「なぁ?」
「パリパリポリポリ…なによ?」
ここはいつもの横島邸。
主である横島と居候の『未来からきたキツネ型妖怪』であるタマモ(本名タマえもん)は、相変わらずグダグダしていた。
特にタマモは『揚げコプター』で乾燥させた薄揚げをお茶受けにして、例の本を読んでいたりする。
「いいかげんGS連載としてはだな、イベントとかこなさんと不味いんじゃないか?」
何かの電波をキャッチしたらしい横島はそんなことを呟いた。
「なによ?このグウタラ居候ライフに文句があるわけ?」
『…言いたい事だらけだが』という突込みを、かろうじて横島は飲みこんだ。
「つうかだな、毎度毎度『道具出して俺が酷い目にあっておしまい』じゃイカンと思うんだが。」
横島は横島なりに色々と考えているようだ。
決して『自分が酷い目で終わる』のが嫌だという理由ではないと思う…。
しかし、そんな横島をタマモは『ふっ』と鼻で笑った。
「あまいわね!」
「そうなのか?!」
「『某ネコ型ロボットの先輩』はそれだけで数十年戦っているのよ」
「んな大御所と一緒にするんじゃねぇぇぇぇ!!!!」
今日も魂の雄叫びは絶好調である。
「大体なんでイベントなんてこなしたいのよ?」
…ぐうたらなあんたが…とタマモは目と口で言ってきた。
「いや、だってだな。GSとして開眼とかしとかんと、色々まずいだろ?メドーサとかアシュタロスとか」
横島は更に電波を受信して、レッドカード発動並の言葉を並べる。
シリアスSSならば、これだけで抑止力が働く勢いだ。
「あ、それないから」
…は?ないんか?
「わたしがきて未来が変わったのよ♪」
そう、未来からきた○○はその行動により過去を変えることが可能である。
『某ネコ型ロボットの先輩』なんて、それはもう不条理なまでに変えまくっている。
抑止力なんてポイだ。
「…ということは、俺が霊力に目覚めて、貧弱な煩悩少年からヒーローへと成長していくサクセスストーリーとかは………」
「なし♪そんなのぜ〜んぶなし♪」
……………………
………………
…………
……
「イヤジャン!イヤジャン!!
ヒーローでモテモテじゃないとイヤジャン!!!」
横島マリンは高速地団駄を踏みながら全身全霊で駄々をこねた。
「ふぅ…しかたないわねぇ…」
などと言いつつ、タマモはお腹のポケットをゴソゴソしだした。
というわけで、妙神山に来た。
「…どういうことか説明してもらおうか」
「なにをよ?」
「お前、ポケットごそごそはなんだったんだ?!」
まったくだ、ポケットごそごそから妙神山到着は、普通の人の脳内では接続しないだろう。
「『どこでも引き戸』を出したんじゃない」
「なんだそれは?今度こそ『どこで○ドア』のパチもんか??」
「失礼ね」
しかし、その口調とは裏腹に、横島頭脳では『どこ○もドア』を使用した完全セクハラの数々がシュミレートされていた。
『どこで○ドアを使って、美神さんの寝室に侵入!いやそこまでは無理でも、留守を狙って私室に入れれば……お宝入手し放題やぁぁぁ!!!」
「あ、無理だからそれ。」
「しまったぁぁ!またしても口にでてたぁぁ!!それよりなんでじゃぁぁぁぁ!!!!」
ボケと突込みを同時にこなす。彼の魂はやはり関西人であるようだ。
「この『どこでも引き戸』は、豆腐屋&うどん屋&すし屋等揚げ関係の所しかいけないのよ。ほら暖簾ついてるでしょ?」
「なんじゃそりゃぁぁぁぁ!!!!」
…恨むならmeoさんを恨みなさいよ…などと理解不能なことをタマモは言い捨てた。
「つまり『どこでも引き戸』で妙神山の麓のうどん屋さんまで来たのよ」
「んじゃ、そっからの登山はどうやったんだよ?」
一通りお約束の慟哭を終えた横島が突っ込んだ。
「そんなの徒歩に決まってるじゃない♪」
「どおりでクタクタだと思ったよぉぉぉぉ!!!!!!」
『どこでも引き戸』やはり微妙な秘密道具であった。
「なんだ騒がしいと思ったら横島ではないか」
そう言って声を掛けてきたのは、妙神山の門番である鬼門。
ちなみに二人いて『右の』『左の』と区別するらしい。
「となりの娘(?)は初めて見る顔だな。時に何しにきたのだ?」
横島は経緯を説明した。
「…つまり、ヒーローになって姉ちゃん達にモテモテになりたいから、パワーアップしに来たと…あいかわらずアレだなおぬし…」
「ほっといてくれ!」
「まぁいい。そういうことならばおぬしは修行者だ。見事この鬼門を突破してみせい!」
鬼門が叫ぶと、何処からともなく首のない巨大な石像が二体現れる。
そう、妙神山で修行するには、この鬼門を倒さなければならないのだ。
……………………
………………
…………
……
「すっかり忘れてたぁぁぁぁぁ!!!!」
妙神山での修行と聞いてから、横島の頭の中では、小竜姫様とのくんずほぐれつなシーンしか展開されていなかったため、鬼門のことなどすっかり抜けていたのである。
