横島忠夫は悩んでいた。
親のナルニア行きの同行を拒否った為に、仕送りを殆ど無くされてしまったのだ。
(給料のいいバイト、探さなきゃなぁ・・・)
とりあえず短期のバイトでも探そうと、道端でもらったバイト情報誌を拡げていると、目の端に美女が遷った。
「ぬおうぅ?!」
よく見るまでもなく、清楚な感じの美女。妙に時代がかった服装といい、辺りをきょろきょろ見回している事といい、どっからどうみてもお上りさんであった。
(いーかんじに堕とせそうやな・・・・・あれ?)
基本的に、清楚とかそんな感じの女性であれば爽やかを装って堕とそうとする横島だったが・・・よく見ると。
・・・確かに、お上りさんとは思った。まあ、田舎では普通にあることだろう。しかし、
大都市東京の白昼で、歩きで赤信号横断するのは如何様なものか。しかもベタにも1トントラックが向かってくる。
(どーする?!轢かれたら俺の命が!!いやしかしここで助ければ、感謝→看病→そして伝説へ・・・・。どうすんの俺、どーすんのっ?!)
ちなみに、この間実に1/100ヨクトセカンド。既に人外である。
結論として。
「のっぴゅらぴょーんっ!!」
横島によるタックル!
なぞのびじょはかわした。
なぞのびじょのはんげき!
1トントラックは割り込んだ!
1トントラックははじきとばされた。
横島はひかれた。
「一体なんですか・・・・・って、あれ?」
美女の視線の先では、先ほどのトラックがビルにぶつかっていた。
(う・・・?)
血が足らないのか、ボーッとする意識で、横島は目覚めた。
治りかけの傷のようなむず痒さが横島の全身を包むが、頭のあたりはなんだかやーらかい感触が帰ってくる。
ムニ・・・・
「あら?」
枕になっているところを攫むと、むちむちした感触が帰ってきた。
伸びをしようと手を伸ばすと・・・
ムニュ・・・
「きゃぁ?!」
今度はマシュマロのよーな感触がかえってくる。
(・・・・こ、コレはまさか・・・)
ムニムニムニュムニュ・・・・
「ちょ、ダめ、やめてください・・・・ああッ」
確信を得た横島は手を離さずに縦軸回転、前のに加えて
くんかくんかくんかも加わった!!
相手もどうやら正気にもどったようで、必死に押し退けようとする。
「な、何をしますか!!」
「堪忍や~!!!膝枕なんて、膝枕なんて、そんな黄金シチュにあって何もしないとか、俺には無理やわ~~!!
!」
ぐりぐりぐりぐりぐり(押しつける音&押し退ける音)。
閑話休題。
「ふー・・・・取り敢えず、私を助けてくれようとした、んですよね?」
「そーですフロイライン。お怪我はありませんか?」
横島さわやかモード。しかし、セクハラの後となっては、ジト目で見られるだけである。
「ゴホンっ。まぁ助けていただいたことは感謝いたします。・・・・正直、こちらが謝って欲しいくらいですが」睨みつけられた。
「あ、あはははは・・・や、貴方が魅力的だったので、ということで一つ。・・・・そういえば、名前、聞かせていただいてもイイですかね?俺は横島っていーますけど」
「横島さん・・・だったですよね。私は小竜姫、竜神族の小竜姫と申します」
「竜神族・・・?てことは神様なんですか小竜姫さんて」
「はい。だから私に手を出すと仏罰がくだっちゃいますよ?以後は気をつけてくださいね」
そう言う小竜姫の めっ! な表情にノックアウトされかけた横島だったが、疑問を浮かべることによってっこらえた。
「まぁ神様なんだろうがどうだろうが美人さんなら俺にはどーでもいいですけど・・・神さまっつーと、人里離れた山とか、そういう人が来ないような場所にいる気が・・・」
「まぁ、そうなんですけど・・・実は、竜神王の御子息が失踪されまして。跡継ぎでいらっしゃいますし、王は一族の中でも敵が多いですから・・・早急に保護しなければ」
「はー。なんか大事ですね・・・あれ、まさかローラー作戦で探してるんですか?」
手がかりとかないと流石に無理だと想うのだが。
