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!警告!壊れキャラ有り
15禁注意

「Red Hot(GS)」

岐阜海運夢組 (2006-09-19 14:26/2006-09-21 10:36)
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一応15禁にしていますが、温いです。


二週間ほど前、横島が部屋に飛び込んできた。

どうやら、身に覚えの無いセクハラ疑惑で、美神令子を中心とした一団に追われているらしい。
確かにここは瘴気を無効化できる、こいつのような人間にしか入って来れないから安全だし、身に覚えのない罪で折檻されるのも哀れに思ったので、数日間泊めてやることにした。
数日間。

……それがいけなかった。

「いただきまーす!」
「うむ」

そう。
横島は、未だ私の部屋から出て行っていない。
我ながらこの状況は、何かおかしいと思う。

「おお、うまい! 味気もへったくれもないカップ麺とは大違いじゃー!」
「褒められて悪い気はせんが、もう少し静かに食べろ。近所迷惑だ」

だいたい、何故私はこいつに夕飯を作ってやっているのだ?
餌付けなどしていたら、出て行かないのは当然ではないか。

「うぅ…すまん、ワルキューレ」
「全く…。ここが女子寮だということを忘れたのか? バレたら間違いなく追い出されるぞ?」

そう、しかもここは女子寮。男を連れ込むなど、この上ないほど明白な規則違反だ。
何より規則を重んじるという、私のポリシーに反する。

「お、おう…これからは気をつける…」
「ならばいい……。……ほら、そんな顔をするな。私の分のカツを一切れやるから」

あぁ…まったくもって私らしくない。
軽々しく餌付けをしないでおこうと思い直したところなのに、早速カツを分けてやるなど、一貫性に欠けるにもほどがある。

「おぉぉぉぉ! これはもう、愛の告白と受け取るしか!」
「あー! もう! 静かにしろといっているのがわからんか! この鳥頭!」

いったいどうなってしまったと言うのか。
こんなに矛盾しているのに。
こんなに騒がしいのに。
この状況が心地いいなど、私らしくない。


ワルキューレは、何やら心地いいが落ち着かない、横島との不思議な生活に、かつてない違和感を感じていた…。


そんなある日。

「ワルキューレぇ〜。この報告書、判子一つ足りないよぉ〜?」

ワルキューレがオフィスでデスクワークをこなしていると、秘書課の飛縁魔がやってきた。

「ん? あぁ、手間を掛けさせてすまんな」

彼女の流れるような長い黒髪と柔和な笑顔には、大和撫子という呼び名がよく似合う。
そのふよふよとした言葉遣いから、秘書課では癒し系マスコットの称号を頂いているらしい。

「全然いいけどぉ〜。らしくないねぇ〜? 何かあったぁ〜?」

「いや、何もないぞ」

心配してくれる飛縁魔には悪いが、嘘だ。
だが寮に男を連れ込んでいるなど、職場内で言えるわけが無い。
それに、男のせいで自分の調子が狂っているなど、戦士としてのプライドが言うことを許さない。
ワルキューレは不備があった書類につつがなく判子を押し、飛縁魔に返す。

「…はい、これでいいか?」

「ありがとぉ〜。お仕事がんばってねぇ〜」

飛縁魔はにこにこと笑いながら、ふよふよとした足取りで自分の席に戻っていく。
ああいう一見頼りないところが、みんなの保護欲をそそるのだろう。
そんな彼女だが、意外なことに仕事も出来る。根は真面目で誠実なのだ。

(もしかしたら、なかなか的を射た答えが出てくるかも知れん……)

不意に、ワルキューレは彼女に相談してみようという気になった。
友人の話と言っておけば、横島を寮に匿っていることもバレないだろう。
そう考えて飛縁魔を呼び止める。

「……ちょっと待ってくれ、飛縁魔」

「何ぃ〜?」

「お前を見込んで、相談したいことがある。少し良いか?」

「いいよぉ〜。でもめずらし〜ねぇ〜。ワルキューレが誰かに相談なんて〜」

飛縁魔はいつも通りのふよふよした足取りで戻ってくる。
ワルキューレは周りに人がいないのを確認してから、小声で今の状況を、友達の話と前置きして話し始めた。

「あのだな、これは友達の話なんだが…」

「……かくかくしかじかで、普通に考えてこの男を追い出すべきなのに、何故かそんな気分にならないらしいのだ。何と言ってやるべきだと思う?」

ワルキューレはそこまで一気に話して、飛縁魔の意見を求める。
話し終えた彼女の中には、ある種の達成感が生まれていた。
さすが私。
さすがエリート。
自分の話と悟らせる要素は一つもない。
完璧な話術だ。
ワルキューレは頭の中で自らの完璧な論理展開を自画自賛する。
のだが。

「うわ〜! ワルキューレ、恋してるんだ〜!」

「え?」

なぜそんな返答が?
私はちゃんと友達の話と前置きしなかったか?いや、したはずだ。
他に何か自分の話と気づかれる要素はあったか?
いや、無い。
だとすればおそらく、飛縁魔はこの部分を聞き逃したのだろう。
ならばもう一度ちゃんと言うのみ!

