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「一つの可能性 (8) (GS+???)」

ダヌ (2006-08-15 03:47/2006-08-15 04:39)
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真夏の真昼間。うだるような暑さに辟易しながら横島とルシオラは部屋の中をごろごろしていた。学校が夏休みに入り、バイトの方も3日ほど美神が出張ということで、久々の休みを満喫しているのである。そんな2人に、なんの違和感もなくそこにいた男が話しかける。

「なぁ、横っち。どっか行こうや?」
「んー、けど外暑いやん。日が少し弱くなってからにしようや。てか、銀ちゃんこんな毎日俺んちばっか来てていいんか?」

そう、銀一である。先日、久々の再会を果たして以来、銀一はヒマをみては横島の部屋に遊びに来ていたのである。若くして芸能界に入った銀一には、東京には仲のよい友人はそれほどいないらしい。銀一にとって、仕事のことを忘れ、素顔の自分をさらけ出せる場所が、横島の部屋なのである。

「まぁええやん。ところで、今日はおキヌちゃんは遊びに来んのか?」
「あぁ。おキヌちゃんは今日から学校の合宿だからな。美神さんもインストラクターとして一緒に行ってるで。」
「ふーん、そうなんか。確かおキヌちゃんって六女やったっけ?やっぱ合宿でも除霊とかあるんか?」
「あぁ。そんなに危なくはないらしいけどな。なんとか海岸ってとこだったかな?」

うろ覚えな横島にルシオラが応える。

「確か小波間海岸だったと思うわ。」
「そうそうそれだった。そういや今年はまだ海行ってないなぁ…ん?どうした、銀ちゃん?」

何やら様子のおかしい銀一に横島が声をかける。笑っているのか、震えているのか、何やら血走った目で銀一が叫ぶ。

「それや!夏といえば海や!俺らも行くで!そこに行けば水着姿のおキヌちゃんと出会えるっちゅうことやろ?ここで海に行かないで、いつ行くんや!目指せ、ひと夏のアバンチュールやぁ!!」

狭い部屋の中で突然叫びだした銀一。迷惑極まりないのだが、銀一の勢いに思わず、部屋の端による横島とルシオラ。

「な…なぁ、銀ちゃんってこんなんだったっけ?」
「わ…私の方が聞きたいわよ。」
「昔の俺を見てる気分やな…」

部屋の中心では、果てることのない妄想の世界へと突入しつつある銀一の声が鳴り響いていた…


一つの可能性(8)


小波間海岸へと向かう一行。さすがにその日のうちに行くのはムリだったのだが、銀一の芸能界のツテというやつで、翌日の宿を手配することができたのだ。その間に横島とルシオラは愛子やタマモ、ピート、タイガーにも声をかけ、総勢7人というなかなかの大所帯で海に来ることになっていた。特に、旅行初体験の愛子とタマモは喜んでくれているようだ。そんなテンションの上がりっぱなしの愛子に、運転中の横島が質問する。

「なぁ、愛子、お前机どうしたんだ?」
「小さくしたのよ。ちゃんと持ってきてるわ。」

そう言いながら、バッグの中から小さいフィギアのような机を取り出す。

「あれ?そんなんできたっけ?」
「実は最近できるようになったのよ!これのおかげでね♪」

そう言って再び愛子がバッグから取り出したのは一つの懐中電灯。なにやら嫌な予感がする横島だったが、その懐中電灯について質問すると、その言葉に応えたのはルシオラだった。

「これは最近私が開発した…その名もスモー○ライトよ!」
「いや、その名も何もそのまんまなんじゃ…」
「大丈夫!インスパイアされたとか、適当なこと言っとけばなんとかなるわ!大体、ネコ型兵鬼に作れて私に作れないわけないじゃない!」
「い…いや、そういう問題じゃないし、アレは道具作ってんじゃなくて、買ってるだけだぞ…なによりアレは兵鬼なんかじゃないし…」
「あら、そうなの。なんかいろんな武器とか持ってたからてっきり兵鬼だとばかり思ってたわ!まぁ何はともあれ、これで愛子さんも手軽にいろんなとこ行けるようになったんだからいいじゃない♪ね?」

