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「魔弾の射手 第二章(GS)」

BIND (2006-09-09 00:56/2006-09-09 20:03)
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 俺は目を閉じ、精神を集中させる。
 右手に握るのは、コルトバントラインスペシャル。
 かの有名な保安官ワイアット・アープも使用した銃だ。
(狙いを定めたらグリップはしっかり握り、左手は添えるだけ、肩の力を抜き、息を吐きながら一気に引き金を引く)
 俺はそう心で呟きながら、ゆっくりと目を開き、台に置かれた空き缶に狙いを定めると、撃鉄を起こすと一気に引き金を引く。
 ガオォォォン!!
 静かな森に響く銃声。
 カァァァァン!!
 霊波で作られた弾丸が空き缶に当たり、左方向へ弾き飛ばす。
「フッ」
 俺はキザったらしい笑みを浮かべると、手にしたバントラインスペシャルをくるくると回しながら脇の皮製のホルスターに収める。
『残念、右にそれてましたね』
 手のひらサイズの女性保安官が空き缶にかけより、それを見ながら微笑む。
『よって、私はミニチュアサイズのままです』
 そいつは笑顔で俺にそういう。
「嘘つけ!あんだけ缶が派手に飛んだんだぞレイ!!」
 俺は叫びながら飛んだ空き缶に駆け寄る。
『事実ですよ。ほら』
 そいって、レイはよっこらせといいながら空き缶を立てる。


 レイっていうのは、俺が手にしているバントラインスペシャルの九十九神だ。
 地獄組の組長がコレクションに加えるため取り寄せたが、引き渡された際、九十九神化していることが分かり、気味が悪いって事で美神さんに除霊の依頼が来た。
 しかし、俺はレイの人化した色香に惑わされ、封印を解いてしまった。
 だが!俺の必死の説得によって、彼女は霊能力のない俺の手助けをすることになったのだ!!
 まぁ、美神さんに十分の九殺しされたけど……。


『はいはい、読者に嘘教えないでください』
 レイは手を叩きながら、缶に注目してくださいと俺にいう。
「ええやんけ!そういったほうが、本当の主役っぽいだろ!!」
『はいはい、良かったですね』
 くっ!なんて冷てぇ奴だ!
 ちなみにレイという名前は、俺が無い頭をひねって考えた。
 最初の案としては、バントラインだからバンかライ、銃の九十九神だから銃子とかあったんだが、美神さんやおキヌちゃんにセンスが悪いだとか、女の子なんだからもっと可愛い名前にしましょうとか言われて、光とか光線という意味を持つレイ(Ray)となったわけだ。
 このとき、笑いを取ろうとしていたら途中から記憶がない。
『レイって名前だし、霊力を弾丸にして撃ち出すし、まさしくレイガ……』
 ここから先の記憶がな。


『マスター!ここを良く見る!!』
 レイが怒りながら、空き缶を指差す。
 彼女が指差す先には、何かが擦ったような裂け目があった。
『いいですか、これは弾がかすった跡です。私は缶のど真ん中に命中させたら、大きくなるといいましたよね?これは真ん中ですか?違いますよね?よって、今回は残念でした!』
「そ、そんな……。あのおっきくてずっしりした乳が……」
 宝くじの一等が当たって、銀行にいったけど実は違っていたときのような気分だ……。
『マスター、エロスはほどほどにしましょう』
「健全な青少年だからしかたないんやぁぁぁぁ!!!」
『マスターは性少年でしょう?健全な青少年って言葉が棍棒もって殴りに来ますよ?さ、早く美神さんのところにいきますよ』
 夕暮れ迫る森に、俺の叫びとレイの突込みが響き渡った。


