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「栄光に導く光の剣 第一話(GS)」

グローリー (2006-07-08 21:53/2006-07-09 14:10)
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「横っち、次移動教室やぞ。はよ起きんとおいてくで。」

「んあ? あと一時間…………」

「ながっ!! 横っち、それ次の授業おわっでるで…………」

机に屈伏し、惰眠を貪る男。
半そで、半パンでいかにも少年らしい格好をしている。
それを起こそうとしているもう一人の少年。

「あかんあかん銀ちゃん、こいつがこんなんで起きるわけないやんか。」

そういいながら一人の少女が横島に近づいてくる。
その手には分厚い辞書が握られている。

「な、夏子、ちょっとまっ──」

銀ちゃんが止める暇もなく、その腕は振り下ろされ、ゴスという鈍い音とともに横島の悲鳴が響き渡った。

「いってええええええぇぇぇえぇ!! なんじゃああぁぁ!! ついに美神さんの下着を盗んだことがばれたのか!!?」

「へぇ………………その美神って誰??」

青筋を浮かべながら静かに問いただす夏子。
両手には辞書が握られており、完全に戦闘態勢だ…………

「きまっとるやないか美神さんは美神さ…………………………あれ?夏子か??」

「他の誰に見えるん? で、誰の下着を盗んだって??」

本能が…………警告している。
伊達に美神の折檻を受け続けたわけではない。

「堪忍や〜〜! 出来心やったんや〜〜〜〜!!」

その後、横島がどうなったかはいうまでもない。


(痛った〜〜〜。夏子のやつ手加減なしやからなぁ〜)

(それにしてもどないなっとんねん。なんで子供の頃にもどっとんや??)

今は放課後。
横島は手足をプラプラと動かしている。

(………確かに子供の頃の俺や………………どないなっとんねん。)

子供に戻る前の横島には大した出来事はなかった。
いつもの様に除霊を行い、いつものように家に帰って寝ただけである。
魂だけ時間移動する敬意など全く感じられない。

屋上で一人、横島は黄昏ていた。
先ほど試してみたが、霊能力は健在だ。
ただ、霊力量は落ちており、文珠の生成率が落ちている。
手に二つの文珠を握り締め、どうやってもどるか考えていた。

「前の時空消滅内服液の時はどうやってもどったか覚えてないんだよな………小竜姫様に相談するしかないか〜、でも子供一人でどないせいっちゅうねん。大阪から移動することもできんやんけ………。まてよ!そういえば以前未来の俺が「あ〜〜〜、こんなとこにおった〜。アンタ今日は一緒に帰るって約束してたやんか。」……時間……夏子?」

あることを思い出した横島だったが、夏子の突然の声に遮られた。お約束といってはなんだが、やはり怒っている。

「銀ちゃん、下でまっとるんやで!」

「すまんすまん。ちょっと考え事してたんや。」


その後、三人はいつもの帰宅路を歩いていた。
だが、いつも何かしらの問題を引き起こす横島が何もしゃべらない。
自然と夏子と銀一だけで会話しており、二人とも横島に違和感を感じていた。

