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▽レス始

「GS美神極楽大作戦〜Next Generation〜 第2話(GS)」

アキス (2006-10-20 19:31)
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 とある喫茶店。

【これが例の女です】

「へぇ……綺麗な人だね」

 ある一組の男女がテーブルを囲んで話していた。窓から差し込む太陽の光で女性の容姿は分からない。が、男性の方は、まだ幼い顔つきで、額にはバンダナが巻かれている。

「で? この女性をどうしろと? 言っときますけど、僕は気の弱い女性を従順な僕にするのが好きで、気の強い女性は苦手なんですけど?」

【とりあえずガキの分際で人として最低な発言したのはスルーします。依頼は、その女をしばらく見張っていて欲しいのです】

「盗撮!?」

【違う!! 監視だ監視!】

「それって僕の仕事じゃないですけど?」

【報酬は、貴方の体にかけられた呪いを解く、というのでどうでしょうか?】

 女性は唇を歪め、少年を見据える。少年は一瞬、表情を鋭くさせると、すぐに笑顔を浮かべた。

「分かりました……引き受けましょう」


「う〜ん……どれが良いかなぁ」

【先程から何を悩んでらっしゃるのですか?】

 大量の服を並べ、うんうん、と首を捻っているヒノメに、華が尋ねる。

「う〜ん……」

【あの……】

「やっぱ戦闘っつったらチャイナかしら……」

【ヒノメさん?】

「いや、お姉ちゃんみたいにセクシーな服でも……」

【ヒノメさ〜ん……】

「いっそ意表をついてバニー?」

【う、ううぅぅ……】

「あ、華ちゃんいたの?」

【ふえぇぇん!!!】

 ちっとも気付いて貰えず、華は泣きながら天井裏をすり抜けて行った。悪い事したかな、と思いつつ再び服を見つめる。

 こんこん。

「良し! 此処は、やっぱり渋くダークスーツで!」

 こんこん!

「これで準備万端」

 こんこん!!

「あ〜! もう! 誰よ、人が折角、勝負服決めてるってのに!?」

「ヒノメちゃん、元気そうね」

 さっきからノックの音が耳障りだったのでヒノメがドアに向かって叫ぶと、そこにはある女性が苦笑いを浮かべて立っていた。

「お、おキヌさん!?」

「久し振り」

 女性の名は氷室 キヌ。300年前、人身御供となり幽霊としてヒノメの姉、美神 令子の元で働いていたが、その後、生き返り普通の人間として生活を送っている。プロのGSで世界でも数えるほどしかいない超一流のネクロマンサー(死霊使い)である。

「どうしたの!? 確か、ヨーロッパの方に長期出張じゃ……」

「これよこれ」

 おキヌは、新聞紙を取り上げ一面を見せる。

「何々……? 『怪人ファントム、日本に予告上!?』? ファントムが日本に来るの!?」

【ふぁんとむって何ですか?】

「あ、華ちゃんいたの?」

【うぅ……】

 いつの間にか部屋に戻ってきていた華だったが、またまた気付いて貰えず、涙を浮かべる。

「怪人ファントムっていうのは、50年ぐらい前からヨーロッパを暗躍している怪盗よ。貴重な金銀財宝を盗んでる羨まし……じゃなくて、最低な奴よ!!」

【はぁ……それが何でGSと関係あるんですか?】

「ファントムは、複数の霊を操ったり、エクトプラズムで変装したり……科学捜査じゃ捕まらない、オカルト怪盗なのよ。お姉ちゃんも、オカルトをそんな風に使うファントムには感心してたわ」

