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「TIME JUMPER  第四話(GS+仮面ライダーカブト)」

ICE DRY (2007-02-03 08:45)
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 ゴーストスイーパー資格試験取得会場。
 俺は、そう書かれた看板が立てかけてある門をくぐる。
 受験者数千八百人以上、合格枠は三十二名という狭き門。
 今思えば、良く受かったと思う。
 俺は感慨深くあたりを見回す。
 自信に満ちた表情、不安に満ちた表情。
 俺も当時は不安でいっぱいだったな。
「草野さん」
 俺がそんなことを思っていると、後ろから美神さんに声をかけられた。
「どうした令子?」
 少し前から、俺は美神さんのことを令子と呼んでいる。
 最初は美神さんと呼んでいたが、
「あなたは年上なんだから、私に対してさん付けは変でしょ?私のことは呼び捨てでいいわよ」
 といってきて以来、俺は彼女のことを令子と呼んでいる。なぜか、顔を赤らめていたが……。
「まわりの人たちは修道服とか、袈裟とか着てるけど……いいのそんないつも通りの格好で?」
 俺は自分の格好を見てみる。
 いつものごとく袖の無いコート、レザーパンツにレザーブーツ。
 確かにまわりは色々といかにも退魔師といった格好だが、俺はどちらかといえば世捨て人といった格好だ。
「いいか?まわりの連中は様々な力、例えばそれぞれの宗教の神様とか、自然の力を借りて力を発揮するため、それらの力を借り易い格好なんだ。まぁ、あとは自分の気持ちを高めたりする作用もある。だが、俺は自分自身の力のみ。だから格好なんてどうでもいい」
 俺はそういうと、受付へと歩を進める。
「それと令子、ここからは受験者以外は進めないからな。あっちの広場で待っていろ」
「了〜解〜」
 俺の歩きながらいった言葉に、美神さんは詰まらなさそうに返事をしてきた。
「六道除霊事務所所属、草野飛翔だ」
 俺は受付の女性に必要書類を手渡し、名前を告げる。
 六道家に資格試験を受けるといったら、必要書類を全て用意してくれた。所属事務所の欄はすでに六道除霊事務所と埋まってはいたが……。
「草野飛翔様ですね。こちらが受験番号になります。それと、注意事項が書かれた用紙です。良くお読みいただき、同意していただけるならばこちらにサインしていただけますでしょうか?」
 俺は受験番号が書かれたバッチと書類を受け取る。
 十三番か。あの時と同じとはな。
 俺は苦笑いを浮かべると、バッチを左胸につけ、書類を読みサインする。
「はい、ありがとうございます。では、先におすすみください。まもなく第一試験が始まりますので」
 俺は案内板に従い、第一試験会場に向かう。
 会場に向かう途中、GS協会の広報部と思われる人間が、今年の注目選手にインタビューをしているのを見かける。
 そういや、あの時はカオスが受けていたな。ま、銃刀法違反で失格になったが……。
「すみません。GS協会の広報部ですが、インタビューよろしいでしょうか?」
 俺は昔のことを思い出しながら、会場へ向かう途中、声をかけられ振り返る。
 そこには俺より頭一つ低い女性が、マイクを持って立っていた。
「六道除霊事務所所属の草野飛翔さんですね」
 おいおい、俺も注目選手ってことか?
「ああ、そうだが?」
「名門の六道家からの出場ということですが、狙うのはもちろん主席合格ですよね?」
 ああ、そうか。俺が六道の所属だからか。
「主席か次席かは関係ない。ただ合格するだけだ」
 俺はそっけなく答えると、会場へと向かう。


 第一試験は放出される霊波の大きさで合否が決まる。
 昔の俺ならいざ知らず、今の俺なら余裕で合格できるだろう。
「それでは一次試験を始めます。足元の白線にそって立ってください。始めという合図と共に、霊波を発してください。それでは、始め!」
 一斉に霊波を発し始める。
 俺も目を閉じて精神を集中すると、体の中に力が溢れるのを感じる。
 呼吸を落ち着け、目をゆっくりと開き霊波を発する。
 グォォォォォ!!
「うわっ!」
「な、なんだっ!」
 俺の周りに居た連中から驚きの声があがる。
「二番、六番、七番、十番、十三番、二十三番合格!次の試験会場へ向かいたまえ!!」
 ま、余裕だな。
 さて、次はトーナメント方式の実技試験だったな。
 変身するまでも無いだろう。サイキックソーサーと栄光の手で切り抜けられるな。
 その前に、昼飯か。確か美神さんが鼻歌交じりに弁当を作っていたな。
 俺は美神さんが待っている広場へと向かった。


 私は広場にある大きな木下で、草野さんが来るのを待っていた。
 傍らには、早起きして作ったお弁当。
 草野さんが来てから、いつも私が食事を作っている。
 今まで誰かのために食事を作ったことなんて一度も無かった。
 草野さんが美味しそうに食事を食べる姿は、何か嬉しい。
「はぁ〜、遅いなぁ」
 私は小さく呟いた。
「お嬢さん!」
 私は突然かけられた声に振り返る。
 そこには上から下まで白のスーツに身を包んだ、十八歳くらいのキザっぽい男が居た。
「どうしたんですか?貴方のように美しい人に、そんな悲しい顔は似合わない。どうです、この僕、藤堂院耶光があなたの悩みを聞きましょう!!」
 今まで、何度も不良や遊び人みたいなのに声をかけられたことはあったが、こんなキザな奴に声をかけられたのは初めてだった。
「いいえ、結構です。私は人をまっているので」
「そんな恥ずかしがらずに……。何なら美味しいコーヒーもお出ししましょう!」
 そういって私の腕を強引に引っ張る。
「ちょ、ちょっと離してよ!」
 私の腕を掴んでいた男の手を、別の手が掴む。
 その手は草野さんの手だった。
「この娘とは、俺が待ち合わせしていたんだ。それに、嫌がっているだろ?」
 草野さんの手に力がこもる。
「いたたたたたっ!」
 男の手が私の腕から離れる。
「何をするんだ!僕を藤堂院家の次期当主、藤堂院耶光と知っていてやっているのか!?もし僕に失礼なことを働くと、GS協会での立場は悪くなるぞ!!」
「それがどうした?親の七光りを使わないと、何も出来ないといっているのと同じだぞ?」
 草野さんにそういわれた藤堂院と名乗る男は顔を真っ赤にする。
「いわせておけばぁ!いいだろう!僕の実力がいかほどのものか、次の試験で思い知らせてやる!!精々がんばるんだな!!!」
 藤堂院は肩をいからせて、その場を去っていく。
「おい、あいつ藤堂院の御曹司を怒らせたぞ」
「かわいそうになぁ。藤堂院といえば、GSの中でも有数の名家だぞ。どんな嫌がらせを受けるか……」
 周りからそんな声が聞こえる。
「大丈夫か?」
 草野さんが心配そうに声をかけてくる。
「私は大丈夫だけど、草野さんの立場が悪くなったんじゃないの?」
「気にすることは無い。いざとなれば六道家に頼るさ。そんなことより、飯にしないか?」
 草野さんが近くのベンチへと向かう。
 私はため息を付きながら、彼の後を追った。


