること無い?出来る限りの事してあげるわ、何でも言ってちょうだい。」

「エッ!!・・・・じゃあ学校の出席日数を公欠扱いとかに出来ないスかね?その事がお袋にばれた時の被害が一番デカイんスよね。」

「え〜と、横島クン・・もしかして公欠扱いになってなかったの?」

「はい、担任にこのままだと留年確定みたいな感じで説教くらいましたよ、出席するためにバイトの時間を減らそうと思って美神さんに時給上げてくださいって言っても上げてくれないしどうしようかと思ってたんスよ、まぁそれに関してはもう大丈夫なんですけど。」

ピクピク!

コメカミを引きつかせながら

「わかったわ、出席日数の件はまかせてちょうだい(西条クンの馬鹿!なんで何もしてないのよ!?・・・これは後でお仕置きね)
あと、令子が時給を上げてくれないって言ってるみたいだけど横島クンは今時給いくらなのかしら?」

「エッ!・・・・時給ですか・・それを言うのはマズイっちゅーか、ばれたら美神さんにシバかれるちゅーか・・・・」

隠し事のばれた子供の様な反応をする横島

(こ・これは、あの令子の事だわ相当酷い金額なのかしら?二千円?千五百円?まさか千円以下って事は無いと思うんだけど。)
「なんで言えないか何となく想像が付くけど、言えないって時点で酷い金額って事は分かるわ、調べれば分かる事だから今教えてもらえると助かるんだけど。」

「そーっスよね、隠したって無駄っすよね。」

開き直ったのか、さっきと違った理由で気合を入れる

「けど変な言い方になるけど隠そうとしただけ成長したわよ、前だったら考えもせずに喋っちゃうでしょ。」

「はぁ、慰められてるんか褒められてるんかわからんっスけど、とりあえず今の時給は450円です。」

「へっ!?450円?ホントに?4500円とかじゃなくて450円〜〜〜!!」

ズコ−−−−−ン

「ええ、そうっスけど隊長がそんなに驚くなんてそんなに酷いんスか?」
(ヤバイ、隊長のこの驚き様もしかしてとんでもなくマズイ事をいってしまったんでは。)


  続く


 −あとがきー

 どーも大和(やまと)と申します、はじめまして
 ROMのみだったんですがレスを通り越してSSに挑戦!!
 皆さんの書いてる作品に触発されて書いてしまいました
 感想・ご意見・ご批判どんどんお願いします、どんな内容でも続きを書く 為の糧になります(だからレス0件じゃないとウレシーな)
 ちなみに西条や美神親子ヘイトじゃないですよ、ちょっと今回では立場が 悪いですけどこれから挽回していくつもりです(西条はどうしようか?)
 あと何故か自分でも意識してないところで伏線が・・まぁそれは置いといて、完結目指して頑張ります!
長文失礼しました。
                                     ー大和ー

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