【はぁ……感心ですか?】

「でも50年以上活動してるから、ファントムは、その子供か孫っていう説もあるのよ」

 おキヌは説明し、自分が来たのは霊を操るファントムにとって、ネクロマンサーの能力は有効だと帰って来た理由を話す。

「これでファントムを捕まえたら、科学捜査に頼り切ってる日本の警察に、心霊捜査の有用性を実証出来るって西条さん、張り切ってるの」

「あの落ち目の二枚目気取り親父が、また裏で糸引いてる訳?」

「そ、そこまで言う?」

「怪人ファントムか……」

 表情を引き攣らせるおキヌを無視し、ヒノメはジッと新聞を見つめる。すると、ふとおキヌが質問して来た。

「ねぇヒノメちゃん。そういえば、随分と服選んでたみたいだけど何かあるの?」

「え? あぁ、今日は六道女学院でクラス対抗の霊能バトルの日なの」

「あ、そうなんだ。懐かしい〜」

「それで、霊衣を選んでたんだけど、私ってどんな格好でも100%実力を発揮出来るから、意味ないのよね〜」

 で、格好いいのを着て行こうとするヒノメに、この才能に裏打ちされた自信過剰な性格は、この一族の特徴なのだと改めて思い知らされるおキヌ。

「私も出たな〜。弓さんと一文字さんは元気かな〜? あ、弓さんって六女の教師してるんでしょ?」

「弓? ああ、伊達先生ね。ええ、いるわよ。割と人気高いかな〜」

「そっか〜。じゃ、私も会いに行こうかな」

「ま、おキヌさんなら理事長も特別に見学させてくれるでしょ」

 そう言って、ヒノメは笑顔を浮かべると、鞄を持って扉に手をかける。

「じゃ、行って来るわね」

【はい、行ってらっしゃい】

 華は、おキヌと共に出て行くヒノメを見送った。

「ところで、あの幽霊誰?」

「あ、紹介するの忘れてた」

【…………しくしく】

 扉の向こうから聞こえて来たそんな会話に、華は泣きながら散らかっている服を片付け始めた。


「まぁ! まぁまぁまぁ!」

「お、お久し振りです、冥子さん」

 かつておキヌも通っていた六道女学院の理事長室では、黒髪を腰まで伸ばした女性が彼女を見て、目を輝かせた。

「久し振り〜、お…………キヌちゃん!」

「名前、忘れてましたね?」

「ち、違うわよ〜! ちゃんと覚えてたわよ〜。令子ちゃんの〜所で〜…………働いてたのよね?」

「何故、そんなに間が空くんです?」

「ち、違うわよ〜」

 六道女学院の理事長、六道 冥子(ろくどう めいこ)。美神 令子の親友(自称)で、GSの名門、六道家の当主で、おキヌとも親交がある。

「今日のクラス対抗戦が観戦したいのね〜。良いわよ〜。特別席で一緒に見ましょ〜」

「ありがとうございます」

「それで、今日は特別審査員を呼んであるのよ〜」

「え?」

「よぉ!!」

 ばんっ!!

 突然、勢い良く扉が開かれた。入って来たのは、短い金髪の女性で、革ジャンとジーンズが似合う鋭い眼光をしていた。

「一文字さん!?」

「おキヌ〜! 久し振り〜!」

 ぎゅうううううっ!!

「く、苦しいです! 一文字さん!」

「おっと! 今のアタシは、一文字・タイガー・魔理だ!」

「え?」

 懐かしい親友に思いっ切り抱き締められていたおキヌは、彼女の爆弾発言に驚いた。

「結婚したんですか!? タイガーさんと!?」

「ああ。5年前にな。お前も結婚式呼ぼうと思ったんだけど、海外で連絡つかなかったからさ」

「あはは……」

 長期の仕事で、あちこち飛び回っていたおキヌは、旧友達と連絡も取り合えなかったので苦笑いを浮かべる。

「まったく……魔理さんもだけど、貴女も友達甲斐が無いわね、氷室さん」

「! 弓さん!」

 すると、今度は長い黒髪に、白のスーツをビシッと着こなした女性が入って来た。

「だ・て! 伊達 カオリよ! 貴女は私の結婚式出たでしょう!?」

「ご、ごめんなさい。だって、あの後、すぐに仕事入ってドタバタしてたから……」

 女性――伊達 カオリに凄まれ、ついおキヌは謝ってしまう。が、15年も前に卒業し、それぞれの道を歩いている3人が、こうして、かつて通っていた学院で再会した事に、おキヌは素直に嬉しかった。

「美神さんから聞いて、貴女が理事長室にいるって聞いたから急いで来たのに……魔理さんに先を越されたわ」

「いや〜、理事長室からおキヌの声が聞こえた時は、ビビッたけどな。どうだ? 今日、3人で久し振りに呑むってのは?」

「いいですね!」

「魔理も今回は、いつもみたいに家庭の愚痴零すなよ」

「分かってるわよ!」

「あの〜……」

 3人で話に花を咲かせている中、冥子に声をかけられ、彼女達はハッとなった。

「まだ試合まで時間あるし、3人で久し振りに校内を見学したらどうかしら〜?」

「理事長、私、ここの教師なんですけど?」

「あらあらぁ〜」

「いや、あらあらじゃなくて……」

「私の娘もいるのよ〜。ヒノメちゃんと同じクラスだから〜、見て行ってね〜」

「え? 冥子さん、子供いましたっけ?」

 でも、それだと計算が合わないような、とおキヌが不思議そうな表情を浮かべると、冥子はニコッと笑顔で答えた。

「養女よ〜」


 3−Aでは、試合に備え、クラスの代表がそれぞれ着替える。ヒノメは、黒いスーツに身を包み、革のグローブをして、男装の麗人という姿になる。

「うわ、美神さん、格好いい〜!」

「美神さんになら、抱かれても良いな〜」

「はいはい。気持ち悪い事言ってないで……冥南」

「んあ?」

 ヒノメは同じくクラスの代表である冥南に話しかける。彼女は、特に霊衣などには着替えず、制服のままである。

「アンタは着替えなくていいの?」

「面倒なんでパス」

「アンタね〜……ま、私も格好いいから、これにしたんだけど」

「さっすが……学年ナンバー1とナンバー3は余裕よね」

 クラスメイトの一人が、感嘆の息を漏らしながら呟くと、ヒノメは「バカ!」と叫んだ。発言したクラスメイトもハッとなって口を押さえる。が、既に遅くダダダダ、という地鳴りと共に教室の扉が勢い良く開かれる。

「ナンバー1!? ナンバー1とおっしゃいまして!?」

「来たよ……自称六道女学院ナンバー1が」

「自称ではありません! 真のナンバー1です!」

「はいはい」

 金髪をロールにし、ウェーブをかけて腰まで伸ばしている少女だった。ヒノメに負けず劣らずのスタイルで、教室にズカズカと入り込んで来ると、彼女と対峙する。

「美神さん。あの美神 令子の妹だからって、イイ気にならないで頂けます?」

「別にお姉ちゃんは関係ないでしょ! ってか、いい加減、ナンバー1に拘るのやめなさいよ! 1年の時も2年の時も私に負けたくせに!」

「この辰宮 蝶子(たつみや ちょうこ)の辞書に3度目の敗北という文字はなくてよ!」

「そんなもん、広辞苑にも載ってないわよ」

 少女――辰宮 蝶子は、恨めしそうにヒノメを睨み付け、ヒノメもヒノメで、苛立ちを隠そうともせず、睨み返す。

 バチバチ、と火花を散らせる両者を、廊下の窓からおキヌ、魔理、カオリの3人が覗いていた。

「あの娘、誰ですか?」

「辰宮 蝶子。3−B。成績は、美神さんについで学年2位よ。いつも美神さんと張り合ってるプライドの高い娘よ」

「はぁ〜。ヒノメちゃんも大変ですね」

「学校には絶対に一人ぐらい、ああいう高飛車でプライドの高い娘はいるものよ」

「アンタが言うか?」

 自分の事をかなり棚に上げた台詞を吐くカオリに対し、魔理が冷たい視線を向けた。

「お〜い、お蝶夫人」

 背後に龍と虎でも背負ってそうなぐらい睨み合う2人に対し、怯えるクラスメイトの中で一人、冥南が間に割って入った。

「六道さん! その呼び方はやめてと言ったでしょう!」

「あ〜、はいはい。とりあえず、この場は抑えて、決着は試合でつけなさいよ、ね?」

「ふん。学年のナンバー1(仮)とナンバー3がいるからって余裕ぶっこかない事ですわ。そもそも、あなた達のクラスのもう一人は、あの桐生院 千沙(きりゅういん ちさ)オバサマでしょう?」

 その言葉に、今まで教室の端の席で座って顔を俯かせていた少女が、ビクッと肩を震わせる。桃色のショートカットの髪で、前髪を伸ばし、表情を見せないようにしている。巫女服を着ており、神道系だと分かる。

「こら、お蝶! 千沙さん侮辱すんじゃないわよ!」

 その発言には流石に怒れるものがあったのか、冥南も立ち上がった。が、蝶子は気にせず、フンと笑う。

「私は事実を言っただけですわ! この由緒正しき六道女学院を2年も留年するような方がクラス代表だなんて……経験値だけは、おありのようですわね!」

「お蝶!」

「その呼び方もやめなさい!」

 ぱんぱん!!

