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「GSユータロー極楽大作戦ぷろろーぐ(GS)」

ミアフ (2006-09-17 18:32)
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プロローグ 『アルバイトを探そう』


頭上には金色の月。
月光のみが光源であった。
深い闇が辺りを支配していた。
「むぅ。ここは・・・・・・」
転移したての男は頭を抱えて起き上がった。
木々が生い茂る、山奥のようだ。
ふと男は眩しげに輝く満月を見上げた。
(く、まるで天が私をあざ笑っているようだな)
自分の行動を天が嘲笑っているように思えた。
拳を握り締め、自らの運命を呪う。
男の格好は古めかしいローブ姿。
まるで古代の魔術師が纏ったような怪しげな衣装。
フードがすっぽりと顔を隠している。
そこからは圧倒的な瘴気と魔力と怒りがあふれ出している。
男は忌々しげに呟いた。
「彼奴らめ、この私を出し抜くか・・・・・・」
思わず爪を齧り、怒りを露にする。
たかだか人間風情と自分が作った使い魔、それに冴えない神族が一匹。
男から見ると塵芥にも等しい存在にしてやられた。
強大な力を持つ自分がまんまと出し抜かれたのだ。
同族から見ると温厚な性質だった男もこれには腹を据えかねた。
決意を込めて闇夜に宣言する。
「おのれ!宇宙意思よッ!貴様が作り出したこの魂の牢獄から私は絶対に抜け出してやるッ」

「ああ、抜け出させてやろうじゃないか」
そんな声が男の耳に届いた。
「!?!?!?」
突然の声に男は振り向いた。
月光が声の主を照らし出す。
「馬鹿なッ。この私に気配を感じさせないだとォ!?」
男の目の前にいるのは一冊の書を手に抱えた、人間だった。
見た目は三十代前半くらいだろう。
額にSFちっくなバイザーを付け、黒い外套を羽織っている。
手入れなどしていなさそうな無造作なボサボサの黒髪。
メッシュだろうか、前髪の一房だけ、金色に染まっている。
何かを達観したような澄んだ瞳にまだらに残った不精髭。
どことなく人好きのする顔立ち。
どこか見覚えのある人間だった。
「お前は・・・・・・!」
男は目の前に人間に向かって腕を突き出す。
何のためらいもなく、男は攻撃に移る。
幾筋もの魔力砲が放たれる。
それは人間の体をアッサリと貫く。

パァンッ!

まるで風船の割れるかのような音が轟く。
魔力砲を喰らった人間の体がはち切れるように四散する。
その様に男は満足した。
「ふ、何の用でこの場にいたのかは知らんが、この私の前に現れたのを不幸に思え」
男はクツクツと笑って。
「いやぁ。さすがは魔神様だな」
「ほぅ?」
男の後ろにその人間は立っていた。
傷一つ無く、人好きのする微笑を浮かべて。
「幻術を解除!術式を起動させろ■■■ッ」
「わかったわ■■■■」
どこからか女の艶やかな声が答えた。
その言葉で月光に照らされていた木々が一瞬で消えうせる。
「まさか!?」
男は自分の眼を疑った。
周りにあった木々は消えうせ、足元には複雑かつ緻密に描かれた魔法陣が広がっている。
魔方陣の広さは一区画近い。
そんな広域展開し、あまつさえ自分の眼力さえ欺けるほどの幻術が存在するとは男には信じられなかったのだ。
「ソロモンの大いなる鍵よ・・・・・・」
呆然としている隙に人間の右手が男の頭部をがっちりと掴み、旧き失われた口訣を口ずさむ。
朗々と詠唱をする人間の左手には古びた書が握られている。
その書には見覚えがあった。
太古の昔、まだ72の序列に加わっていた時、男を支配した王の持ち物。
呪文に答えるかの様に、足元の魔方陣が輝きだした。
「貴様!?何のつもりだ・・・・・・く、私の魔力が、魔力が失われていく!」
魔方陣の効力なのか、男の体から力が抜けていく。
そして、その魔力は人間の中へと流れ込む。
男の問いに人間は軽い調子で答えた。
まるで旧友に語りかけるかのように気安く。
「な〜に、お前の長年の夢を500年ばかし早いが叶えてやるだけだ」
「私の夢だと・・・・・・」
「ああ」
人間は笑みを浮かべた。
それは限りなく慈愛に満ちて。
それは在り得ないほど悲しみに満ちて。
それははち切れんばかりの喜びに満ちて。
「だから安心して死んでくれや『恐怖公■■■■■■』」
人間の右手が金色に輝く。
その右手が男の霊的中枢を背後から貫いた。
痛みは無い。
「もう、誰も踏みにじらないですむぞ■■■■■■」
薄れいく意識の中で、■■■■■■は見た。
絶世の美女と共に死に行く自分を眺めていた■■■■の笑顔を。
その微笑みにはきっと、憐憫の感情がこもっていた。