 俺は右肩にレイを乗せて事務所へと向かっていた。
「あーそういや、今日学校で担任に将来どうすんだっていわれたんだよなぁ」
『将来のこと、ですか?』
 レイが小首をかしげながら聞いてくる。
「そ、授業で居眠りしてたら、生徒指導室に運ばれて将来どうすんだってさ」
 タイガーの野郎、友達だとか言っておきながら、俺を脇に抱えて運びやがって!!
 連れて行くならきちんと連れて行けよ!てか、まず庇えよ!!
『それでマスターはなんて答えたんです?』
「美人な嫁さんを手に入れて、廃退的な生活がしたい!!」
 俺はいつに無く真剣な表情でいったが、レイが肩からずっこける。
『マスター……それは考えていないっていうんですよ?』
「……担任もいってた」
 そんな会話をしているうちに、事務所が見えてきた。
 いつもとは違い、事務所の前に一台の黒塗りの車が止まっていて、黒服を着た男の二人組みがいる。
 一人は車を磨き、もう一人は煙草を吹かしている。
『お、横島ではないか!』
 片方の男が俺に気付く。
「お前は……鬼門じゃねぇか!」
 てことは……、
「小竜姫さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 俺は次の瞬間、世界新も取れるようなスピードで事務所へ走った。
『ちょ、マスター!早すぎ!!お、落ち、怖っ!!』
 何か俺の右肩でなんかちっこいのが泣き叫んでいたが、気にしない!
 俺は階段を一段抜かしどころか、三段抜かしの勢いで階段を駆け上がる。
 そして見えてきたラストコーナー!
 俺はスピードを殺さずそのまま曲がりきり、ドアを勢い良く開ける。
 そこには美神さんと話をする小竜姫様がいた。
「あら、横島さん!こんにちわ」
 ジャケットにミニスカート姿の小竜姫様が俺に微笑みながら挨拶する。
「おおっ!相変わらずお美しいっ!またお会いできて光栄っス!!」
「ありがとう!」
 ああ、そんな微笑まないでください。
 飛びつきたくなるじゃないですか!!
「ぼかぁもう!!!」
『ぎぼぢわるい……』
 小竜姫様に飛びつこうと思った矢先、変な声が聞こえてきたので右肩を見てみると、手を口に当てて、顔を真っ青にしたレイがいた。
『……もう……だめ……』
「わぁぁぁぁぁぁぁっ!ちょっとまてぇぇぇぇぇ!!!」


 しばらくお待ちください。 m(_ _)m


「はぁ〜、危うく俺の右肩にぶちまけられるところだった……」
 俺はため息をつくと、懐からバントラインを取り出し、人形の布団で寝かされているレイの隣に置く。
「様々な九十九神を見てきましたが、珍しいですね、銃の九十九神というものは」
 そういって小竜姫様はおキヌちゃんが入れたお茶を一口飲む。
「一概にはいえませんが、九十九神というのは所有者のその物に対する思い入れが強いほどなりやすいとい聞きます。レイさんの前所有者はこの銃によほどの思い入れがあったのでしょうね。それに、霊力を弾丸にして撃ち出すとは霊刀ならぬ霊銃とでも呼びましょうか」
 思い入れが強いほど……ねぇ。
 じゃ、愛子は所有者があの机に相当な思い入れがあったってことか?
 俺の頭の中には、机に頬擦りしている愛子似の女の子がいた。
 ……お近付きになりたくない人間だな……。
「ところで、今日小竜姫様は何でここに来たんです?」
 妙神山の修行場の管理人がである小竜姫様は滅多な事では下界に来るはずが無い。
 しかも、美神さんのところに。
「実はね、私がGSの資格試験にもぐりこむことになったのよ」
 美神さんがすごく嬉しそうな顔をしながらいう。
 ……相当な金額が動いたな、これは……。
 小竜姫様がいうには、以前竜神王の子供、天竜童子の命を狙った魔族の殺し屋『メドーサ』が、今度は自分の息の掛かった連中を試験に送り込み、GS界を裏から操作しようというのが目的らしい。
 小竜姫様たち神族はそれを阻止したいけど、一体誰がメドーサの仲間なのか分からないし、表立って調査するのは色々問題があるらしい。
 そこで、美神さんが受験に紛れ込んで怪しい奴を探り出すんだそうだ。
「…そうだ!横島さんも試験受けてみませんか?」
「「「え?」」」
 小竜姫様の言葉に、美神さん、俺、おキヌちゃんの目が点になる。
 いやいやいや、無理だから!
「い、いや〜、俺はそんな才能は……」
「そうですわ、こんなアホできるわけありませんって!いやだわ、小竜姫さま!」
 美神さんが苦笑いを浮かべながら、俺に続いていう。
「いいえ。修行場で初めて会ったときから思っていたんです。ひょっとして横島さんは隠れた素質があるのかもって…!それにレイさんもいることですし」
「こいつに?へええ」
 小竜姫様の言葉に、美神さんが信じ始めてるし。
 いや、だから無理だって。
 美神さんはしばらく考え、俺を見て
「ま、勘違いとはいえ、神様がああ言ってるんだから出てみれば?」
 と気軽にいってくれやがりました。
「え゛〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
「ま、私はあんたのダメさ加減がまた一つ明らかになるだけだと思うけど、どーせあんたには失うものは無いでしょ?」
 ……あんたな……。
 ん?でも待てよ…。
 運良く俺が資格を取れば、もしかしたら給料が上がるかも!
 会社には資格手当てってのがあるところがあるしな。
「美神さん、もし、もしですよ?俺が資格を取ったら、給料上げてくれます?」
 俺の言葉に、美神さんは少し考え
「いいわよ。ついでに主席で合格したら『美神&横島所霊事務所』に改名してあげるわよ!!」
 美神さんが少しあきれたような顔でそう答える。
「よっしゃぁぁ!その台詞わすれんでくださいよ!!」
 よっしゃ!気分が乗ってきたぜ!!
「ま、お札もろくに使えないあんたが合格するはずないでしょうけどね……」
 ヲイ!一気にテンション下がるようなこといってくれるなこの人!!
「それをあえて忘れるのが妄想の醍醐味なのに……」
「大丈夫!」
 さめざめと涙を流す俺に、小竜姫様が優しく声をかける。
「横島さん、そのバンダナいつも身につけていますよね?」
「え?まぁ……」
 小竜姫様は俺にそう確認すると、俺の両肩に両手をかける。
『我、竜神の一族小竜姫の竜気をさずけます…!そなたの主を守り主の力となりてその敵を討ち破らんことを……!!』
 小竜姫様はそういうと、俺のバンダナにキスをする。
「バンダナに神通力をさずけました。あとはあなた次第です」
 小竜姫様が微笑みながらそういう。
 俺のバンダナに、小竜姫様自らの力を分けてくださるということは……
「これはもう俺を愛しているとしかぁぁぁぁ!!」
 と叫びながら飛び掛ったら、美神さんと小竜姫様に思いっきり踏まれました。
 俺の記憶に最後に刻まれたのは、白と黒でした……。


