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▽レス始

「式神横島 極楽大作戦!(GS)」

mugen (2006-11-08 00:48)
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真っ赤な火炎が悪霊の行く手を遮る。

「そっち行ったわよ、ヨコシマ!!」

「りょーかい、っと!」

ナインテールの少女―――タマモの声に反応して、バンダナを額に巻いた少年―――横島の手から何かが飛ぶ。
次の瞬間、丸く仄かに光る円盤が悪霊を切り裂き、断末魔の声と共にその存在を消滅させる。
タマモの狐火で敵を誘い込み、横島のサイキックソーサーでキメる。
今日の戦闘パターンだ。
いつもなら前衛のシロが敵陣に飛び込み、てきとーに数を減らして、ふよふよとあぶれた敵を横島の霊波刀ばすばすと切り裂く。哀れにも生き残った者にはタマモの狐火が飛び、こんがりとジューシーに焼きあげるという必勝パターンで除霊していくのだが、なにぶん今日はシロが居ない。
というか、今回は久しぶりに美神達と共同作戦を行っている為、シロは美神に貸出中だ。・・・まぁ、強制的に徴発されたとも言うが。
二人は危なげなく次々と悪霊を片付けていくが、次々と悪霊達は沸いて出て来る。
プチッっと何かが切れる音が聞こえた。

「くけぇぇっっ! 次から次と・・・だぁぁぁぁっっウザったい!」

引きつった笑みと奇声を上げながら、わらわらと集まってくる悪霊に向け横島が右手を掲げる。
意識下に小さな丸いビー玉のような物が具現化し―――

「しぃぃねぇぇぇぇ!!『爆』!」

叫び声と共に悪霊達が光に包まれた・・・。


式神横島 極楽大作戦!


数年前、一人の魔神が人間界に大いなる災いを起こした。
後に『魔神大戦』と呼ばれた戦い・・・。
神魔の手助けを得られず孤立した人間界は、GSと呼ばれる悪霊退治のスペシャリスト達に世界の存続を託した。
激しい戦いの末、勝利の女神は人間達に微笑み、世界は平和を取り戻した。その戦いの中心にいた文珠使いの少年―――横島の心に大きな傷を残しつつ。
ようやく戻ってきた平穏無事な日常。
しかし、横島の苦悩は終わらなかった。
己の命を賭け横島の命を救った魔族の少女ルシオラ。その魂である霊波片。それが横島を蝕んでいた。
神族の小竜姫や斉天大聖の協力の元、からくも命は取り留めたものの、彼の肉体はすでに人のものではなくなっていた。
『魔人』横島の誕生である。


「ちょ〜っと、ヨコシマ〜〜っ!」

額の血管をピクピクさせながら、タマモが近寄ってくる。
煤け顔のタマモさんの顔には満面の笑み。
その御手には赤ではなく蒼い炎がゆ〜らゆら。

「な、なんでせう・・・タマモさん。その手にあるのは・・・」

「女の顔に傷をつけるなんて・・・」

「チョットマテ! 傷なんてついてねーじゃねーか!!」

「あるでしょ!! ホラ! ココに!!!」

タマモが自分の頬を指さす。
横島が恐る恐るのぞき込むと―――小指の先程の赤いスジが確かに見て取れた。

「そ、そんなん、分るか分らないかの傷やないか!!!」

涙と鼻水を撒き散らしながらあうあうと後ずさりする横島。

「もんどーむよーーーー!!」

「い、いやぁ〜〜!! 折檻は堪忍してぇぇぇーーー!!」

「ダ・メ」

笑顔で投擲・・・目標命中・・・そして着火!!

「むげるぶぁらぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!」

うん。今日はいつも以上にいい焼き加減だ。
でも、周りの悪霊達はいいのか?


からくも高校を卒業した横島は、美神除霊事務所を辞め、美神の折檻を食らいつつも新たにGS事務所を開設した。
その名も『横島ゴーストバスターズ』。
シロとタマモもくっついて来て、さらに美神の折檻を食らった。
暇を見ては妙神山にあしげく通い、修行してセクハラして仏罰、また修行してセクハラして仏罰の毎日を繰り返した。
月日は流れ数年が過ぎた頃、事務所も順調に成長し、ようやく美神にも辛うじて認められ(認めてないわよ!:美神注)今日と言う日を迎えたのだった。


「ったく、何匹いるのよコイツら・・・」

疲れた顔でタマモが呟く。
横島もかなりの体力を消耗していた。

「ねぇ・・・何か変じゃない・・・この施設・・・」

「・・・・・・」

タマモが不安そうな表情を横島に向ける。

そう、確かにおかしい。
これはそんなに大した依頼ではなかったはずなのだ。
廃棄施設に住みついた悪霊の駆除。
美神から応援要請を受けた依頼。
5億という大金に目が眩んだのだろう。嬉々とした表情で横島に協力依頼をしてきたのだ。
まあいつもの事とばかりに依頼を受けたものの、今考えればかなりおかしい。
悪霊の数が多く、今まで幾人ものGSが返り討ちにあったとは聞いてはいたが、それにしても、あまりにも悪霊の数が多いのだ。
この施設は2階建てだ。
入り口は2つ。1階部分が南棟と北棟に分断されており、2階部分で繋がっているという造りをしている。
美神の霊視やシロやタマモの嗅覚で確認したところ、2階部分に悪霊達が集まっており、下級魔族並の霊力を要している事が分ったが、1階部分からは大して霊気を感じないと言っていた。
だから2グループに分かれて2階で合流するという作戦を取ったのだ。
取ったのだが・・・悪霊はすでに50体以上は消滅させた。
だが目の前には同数くらいの悪霊の姿がある。消滅させても2階へ続く階段からどんどん降りてくるのだ。
霊視した情報から考えてみても、これほどの数の悪霊がいるとは考えられない。
ましてや、たかが下級魔族並の悪霊に5億もの金を支払うものだろうか。

(何か嫌な予感がする・・・美神さん達と早く合流した方がよさそうだ・・・)

ちまちまと悪霊を退治してもきりがないと判断した横島は

「うし、一気に駈け抜けっぞ。こんなとこでモタモタしてたら、美神さんに何言われるか分ったもんじゃない!」

何故かほんの少し額に嫌な汗を掻きながらそう言うと、その手に文珠を3つ発現させる。
その文珠の形は新円ではなく、少し縦長の丸。
込める文字は―――

『ド』『リ』『ル』

妙神山の修行で身に付けた文珠の発展版の1つ。
「漢字」1文字しか込める事の出来なかった文珠に「ひらがな」や「カタカナ」を込める事が出来るようになったのだ。
名づけて―――『和文珠』。
ちなみに、今までの文珠は他と区別する為に『漢文珠』と呼んでいる。
文珠が輝き、横島の右手に収束する。
光が収まった後、横島の右手には光り輝く漢(おとこ)のロマン―――ドリルが装着されていた。

「っく! 掴まれタマモ!!」

ドリルが回転し、荒荒しい唸り声を上げる。
タマモが子狐に変化して肩にしがみついたのを確認すると、横島は目の前を覆い尽くす悪霊達に向かって突貫をかけた。


あとがき

初めて投稿させて頂きます。
愚かにも長編を書いてみたいなどと思い立ち、実際に書いてしまいました。今は題と内容がかみ合っていないと思いますが、後々を考えてなので、見逃してください。
内容が他のSSとかぶっていないか心配していますが、あくまでオリジナルなので(細かい設定もですが)生温かい目で見守ってください。
楽しんでもらえるのかどうか分りませんが、とにかく、みなさんの感想が楽しみです。

mugen

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