「いえ、おそらくですが、でじゃぶーらんどとやらに行きたいと仰っておりましたから、その周辺を。・・・私自身、場所を知らないのでまず何処にあるか調べなければならないのが難点ですが」
・・・・横島は目に妖しい光を煌かせた。
「やだなぁ、そうだったら最初に言ってくださいよ!デジャブーランドなら子供の頃行ったこともありますし、直ぐに案内しますよ!!御子息とやらを探すのもお手伝いいたしましょう」
「宜しいのですか?!運が悪ければ、事件に巻き込まれるかも・・・」
「袖すり合うも多生の縁です!それに話を聞くに、その方まだ小さいンなんでしょう?子供がそんな目に遭
っているのを見過ごす事なんてできません!!!」
「横島さん・・・・本当にありがとうございます」小竜姫はぺこりと頭を下げた。
(現代人は情が薄いって聞くけれど、本当にいい人みたいだわ。・・・正直、性格は困るけれど)
ちなみに言うまでもなく横島の狙いは小竜姫である。よーするにその御子息とやらが見つかるまでは、二人っきりのデートなのだ。ぶっちゃけ見つからなくてもいいとか思っている。
(でーとじゃ・・・!美女とデートの定番遊園地じゃ!この際、学費生活費貢いででもものにしたる・・・!!!!!)
「ふ、ふふふふふふふ」
「よ、横島さん?」
「ほう、これが電話ですか。小さくなったものですね~~。テレビには色がついているし、いんた~ねっとというのは面白いし・・・・・最近の人間の技術には驚く限りです」
小竜姫は横島の携帯を手にして目を丸くしていた。
「そうなんすかねぇ・・・・その技術にどっぷりつかってると実感わきませんが。・・・ッち」
先ほどから、まずは手を重ねようとしているのだが、紙一重で小竜姫に避け続けられる。ならばと思ってお尻を
掴もうとするとガードされ、胸を狙えば物理的力を持った視線が。
(ここはあれだろうか、やっぱり押し倒すしかないのだろうか)横島が普通に犯罪な事を考えていると・・・
「ところで・・・・でじゃぶーらんどには何時着くのですか?」
沈黙。
「い、いやぁさっきまでの小竜姫さんの格好は目立ちすぎでしたから!!こっちが目立ったら逆に人捜しは難しいでしょう?それにちゃんとデジャブーランドの方角にいってるんですよ。小竜姫さんの反応見る限り、その御子息とやらも公共交通機関の使い方なんて理解らないでしょうし、子供の足でいけるほど近い場所でもありませんから!道すがらで発見できる可能性もあるのではないかと愚考した次第で!!」
「はぁ、そうですか・・・」微妙に納得できない顔で頷く。
そう、横島は定番とはいえ人捜しが目的になりそうな目的地を避け、町中で(ぢばらを切って服をおくってまで!)デートを敢行しているのである。
(どうせデートで行くならパレードの時間にでも行ってそのまま物陰へGO!!)とかそんな感じだ。
「じゃあ、そろそろ準備も整いましたし!!たったと行きましょうか!!」
流石にもうこれ以上誤魔化すのは無理と思ったのか、横島は小走りで小走りに駅に向かった。・・・無意識に、小竜姫の手を取って。
(あっ・・・)邪気のない行動だったために小竜姫は反応することが出来なかった。小竜姫はとうの昔に成竜となっているが、武道一直線で生きてきたので、ろくに異性とつきあったこともなかったのだ。
手を、振り払おうと思わないでもなかった。しかし、人に手を引かれる感触は、存外、気持ちよかったから・・・
横島がそのことに気づいたのは、電車に入ってから。叩かれる、と思ったのだが。小竜姫は、赤くなっていただけだった。
さて、ついてしまったデジャブーランド。(余談だが別行動をとっていた鬼門の二鬼は、シーの方に行った後不審者として捕まったらしい)
「殿下~?!天竜童子でんか~~?!」
小竜姫が声を上げて呼んでいる・・・・が、無論逆効果だ。家出中に----心細くなったとかそこまで行ってないときに-----呼ばれたとして、のこのこ出てくる輩がいるだろうか?
