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▽レス始

「迷犬タダオが行く! 二歩目(GS)」

拓坊 (2005-12-24 11:14/2005-12-24 21:23)
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目が覚めると知らない部屋にいた。見知らぬベッド、見知らぬ家具、見知らぬ壁に…


知らない天井だ…


やっぱこれは言っときたいよな?

しかし、俺はいったい何処にいるんだ? 確か誰かに蹴っ飛ばされて宙を舞い、看板どもをバッタバッタと薙ぎ倒して電柱に顔面から華麗に激突して意識を失ったはずだが…


はっ! まさかここは秘密結社のアジトか!


おのれ抜かった。まさか将来超有望な俺の才能に目をつけて、それを手に入れんとするために悪の軍団が動き出していたとは…

まずいな、このままでは俺は…


節足動物の昆虫仮面男に改造されてしまう!


やはりここは基本に乗っ取って一号か? けどV3も捨てがたいなぁ……ここは意表をついてBLACKもいいかもしれんな。

うん、ちょっと乗り気になってきたぞ。
だが、ただの戦闘員とかにされたらショックだな…


ん? けどなんか体の調子がおかしいな…視線が低いって言うか、体の全身から違和感が…

はっ! まさか改造済みなのか!? 何てこった!! これはもう…


どんなライダーに改造されたか確認せねば!


おっ、丁度いいところに鏡を発見。どれどれ、早速俺の勇姿を拝見…


鏡を覗き込んで其処に写っていたのは、ちょっと小さめの耳をぴんと立て、ちょっと汚れてるけどふさふさな毛並みをしていて、しっぽをパタパタと振っている小型の四足歩行動物が…


右前足を上げえてみる…鏡に映るものも同じく動く


は、ははっ…そうだったな。俺は改造依然に…


犬っころだったな!


アマゾンでもいいからそっちになりたかったなぁ…


迷犬タダオが行く!
目覚めてみれば…此処は何処?


「わふぅ〜(ともかく…此処は何処なんだ?)」


恐らく俺を蹴っ飛ばしてくれた美少女(確定)の部屋なんだろうけど…

うぉっ! それを考えたらあのタンスの中には乙女の宝具が眠っているのか?

し、しかし折角助けてくれた美少女(確定)の部屋を荒らすわけにもいかん…ここは我慢だ…


「わぅ…(まあ、この姿じゃタンス開けられないけど…)」


トン…トン…


むむっ! これは何かを切っている音か!

犬になったおかげで耳がよく聞こえるようになっててどんな小さな音でも逃さなくなったぞ。いや、拾いすぎてうるさいときもあるがな…

時計の方を見たらそろそろお昼時だ。おそらく昼食の準備をしているのだろう。ちょっと見に行ってみようかな。

扉の方は…よし! L字型のノブならこの姿でも簡単だな。


「わう〜ん!(おりゃぁぁぁ!!)」


俺はベッドによじ登ってから扉に向かって思いっきりジャンプした。
そしてノブをしっかりと掴むと、俺の体重でノブが下に下りてカチャリと扉が開いた。

ふふっ、どんどん芸が身に付いていくぜ。流石俺、犬になっても賢いな。


ちょっと鼻歌なんか歌いながら上機嫌で俺はその音のする場所へと歩いていった。


俺の鼻も何やら良い匂いをキャッチする。どうやら此処みたいだな…

俺はその音のする開けっ放しにされているドアから中に入ろうとしたところで…


しゃ〜〜こ〜〜しゃ〜〜こ〜〜


包丁を研いでいる音が聞こえた。しかもかなり念入りに。

はっ、はははっ〜、まあ料理するんだったら包丁とかも研ぐよな?
うん、切れ味だって良いほうが料理の質も違ってくるよな。

俺は自分のそう言い聞かせて再び脚を進めようとした…


「うふふふふふふふふ〜〜」


や、やべぇ…どのくらいヤバイかって言うと、百階建てのビルの屋上で宙吊りにされた後、そのロープに油を染み込ませて『切るのと燃えるの選びな』って言われてるくらい……

つまりどっちにしろ生命の危機だ!


「わ、わふっ…(こりゃさっさと逃げよう…)」


俺はすぐさま方向転換してそろりそろりと逃げ出す。


「あっ、ワンちゃん目を覚ましたんですね」


背後から声をかけられた。見つかってしまったらしい…

キーやんのアホ、バカ、マヌケ、役立たずーー!


《だから私にそんなこと言われても…》


俺は恐怖から体が固まって逃げることもかなわず、そのまま抱き上げられて搬送される。

その先には、ギラリと光る包丁とまな板が置かれていた。

マズイ! このままではの材料にされてしまう!


「きゃいーーん!(嫌ーー! 犬鍋は嫌ーーー!!)」


「あっ、暴れなくても大丈夫ですよ」


『直ぐ楽になりますから…』


そんな言葉が続くような気がした。

嫌や〜、このまま童貞で、しかも犬畜生として人生を終えるなんてゴメンや〜


「こんなに震えちゃって…よっぽど怖い思いをしてきたのかな?」


今現在恐怖体験をリアルタイムで続行中です!


ん、って…あれ? 何だかあの包丁見覚えがあるなぁ…この台所も何か知ってる気がするし…もしかして…


「もう大丈夫ですよ。此処は安全ですからね」


そう言って俺を抱き直して、顔を見合わせるようにした美少女(確定)は…


「わ、わんっ!(お、おキヌちゃ〜ん!)」


まさかおキヌちゃんに拾われていたとは…つまりここは事務所ってことだよな? 何か視線が違ってて全然気づかなかったな…

けどすっごい運がいいな俺。やっぱり日ごろの行いがいいからかな?