「横っち、何かあったんか? 今日のお前何かへんやぞ?」
「確かにおかしいな〜、ちょっと大人びてるというか………って───うち、何いってんねやろっ!!」

夏子は顔を赤くし、横島の背中を思い切り叩きながら顔を横に振っていた。


「おい、夏子に横っち! 見てみい、綺麗な夕焼けやぞ。」
「うわ、綺麗やな〜〜〜なんか得した気分になるわ。」


夏子と銀一が騒ぐ仲、一人物静かな横島。
視線は夕焼けに釘付けだが、その場を動くことはない。


「昼と夜の一瞬の隙間。 儚いからこそ綺麗か………………」


「ぷははははっ!あんた何似合ってない………………横…島??」

何時もの横島には余りにも似合っていない言葉。
夏子がからかうために振り返ったのだが、そこにいたのは何時もの横島ではない。

夕日の光に照らされ、赤みを帯びた表情。
哀愁を帯びている大人びた表情はどこか儚げ。
夕日に照らされた瞳はまるで宝石のように美しかった。

「………ん?どないしたんや?夏子。」

すぐにいつもの横島に戻った。
いつものようにヘラヘラとした彼だ。

「な、なんもないって、変なのはアンタのほうやんか!?」

両手を横に振り、何か必死に言い訳をしている夏子。
その表情が赤みを帯びていたのは夕日だけのせいではないだろう。

横島は「へんなやつやなぁ〜」と首を傾げながら、家へと帰っていった。


一晩いろいろと考えたが、打開策は浮かばなかった。
大樹と百合子に東京に行きたいとせがんでも断られるのが落ち。

考えても仕方がないので…………寝ることにした横島だった。


次の日。

(むなしい…………全てがむなしい…………)

横島はクラスの複数の男子を連れ出され、とある場所へと来ていた。

「おい、横島。 今度はどんな作戦で行くつもりなんや?」

「お前の作戦はいつもいけてるからなぁ〜、今回も頼むぜ。」

急かすように横島に話しかけるが、彼の表情はどこかすぐれない。
なぜなら───


「なんで今更ガキの体を覗きなんかせにゃならんのや〜〜〜〜!!」


彼らは覗きに来ていたのだ。
そう、横島は覗きの常習犯。
しかし、今まで美神やエミなどの抜群のプロポーションを見てきた横島にとっては何のやる気もおきない。
燃える要素が全くない。

「ば、バカッ!! こんなところで騒いだら…………「へぇ、誰がガキの体やって…………?」やば…い…………」

横島の周りにいた男子が一斉に離散した。
まるで忍者のごとく。

「な、夏子? ち、ちがうんや、これは俺はあいつらに無理矢理連れてこられただけで…………」

「言いたいことはそれだけ?」

ニッコリと微笑みながら首を傾げる夏子は怖かった。
客観的に見れば、その笑顔をかわいらしいものだっただろう。
横島限定で恐ろしいほどの恐怖を与えていた。


「横っち、大丈夫か?」

「銀ちゃん…………大丈夫そうに見えるんか?」

「いや、横っちなら大丈夫やと思うんやけどな〜。」

横島のクラスは体育の授業。
男子はサッカー、女子はテニスをしている。
皆がサッカーをしている中、横島と銀一は補欠のため、休憩していた。

「……なあ、横っち。ちょっと大切な話があるんやけどいいか?」

「ん?どないしたんや?銀ちゃん。」

声は何時もと変わらないが、真剣さは伝わってくる。

「実は俺、東京に転校することになったんや………………」

「夏子には…………いったんか?」

「いや、まだいってない。 今日の放課後にでも言うつもりや…………」

「そっか、銀ちゃんいなくなると寂しくなるな〜」

「なんや?やけに落ちついとるな。 横っちならもっと大騒ぎすると思ったんやけどな。ちょっと寂しい気が………」

「別に合えなくなるわけやないんやろ? 手紙とかで連絡とればええやんか。」

「横っち、軽いなぁ〜…………なんや真剣に悩んでた俺が馬鹿に見えてくるわ。」

「そや、銀ちゃんに俺の大切な─「きゃああああああああ!!!」─ペガ……何や!!?」


横島と銀一の耳に聞こえてくる悲鳴。
それはクラスの女子のもの。

「な、なんなんや……あれは、なんなんや!?」

「霊団………………なんで?なんでこんなところに?? それに前はこんなこと…………」

空を覆いつくす霊の群れ。
今日は快晴のはずなのに校庭に影が侵食している。
ある生徒は脅えるようにしゃがみこみ、ある生徒は逃げ出そうとしている。
霊───それは一般人には恐怖の対象でしかない。
力なきものにとって理解できない力は恐れる。
だからこそGSという職業がある。
高額にもかかわらずGSに頼り、除霊してもらうのはそのためだ。

