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「ジャングルで見る夢は悪夢 その2(GS+ジャングルの王者ターちゃん)」

犬雀 (2006-10-15 20:06)
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『ジャングルで見る夢は悪夢 その2』 


ウポポ族は狩猟民族である。
つい最近まで古い習慣を守っていた彼らだが、ウポポ族一番の戦士であるアナベベがとある格闘競技会で優勝して手に入れた大金を元手に起業し、それに伴って彼らも最近は文明的な暮らしを模索し始めていた。
それでもやはり民族の中の血と言うのは文明によって簡単に上書きされるものではない。
ウポポ族は戦士を中心とした部族社会であり戦士は強い発言権を持っている。
この長老もかってはサバンナでならした勇猛な戦士だった。
老いたりとはいえその筋肉は緩むところがなく、一瞬の油断が死を招くサバンナの生活で鍛えた眼光もまだ輝きを失っていない。

目の前の老人が漂わせる威圧感に姿勢を正す令子たちを鷹揚に見つめると、長老は隅の方でカメラを構えているおキヌへと近づいていった。

「まずいわね…」とエミが令子の肘を突いた。

「え?」

「こういう部族は写真を撮られることを嫌うことが多いわ…」

「あ…」と思い当たったものの既に長老はおキヌの前。
カメラもまだしっかりと彼に向けられたままだ。
キョトンとした顔で自分を見つめるおキヌに長老がすっと手を伸ばす。
「まずい」と令子が慌ててフォローに入った。

「あ、あの! 気分を害したのでしたらすみません!」

「日本語が通じるとは思えないワケ…」

「ああっ! ちょっとターちゃん通訳して頂戴!」

呼ばれたターちゃんが頷くが、すでに長老はおキヌの前に伸ばした手を天に祈りを捧げるかのように大きく広げた。

「ウポポ ヒンニュウ ツライ ツラーーーイ」

途端にピキリと固まるおキヌ。
つい先ほどまで何が起きるかと思っていたのに、この渋い老齢の戦士からいきなりこんなことを言われるとは…まさに晴天の霹靂、
だがたとえ相手が老人でもおキヌがどれほど優しい娘でもやはり譲れないものはある。
昔から言うではないか「腐っても鯛、薄くても乳」と。

「わ、私、なんか今っ!すんごく馬鹿にされた気がするんですけどおっ?!」

文句を言いつつも何とか笑顔を浮かべようと必死に自制するおキヌ。
しかしその周囲にわだかまり始めた暗黒の気配にターちゃんが焦った。

「今のはウポポ語で『お嬢さん。よく来ましたね』という意味なのだ!」

「え? そうなんですか?」

どう聞いても日本語に聞こえたが、言われてみれば世の中には空耳ソングなるものがある。
異国の言葉がまったく別の意味に聞こえることはよくあることだのまのま。
釈然としないものを感じながらも納得して怒気を納めるおキヌに長老は笑顔を向けた。

「ウポポ サキノ ミコミ ナーイ」

「や、やっばり馬鹿にしてますね! そうなんですね!」

「違うのだ! 今のは『こんな美人には会ったことがない』と言う意味なのだ!!」

「そうなんですか…あの…どうもありがとうございます…」

「イエイエ ドウイタシマシテ」

「完璧に日本語じゃないですかぁぁぁ!!!」

ムキーとばかりに頭から湯気を吹き上げるおキヌを嘲笑うかのように身軽な動作で飛び跳ねながら逃げる長老。
年の割にはお茶目さんだった。


「…さて冗談はおいといてじゃな」

「冗談にしてはタチが悪いと思うワケ…」

座り込んで楽しそうに笑う長老に半目を向けるエミ。
ふと視線を向ければ木に縛られた横タマの隣に体育座りして虚ろに笑うおキヌの姿がある。
あまつさえ

「……貧乳…私はアフリカの人から見ても貧乳…もしかしてグローバル・スタンダード? あははー」

なんて湿った笑い声が聞こえてくるとなればエミでなくても気の毒と思うはずだ。
現にシロなどは悲嘆のあまり座り込んだおキヌをなんとか慰めようとしていたが、そこに漂う空気の密度差に近寄れないで木の周りをウロウロするだけだった。
シロの足元からコロコロと丸いものがあちこちに転がって行くのは、危機を察知したフンコロガシがご飯を持って避難しているからである。
そいつらがこっちに来ないことを祈りつつエミは長老に視線を戻した。

「……さて…ここで起きていることを詳しく話してくれるかしら? 日本語の上手な長老さん」

「わはは。ワシはこう見えても漢字検定1級を持っておるでな」

「そ…そう…」

どうやって習ったか、どこで試験を受けたかは聞かないことにする。
下手に聞くと今度は自分に火の粉が降りかかりそうだと彼女の霊感が訴えるのだ。
そしてそれは概ね正しい。

「………突っ込んでくれんのか?」

「……話を続けるワケ…」

「最近の若い者は年寄りを敬うと言うことを知らん…」

「はいはい…使い古されたネタはもう良いから話を進めるワケ」

「ちっ…」

ボケをすかされて舌打ちする長老だが、一応曲がりなりにも長老の自覚があったのか、大きく咳払いをすると人が変わったかのように真面目な口調で語り出した。


「………実はじゃな。ここのところジャングルやサバンナで妙なことが続いておるのだ」

「妙なこと?」

「うむ…まず第一に普段はおとなしいはずの草食獣たちが急に凶暴になりはじめたのじゃ」

窮鼠かえって猫を噛むの例えもある。
生態系の中で弱いはずの草食獣が人を襲うことなど珍しいことではない。

「突然と言ってもいいじゃろ。襲われたわけでもないのにライオンに向かう姿をワシの部族のものが何人も見ておる。しかも異常なことに殺したライオンを食ったそうじゃ」

サバンナに何十年も生きてきて初めて聞いたと長老は言う。
確かに長老の言うことが本当なら異常な事態だった。

「そういえば最近、シシ丸を見ないのだ」

「シシ丸って?」

「この辺りのライオンのボスなのだ」

古い馴染みのライオンが急に居なくなったとターちゃんは寂しそうな視線を風に揺れる草原へと向けた。

本の短い時間での結果だが令子の観察によれば、ターちゃんにはスケベで変態だが動物に関しては無条件に優しいところがある。
と言うより彼には動物と人間と言う境界が存在していない。
先ほど彼の妻のヂェーンはターちゃんがチンパンジーに育てられたと言っていた。
しかも彼は動物と会話することが出来る。
互いの意志を通わせることが出来るならそれはもう人と変わりがないではないか。
故にターちゃんは人にも優しい。
そんなところが彼の妻の心を惹きつけたに違いない。
まだ少し話しただけだがヂェーンの教養は確かなもので、上辺だけの優しさやターちゃんの容姿に騙されてこんな辺鄙な場所で不便な暮らしを選ぶはずはなかった。

そこまで考えてふと令子は自分が苦笑していることに気がつく。
何のことはない。自分もまたターちゃんのことを気に入り始めているのではないか。
それは男女の恋愛とかではなく、単に何者にも縛られない大自然の力強さに都会人の感じる憧れに近いものかも知れないが、少なくとも信頼できる感覚には違いない。

ただし彼は変態だが。
変態も変態。もうかなりのハイレベルの変態である。
その変態度から言えば横島と同レベル。いや少し彼を上回るだろう。
さすがにそれはちょっときつい。
もし自分が「横島とターちゃん。どっちを選ぶ?」と聞かれたら迷わず横島と答えることも想像できた。

気がつけば、なんか知らんが横島が自分の前で顔を赤らめてモジモジしていたりする。

(いや…そんな…選ぶって言っても恋人としてとかそういうんじゃなくてちょっとお付き合いするパートナーとかって意味でよ。
べ、別に深い考えがあっての話じゃないからね!
ていうかそもそもなんでこんな究極の二択めいたことを考えなきゃ無いのよ!?)

(それでもいいっす美神さん…俺は…俺はっ!)

(バカっ! こんな人の見ている前でっ!)

(人なんか居ないじゃないですか…ゴリラとかサルとかワニぐらいっすよ)

(もう…バカね…)

「……令子…なに一人で身悶えているワケ?」

「へ?」

「……気づいてなかったワケ?」

言われて初めて自分の頬が熱いことに気がつく。
どうやら途中から妄想の世界に突入していたところをエミが阻止してくれたらしかった。

「………私、今、産まれて初めてアンタに感謝するわ…」

「はあ?」

「……続けても良いかの?」

「あ、どうぞ!」

何かを打ち消すようにパタパタと手を振る令子を不思議そうな目で見てから長老は先を続けた。

「他にも細かいことを言えばこの辺りの動物が不思議な行動を取り始めたという話が出てくるのじゃよ」

サイが象を上手出し投げしていただの、ワニが腕立て伏せしていただの、キリンが三点倒立していただのと長老の話は続く。話が進むたびに危機感が薄れていくような気がしたが、それだけで高い金を払ってまで自分たちを呼ぼうなどと考えるはずがない。

「でもそれだけで妖怪の仕業と考えるはずは無いですよね?」

「確かにそうじゃ。だがウポポ族の古き予言にあるのじゃよ」

「予言ですか?」

「うむ…予言は言う『ウポポ シュセンド イキオクレー 』とな」

「それはもういいっ! 誰が嫁き遅れるかっ!」

「守銭奴は否定しないのね…」

「うっ…」

無意識に自白してしまった己の業に振り上げた拳も力なく垂れ下がる。
それを見越していたわけではないだろうが長老はおもむろに頷くと先を続けた。

「そして…恐ろしいことに『ウポポ イマドキ ボディコンアリエネー』と…」

「なんですってえぇぇぇぇ!! 人が気にしていることをっ!!」

「令子っ! 落ち着くワケっ! こんなお年寄りに神通棍はヤバイってばっ!」


全力で暴れる令子をこれまた全力で羽交い絞めしたエミが荒い息を吐きながらがっくりと膝をついている横で、長老はしてやったりとピースサインを出していたりする。
さすが戦士として長らく部族で君臨してきただけはある。
今の今まで自分が体中に生肉貼りつけてライオンの前に出ていたに等しい行為をしていたというのにそんな自覚は無いらしい。

「まあぶっちゃけて言えばじゃ。ウポポ族の予言ってのは『動物が変なことしはじめたら注意しようね』って言う意味じゃな」

「それって……予言でもなんでもないと思うワケ…」

荒い息を整えつつも何とか突っ込むエミの台詞をさらりと聞き流すと突然人が変わったかのように真顔に戻る。

「ワシには今回の件がその予言に当てはまるのではないかと見ておるのじゃ。草食獣が理由も無しに肉食獣を襲うなど自然の理が乱れたとしか思えん」

ワニの腕立ても充分に自然の理から外れているし、キリンの三点倒立に至っては物理的にも無理な気もするが、それはまあ置いといてアナベベの依頼ではこのサバンナはもっと霊的に危機的な状況にあるとの説明だったはずだ。今までの説明に霊だの妖怪だのの話は出てきていない。
長老の言うことだけならば自分たちGSがわざわざ呼ばれた理由がわからない。

「でもアナベベさんの依頼ではゾンビが出たと聞いたわよっ!?」

すでにタメ口である。
アレだけおちょくられれば当然の結果だろう。
もっとも長老も特に令子の非礼を気にしていないのか鷹揚に頷くだけ。

「ワタシも令子からそう聞いたけど?」

「それに関しては当事者であるターちゃんから聞くが良かろう。それもあって彼にガイドを頼んだのじゃしな」

「そうね。話してくれるかしら。あなたが見たゾンビってどんなんだった?」

「どんなと言われても人の形をしていたのだ」

ゾンビそのものは生ける死体であるから特に人には限らない。
中には動物のゾンビも存在する。
かって魔法が栄えていた時代、悪しきネクロマンサーなどは時たま使い魔がわりに動物の死体をゾンビ化して使役していたとの記録もある。
だが今の世の中で人間をゾンビ化できるほどの術者など限られている。
以前、原始風水盤事件のときメドューサが唐巣神父の教会を襲わせたように、魔族と深い関わりのあるものぐらいしか居ないだろう。
だがそのような術者が今までオカルトGメンにノーマークだったとは思えなかった。
アフリカに来る前に事前調査として情報を集めた。
不承不承ながらも裏の世界とパイプが残っているエミにも頼んだが結果はシロだったのである。