《それは絶対に無いな〜》


《まあ、弄ったのは私達ですけどね》


うるさい電波! 勝手に送信してくるんじゃあねぇ! つーか何者だお前ら!


《《それは〜、あなたの心が知っている〜》》


意味も無くハモってんじゃねぇ!

それに全然答えになってないだろ!


「ワンちゃんどうかした?」


「わふっ(何でもないよおキヌちゃん)」


おキヌちゃんが天井見上げて唸っている俺を不思議そうな顔で見ていたから、一咆えして誤魔化しておいた。
危ない危ない、暫く電波のことは無視しておこう。

それよりもまずはこの状況を伝えなくてはな。よし…


「………………」


あれ? どうやって伝えりゃいいんだ?


口で説明…無理、咆えるしか出来ない。


字を書く…この手じゃペンは持てん、却下。


ジェスチャー…有力、けど犬がそんなことやっても芸にしか見えん、破棄。


「…………」


どうやっても無理じゃん!


しまったーー! 此処に来るだけでどうやって伝えるか考えてなかったぞー!!

どうする! どうするよ、俺ぇ!! 『続きはwebで…』って無理!

こ、此処まで来て何もできんとは…俺このまま一生犬のまま生活するのか?

い、嫌だー! そんなの絶対認めないぞー!


「わお〜ん(早く人間になり(戻り)たーーい!!)」


俺はついこの世の理不尽を叫んでしまった。


「ワンちゃんはそこでちょっと待っててね」


って、何か何時の間に場所移動してさっきの部屋に戻ってるし。

俺は床に下ろされて、ぽんぽんと頭を撫でられた。

うぅっ、おキヌちゃんにまでこんなことされるなんて…男、いや人間としてのプライドが崩れてまう……

俺はおキヌちゃんに背中を向けて、耳を押さえるようにして蹲っていた。


「さて、今日は何を着ようかな?」


……へい、ちょっと待ってね。今おキヌちゃんなんて言ったかな?

俺が後ろをそ〜っと向くと、おキヌちゃんがクローゼットの中から何着かの服を出してどれを着ようかと悩んでいた。

おキヌちゃんは俺の視線に気付いたのか、こっちを見て何か思いついたような表情をした。


「ねえワンちゃん。こっちとこっち…どっちが似合ってるかな?」


そう言っておキヌちゃんは薄水色のワンピースと、ピンクのTシャツにチェックのスカートを俺に向けて尋ねてきた。

おキヌちゃん…普通は犬にそんなことを聞いても答えてくれないと思うよ。
ああっ、そっか。こういうところでも天然なんだなぁ…


「わふん(じゃあこっちで…)」


俺はワンピースの方に近寄って、おキヌちゃんの顔を見て一鳴きした。


「そっか、それじゃあこっちにしよっかな」


おキヌちゃんは人語を解している異様な俺の行動に、何の疑問も持たずににっこりと笑みを浮かべた。

大物何だか天然何だか…いや、後者に決まってるんだろうけどさ。


するっ…ぱさ……


と、考えている間に俺の耳に布の擦れる音と、それが床に落ちる音が聞こえた。

俺が意識を目の前に戻すとそこには…


おキヌちゃんが上着を脱いでストリップ着替えを始めていた!


ぬおおぉぉぉ! これはおいし…いや、でもまずい……だが、やっぱりおいしい光景がーーー!!

と、其処で俺の目の前に二つの影が降り立った。


《駄目ですよ。おキヌちゃんは清純でとってもいい子なのに覗きなんて》


そう言うのは毛並みが真っ白な、何故か頭に茨の冠を被っている犬。


《なにいってるんや。男ならこんなチャンス逃す手はないでー》


こっちは完全に真っ黒な毛並みの、背中から蝙蝠みたいな羽がぴょこんとついている犬。


これはまさかあの伝説の、運命の選択を告げるという理性と本能と言う奴か!?


《いや、理性と本能やなくて理性と煩悩やな》


お、俺って奴は…本能より煩悩の方が前に出てくるのかよ。


《それより、横島さん人の着替えを覗くなんていけませんよ》


うっ、それは…確かにいけないとは分かってるし。それにおキヌちゃんは…


《何言ってるんや〜別に覗いてるんじゃないやん。寧ろ見せられてるんやで?》


そういやおキヌちゃんが俺がいるにもかかわらず着替えを始めちゃったわけで……覗きじゃないのか?


《サッちゃん、おキヌちゃんはこの犬畜生が横島さんだって知らないんですよ?》


《けどキーやん、別に犬畜生なら当然の行動やないんか?》


お前ら、何気に酷いこと言ってないか? つーかお前ら名前あるのかよ。


「わふ?(あれ? けどサッちゃんとキーやんって…)」


《《ギクッ》》


………まあ同じあだ名の奴なんて腐るほどいるよな。


《《(ふぅ、危ない危ない)》


なんか二匹とも何気にホッとしてるけど、何かあったか?


《けどキーやん、横っちも男なんやからしょうがないと思うで?》


《確かにそうですが…了解がなくては駄目なのでは?》


まあ、確かにそれはもっともだよな。まあ俺は美神さんとかの入浴シーンは覗くけどな!


《というか、わてらだってずっと覗いてるやん》


《あっ、そうでしたね》


って、おい! 何を覗いてるんだってお前ら?


《《というわけで、了承!》》


何が『了承!』じゃー! 人の話を聞けー!
あっ、こらっ! 勝手に天に昇っていくな!


お前ら絶対偽者だろーーー!!


《《それは〜あなたの魂が知っている〜》》


テメェらやっぱり偽者かