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「魔神の後継者 第一話(GS)」

アイク (2006-11-16 21:22/2007-06-02 23:50)
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―第一話 拉致 ―

アシュタロスが倒れ一ヶ月、横島は“いつも通り”だった。
だがソレは偽り…美女に跳びかかるのも、情けなく無様に泣き叫ぶのも一つのスタンス。
唯自分を偽り、皆を偽る道化師。
ルシオラの…恋人の最期の言葉で仮面を被り、横島は心に負った大きな傷を道化を演じる事で隠す。
月日は人は変える。偽る横島も例外ではない。横島の心は大きな変化の時を向かえていた。
いや、実際には変わっていたのだ。だが、それに気付く者は本人を含めいない。
人は気付きたくないモノには目を逸らす。
そのツケが今正に訪れようとしていた。

「うっ・・・ここ、は・・・・・・?」

その日、横島はいつもの様に目を覚ました。
昨晩は仕事があったのでYシャツにGパン姿だ。バンダナはしていない。
横島はまるで霧がかかり、朦朧とする頭で、そこが自分の部屋でない事に気付く。
そこは壁も床もむき出しのコンクリートで扉は鋼鉄製。まるで監禁室の様な部屋だった。

「なんで俺は・・・!?なっ・・・・・・・・・」

横島は起き上がろうとし、手足が動かない事に気付きふと手足を見ると絶句した。
鎖で拘束されていたからだ。
寝惚けていた頭が一気に覚醒し、己を拘束する物の圧迫感と重量を感じる。

「?なんでだ?まあいい、それよりも…」

ガチャ ガチャ

圧迫感と重量を感じたのが遅く、感覚がいつもより鈍い事よりも横島は鎖から自力で抜ける事を優先した。
文珠を使えば一発だが、ストックが一つしかなく、昨日作ったばかりで今すぐ作れない為だ。
少し手足を動かし、抜けれるかどうか試してみる。

キィィ

「フム、起きたようだね・・・」

「…誰だ」

横島がガチャガチャと鎖を外そうとしていると扉が悲鳴の様な音をたてて開き、3人の男が入ってきた。
3人とも白人で緑の軍服を着ている。
真ん中が初老で少し後ろにいる2人は年若く、マシンガンを油断無く構えていた。
初老の男は少々堅苦しい感じがする日本語でそう言い、横島は無表情で静かに問う。
無意識に道化を演じる必要が無いと思っているのだろか。横島を知る者が知らない彼がそこにいた。
そして横島自身自分の変化に気付いていない。
まるでそれが本当の自分だと言わんばかりに振舞う。

「まずは自己紹介だ。私の名はハマード。ハマード・エレノスだ。貴様には、我々の為に働いてもらうぞ」

「・・・俺に何をやらせようとする気だ」

ハマードは不敵な笑みで横島を見下し、横島はただ見返す。
ただ見返しているだけの様に見えるが、霊波を流し、鎖を壊そうとしている。
狸と狐の化かし合いに見えなくも無いが、そんな上等で高等なやりとりは少しも感じられない。

「何・・・ただ工作員になって欲しいだけだ」

「断わる」

ハマードが言い終わると同時に横島はハッキリと拒否する。横島の即答に沈黙がおりる。

「ククク」

「・・・何が可笑しい」

カチャッ

嘲笑の様で冷淡な顔で小さく笑うハマード。その様に、横島は鋭く睨みつけながらそう言う。
鎖で拘束され、芋虫の様に床に横たわる横島だが、その気迫は常人であっても彼が危険な存在だと分かるだろう。
その証拠に、ハマードの隣に控える男達は顔を少し青褪めながら銃口を横島に向けている。

「貴様には拒否権は存在しない」

「知った事か」

ハマードはニヤケながら高圧的にそう言う。その様に横島は鼻で笑いながらそう返してやった。

「死が眼前に迫ろうともかね?」

ピキッ
「・・・殺せると思うのか?」

ハマードの言い様は完全に見下したモノだった。そんな時調度鎖が小さなヒビが入った様な音をたて、
その音に横島は不敵な笑みを見せながら返してやった。

「無様な姿を見せる今の貴様に何が出来る」

「・・・・・・・・・確かに、このままじゃあな!」

バキィイイィン!