「い、いや、これは私の友達の話で、私が恋をしているわけでは…って、恋…?」

あらためて恋、と言う単語を口にして、ワルキューレはふと思い当たる。
恋? これが? 言われて見れば、確かに、そんな気もする。
四六時中、横島のことを考えている。
なぜか横島を、邪険に出来ない。
横島のそばにいるのが、なんとも心地いい。
……どう見ても、飛縁魔が言うとおり、恋ではないか。
自分は、横島に恋をしているのだ。
ようやくそのことを理解し、ワルキューレは思わず赤くなる。

「そういう前置きが付いたら、それは本人の話なんだよ〜! うんうん、ワルキューレも大人になったねぇ〜。今夜はお赤飯だよ〜。」

「恋……恋……恋…………?」

「あれぇ? どうしたの〜? ワルキューレ〜? お〜い!」

もう、興奮気味に話しかけてくる飛縁魔の呼びかけも耳に入らない。
ただただ、恥ずかしい。
恋というものはこんなに照れくさいものなのかと、実感する。
駄目だ。
こんな精神状態では何も手につかない。
どうすればいい?
そうだ、とりあえず告白してしまえばよい。
とにかく結論が出れば落ち着くはず。
そうと決まれば善は急げだ。

「……飛縁魔!」

「う、うん」

「早退届出しといてくれ!」

「わ、わかったよぉ〜………」

そう言うなり、ワルキューレはさっさと帰り支度をしてオフィスから出て行ってしまう。
後に残された飛縁魔は、肩を怒らせて去っていくワルキューレの背中を見送りながら、何となく

(人死にが出るかもぉ〜)

と、物騒な予想をしていた。


すぅー、はぁー、すぅー

ワルキューレは玄関前で、深呼吸しながら、家に入ってからのことをシミュレートする。
まず、横島に、大事な話があると告げる。
しかるのち相手の目を見ながら、迅速に告白。
受諾なら喜び、受諾されなければただちに夕飯の準備に取り掛かって誤魔化す。
完璧だ。文句のつけようが無い。

「よし!」

プランに満足したワルキューレは、勢い込んで玄関を開ける。

がちゃ!

「あ、おかえり」

「きゃん!」

ばたん!

部屋に入らず速攻閉めた。
玄関を開けたら、急に横島がいたから…。
おもわず柳沢のような言い訳をする。

(まさか玄関を掃除しているとは! 足拭きマットにファブリーズしているとは!だいたいあんなに近くにいるとは予想外だ! 反則だ! 宇宙協定違反だ! 思わず可愛い悲鳴を上げてしまったではないか!)

完全な八つ当たりである。頭に血が上れば、彼女でも一般人とすることは一緒と言うことか。
しかし、ここからが彼女と一般人の違いである。
すぐさま次善の計画の立案に、頭をシフトさせる。
さすがエリート。
まさに軍人の鑑である。

(そ、そうだ、計画だ。計画の見直しが必要だ。まず私が玄関を開ける。そして…)

「おい、何してんだ?」

シフトさせた途端、困惑顔の横島が玄関から顔を出した。
計画、完成前に崩壊。

「な、何でもないんだ! 気にするな!」

一世一代の計画が、次々崩壊。
もう踏んだり蹴ったりである。
ワルキューレは思わず半泣きで返事を返す。
せっかく告白に向けて上げていたテンションもだだ下がりだ。

(まあ、部屋に入ってしまえば機会はいくらでもあるさ…)

そう考えを改めて自分を励ますのが、今の彼女には精一杯だった。


そして、夜。

(何で結局何も言わずに寝てしまってるんだぁぁぁぁぁ! 私の馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!)

ワルキューレはベッドの中で、ふがいない自分に怒っていた。
それはそうだろう。機会は売るほどあったにもかかわらず、いざとなると二の足を踏んでしまい、結局告白出来なかったのだから。
彼女は自分で思っていた以上に、ヘタレだったのである。

(はぁ…頭に血が上って眠れないな…まだ十二時過ぎなら、ホットミルクでも作ろう…)

気分を切り替えようと考えて、ちらりと時計を見やる。
何と、枕もとの目覚まし時計は二時過ぎを指していた。
予想以上に時間が経っているのに気付いて、ワルキューレは焦る。

(ま、まずい。このままでは完全に寝不足ではないか! はやく眠らなければ…。クマを作った顔など、横島に見せられん!)

が、こんな風に眠ろう眠ろうと思うと、逆に眠れなくなるものである。
この例に漏れず、彼女も逆に力んで目が冴えてしまった。

(あー、もう! どうしろと言うのだ!)

眠れない。
眠くなる手段も尽きた。
……いっそのこと起きてしまおう。
彼女はそう考え、ベッドの上で身を起こした。
はじめは暗闇で何も見えない。
が、徐々に目が慣れてくる。
ふと、カーペットの上で眠る横島が目に入った。
胸の奥がドキッとする。
自分は、やはりこの男に恋をしているんだ、と実感した。

(…………寝顔を眺めるくらい、いいよな?)