 美神さんの弁当を食べ、一息ついた俺は二次試験の会場へ向かう。
 ラプラスのダイスにより対戦相手が決定されるトーナメント戦。
 前はほぼ悪運で乗り切ったが、今回は実力で乗り切る。
 俺はタバコを吸いながら、対戦相手が決まるのを待つ。
 サイコロが振られ、出た目は八。
 やれやれ、これも前と同じか……。
 俺は八番コートへと向かう。
「ふふふふ、こんなにも早く先ほどの決着が付くとはね!!」
 そこで待っていたのは、昼飯のとき美神さんをナンパしてきた男、藤堂院だった。
 傍らにレイピアを構え、胸には赤いバラが飾られている。
「藤堂院様ぁぁぁぁぁ!!」
 観客席から若い女の黄色い感性があがり、それに手を振って答える藤堂院。
「まさか君が六道の関係者だったとはね。今のGS協会は六道が仕切っているに等しい。だが!六道の栄光はここで終わる!!六道を打ち破り、GS協会に新たなる歴史を刻むのはこの藤堂院耶光だ!!」
 藤堂院がレイピアを構える。
 俺はため息をつきながら、コートのポケットから手を出す。
「藤堂院選手対草野選手……始めっ!!」
 審判の合図と共に、俺は栄光の手を構える。
「ふはははははっ!僕の突きについてこれるかな!!」
 藤堂院が俺に向かって、レイピアを振るう。
 だが、はっきりいって遅い。
 その上、急所ばかりを狙ってくるので単調な攻撃だ。
「ははは!避けるだけで精一杯かい?一発でも殴りにきたらどうだい!」
 やれやれ……。
「それじゃ、言葉に甘えるぞ!」
 俺はレイピアをかわすと、藤堂院の懐に入り、奴の頬を思いっきり殴ってやる。
「ぶはっ!」
 藤堂院は勢い良く転がり、結界にぶちあたる。
 ……力を入れすぎたか?
 藤堂院がゆっくりと立ち上がる。
「痛いよぉぉぉぉ!こいつ本気でなぐったよぉぉぉぉぉ!!」
 立ち上がるなり、大声で泣き始める。
 ……こんな奴がゴーストスイーパーになるのか?
 生と死が背中合わせのこの世界に、こんな奴がはいってくるのか……?
 俺は次第に腹が立ってきた。
 俺も最初の頃は逃げたり、隠れたりしていたが殴られても、怪我をしても泣かなかったぞ。
 こいつ……舐めてるのか?
「もう許さないからなぁぁ!!」
 藤堂院がレイピアを構えながら、俺に向かってくる。
 俺に突き出されるレイピア。
 俺はそれを避けると、レイピアを掴む。
「お前は、何のためにGSになる?」
「決まってるだろ!金をもうけて、女に囲まれる生活だ!お前だってそうだろ!!」
「……俺は、光を掴むためだ!!」
 俺は全霊力を栄光の手に送り込む。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 俺は最大出力の栄光の手で、レイピアをへし折る。
「三億もした僕のグレートブレイカーがぁぁぁぁぁぁ!!」
 俺は栄光の手を霊波刀にして振り下ろす。
 霊波刀を藤堂院の首筋で寸止めする。
 奴のズボンと立っている場所がぬれている。
 ……情けねぇな……。
「お前にはギブアップよりもお似合いだ」
 俺は霊波刀を解除する。
「勝者、草野飛翔!!」
 審判の勝ち名乗りを確認すると、俺は特殊結界が張られたコートから降りる。
 あと一回勝てば、合格か……。
 それにしても、藤堂院みたいな奴でもゴーストスイーパーになれるのか?この時代の連中は、俺達のときより大分質が落ちているな。
 いや、俺達が凄すぎたのか。
「草野さ〜ん!」
 俺が試験会場の出口を出ると、向こうから手を振りながら走ってくる美神さんが見える。
「いや〜すっとしたわ!あのキザ野郎の無様な負け方」
 美神さんが嬉しそうに話す。
「草野君お見事ね〜」
 俺は突然掛けられた声に振り向く。
 そこには和服に身を包んだ六道氏がいた。
「なんてことは無い。正直、がっかりした。藤堂院というのは結構有名なんだろ?それがあの程度とはな」
 俺はため息をつきながら話す。
「そうね〜。藤堂院家は少し前までは結構実力があったんだけど〜、今の当主になってからは実力は下がる一方ね〜。面倒ごとはお金で解決するような人だから〜」
 六道氏は苦笑いを浮かべながらそういう。
「あら〜、その子は〜……美知恵ちゃんの娘さんの令子ちゃんね〜」
「ママ……母を知っているんですか?」
 美神さんが驚いた顔をする。
「ええ、もちろんよ〜。彼女は〜結構有名だったから〜。そういえば〜、あなた来年高校生でしょ〜?どう、六道の学校にこないかしら〜?霊能科もあるから〜、美知恵ちゃんと同じ道を進むなら損はないわよ〜」
「……考えておきます」
 六道氏の話に、美神さんは困った顔をする。
「そうそう〜。草野君あと一勝したら、試験合格よね〜?」
「ああ、そうだが?」
「それじゃ〜、私からのお願いいいかしら〜?」
「なんだ」
「来年度から〜六道女学園霊能科の〜講師を勤めてもらえないかしら〜」
「「はあぁぁぁ!?」」
 俺と美神さんが声をそろえて驚く。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺には人に教えるようなもんはないぞ!」
「そうよ!それに草野さんは無愛想なのよ!!」
 ちょっと待ってくれ、美神さん……。
「今の六道の講師陣は〜、あまり場数を踏んだことの無い人たちなのよ〜。草野君は〜、相当の場数を踏んできてるでしょ〜?戦い方をみればわかるわ〜。それを教えて欲しいのよ〜。それに戸籍を作ったら〜、なんでもいうことを聞いてくれるっていう約束だったわよね〜?」
「確かにいったが……」
「ならお願い〜」
 参ったな……。
 てっきり除霊や面倒ごとの処理かと思っていたんだが、まさか講師をやるようになるとは思っていなかったな……。
「はぁ、わかった。引き受けよう。ただし、授業は俺のやりたいようにやらせてもらう」
「わかったわ〜。それじゃ、明日の試験もがんばってね〜。貴方なら主席合格だわ〜」
 そういうと、六道氏は笑いながら去っていく。