無論そんなことは承知している横島。
(にげろ、逃げろや殿下とかいうガキ~~!貴様がたったと逃げればデートが長くなるんじゃイ!!)ちゃんと逃げているか・・・・ちなみにそもそも来てなかったりしたらモーマンタイである、のだが。
(いたよ・・・)
小竜姫は気づいていないようであるが、入り口前の集合写真用足場。その影に、小竜姫が先ほどまで来ていたのと同系統の服を着て、角を生やした子供がガクガクブルブルしていた。
「あ、殿下!!」何とか目を外らそうとしていたが、手遅れだった。残像が残るほどの早足で駆け寄った小竜姫は、猫の子を掴むように子供をとらえた。腰が抜けているのか、満足な抵抗もできずに、青い顔して涙を流す天竜童子とやら。
「逃げられませんよ?殿下。・・・さて、どうしてこんな事をしたのか、説明していただけますか」
確かに小竜姫の口元は笑っていた。しかし、目は・・・細められている。其れは微笑んでいるようにも見えたが、どっちかといえばガンつけであった。
「いや、小竜姫さん落ち着いて?!!ほら、こんな小さな子供なんですから!!どーせ親が遊んでくれなかったとか、そんな可哀想な理由ですって!!!」
ここでキレられるのは冗談ではないと横島がありがちな{家出の理由}でフォロー、図星を疲れて驚いたのか、天竜童子の涙がとまる。
「そうなんですか殿下?・・・そうなんですか」
暗い顔をして俯いた童子の頭を、優しく撫でる小竜姫。
その顔は本当に聖母のようで・・・其れを見た横島は、
(さ、さっきまでマジギレしてたのに・・・怖え~~!怖え~~!女って怖え~~!!でも好きだ~~!!!)とか思うのだった。
「でも、それはそれです。私の方から竜神王様の方にも掛け合ってみますから・・・今日の処は、帰りましょうね」
そう言って天竜童子を地面に降ろす。
「むぅ、折角ここまで来たというのに・・・」童子は残念そう顔であるものの、諦めたようだ。大人しく小竜姫のそばに立つ。
「じゃあ横島さん?本当にありがとうございました。今回のお礼は後ほどお送りいたしますので、
それで「ちょーと待った!!」え?」
「いやいや、折角ここまで来たんだから遊びましょうよ!!捜索役ってことは小竜姫さん結構強いんでしょ?傍で護衛するなら夕方迄くらいは!!」
(えーい、ここまで来て引き下がれるか!こぶ付きだろうがかまわん、このまま押し切るっ)
「ふっは~、いやぁ楽しいのう!!もう一度行くぞ!」
「殿下、もうご勘弁を・・・折角横島さんが買ってくれた服がずぶ濡れです・・・」
結局、小竜姫は折れた。天竜童子が横島に同調して、小竜姫の強さに対するプライドをつくことで、どうにか許可を取ったのである。天竜童子は、身長制限のせいで当初の目的であるコースターにには乗れなかったものの、飛沫山改(水のかかる量が多い)に乗ってご満悦であった。
一方、その後ろの二人組・・・
「小竜姫さん・・・大丈夫ですか?なんだったら俺のジャケット貸しますよ」
「あ、すいません・・・横島さんに折角いただいた服も濡らしてしまって・・・」
「いやぁ、かまわないですよ。それよりも、貴女が風邪を引いてしまうことの方が大変です」
キラリン
順調に堕としていっているようである。本当に、本当に珍しく、横島の計画は上手くいっていた。
・・・まぁそんなことは言っても・・・・
ドッカ~~~~ン
所詮横島なのであるが。
(うう、今日はこんなんばっか・・・)
痛む体を押さえて、横島は瓦礫をよじ登る。
「しょうりゅうきさ~ん、ガキ~?大丈夫か~~?」
なんだかんだで女子供には優しいと言われる横島は、直ぐに二人の安否を確かめようとするが、応えはなく。
目の映ったのは、怒りに震える小竜姫だけだった。
「小竜姫さん。その、ガキ・・・天竜童子殿下は?」俯いて怒りに震える彼女の、緊迫した空気を感じて、自然横島の顔も引き締まる。
