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▽レス始

「浮世漫遊 第四話(GS)」

INSTANT:LE (2006-10-01 13:55)
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文珠。俺の霊能の集大成ともいえる異能の極み。逆行前に一時期バカみたいに修行したお陰か、こっちに来てからも文珠の製造・使用が出来る。もっとも、製造のペースも同時に使用できる数も大幅に減ってはいるんだけど。

現在手元には文珠が四つある。一文字であいつらの近況を把握できるほどの気の利いた漢字が思いつかない。二文字使えれば「読心」で心を読むとか出来るんだけど、今の俺では出来るか怪しい。もしかしたら可能かも知れなけど、失敗したら貴重な文珠が一気に二つ減る上に疲労感で立ってられなくなる。


早い話が今の連中を見てメドーサと繋がりがあるかどうかを考えろって事。


俺がいた世界でメドーサとあいつらが出会ったのは、天竜誘拐の計画が立った後。計画といっても竜神王に引っ付いてきた天竜がデジャブーランドに行こうとして抜け出す何て事が予め予測できていたとは考えにくいんだけど。

「天竜童子が人界へ遊ぶ為に逃げ出す。超強力な結界破りを持っていて、逃げ出すときはたまたま護衛(小竜姫様?)が目を離している。」メドーサがそんな不確定要素を基に計画を立てる筈が無い。

もしかしたらメドーサは天竜の誘拐(殺害)何て最初は考えていなかったのかもしれない。竜神王降臨の際に天竜の暗殺を企てていた奴は結構いたらしいけど、そこにメドーサは絡んでいなかったんじゃないか?

天竜が妙神山を逃げ出したのがイレギュラーな要素だとしたら、メドーサが天竜を殺害しようとしたのもまたイレギュラーな事態。天竜脱走の情報をいち早く入手し、即興で駒を入手して…こう考えるとメドーサが立てた計画にしては杜撰だったのが分かる気がする。

それにああ見えて愉快犯的な行動を取ったりもするからな。竜神王へのあてつけ程度に考えていたのかもしれない。香港や月の時みたいな執念が感じられなかったし。

『では結論は出たのか?』
『こんなとこで女子高生と楽しく話してるあいつらがメドーサと通じてるとは思えないな。』


色々考えたけど、結局こういうことだろ。


『ではどうするのだ。あいつらはそこまで歴史に干渉しうる存在ではないのだろう?放置しておいて構わないのではないか。』


今度はそれですか。そうですか。


全く何の役にも立たなかったけど、あいつらアシュタロスの最後の瞬間に立ち会っている。

あの時は神魔界とのチャンネルが閉ざされたせいで、もとから人界に駐留していた神族と魔族しか行動できなかった。

そいつらも逆天号の断末魔砲、その他兵器で滅せられていった。

最終的に妙神山も壊滅。散り散りになった生き残りの神魔族もべスパの眷属の妖毒に成すすべなくやられていった。

その中で生き残り、更に直後の爆撃も凌ぎきって大戦の最後に携わった神魔族。

小竜姫様・ヒャクメ・ワルキューレ・ジーク。べスパ・パピリオ・土偶羅も一応数にいれておく。そしてイームとヤーム。あの場にいた神魔族はこの九名のみ(最高指導者は除外)。


…あいつらって結構重要な存在だったのかもしれん。


『急にだまりこくってどうしたのだ?』
『うーん、あいつらのこと放置してもいいっぽいんだよな。この世界でも天竜の家来になるみたいだし。』

『だから我もそう言ったろう。連中の事は捨て置け。』
『でもここで会ったからには何かがあると思う。あいつらの近況くらいは知っておきたいんだけど…。』

『我はそんなに気にするべきではないと思うがな。連中のことが知りたいなら会話を盗聴でもしろ。』

あいつらの会話なんかさっきからイヤと言うほど聞こえてくる。
イー君は金持ってるとかヤー君は金持ってるとかまた遊びに行こうだのまた奢ってだの…


イームとヤームの分際で金まで持ってんのかよ。


『なあ紗緒、何であいつら金持ちなんだろうな。』
『知るかそんなこと。』

取り合う気が全くないっていうのが伝わってくる。ずっと脳みそ使ってたからちょっとふざけたくなったんだよ。


「ありがとうございましたー。」

連中以外の客が店を後にする。営業時間終了まであと30分、ラストオーダーの時間が過ぎた為もう客が来る事は無い。ファーストフード店にラストオーダーなるものが存在していいのか分からないが、とにかくこれで連中の会話がクリアーに聞こえる。