そう言って愛子の方を向くルシオラ。愛子も軽く汗をかきながら応える。

「そ…そうね。過程はともあれ凄く感謝してるわ。ありがとね、ルシオラさん!」

そう言って満面の笑顔を浮かべる愛子。これでこの話は終わりかと思いきや…その後に続いた愛子の言葉に横島は凍りつくこととなる。

「けど、横島君!アレなんて呼ばないでよね!あの方は学校妖怪の最高位のお方なのよ!」

その言葉に思わずハンドル操作を誤りかける横島。

「へ!?アレ…いや、あの方ってネコ型ロボットなんじゃ…」
「みんなの想いが集まって、この世にお生まれになった、正真正銘の学校妖怪よ!私も一度お会いしたことがあるけど…すごくいい人(?)よ!今は確か竜神族に招かれて、次期竜神王の家庭教師をしてるって話だけど。」
「そ…そうなんか…」

いろいろとツッコミたいところがあったのだが、あまりに多すぎて断念する横島。


そんなこんなで、なんとか無事に小波間海岸へと着くことができた一行であった。


海に着くやいなや水着に着替えて海へとくりだす一行。一般の人たちは今夜の六女の合宿が終わらなければ、泳ぐことはできないのだが、GS免許を持つ者はその例外なのだそうだ。おかげで砂浜は横島たちの貸切状態である。もっとも六女の生徒たちが夜の除霊作業に備え、仮眠をとっていたために、錯乱しかかった方が一人いらっしゃったのだが…その方をそっとしておきながら、横島たちは海を満喫している。

初めて海を見た愛子とタマモはその大きさに呆然としている。寄せては返す波に足をとられ、盛大にこける2人。そんな2人に笑いながら海水をかける横島たち。

「何これ!しょっぱい!」
「海で水かけっこ…青春よね!」

そう言いながらかけ返す愛子とタマモ。さも当然のようにタイガーを楯にしてかわす横島とルシオラに、ピートが軽くひいていたりしているのだが、なにはともあれ楽しんでいるようである。


お昼の時間も近づき、昼食の準備を始める一行。これまた銀一がどこからか持ってきたバーベキューセットを横島、銀一、タイガーが組み立て、火の準備をしつつ、残りの面々が食材を切り分けているのだが、意外なことにピートが大活躍していたりする。日々節約にいそしまなければならない彼の境遇を考え、誰もからかうことなどできなかったのだが…

ピートの予想外の活躍もあり、程なくして準備も整い、横島の『いただきます』を皮切りに昼食を開始する横島たち。おいしそうに漂う肉の匂い、貸切の海という最高のシチュエーションの中、みなそれぞれに、香ばしく焼けたお肉をほうばっている。そんな中、横島が自分用にと丹念に焼き、まさにこのタイミング!と確信し、手を伸ばそうとした瞬間…そいつはやって来た!

「おっと、こいつは俺が頂くぜ!」
「そんな!俺が丹精込めて焼いたお肉をぉーーー!!」
「フ、この世は弱肉強食だぜ?」
「お前はどこの包帯男や!…って雪之丞!?なんでお前がここにいるんだ?」
「フ、タダ飯の匂いにつられてな!」
「理由になっとらんわー!」

こうしてさらに一人の仲間を加え、さらに賑やかさを増すバーベキューであった。


お腹も一杯になり、一息つく一行。少し離れたところで、横島と雪之丞が笑いながら殴りあっていたりするのだが、誰も止める者はいなかったりする。軽く地形が変わったような気がするのは、きっと気のせいである。そんな2人を視界に入れないよう努力しながら、ピートがタマモに話しかける。

「どうですか?慣れましたか?」
「まぁね。美神さんもおキヌちゃんもよくしてくれるし、学校でも違和感なく受け入れてもらってるしね。パシリ…じゃなくて、友達も増えたわ。ただ…」
「いつ追われるかわからないっていうのはやっぱり落ち着きませんか?」
「あら?よく分かったわね。」
「ええ。僕も700年の人生の中で、人に追われたのは1回や2回じゃありませんからね…」
「そう…そうだったわね。それだけ生きていたら、命を狙われたことだって何回もあったんじゃないの?よく人の中で生きていられるわね。」
「確かにもう人なんて信じないって思ったこともあります。けど、唐巣神父や横島さんみたいに、ありのままの僕を受け入れてくれる人たちに出会うことができましたからね。一人一人との思い出という宝物が僕の中には在るんです。タマモさんにもそんな出会いがあったでしょう?」