「うーん…詳しく話してみてくれる?」

「わかったのだ。ワタシはいつもの通り密猟者と戦っていたのだが…」

ターちゃんの話の途中に今まで横島たちにも近づけず、かといって令子たちの話にも加われずそこはかとなく疎外感を味わっていたシロがこれ幸いにとばかりに割って入る。

「ターちゃん殿も密猟者と戦うのでござるか?」

「シロちゃんも戦うのか?」

「拙者、山に居た頃はよく密漁する悪いハンターを懲らしめたものでござる!」

得意げに胸を張るシロに親愛と驚きの目を向けながらもターちゃんは先を続ける。

「…ところがその密猟者のグループはいつもと違ったのだ」

「どんな風に?」

「ああ…銃を持っているには持っていたのだがいつもに比べて下手だったのだ」

「待つワケ! オタクってば銃を持ったハンターとどうやって戦うワケ?」

エミの驚きも最もである。
先ほどから見ていたがターちゃんの住居にはほとんど文明の香りはない。
強いて上げればタライと洗濯板ぐらいだろう。
それが近代的な銃を持ったならず者とどう戦うと言うのか。
もしかしたらすべてはターちゃんの作り話という可能性もある以上、聞き流すことは出来なかった。

「どうって…普通にターちゃんパンチとか」

「素手で!? そんなの信じられないワケ!」

「あとはターちゃんしっぺとか握りっ屁とか…」

「ますます信じられるかぁぁ!」

「む? だったら見せるのだ!」

特に気分を害した風もなくターちゃんは立ち上がると近くにあった大岩へと歩み寄った。
自信満々に何を見せるつもりかと口を閉ざすエミと令子。興味深そうにターちゃんを見ているシロ。
だが彼女たちは忘れていた。
先ほどターちゃんが実証した途端、一人の少年が闇へと呑まれたことを。

大岩の前に立つターちゃん。
すーっと大きく息を吸い込むと全身の筋肉を躍動させる。
後背筋が生き物のように膨れ上がり、拳から上腕筋まで、否、全ての筋肉が盛り上がった血管から酸素を受け取ってエネルギーを生み出す。

「ターちゃんパンチ!!」

掛け声とともに放たれるはまさに豪拳。
亡き父から剣技の手ほどきを受けていたシロには、大地を踏みしめた両足が揺らぐことなく腰を支え、腰は凄まじい速さの回転を生み、さらに上体の全ての筋肉、骨格がその威力を減退させるどころかむしろ増幅していく様が見て取れる。

そして大岩は大砲の炸裂音のような轟音とともに土煙に包まれた。

「ちょっ! なにがっ!?」

まるで爆弾が落ちたかのように濛々たる土煙が視界を奪う中、エミは必死になにが起きたかを知ろうと目を開き続け、そして粉々に砕けた大岩を見た。

「す、凄い…人間技じゃないわ…」

目の当たりにした奇跡的な技に後に続く言葉が出ない。
いったいどれほど鍛えれば人よりも大きな岩を一撃で粉砕することが可能だろうか。
空手家などはデモンストレーションで墓石や氷柱を割る。
だがそれはコツがある。
力が分散しないように、逆に言えば加えた力が対象の一点に掛かるように物を置けばよい。
逆に無造作に置かれたものを破壊するのは空手の有段者にとっても至難である。
だが今ここでエミが見た技は今までみたどんな格闘家たちの作り出した破壊を遥かに凌駕していた。
これなら不意を突けば密猟者を倒すことも可能かもと納得し、先ほどの非礼を謝ろうとターちゃんの姿を探したが彼はまだ土煙の中なのか姿が見えない。
ほどなくしてサバンナを優しく吹きさる風が土煙を散らしエミはやっとターちゃんを見つけた。

「オタク凄いじゃない! ってなんで倒れているワケっ!」

倒れているターちゃんの頭の横には赤ん坊の頭ぐらいの岩の破片が落ちていて、良く見ればターちゃんの頭にもでっかいコブがある。
どうやら砕いた岩の破片の直撃を受けて気絶したらしい。