「・・・・・・目覚めが悪い」
真っ青な顔で青年はベットから起き上がった。
寝汗で濡れたシャツとパンツを脱ぎ捨てる。
シャツの下に隠れていた均整の取れた肉体美があらわになる。
そのままバスルームに直行し、シャワーの蛇口を捻った。
冷たい水が青年の肌を濡らした寝汗をすっきりと洗い流す。
「ああ・・・・・・まだ春先だから、冷水はちょっと寒いな」
そんなことをぼやきながら、洗面台の鏡に映った自分の顔を見る。
彫りの深い、どこか西洋彫刻染みた顔立ち。
いつもは結っている長髪は水滴を滴らせて、色気のようなものを放っている。
(ふむ。少々顔色はよくないか・・・・・・ま、いつも通りのハンサムフェイスか)
顎に手を当て裸身で青年はポーズを決めた。
これで口に薔薇でも咥えていれば、BL同人誌の表紙を飾れるだろう。
この青年はそれくらい、美形だがナルシスト雰囲気でちょっとゲイちっくな風貌をしていた。
そのまま調子の乗って、3分ばかりポージングに浸っていた青年はふと我に帰った。
「朝食も食べずに僕は何をしてるんだろう。朝っぱらから」
それはこっちが聞きたい。
青年は顔を洗って、歯を磨き、髪型を整えるとバスルームから出た。
用意したスーツを着て部屋を出る。
「・・・・・・バイト、探さなきゃな」

青年は裕福な家庭に生まれ育った。
両親は多国籍企業のオーナーで、名家の出身。
教養もあり、人格的にも優れた人物だった。
青年も両親の期待に応え、東都大学法律学部を主席、海外に二年ばかりの留学経験を持っている。
そして今月、青年は大学を卒業した。
青年を知る、両親や親類、知人友人達はてっきり、親の跡を継ぐと思っていた。
だが。
「父さん、母さん・・・・・・すみませんが僕には夢がある。だから、跡を継ぐ気はない」
青年は初めて両親の期待を裏切った。
その後は有体に言って、大乱闘だった。
両親は勘当こそ言い渡さなかったものの、送っていた仕送りを止めると宣言。
稼業を継ぐ気になるまで家の敷居を潜るなと言われた。
ある程度それを予測していた青年は申し訳なさそうにこう言った。
「僕は、『正義の味方』になりたいんです」と。

「しかし、僕には勤労経験ないんだよな」
青年はふらりと立ち寄ったオープンカフェでアルバイト雑誌を読む。
今年で26、いや27になる青年だったが、坊ちゃん然した生活から働くという行為をしたことはなかった。
精々、大学の学祭でサークルが開いていたお好み焼き屋の店番くらい。
すぐに生活に困るわけではないが、さりとてある程度の生活費は稼がねばならない。
「う〜ん。割りのいいバイトというのはどういうものか?」
運ばれてきたトーストを齧りながら青年はアルバイト雑誌を睨みつつ、首を捻った。
「ま、体力に自信はあるし、それなりに時給が高い所をあたろうか」
コーヒーで喉を潤し、青年は立ち上がろうとし。
その時、目の前でそれは起こった。

「おね〜〜〜様!!!」

見れば高校生らしい少年が妙齢の女性に飛び掛っている。
「何すんじゃこのクソガキッ!」
「ぐはぁッ」
女性の裏拳が少年の顔にのめり込んだ。
あまりの速さに青年の目には閃光にしか見えない。
お世辞にもハンサムとは言えない少年の顔がさらに歪に歪む。
ズシャァァァっと少年は青年の足元まで飛んできた。
「お、おい?生きてるかい、君?」
やや引き気味の青年。
少年はピクピクと身体を痙攣させていた。
死にはしてないが重体だろう。
そこに飛び掛られていた女性が近づいてくる。
「ったく、このエロガキ!」
女性は履いていたピンヒールで倒れた少年をストンピングしようとし。
「あの・・・・・・それ以上やると死んでしまうのでは」
青年が恐る恐る声をかける。
女性は美人だった。
紫のボディコンシャスな格好に艶やかで長い亜麻色の髪。
極めて整った顔は怒りで鬼気迫っていたがそれでも美しい。
見事なボディラインを持つ肢体。
「なに?あんた」
「い、いえ・・・・・・いくら痴漢に対しても、ちょっとやり過ぎかなぁ〜っと思いまして」
弱腰の青年。
青年はジロジロと女性に眺められる。
まるで品定めをするかのように。
女性は青年に名を尋ねた。
「貴方、名前は?」
思わず、女性の纏ったオーラに気圧され、青年は腰を抜かしながら答えてしまう。
「・・・・・・芦、優太郎(アシ・ユウタロウ)です」
これが『守銭奴除霊師』美神令子と『正義の味方』芦優太郎との出会いだった。
「僕!横島忠夫ッス!おねー様!」
がばっちょと起き上がった少年が令子の手を握り締めた。
ついでに『煩悩魔神』横島忠夫とのファーストコンタクトでもある。

THE・NEXT?

あとがき

おひさしぶりです。ミアフです。
一度やって見たかった人間芦優太郎主役のGSです。
真っ当な常識を持つ第三者からの視点でGSストーリー。
それなりに優太郎も壊すつもりですが。
最初に出てきたのはバレバレだと思いますが、そこはしばらくスルーしてください(笑)
一応ギャグ、時々シリアスで。
おいおい詳しい設定なども書いていくので応援よろしくお願いします。

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