その言葉に考え込むタマモ。今もまだ心の奥底には不安が燻ぶっている…だが、前世の記憶ではあるが、彼女を愛してくれた人たちの顔が思い浮かぶ…そして今、自分の周りにいる人たち…その中で安息を感じている自分…自分の気持ちをはっきりとした言葉にすることができず、困惑しているタマモにピートが再び声をかける。

「焦って答えを出す必要はありませんよ。ゆっくりゆっくり探していけばいいんですから。僕で力になれることならいつでも手伝いますから。」

その言葉に、それまで黙って話しを聞いていたルシオラや愛子たちも会話に入ってくる。

「あら?私だって力になるわよ。困ったことがあったらいつでも言ってね、タマモちゃん♪」
「わ…わっしも手伝いますじゃー!たいして役にたたんかもしれんですが、タマモさんはもう仲間ですじゃー!」
「みんなで助けあう…これも青春よねー!大丈夫、タマモちゃんを襲ってくるような奴がいたら、私のお腹の中に放り込んであげるから♪」
「い…いや、愛子さん。それはやめた方がいいと思うで…」

愛子の言葉に銀一が冷や汗まじりにツッコむ。そんな周りの者を見ながら、確かな幸せを感じるタマモ。ここにいる者、ここには居ない美神、おキヌ。彼らとなら共に歩いていけるのかもしれない…そんな想いを抱きながら、心の中でそっと前世の自分へと話しかける。今度こそ自分は幸せになれるかもしれない、と…


タマモはうっすらと視界がにじんでいくのに気づきながら、その幸せを噛み締めていた。


そんな温かい雰囲気を突然破ったのは、先ほどまで死闘を繰り広げていたはずの横島と雪之丞だった。2人の海から何かくる、という言葉に従い、海の方に目を向けると、津波のように押し寄せてくる霊が見える。あまりに霊が多かったために、誰も霊圧に気づくことができなかったようだ。実は横島と雪之丞の死闘の影響で、結界が緩んだ結果が、この早すぎる襲撃へとつながっていたのだが、幸いにも誰も気づくことはなかった。慌てて、一行はどうするか話し合い、銀一に六女の方に連絡してもらい、残るメンバーで食い止めることとなったのだった。


「私とピートさんで、空から迎え撃つわ!タマモちゃんは狐火で下から攻撃して頂戴。タイガーさんは精神感応で私たちの感覚をつなげるのに専念してもらって…ヨコシマと雪之丞さんは愛子さんやタイガーさん、タマモちゃんを守って頂戴!」

ルシオラの言葉と共に陣形を整え、迎え撃つ横島たち。空から向かってきた霊はルシオラの霊波砲、ピートのダンピールフラッシュとタマモの狐火に挟まれ、次々と除霊されていく。タマモやタイガー、愛子を狙ってきた悪霊たちには横島と雪之丞が圧倒的な壁として立ちはだかり、先ほどまでの死闘が嘘のように息のあった連携をみせ、悪霊たちは一体たりとも近づくことができていない。

程なくして、六女の生徒たちも合流し、横島たちと共に迎え撃ち始める。やはり多くの現役GSが一緒に戦っているということが、彼女たちに安心感を与えたのか、教師陣の予想を超える奮闘ぶりを見せる。彼女たちに安心感を与えてくれていた現役GSの中でも、女子高生の水着姿にテンションの上がった横島の奮闘は特に目覚しかったのだが、その口から洩れる『純度100%の男の本能』的な発言の数々から全く評価されなかったりする。あまりに煩悩を上げすぎたために、ルシオラに海の中に放り込まれ、うっかり悪霊たちの指揮官を除霊したりしてたのだが、誰にもその功績は気づかれてなかった。
霊たちの突然の襲撃というハプニングから始まった除霊実習だったが、こうして無事に終了を迎えたのだった。


誰もいない夜の砂浜に横島とルシオラは二人で腰掛けている。初の実習で緊張していた六女の生徒たちや、一緒に来ていた者たちも遊び疲れ、今は夢の中である。二人だけの砂浜で、二人は楽しかった今日一日のことを話し合っている。