「ぎ、銀ちゃん? 動けるか!?」

「横っち……なんとか動くくらいなら…………」

そうは言っているものの、顔は蒼白で足は震えている。
だが、横島も余裕はない。
これほどの霊団………
美神除霊事務所の面子がいたとしても倒せるかわからない。
少なくともネクロマンサーがいないこの状況では厳しい。
例え、横島が文珠使いとはいえ、相性が悪すぎる。
だけど、一般人を見捨てる横島ではない。

「なら男子を引き連れて校舎に非難してくれ! 校庭よりはマシなはずや!!」

「横っちはどうするんや!? 横っちも一緒にいかなあぶないぞ!」

「俺はテニスコートにいる女子を誘導する。 だから銀ちゃん、頼んだで〜〜!!」

「横っち〜〜〜!!」


その頃、クラスの女子はテニスコートの隅に追いやられ、震えてしゃがみこんでいた。
逃げ惑い、その箇所に追い詰められた。
互いの体を抱き合い、全員が涙で顔がぐちゃぐちゃになっている。

「なんなのよ! なんなのよ、あんたたちは!? こっちに来るんじゃない!!」

ただ、一人………勇敢とゆうより無謀に近いが霊に抗っている者がいる。
その身を挺して、他の女生徒を守るように両手を広げ、霊に対して威嚇している………………夏子だった。
彼女は何の力も持ち得ない、それなのに巨大な力を持つ霊に抵抗している。

「な、夏子………………私たちもう駄目よ。こんなの助かるわけないよ。」

「何言ってるのよ! GSの人たちが来てくれるわ!! それまで何としても生き延びるのよ!!」

「でも………でもぉ!!」

ある女子の目線はテニスコートの出入り口。
そこはすでに霊によって埋め尽くされている。
他の場所に逃げようにも高いフェンスによって遮られており、小学生の女子に登りきれるものではない。
登れたとしても、霊に攻撃され落ちることが目に見えている。霊は空を自由に動き回れるのだから………

「あきらめちゃ駄目よ! あきらめたらそこで終わりよ!!」

夏子は震える手を押さえ込み、虚勢を張っている。
ここで彼女も泣き言を言ってしまえば、場は更なる混乱を招き、誰も助からない。
彼女はそんなことは理解していないだろう。
ただ、彼女の性格が……あんなやつらには負けないと。
負けたくないと言っている。自分はこんな理不尽なことでは死んでやらない。
それが例え、力では決して勝てない相手でも………………

「私は………私は、まだあいつに伝えてない!! それまで死んでやらない!! 死んでなるもんか!!」


『KSDFJげりおKDFじゃSLGじぇりあJT!!』

霊団が奇声を発しながら、彼女たちに襲い掛かる。
もう駄目だ………彼女たちはそう思った。
目を閉じ、来るべき衝撃に備え、体をギュっと縮めている。
夏子でさえも、反射的に頭を手で覆い、目を閉じている。


「あれ? 何もこない………………………??」

目をゆっくりと開け、辺りを見渡す。
光………彼女たちのいる場所が光に包まれていた。
眩いほどの光を放ち彼女たちを守っている光の檻。

「あぶねえぇ〜〜〜、どうにか間に合ったみたいやな〜〜」

ゼェゼェと聞こえる息遣い。
きっと全力でここまで走ってきたのだろう。
彼の体操服は汗で彼の体に貼りついている。
両手を両膝に付き、体を屈ませて顔を顰めている。
いつもクラスで馬鹿をやっている彼。
いくら自分が注意しようがスカートめくりや覗きを止めなかった。
それでも憎めない………クラスのムードメーカーになってる彼が………………
ゆっくりと声の主を確認すると、いつもの彼が……横島がそこにいた。

「横島ぁ!?」


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初の作品です。
すでにマイナーな逆行話ですが、書いてみました。
感想を楽しみにしてます。
ではでは〜

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