 帰り道、近くのラーメン屋で夕食を済ませた私達は家路へと向かっていた。
「本当に先生やるの?」
「……やるしかないだろ」
 私の問いかけに、草野さんはため息混じりに答える。
 ぶっきらぼうで、無愛想なこの人が先生……。
 全然似合いそうも無い。
 でも見てみたい。
「私、ゴーストスイーパーになろうかなー」
「……なぜなろうと思う?」
 私の呟きに、草野さんが問いかける。
「……私、小さい頃GSだったママに憧れてたのよね。ママみたいに気高く、格好良く、どんな悪霊にも負けないGSになりたいって……。でも、事故で死んじゃって私の追いかけていたものは、ただの幻想だったって思ったの」
 そう、私が追いかけていたのは幻でそれは絶対に手に入らないものになってしまったから……。
「でも、新しい目標ができたわ。無愛想でぶっきらぼうだけど、めっぽう強いGSを超えてみたいって」
 そして、その人の隣に立ってみたいな。
「俺は……強くない。それにまだGS試験はあるんだ」
「大丈夫!草野さんはトップ合格よ!私の勘はあたるんだから!!」


 試験二日目が始まる。
 二回戦、三回戦、準々決勝、準決勝と秒殺だった。
 試合開始と同時に放ったサイキックソーサーで終わったり、不用意に飛び込んできた奴には栄光の手でのカウンターパンチ、神通棍を構えた相手には霊波刀で叩きのめしてきた。
「次で最後か……」
 俺はブーツの紐を締めなおし、手にレザーグローブをつける。
 選手入場口から中央コートに向かう。
 そこにはすでに対戦相手が居た。
 俺はその姿を見てはっとする。
 肩ぐらいで切りそろえられた黒髪、スレンダーな体にライダースーツを纏った女。
 俺が本気で惚れた女そっくりな姿。
「ルシ……オラ…?」
「ん?何?」
「いや、なんでもない」
 俺の呟きに問いかけてくる女性。
 いるわけが無いんだ。
 ルシオラはアシュタロスの反乱のとき死んだ。
 残っていた破片も、時空のかなたに消えちまった。
「それでは決勝戦、草野飛翔選手対芦原ルラ選手……始めっ!!」
 名前まで似てやがる。
 俺はサイキックソーサーを投げる体制をとる。
「そんなもの当たらないわよ?」
 次の瞬間芦原の姿が三人に増える。
 分身……幻術か!
 俺はサイキックソーサーを解除して、栄光の手にする。
 芦原たちは俺を囲むと右手を突き出し、霊波砲を撃って来る。
「ちっ」
 俺は舌打ちをすると、その場から飛びのく。
 くそっ!まるであいつと同じじゃねぇか!!
「ぼうっとしているのはダメよ♪」
 芦原たちが神通棍を構え襲い掛かってくる。
 俺は栄光の手を霊波刀に変化させ、襲い掛かる神通棍を凌いでいく。
 凌いでいるうちに、不思議なことに気付く。
 三人の芦原のうち、一撃だけ重い攻撃がある。
 ひょっとして、その重い攻撃を繰り出してくるのが本体か……。 
「ほらほら、どうしたの?貴方って強いでしょ?ひょっとして、私に見ほれた?それとも私が昔の彼女に似てて、手が出せないとか?」
 悔しいが、図星だ。
 俺の鳩尾に、神通棍がクリーンヒットする。
「ぐっ!」
「貴方みたいな弱くて、いつまでも過去を引きずっている人と付き合うなんて、趣味悪いんじゃない?」
 そのとき、俺の中の何かが切れた。
「彼女のことを……ルシオラのことを悪くいうんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」
 俺は全霊力を霊波刀にこめる。
 霊波刀が二メートルぐらいまで伸びる。
 俺はそれを横なぎに振るう。
 霊波刀は芦原たちを切り払う。
「うそっ!」
 一人だけが攻撃をかわし、霊波刀の射程距離まで逃げる。
 あれが本人か。
 俺は一気に間合いを詰めていく。
「冗談じゃないわよ!」
 芦原が霊波砲を撃ちながら間合いを保とうとする。
 決める!
「伸びろ!ハンズオブグローリー!!」
 俺は霊波刀を栄光の手に戻し、霊力を込める。
 栄光の手が芦原の首めがけて伸びていく。
「ちょっとちょっと!!」
 芦原が神通棍を構え。栄光の手を止める。
 俺はさらに霊力を込める。
「うおぉぉぉぉぉ!砕けろぉぉぉ!!」
 俺が手を握ると同じく、栄光の手が神通棍を握りつぶす!
「うっそぉぉぉぉぉぉ!何でもありなのぉぉぉぉ!!ぐっ!」
 神通棍を握りつぶした栄光の手が、芦原の首を掴み、そのまま結界に押し付ける。
「誰であろうと、彼女のことを馬鹿にさせない!たとえ女であろうと、許さない!!」
「ギ、ギブアップ……」
「そこまで!草野選手、彼女を放したまえ!!」
 俺は審判たちに羽交い絞めにされ、強制的に栄光の手を解除させられた。