「………あーもうっ! 強いんだか弱いんだかハッキリするワケっ! 令子も何か言いなさいよ!………令子?」

返事がないと思ってみれば、頭にでっけーコブを作って倒れている令子の横にもこぶし大の破片が落ちていたりして。

「アンタも巻き添えくらってるんじゃないぃぃぃ!!」

「美神殿おぉぉぉぉぉ!!」

シロの悲痛な叫びがサバンナを駆け抜けていった。


「あー。死んだかと思った…」

「びっくりしたのだ…」

「オタクねぇ…曲がりなりにもGSなんだから岩ぐらい避けなさいよ…ターちゃんも格闘家なんでしょ…」

「でもでも…飛んできた岩の中にキラリと光るものがあって…つい見とれていたら…」

「避けそこなったんでござるか…」

ガックリと肩を落すシロにテレ隠しに「あはははは」と笑ってみせるが、すぐに顔を引き締めると自分の頭に盛大なコブをこしらえた岩の破片を拾い上げる。
ポケットから取り出した虫眼鏡で岩を観察することしばし、不意に令子の目が¥記号の輝きを帯びた。

「これってダイヤの原石じゃない! ああっ! 大好きアフリカっ!」

「そうなのか?」

「ええ。間違いないわ! 少なくともちゃんとすれば20カラットはあるわね…。しかもこれは私の頭に当たった岩から出てきたもの…ということは所有権は私にあるわね!ありがとうターちゃん!!」

感激のあまり抱きつけばこの手の攻撃に滅法弱いターちゃんは鼻の下を伸ばしまくっていて、ダイヤの原石の所有権などには気も回らないようだった。
無論のこと令子の計算である。
こういうことで色仕掛けを惜しむような女ではないのだ。
横島も何度となくそれで懐柔されてきているのである。
変態と言う一点で横島と共通点のあるターちゃんが抵抗できるはずはなかった。

すっかり骨抜きになって鼻の下を伸ばしながらフラフラしているターちゃんに、自身の策が成ったことを悟った令子は慌ててあたりを見回した。
良く見ればダイヤの原石が入っていたような大きさの丸っこい石がそこいら中に落ちている。

「ラッキー! まだあるかもっ!」

とりあえず手近な一個を手に取ってみれば意外と軽い。
「あれ?」と首を傾げた令子の目に呆然としているシロと、こっちははっきりと軽蔑の視線を向けてくるエミの姿が入ってきた。

「なによ…どうせ私はお金好きよっ!」

「美神殿…それって匂うでござるよ…」

「令子…足元を良く見てみるワケ…」

「え?」と言われてみた足元にはカナブンに似た昆虫がなにやらキーキーと抗議のつもりかこちらを威嚇していたりする。

「なにこの虫?」

「フンコロガシなのだ…」

「え゛…じゃあ…これって…」

恐る恐る手の中にある丸い物体に目を戻せば…そこはかとなく漂うアノ香り。

「フンコロガシのご飯なのだ…」

「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

振り払った物体は呆然としていたシロの鼻面に直撃し、鼻のいい人狼がそんな攻撃に耐えられるわけもなく一撃で彼女を昏倒させた。


「ぐすっ…えうっ…ウンチ…掴んじゃった…」
「あははー」
「えぐっ…頭痛い…」
「ううっ…耐えろタマモ…今は生き伸びた幸せを噛み締めろ…」
「・・・・・・・・・・・・・・」


こうして美神除霊事務所のメンバーは気絶している一人を除いてバオバブの木の下で瘴気を振りまくことになったのである。


つづく


後書きとお詫び

ども。犬雀です。
えー。今回もまたGSメンバーは災難な目に。
やはり女性が多いだけに下品なネタには弱いようです。
さて次回からいよいよGSメンバーがその能力を使って活躍…できればいいなぁ。


ところでここしばらく作品を投稿すると言うことに関して色々と考えることがありまして、どうにも私の中で整理がつかなくなってきました。
これも単に私の書き手としての未熟さから来たものと思います。
つきましては当面の間、投稿活動を休止させていただきます。
私のような未熟な書き手の作品を楽しみに居ていただいた読者の皆様にはお詫びのしようもございませんが何卒ご理解くださいますようお願いいたします。
なおこの作品に関してはプロットはすでに完成しておりますので、いつか必ず再開し完結させることはお約束させていただきます。

犬雀 拝

追記 申し訳ありませんが今回のレス返しはお休みとさせていただきます。
重ね重ね申し訳ありませんでした。

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