ふとそう思い、忍び足で近づき、寝顔を覗き込む。

(ふふっ、無防備な顔をして……)

安らかな寝顔に、ワルキューレの顔がほころぶ。
愛しい男が、自分の傍でこんなに安らかな顔をしている。
そう考えるだけで、なんとも誇らしい気分になってきた。
それに、少なくとも今だけは、この安らかな顔は自分だけのものなのだ。
今だけは。
今だけ?
そう、今だけなのだ。永遠ではないのだ。
このままでは、いつか私のものでなくなってしまう。
嫌だ。
不意に恐怖が襲ってくる。
奪われたくない。
独占欲が暴れだす。
奪われないためには、どうすればいい?
失わないためには、どうすればいい?
そうだ、私だけのものという、印をつけてしまえばいいのだ。
早く、この寝顔が、自分だけのものと伝える印をつけなければ…。
そんな想いに突き動かされ、ワルキューレは横島に、祈るように口付けた。


ちゅっ


「ほぅ………」


独占欲が満たされ、ため息が出る。
だが、それもつかの間、もっと欲しくなり、再び唇を寄せる。


ちゅうっ……


さっきよりも深く。吸い付くように。
舌で横島の唇をなぞる。
そこで彼女は、ふと我に返った。

(え? 私は、何をしている?)

思わず、さっと身を離す。
そして、何とか冷静さを取り戻した脳で、現状を把握しようとする。
横島は、ぐっすり眠っている。
自分は、そんな横島にキスしていた。
同意は、もちろん得ていない。

(……こ、これではまるで夜這いをかけているようではないか!)

恥ずかしさのあまり、ワルキューレは死にたくなってくる。
もう、自分には横島のセクハラを糾弾する資格はない。
というか、あっちは未遂。こっちは既遂だ。自分のほうがはっきり言って酷い。

(私は横島以下のエロ女なのか………?)

何やら絶望的な気分だ。
このままでは精神崩壊を起こしかねないと思った彼女は、何とか自己弁護を始めた。

(だ、大丈夫だ。幸い横島は眠っている! 目撃者はいない! 私が墓場までこの秘密を持っていけばいいだけのことだ!)

そう、自分がエロ女であろうがなかろうが、誰にも知られなければ真面目なお姉さんで通るのだ。
要はバレなければいいのだ!バレなければ!
少しズレてはいるが、なかなか効果的な案である。
彼女の精神の安寧は、これで保たれるはず…

「あ、あの……ワルキューレ?」

だったのに…。

「な! 横島! お、起きてたのか?!」

驚きと絶望のあまり、ワルキューレはおもわず固まる。
頭の中で、いろんな単語がループしはじめた。
エロ女、夜這い、横島以下、エロ女帝、ヘンタイ、QBK、いつかやると思ってました、…etc,etc
全部、彼女にしてみれば耐えられない称号である。が、さっきやってしまったことを考えると否定できない。

「ふ、ふふふふふふふ……」

そして、彼女の中で何かがキレた。
やられる前に、やってしまえばいいのだ。
嫌われたなら、好きになるよう調教すればいいのだ。
知られたなら、誰にも話せないように調教してしまえばいいのだ。
横島、今こそ、私のお前への気持ちを告白しよう。
いや、もうこれは告白ではない。調教宣言だ。
……ワルキューレの覚悟が決まった。とても嫌な方向に。

「好きだ!」

「え?」

ワルキューレは、突然かつ何の脈絡も無い告白をする。
当然ながらあっけにとられる横島をよそに、ワルキューレは続ける。

「横島! 私はお前が好きだ! 情けないところも、助平なところもひっくるめて愛している! 大好きだ!」

「あ、ありがとう」

美女からの、この上なくストレートな愛情表現に、さすがの横島も赤くなる。
これは、ちゃんと返事しないと…。
そう考え、横島は起き上がろうとする。
が、いつのまにか横島の上では、彼が起き上がろうとするのを阻むように、ワルキューレが馬乗りになっていた。
彼女の理解不能の行動に、思わず何をしているのか問いかける。

「あ、あの…ワルキューレさん…いったい何を…?」

「……もう誰にも渡さんぞ……?」

横島の話を聞いているのかいないのか、ワルキューレはぼそりと呟く。
その目は、完全に据わっていた。

「へっ?」

「……絶対に私から離れられないようにしてやる……」

事態が把握できない横島をよそに、ワルキューレは横島のTシャツに手をかける。

「お、おいワルキューレ?」

「安心しろ……手荒なことはせん……ちょっと今から、私が、お前を、レイプするだけだ……」

びりぃぃぃぃぃぃぃ

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「叫んでも、無駄! 無駄! 無駄ぁぁぁぁぁぁ!」


こうしてワルキューレと横島君は、めでたく付き合うことになりましたとさ。

めでたしめでたし。


あとがき

はじめまして。岐阜海運夢組と申します。
初SSです。処女作です。なのに15禁です。
ですが、文章はあんまり上手くないけど、まあまあ楽しめた、という方がいてくだされば幸いです。
日本語って難しい。

では、機会があれば、また。

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