曰く、イームとヤームの二人は金回りがよく、この辺りではちょっと有名な二人らしい。ほぼ毎日の様に朝から晩まで遊び歩いている姿がよく見掛けられ、それでも金が尽きる事が無いらしい。

(あいつらがなんで女連れてんのかと思ったら金のせいなのか?)

しかしあいつらが金持ってる理由が気になる。真面目に働いてるって言う風体じゃねーし、そこまで人界に馴染んでたら簡単にメドーサの誘いに乗る筈がない…と思う。


それにイームとヤームは腐っても竜神だ。「人界に堕とされた」という事実を正面から受け止め、前向きに再出発。等の殊勝な心がけがあるとは到底考えられない。


(また誰かにコロッと騙されて悪事の片棒担いでたりしてな…なーんて洒落にならなかったりして)


閉店時間が近づき、やっと連中が腰を上げる。終始楽しそうにしていたのが癪に障るが何とか堪える。四人揃ってトレイを返却し、談笑しながら店を出る。まもなくして閉店時間を向かえ、店を閉める。

ここで俺は解放。仕事仲間に挨拶し、いつもの格好に着替える。

『なあ紗緒、さっきも行った通り俺はあいつらの金の出所が気になる。』
『またその話か。何か根拠でもあるのか。』

俺はさっき感じた違和感を話した。

『─という訳なんだよ。』
『では主は連中がなにやらよからぬ事に関わっていると、そう言いたいのか。』

『あいつら戦闘力だけならそこそこあるしな。基本的に神界もノーマークな連中だから、駒としては使えそうだ。』
『加え単純か。竜神王への私怨がなくともメドーサに使われていたかもしれないな。』


『主よ、ならば直接問えばいいではないか。』


突拍子もない事を少し嬉しそうに言い出す紗緒。文珠一個でいい案あるのかよ。

『奴らはメドーサの霊格だけで信用してしまったのだろう。文珠を使うまでもない、戦いに身を置いていた時のアレを思い出し、開放しろ。逆行しても消えるようなものではないからな。勿論姿を隠してだが。』

姿を隠してアレか…。でも文珠を使わないと多分無理だな。

『あー成る程、お前俺から生まれたのに頭いいな。』
『主の霊力から生まれたのなら、阿呆だったであろうな。』


メドーサよろしく全身をフードみたいな物で包み、視覚での判断を不可能にする。

次にこっちに来てから初めて文珠を使用、こめる文字は“探”。読んで字の如く、イームとヤームを探し出すのに必要なのだ。

会話は勿論念話でする。人間で念話を使える者は少ないから、姿を隠せばこちらを人外の者と錯覚させることが出来る。

アレ、こと俺が秘めている殺気。俺の研磨された殺気は中級神魔族のそれを超える。

もう一つ、文珠“神”を発動させる。同時使用ではないから問題無し、老師や小竜姫様達の「神気」をイメージし、体を神気で覆う。うまくイメージ出来るのもバカな修行の成果だな。

これだけではいくらイームとヤームでも騙せないが、そこに俺の殺気を織り交ぜればエセ上級神族が出来上がる。

『よし、イームとヤームを発見できた。それじゃあ行くぞ。』


あとがき
急展開っぽい流れになってしまいました。当初はもっと緩い話だったんですが、飛び過ぎな話のために急遽展開を変えました。何か小竜姫様が出るタイミングが一気に早まりそうです。

因みにこれからオリキャラが複数でます。

ではまた

レス返しです

>ゆん様
戦う流れになってしまいました。イーム、ヤームと戦うわけではありませんが。

>蝦蟇口咬平様
天竜は暫くでないです。

>夢識様
正直、この流れからどうやって家来にしようか悩んでいます。

>秋桜様
次回、イームとヤーム対峙します。

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