「攫われて、しまいました。・・・・・・私のせいです。護衛の私がもっとしっかりしていたら」固く握りしめた拳からは、血が垂れていた。
もし、コレが人間同士なら、少なくとも殺されるようなことはない。生きていなければ、取引材料にもならないからだ。でもそれが、神様の話で。しかも、後継者であるなら?・・・運が悪ければ、その場で殺されることもあり得る。
「そんな・・・。いえ、俺のせいです、そもそも俺がはしゃいで遊ぼうなんて言わなかったら」
思い詰める小竜姫には、逆効果になるとは分かっていても、そう言うことしか横島には出来なかった。
「いえ、横島さんは殿下を気遣ってくれたですし、最終的に許可を出したのも、遊びにうつつをにかして注意を怠ったのも私です。私が、悪いんです」そう言ってさらに拳を固める。
雰囲気にやられて、まともに動かなくなっている頭を動かし、何とかこの場を収められるように状況を整理してみる。・・・と、僅かな疑問を感じた。
「って・・・連れ去った?その場で殺してもかったのに・・・・小竜姫さん、急ぎましょう!!奴ら他にも何か目的があるんですよ!今から急げばまだ間に合うかも!!」
その言葉にはっとして小竜姫は立ち上がる。
「そうですね、今からならまだ間に合うかも・・・ありがとうございます、横島さん」
そう言って飛び立とうとする小竜姫。
「ちょっとまってください!小竜姫さん。・・・俺も、一緒に行きますよ」
横島も、痛む体を押さえて立ち上がった。
東京湾を望む倉庫街。その一つの中に、天竜童子と、二人の竜族らしき男、そしてフードを
被った人物がいた。
「まったく・・・なんの役にも立たなかったな?お前らは。所詮、竜族といえどただの下級役人か」
「す、すいません、旦那」フードの人物に、背の低い方の男が頭を下げる。
「もういい。・・・役立たずはいらん」そう言って、フードの人物は手から大口の化け物(ビッグイーター)を
だし、男を石化させた。
「あ、兄貴?!」驚いた声を出した背の高い方の男も、直ぐに石と化す。
「まったく、クズばっかで役にたちゃしないね」そう言ってフードを脱いで表れたのは、豊満な体をした、魅力
的といってもいい女性・・・ただし、致命的に目付きが悪い。ついでに年齢の方も少し・・・。
「ムグー!ムグー!っ!」簀巻きにされ、猿ぐつわをかまされた天竜童子。何とか体をよじらせて抜け出そうとするが、思い切り腹を踏んづけられて動けない。
「すまないね?お坊ちゃんよぉ、本当なら直ぐに楽にしてやりたいんだけど、これも上司の命令でね・・・」
そう言って懐から針を取り出す。
「本当はコレ、風水師の血でやるんだけどね・・・。風水とは龍脈を見ること、龍脈とは力の流れであり転じて竜そのものを指す。効率は悪くても竜王家クラスの力なら、一回でエネルギーが貯るんだよ。・・・それじゃあ、さようならってね!!」針を心臓に向かって振り下ろす。が、
「サイキック猫だまし!!」
「な?!」あたりに霊波による閃光が満ちる。あたりの霊場がかき乱され、一時的に全ての感覚がなくなった。
「チィ?!このクズどもめ!!」
先ほどまで童子の傍にいた小竜姫だろう。さっきは奇襲が成功したが、真正面から戦うとなると分が悪い。
(だが、今は足手まといのガキがいるはず。仮に逃げたとしても・・・)
彼女は超加速、という術を持っている。本来なら韋駄天の技であるから小竜姫が習得している可能性は低いし、使えたとしても二人分のエネルギーを消耗する。継続時間で考えれば彼女の価値はゆらがない。
飛び上がり、後を追おうとする。しかし、目の前には大きな障害が立ちふさがっていた。
「ここから先には行かせませんよ・・・。貴方だったとはね、竜族の黒便覧はの5番、メドーサ!!」
彼女は・・・メドーサは応えた
「ふん、音に聞こえた神剣の使い手と戦えるのは光栄だがね? エリートさんのお上品な戦い方で、あたしを倒せるとは思わないで欲しいね!!」
