東京タワーの上で、何やら甘い雰囲気を作り出している一組の男女。
男の名は横島忠夫。GS見習いでありながらも、神と魔、全てに対して叛旗を翻す魔王アシュタロスも一目置く人間である。
そして女性の名はルシオラ。魔王アシュタロスの娘でありながら、横島への愛を選び、主に叛旗を翻した女性魔族。
二人は先ほどまで、ルシオラの妹であるべスパと闘い、あまりにも大きな代償を出しながらも、勝利したばかりである。
最もその代償を認識しているのはルシオラだけだったが。
「本当に…大丈夫だな?…ウソだったらただじゃおかねーからな!!」
「大丈夫…って何回言わせるのよ!?早く行きなさい!」
ルシオラに怒られ、慌てて美神の元へと向かう横島。
横島の姿が見えなくなり、ルシオラは、「ったく、もう…ふだんはニブいくせに…」、と息をついた。
「ウソついたこと…あんまり怒らないでね…」
そして目を閉じ、愛する男の無事を祈りながら最期の時を迎える。
脳裏に浮かぶのは二人で見た最後の夕陽。
「一緒にここで夕陽を見たね、ヨコシマ…昼と夜の一瞬のすきま。
短い間しか見れないから…きれい…」
淡く、儚い光と共にルシオラの姿は夜の闇へと消えていった。
一つの可能性 (1)
魂の結晶を破壊し、アシュタロスの野望を打ち砕いた横島たちだったが、その後現れた『究極の魔体』対策のため、現在は都庁本部に集結していた。
モニターに写る『究極の魔体』。
その行動から知性は感じられなかったが、圧倒的なパワーは健在であり、闘える者を総動員しての最終決戦へ赴こうとしていた。
そんな中、ボディーのパーツを替えたマリアを連れてきたカオスの言葉がパピリオの心に一つの希望を宿らせた。
「大事なのはボディーよりも情報じゃ!」
その言葉から見い出された一つの可能性。
それに賭けるため、パピリオは一人東京タワーへと向かった。
「やっぱり…何も残ってない…もう、どうしようもないのかな…」
二人の姉の復活の可能性を求め、霊体の破片を探しに来たパピリオだったが、求めるものは見つけることができなかった。
込み上げてくる悲しみに耐えながらも、眷属を呼び、鱗粉の結界を張るパピリオ。
結界を張ることで、より細かいレベルで霊体の破片を探そうとしているのだ。
そして、その努力は予想以上に早く成果をみせた。
「これは…べスパちゃんの妖バチ!?」
最も妖バチの集まっている地点を割り出し、そこに向かうパピリオ。
遠目ではわかりづらかったが、妖バチの巣らしきものが見える。
そして、パピリオが着いた瞬間、巣が中から破られ、そこから小さな人影がでてくるのが見えた。
「遅かった…じゃないのさ、パピリオ」
「べスパちゃん本人!?」
巣から出てきたのはべスパであった。
妖バチたちが彼女の霊体の破片を集めてくれたおかげで、復活できたらしい。
その説明を聞きながら、パピリオはもう一人の姉についても質問する。
「ルシオラちゃんは!?」
「あの…バカ…!ポチがやられた時にああすると思ったんだ。あいつの分も集めさせてはいるけど…正直どうなるかはまだなんとも言えないね」
「それなら私も協力するでちゅ!私の眷属も使えば可能性は高くなるはずでちゅ!」
そう言いながら鱗粉の結界をさらに広げるパピリオ。
そして霊破片は集まる。
だが、あと一歩、あと一歩という所まできて、霊破片が見つからない。
「ルシオラちゃんの復活まであと一歩でちゅのに…」
「ほんの少しでいい…!あとほんの少しで姉さんは復活できるんだ…っく…」
「嫌でちゅ!私の姉は二人でちゅ!
ルシオラちゃんもいてくれないと楽しくないでちゅ!
今なら巨乳で復活できるでちゅよぉ!」
パピリオがでまかせを言った瞬間…
あれほど探しても見つからなかった霊破片が巣に飛び込み…
中からルシオラが飛び出してきた!
「はじめまして、新しい私!はじめまして新しいバスト!さよならAカップ!こんにちは、Dカップ!」
なぜか本当に胸が大きくなっていたルシオラは…
自分の復活のために力を尽くしてくれた妹たちのこともを忘れ、一人踊り続けていた…
狂乱しているルシオラをなんとか正気に戻し、(一応)再会を喜びあった3人は、現状を把握するために都庁本部に向かった。
現状を把握し、『究極の魔体』の弱点を教えるべスパ。
その後、3人は横島の援護をするべく都庁本部を飛び立っていった。
『究極の魔体』への攻撃に失敗し、最後の賭けにでようとしている横島たちだったが、そこにルシオラとべスパを手の平にのせたパピリオが到着した。
「アシュ様のバリアには腰の後ろに穴があるでちゅ!」
「そこから接近して、大砲のつけ根を攻撃すれば倒せるよ!」
「聞いて、ヨコシマ!私Dカップになったのよ!」
一人だけおかしなセリフを言っているルシオラに対し、横島は、
「お…おまえ…なんで…」
「パピリオたちが霊破片を集めてくれたの。しかもなぜか胸が大きくなったのよ!
この闘いが終わったら…ヨコシマ、期待してていいわよ♪」
その言葉を聞き、横島の煩悩ボルテージが限界を超える!!
「それはあんなことやそんなこともオッケーってことやなぁぁぁぁぁ!!
フオォォォォォォォォォォォォ!!!」
「ちょっ…何!?このパワー!?」
横島の劇的な霊力の向上に美神は驚く。
劇的に上がった霊力がオーバーフローを起こし、同期合体のメインキャラが美神から横島へと入れ替わる。
「じゃ、いってくるよ!楽しみにしてるぞ、ルシオラ!」
「頑張ってね♪」
横島の動きに合わせ、全員が最後の力を振り絞り、『究極の魔体』の注意を分散させる。
そして、穴から侵入した横島の一撃で、魔体は爆炎をあげながら崩れていった。
これが世界に叛旗を翻した魔神、アシュタロスの最期だった…
あとがき
一応本編再構成です。ルシオラの霊破片が集まってたら…バージョンです。
ご都合主義だったり、誰かが壊れてたりしますけど、どうか生暖かい目で見てやってください。
では失礼します。