 俺は何とか主席でGSの資格を取ることが出来た。
 だが、六道や美神さんからやりすぎだといわれた。
 帰り道、夕日がやけに綺麗に見える。
「ねぇ、ルシオラって……草野さんの大事な人?」
 美神さんがためらいがちに問いかけてくる。
「草野さんが私の前に現れたとき、ルシオラって呟いていた。でも、そのときは何のことか良く分からなかった。でも、あの芦原って人に昔の彼女のことを馬鹿にされて、本気で怒ってた。そして、草野さんが何度もルシオラって……」
 俺は夕日を見ながらタバコに火をつけた。
「ルシオラは、俺が本気で好きになった奴だった」
 タバコの煙を吐き出しながら呟く。
「ルシオラは……魔族だった。最初は敵同士だったが、そのうち次第に惹かれてな。そのうち恋人同士になった」
 夕日を見ながら、タバコを吸う。
「ある時、俺は彼女を助けるために敵の霊波砲を浴びて、重症をおっちまってさ、魂に。ルシオラが自分の魔族因子を俺に分けてくれたんだ。だけど、それと引き換えにアイツは……」
 俺の頬を涙が伝う。
「霊的因子で出来ている魔族や神族にとって、それは自分の命を分け与えるのと同じなんだ。ルシオラは……俺に命のほぼ全てをくれたんだ」


 草野さんがルシオラさんのことを話してくれた。
 いつもは無愛想で、ぶっきらぼうで、ほとんど自分のことを話さない彼がゆっくりと、呟くように話してくれた。
 魔族なのに人間を愛し、愛され、そして草野さんのために死んでしまった女性。
 死んだ今でも愛され続けてる彼女を私は羨ましく思う。
 何か二人の間、草野さんの心には私が入る隙間なんて無いのかもしれない。
 でも、私は草野さんの近くにいたい。
 ねぇ、ルシオラさん。私、この人の近くにいてもいいですか?


 私は自分のベッドの上でGSの免許証を見る。
「へへ……」
 自然と顔がにやける。
 良かった。彼と同じ時間軸にたどり着けて。ま、私は十年以上も前に流れ着いていたけど。
 それにしても、ずっと私のこと気にしてくれてたんだ。
 私が馬鹿にされたことに本気で怒ってくれた。
「やっぱ、私って愛されてるなー」
 でも、今の彼の近くには美神さんがいる。
 彼女、今中学生なのよねぇ。あ、でも中学生には手を出さないか!そーいえば、彼女、今度高校生じゃ……。
 私は枕を抱え色々考えを巡らせる。
「とりあえずは、彼に会いに行こう。……待っててねヨコシマ」


 第四話完成です。
 今回は変身はなしでいってみました。
 時空の流れに消えたルシオラが人間(?)として登場です。さてさて、これから先彼女がどうなるかお楽しみに。

これが変身時の身体データです
パンチ力:4t
キック力:7.5t
ライダーキック:22t
ライダーパンチ:20t
ライダークラッシュ:18t
ジャンプ力:一跳び40m
走力:100mを5.6秒

 グラスホッパーは完全横島チューンなので、彼にしかこの性能は出せませんし、変身できません。  


レス返し

くろがねさん
 ザビーは近々登場予定です。
 やさぐれ横島は自分の命とかそういうものを、軽く感じてるようなところがあるので、そんなものは気にしていません。

焔 竜介さん
 キックホッパーとパンチホッパーの資格者はすでに決定済みです。
 多分予想外だと思いますよ。(笑

ぎんさん
 この小説のコンセプトは強いけど最強じゃない横島君です。
 サソード資格者が西条?ナンノコトカワカラナイナー。

R-44さん
 しまったぁぁぁぁ!そんな手があったかぁぁぁぁぁぁ!!!
 ともあれ、私の戦闘シーンは全てノリと勢いで出来ていますので。(爆
 もうちょっと緻密に書いていきます。 orz

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