剣を構えた小竜姫と、刺又を構えたメドーサの姿が、交差した。
「うひゃぁぁ?!お、落ちる!!」
一方横島。先ほど天竜童子を助け出したのは無論彼である。小竜姫のヘアバンドを借りて、そこに宿った力を借りることで、何とか成功したのだった。今は小竜姫が戦いに専念できるよう、天竜童子を抱えて飛んでいたのだが・・・いかんせん、そのような経験が一度もない一般人が、空中でのバランスをとることなぞできるはずもなかった。
どっしーん・・・
「い、いてえ・・・」
今日一日で、ヘタすれば死ぬかもしれない衝撃を3度もくらってしまった。血はそれ程でもないが、体中に打撲ができている。
「何をしておる横島、早く小竜姫を助けに行かねば!!」
横島が庇ったために無傷の天竜童子がそうせかす。
「はぁ? 何言ってんだてめぇ。今俺達が行ったところで足手まといにしかならんだろ」
小竜姫の力を借りてるにしろ、横島は唯の一般人である。できてそのタフさを生かした肉壁程度。天竜童子は竜神王の跡継ぎかもしれないが、そもそも強ければ小竜姫もあれほど必死にはならなかっただろうし。
「確かに・・・余はまだ子供で、ろくに術も使えぬ邪魔者じゃ。それでも、余は誇り高き竜王家の者じゃ!今回の騒ぎも、そもそも余が大人しくしていれば起きなかったこと。全ての責任は余にある。己にかされた責任を家臣に押しつけて、何が王子か、何が漢か?!」
「そんなこと言って・・・お前まだガキじゃねぇか。ヤメとけ」
その言葉は、王子ではなくても、立派な男である横島の胸にしみた。小竜姫はいい女だし。
しかし・・・
(命あっての物種だーや。それに、小竜姫さんに言われちまったしな・・・)
いわく、絶対に戦わないで欲しい、そんなことよりも、一刻も早く殿下を逃がして。
それは冷静で、正しい意見であった。少なくとも、今の横島には反対できる材料がなかった。
今の、戦士でない横島には。
ぽろん
「む?! 角が生え替わった・・・。ふん、これで子供だからというのは無しじゃな!術も使える」
そう言って天竜童子は空に舞い上がる。
「それではな、横島!生きていたらもう一度小竜姫と共に遊ぼうぞ!!」
童子の顔は年に似合わぬイイ笑顔を浮かべていた。
一人その場に残された横島。その胸に一つの{反対できる材料}が浮かんだ。
(!そうだよな、それで十分じゃん!!)
横島も飛び上がる。まだギリギリ視界に映る小竜姫を・・・ついでに天竜童子を見つめて。
「一緒に生き残って、小竜姫さんと一発してやる~~~~~!!!」
ま、横島らしいといえばその通り、なのだろうか?
「はぁはぁはぁ・・・意外と、手こずったね?」
そう言うメドーサの目線の先には、疲労困憊した小竜姫と天竜童子。
邪道を得意とする、実戦慣れしたメドーサと小竜姫の戦いは、メドーサに軍配が上がった。
やってきた天竜童子の攻撃は、確かに竜王家の跡取りだけあってかなりの威力だったが、メドーサを倒すには至らなかった。しかも、使い慣れない力の使用は、大きく童子の体力と気力を削ってしまった。
メドーサを後一歩まで追い詰めたものの。・・・そこから続けるだけの力が、もう二人には残っていなかった。
「殿下、やはり殿下だけでも・・・」悲痛な顔で、小竜姫が話しかける
「ふん、無理を申すな。もう浮いてるだけで精いっぱいじゃ。」疲れ切った天竜童子がそれに応える。
「ふん、最後の挨拶は終わったのかイ?じゃあ、まずは先にお逝きな、小竜姫!!」
刺又が、小竜姫を襲う。
(殿下、横島さんっ)
「どっせーい!!!!」
「な?!」
突如メドーサを、霊気の固まりが襲い、爆発する。
「くそっ、何者?!」
本来なら其れ程のダメージではない。しかし、先ほどの戦いでかなりのダメージをおっていたため、割合としては大きなものだった。
メドーサ、天竜童子、そして小竜姫の目線の先にいたのは・・・!!!