「海に遊びに来たはずが、なんだか大変だったな。」
「そうね。けど楽しかったわ!それにいいこともあったしね。」

そう言いながら、ルシオラはタマモの話を横島に教える。

「へー、俺が雪之丞と遊んでた間にそんな話してたのか。」
「あれは遊びっていうレベルじゃないと思うけど…」
「ま…まぁタマモも少しずつ溶け込んできてくれてて、嬉しいよ。誘ったかいがあったな。」
「ええ。そうね。」

ルシオラはそう言うと、ふと空へ目を向ける。そこに広がるのは一面に散らばる星という名の宝石たち。思わず感嘆するルシオラ。

「星が…綺麗ね…」
「ああ…そうだな。」
「夕焼けだけじゃなくて、星空もこんなに綺麗だったのね…昔は気づかなかったわ…ありがとう、ヨコシマ…」
「へ!?ああ、どういたしまして。」

今があるからこそ、その美しさを知ることができた。その今を作ってくれた横島に、その感謝の気持ちを込め、ルシオラは『ありがとう』を言う。もちろんその言葉だけで、横島が自分の想いを全て理解してくれるとは思っていない。だが、その想いの何割かを横島が受け取ってくれればいい。それでいい、とルシオラは思う。そして、自分が横島に感じているような想いを、いつかタマモにも想ってほしい。そんな想いを抱きながら、ルシオラは横島に寄り添う。


そんな二人を(なぜか)崖から生暖かく見守っていた雪乃丞…だったのだが…


「うふふふふふ…3ヶ月も連絡しないでどこで何やってたか…洗いざらいしゃべってもらいますわよー!」
「グ…ちょっ…入ってる!入ってる!」

突然背後に現れた弓に首を絞められながら引きずられていく雪乃丞の視界の中に、最後に飛び込んできたのは…


一面の星空と…そこに浮かび、微笑みながら、手招きをする陰念の姿だった…


「俺はそこには行かんぞー!!」


陰念はいささかも動じることもなく、手招きを続けていた…


〜おまけ〜

六女へと連絡へ向かった銀一は、除霊実習後、女子高生たちに取り囲まれ、朝まで生テレビトークショーをさせられたそうである…


翌日、血の涙を流しながら彼は海に叫んでいたという。


「ちゃうんやー!俺はこんなことのために来たんちゃうんやー!お…おキヌちゃんの水着すぅがぁぁたぁぁぁーーーー!!!」


銀一が『二代目横島』を襲名する日も近いのかもしれない…


あとがき

除霊実習編でした。銀一が壊れてきつつあるんですが…歯止めがききません。好きなキャラほど壊れてしまう…銀ちゃんファンの方はすいません。今回、タマモとピートを少し絡ませてみましたが、これはくっつくとかそんなんではないです。どんどんどんどん最初のプロットからずれてきて、焦ってたりしますが、また次回も読んで頂けたら嬉しいです。それでは、失礼致します。

レス返し
ほんと読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
○sara様
ほんと美神主義は…けど結構もてはやされてましたよね?
あのまま全盛期が続いてたら、ひょっとしたら学校の教科書にGS美神が…
○内海一弘様
父親を横島君にして、登場→修羅場ってゆうのも面白かったかもしれませんね♪思いついてたら間違いなくやっちゃってましたね。思いつかなかった自分が恨めしいです!
○スケベビッチ・オンナスキー様
心を開いていくきっかけをここで持ってきたんですが…実はあの場にいる人間ってめっさ少ないんですよね…まともな人間は銀一しかいなかったりします。
○k82様
おっしゃるとおり小動物の魅力使いまくりです♪しかし、ほんとに反比例した方が書く方は楽しいですね。このままいくとほんとに銀ちゃんには幸せが訪れないかもしれません…
○いしゅたる様
そうですね。自分も普通に高校生してるルシオラが書きたいと、思ってました。それがこのSSのメインコンセプトのつもりです。
○寝羊様
いろいろやばいネタすいません!ついついやってしまいました…
今回も変なネタがあったりしますが…許してください!
○kamui08様
はい。タマモは愛くるしさ全開で学校を支配しつつあります♪
学校を退廃するのは面白そうですね。ただ、あの十分めちゃくちゃな学校をさらにめちゃくちゃにするのは難しそうですね…

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