そして、今の横島は只の貧弱煩悩少年でしかない。
「んなもん勝てるわけねぇ〜どうすればいいんじゃぁぁ!!」
そんな彼の肩に『ポン』と手が置かれる。
「大丈夫よ横島。こんなときの為にわたしがいるんじゃない」
「たとえ横島が、知恵も勇気も力も皆無、あまつさえアレも皮かむりなセクハラ少年だとしても、わたしがついているわ」
タマモは爽やかな笑顔でサムズアップすると、ポケットをごそごそしだした。
「あいつらは、大きさと重さで勝負するタイプと見たわ!だからそれを封じてしまえばいいのよ!」
「ちょっとまて!!みっ!見たんか?!お前見たんか??!!」
そんなことよりも重大事が横島にはあったようであるが。
…そして…
「はい『スモール薄揚げ』♪」
取り出したのは、手のひらサイズのいなり寿司なんかによく使われる薄揚げ。
汁もほどよく染み込んでいて、酢飯をいれれば直ぐにでもいなり寿司が出来そうだ。
「…これはなんだ?」
「これは『お揚げに包んだ物を小さくしてしまう』道具よ」
「それでどうするんだ?」
「だから、あの鬼門というのをこれで包むの」
もう一度説明しよう。
鬼門の呼び出した自身の体である巨大な石像は、小さく見積もっても3,4メートルはある。
対して、目の前に提示されたお揚げは手の平サイズだ。
「どうやって包めというんだ?」
「そこはコツよ」
「んなコツ知るかぁぁぁぁっっ!!!!」
そんな間抜けなやり取りをしていたが、鬼門も暇になったのか問答無用で向かってきた。
「もうヤケじゃ!なんとかしたるう!!」
……………………
………………
…………
……
なんともなりませんでした
戦い(?)が終わった後には、ボロボロになった横島、そしてそれを見下ろすような鬼門の仁王立ちがあった。
「…右の」
「…左の」
「「遂にわしらにも勝利の時が!!!!」」
そう、SS史上初(?)となる『鬼門 > 横島』の公式が完成した瞬間だった。
これまで原作、SS共に数々の話に登場してきた彼らであるが、二人が勝利した描写というのに筆者はお目にかかったことがない。
なんとも不遇なキャラクターである。
「まったく。だからコツって言ったじゃない」
ヤレヤレといった表情でタマモが首を振った。
「ときに娘(?)。お前はどうするのだ?」
『左の』が感動に緩みきった表情でタマモに尋ねた。
『右の』は勝利記念と題して石碑なんてつくっていたりする。
ん〜〜と考えていたタマモであったが。
「見てなさい横島。わたしがコツを教えてあげるわ!」
そして、タマモVS鬼門がはじまる
対峙する『巨大な首なし石像』と『きつねの着ぐるみ』
……シュールだ、とてもシュールな光景だ。
タマモは右手に『スモール薄揚げ』を持ち、しかけるタイミングを窺っている。
そして……両者の間に木の葉が舞い降りた時、タマモが動いた!
「それ!『鬼門破壊爆弾』♪」
「「「なんじゃそりゃぁぁぁぁ!!!!てか『スモール薄揚げ』どこいったぁぁぁぁ!!!!」」」
『タマモ>>>>超えられない壁>>>>鬼門>横島』の公式が完成した瞬間だった。
「むぅ、いろいろアレだが娘、とにかくおぬしは合格だ。中に入るがよい」
門が開きタマモは中に入っていく。
そして、横島も続こうとして門に足を踏み入れたが、
…鬼門に取り押さえられた。
「おぬしは合格してないではないか」
……………………
………………
…………
……
「ほらほら横島、これが『サイキックソーサー』よ♪」
「ちくしょぉぉ!!なんだかとってもどちくしょぉぉぉぉぉ!!!!!!」
おしまい
所替わって某竜神さまの自室
「えっ?終わり?わたしの出番は??」
後書きのようなもの
え〜と、キツネそばです。
またこんなのです^^;
妙神山なのに小竜姫様がでてきませんw
(( ̄^ ̄ )ゞ
>meoさん
使わせてもらっちゃいました。お代は勘弁してください<(_ _;)>
中身なんてないのですから浸水なんてしませんよ?w
>スケベビッチ・オンナスキーさん
元ネタは読んでないんです。由来ということだけ知っていますw
『タマえもん』は御一人での閲覧を推奨します^^;。
誤字脱字報告多謝^^。国語が弱いのバレてしまいました(>_<)
>シヴァやんさん
未来からきた○○は問題ないのですw
某ネコ型ロボットの先輩も平気で闊歩していますしね…
>HEY2さん
浦安ネズミにも中の人なんて存在しませんw
『稲荷マント』採用w でも出番は気まぐれです^^;
またしても、国語が弱いのが(>_<)
>U-さん
ボン太くんは「着るもの」ですけど…
タマえもんには中身なんてありませんよ?wですからクーラーなんてつけれません。
>Quesさん
もう一体(匹?)は、多分狼少女のことだと思うのですが、
はてさて、どうなることやら?w
>黒覆面(赤)さん
たっタマえもんは……中身なんてありませんよ?;