「なっ!?」

ハマードが鼻で笑い、完全に見下す様に横島は少しの沈黙の後にそう言いながら、霊力を全力で解放する。
鎖は甲高い、まるで断末魔の様な音をたてて砕け散った。
横島は鎖が砕けると同時に音も無く跳躍し、ハマードを跳び越え、着地も音をたてない。
ハマードは今まで見くびっていた男の行動に目を見開き、驚愕する。

ドゴッ!

「ぐあっ・・・!」

「!?」

(っ!?あ、あの目は・・・っ!)

横島は冷笑と共に、振り返りながらハマードの右にいた男の右脇腹に廻し蹴りを叩き込む。
鈍い衝撃音と苦悶の声と共に彼は崩れさる。
左に立っていた男は一瞬恐怖で硬直した。そしてハマードは横島の目に見覚えがあった。
生粋の殺人鬼の目だ。殺す事を望む者の目だった。

「う、うわぁああぁぁああああああ!!!」

「っ!?(体が重いっ!)」

ガギィ!

左に立っていた男は発狂したかの様な叫びをあげながら銃を撃とうとする。
横島は咄嗟に反応したが、その時自分の体が思うように動かない事に気が付く。
気が付きながらも霊波刀を発動させ男が撃つ前にその首を斬り飛ばそうとするが、
体が思う様に動かず、それでも持っている銃を持つ手ごと下から斬り裂こうとするが、
集束が思うように上手くいっていないか、銃を半分程斬るだけで終わってしまう。

「ああぁぁあぁあぁああああああぁあああ!!!」

(っ!間に合わねえ!)

ゴスッ!ガス!ガスガス!!!

「ぐがぁあっ!あが!がぁあ・・・・・・・・・!」

彼は叫びながら銃の柄で横島の後頭部を殴打し続け、横島が動かなくなるまで男は殴打する。

「・・・っはあ!はあっ!はぁああ!」

息を荒げ、限界まで目を見開き、息を途切れ途切れになる男。
男は動かなくなった横島と、握り締める血に塗れた銃の残骸を交互に言葉無く見る。

ギロッ

ゴギャッ!

「ぐろぉぉお!?」

横島の閉じていた目が突如開き、自分を殴打した男を睨みつけながらその脇腹を抉る様に殴る。
男の胸の下は骨が変形し、骨を容赦無く砕く音をたてた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ドサッ

横島は頭部から血を大量に流し、ハマードを睨みつけた。
異様なプレッシャーを発しながら、常人ならばすぐさま発狂しそうな殺気を無自覚に放つ。
永遠と思われる時間は終わった。
横島が倒れる事で。

「く、くははははは!くははははははははははははははははははっ!!!」

その瞬間ハマードは狂ったかの様に笑う。
そして笑いながら横島の足首を掴み、引きずりながら部屋を出て行った。
部屋はハマードが出て行くと同時に蛍光灯の寿命が来たのか、消える。
残されたのは気絶する男と、重症なそのパートナー。
明かりが不自然に消えた部屋は何故か地獄の入り口に見えた。


―後書き―
改訂してみました。元が短かったので短いです。2時間でやってしまいました。
最初から投稿しなおした方が良いかもしれませんが、その続きをどうやって繋げたら良いのか分からないので、
修正でやります。
何話まで改訂するかは分かりませんが、お願いします。
十話位までは改訂しますかね?他は題名のみの改訂になるかもしれません。
新しい感想が有れば、その話のレスに書きます。
改訂前にレスをくれた方々、ありがとうございます。

時間が無いのに何やっとんだ俺は・・・第二十六話手つかずだってのに・・・

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