「平手にも負けず、怒鳴りにも負けず・・・
逆さづりにもシカトにもめげぬ・・・
西にに美少女が居ると聞けばスカートをめくり、東に美女が居ると聞けば飛びかかる・・・・!!!!
横島忠夫、此所に健全!!!・・・じゃなかった、見参!!!」
「・・・ちっとも健全じゃありませんよ、横島さん・・・」戦闘によるもの以上の頭痛をこらえる小竜姫。
「・・・ナメたこといってんじゃないよ!!」
横島のふざけた態度にキレたのか、メドーサは残り少ない力で霊波砲を放つ。
「とうっ」
それを横島は、多少形がぼやけているものの・・・霊力を集中させた小さな盾(サイキックソーサー)で防ぐ。
「なんだと・・・クズの分際でぇ!!」メドーサのボルテージが上がっていくが、いかんせんもうガス欠であった。まともなシールドすら張れない。
「年増の意地悪い ばーさんは用済み なんだよっ!!!!」
手に持ったサイキックソーサーをメドーサに向かって放り投げると、再びおきる爆発。
「くそっ、今回はもうどうしようもない!!覚えてろよ!!」
ベタな捨て台詞を残して飛び去っていくメドーサ。横島にしても、その後を追う力は残っていなかった。小竜姫、天竜童子と共に、半ば落ちるように降下する。
「横島さん・・・もう、あれほど言ったのに」
ヘアバンドを外した反動で、セクハラすら出来なくなった横島を抱きしめる小竜姫。
「はは・・・いやぁ殿下を引き留めることも出来なかったし、おれも男ッすから」
そんなことを爽やかな顔で言いつつも、感覚が麻痺して色々なことを感じられず心の中で血涙を流す。
「うむ、横島。良くやってくれたな。余の家臣にしてやろう!」
「はは・・・ありがとよ、くそガキ」
言い争いを始める天竜童子と横島を見守りながら、小竜姫は先ほどの戰闘ついて考える。
(たしかに、私の竜気がしみこんだものを身につければ、私の力を多少なりとも引き出すことはできる。でも・・・)他の人物の霊気を使って、新しい技術を作り出すことなんて、下手な霊能力者にもできない。もしかすると、横島の潜在能力は・・・
「横島さん・・・」
「ん、どうしました?小竜姫さん」
「私の元に、来ませんか?」
「え``?」とまどう横島。
「貴方のことを、本気で鍛えたくなってきました。今回のことのお礼も含めて、私の処で修業していきませんか?」
考え込む。
(むぅ、いちおう神様な小竜姫さんの本気の修業・・・なんか死にそうな気がしないでも無いが)こんな清楚な美女と同居できるチャンスなど、逃す横島でもなく。
「はい!どうかよろしくお願いします!!!」
どうも、初めまして。桐灰ナガレと申します。
久しぶりに原作まんが読んでいたらハマってしまって・・・ついには慣れもしないのにSS書いてしまいました。
至らぬ点が沢山あると思いますが、どうかよろしく御願いしますw
ところで・・・実は自分、GSのSSには明るくありません。このサイトにたどり着いたのも、つい1週間前だったりします。ですから、設定的におかしいところ・他の作者様の作品などと被っているネタ等がありましたら、直ぐに言ってください。平謝りに行きますからw
追記:我ながら流石に恥ずかしいので、直ぐにできるところは修正しました・・・。更新してしまうことも含めて、本ッ当に申し訳ない・・・