 今にも本気でやり合いそうになる蝶子と冥南だったが、突然、手を叩く音がしたので、全員がそちらを見る。

「はいはい! そこまで!」

「伊達先生……」

 いつの間にかカオリが教室に入って来ており、教師の乱入もあって蝶子達も静まる。

「辰宮さん。闘争心を燃やすのは結構だけど、他人を傷つけていいような発言をするのはよろしくわないわよ」

「おい、カオリの奴があんな事言ってるぞ?」

「ま、まぁまぁ」

 昔、カオリに言いたい放題言われ、見下されていた魔理は、青筋を浮かべて呟く。

「それに、桐生院さんは病気で長期休んでいたのだから、仕方ないわ。辰宮さん、今の貴女の発言は、彼女を差別していると取れるのよ?」

「く……」

 もっともな事を言われ、蝶子は唇を噛み締めると、苦々しそうに千沙に振り返ると、頭を下げた。

「桐生院さん、申し訳ありません。私の配慮が足りませんでしたわ」

「あ……いえ……」

 素直に謝る蝶子に驚いたのか、千沙は呆然としながらも首を横に振った。

「おぉ! あの女、ちゃんと謝ったぞ! カオリより大人じゃねぇか?」

「ま、魔理さん! カオリさんに聞こえますって!」

「(しっかり聞こえてるわよ……)」

 小声で話していたが、廊下の近くに立っていたカオリは、しっかりと魔理の発言が聞こえていたので、笑顔を引き攣らせながら、青筋を浮かべる。

「とにかく! 美神さん、六道さん、桐生院さん! 首を洗って待ってなさい!!」

「はいは〜い。典型的なヤラレ役の台詞をありがとう」

「貴女という人は……!」

 軽く流すヒノメに、蝶子は拳をプルプルと震わせながらも教室から出て行った。そして、おキヌと魔理にも気づかないぐらい、早足で自分の教室に戻って行った。


 後書き
 どうも、アキスです。今回はおキヌ、冥子、魔理、カオリの登場です。魔理の場合、タイガー魔理とか一文字寅吉とか何か変なので、もう、全部くっつけて一文字・タイガー・魔理にしました。ちなみに、タイガーはそのままです。そして次回は、クラス対抗霊能バトルです。後、怪人ファントムも登場する予定です。


 レス返し

 >ZEROS様
 冥子と冥南は血が繋がっていません。冥南は六道家の分家で、冥子が養女に引き取りました。じゃなきゃヒノメと同い年って矛盾しますし。確かにオリキャラが多過ぎると困りますが、神族や魔族、後カオス、マリア、ピートなんかは次世代でも余り関係ないので、使い易いです。


 >良介様
 横島と結婚するんだったら、美神さんも相当、考えた筈です。ヒノメが18歳なのは、まぁ年齢と時間的に十分かなと思ったからです。
 絶対可憐チルドレンとリンクしてるのは、遊びみたいなもので、そんな話に深く関わりません。


 >ごん様
 訂正しておきました。ありがとうございます。これからも当作品をよろしくお願いします。


 >滑稽様
 原作のノリを忠実に守る作品にしたいと思います。まだ未熟ですが、これからもよろしくお願いします。


 >にく様
 タイガーは結婚してます。相手は魔理です。彼も、それなりに人並の幸せを掴んでます。


 >ROM様
 アシュ戦での横島を隠してる訳ではありませんが、あくまでGS美神の次世代モノって事で、美神を人類最強にした方が分かり易いと思ったからです。それに、横島が人類最強だと、主人公のヒノメとの接点が薄いので。多分、引退した美神は、横島より大分弱いと思います。


 >SS様
 タイガーは幸せ掴んでますよ〜。エミさんへの恋は終わりましたが、魔理とそれなりに幸せな生活を築いてます。ちなみに子供もいますよ〜。


 >蝦蟇口咬平様
 まぁ幽霊退治、という方がGSらしいと思ったので。痴漢車トーマス……うわ、言われて、やりかったな〜と後悔してます。
 モテない男は美形に対し、とことん強くなります。西条もフラれたとはいえ、ナイスミドルを一応貫いてる訳ですし。性犯罪にしても、女性は囮捜査という事で……でも、実力不足で、返り討ちでした。子供キャラは今の所、冥南(非血縁)ですが、他にも出したいと思います。

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