 その頃のレイ
『うぷっ!ぎぼぢわるいぃぃ……』
 まだ酔っているようだ。
 どうやら彼女は三半規管が弱いらしい。
 あ……なんか出た……。


あとがき
 第2話お届けいたしました。
 作中お見苦しいところがございましたが、平にご容赦を。
 気付くとおキヌちゃんの台詞が一言だったり、レイが結構ヘタレだったり!!
 次回はもっとがんばります……。orz
 さて、ついに次回から資格取得編です。レイを手にした横島がどういう戦いをするのか、お楽しみに!
 血反吐吐きながらがんばるぞっと……。

ちょこっと解説
 バントラインスペシャルは、ピースメイカーの通称で知られるコルトシングルアクションアーミーのバリエーションの一つで、銃身が12インチ(約30cm)あるものです。
 ネッド・バントラインという西部劇の作家が、西部開拓史に貢献した者にさずけたといわれる銃で、あのOK牧場の決闘で有名なワイアット・アープも使用していた銃です。
 ちなみに、アープが使用したバントラインは銃身が16インチ(約40cm)もあり、彼は射撃を安定させるために鉄製のストックをつけていたといわれます。


レス返し
>いりあすさん
 確かに自分ものび太君が頭の中をよぎりますw
 バントライン……渋いですか?w
 普通のピースメーカーにするか悩んでこの色物(ヲイ)になりました。

>ぬーくりあさん
 確かにバントラインは銃身が長い分、女性には重いでしょうね。
 女性は大体デリンジャーやベアキャットという小型で軽量な銃がメインですから。

>紅蓮さん
 もちろんしばかれましたw
 しかも十分の九殺しw
 でも即座回復が横島の特性ですw

>監督さん
 確かにファニングは相手を牽制したり、大人数を相手にしたりするときの技です。
 でも名手となると確実に撃ち抜くらしいです。しかもマシンガンよりも早く。
 シングルアクションが西部で広がるはずだ……。

>甚六さん
 確かに彼は巻き込まれ型ですねw
 自業自得な場合を除くと、誰かの厄介ごとに巻き込まれてますよねw

>フィガロ二世さん
 ただ単に文殊で弾丸出したりするだけじゃなく、他に新しい力をつけようかと思ってます。
 ……まだ大分先ですが……。

>雑魚さん
 霊刀が大丈夫なら、霊銃も大丈夫なはず!!
 あれって、事前に申請したり鑑定したりしてるか、審判自身が自分の霊能力で探ってるんでしょうね。
 じゃないと霊刀使いの人も銃刀法違反で捕まっちゃいますからねぇ。

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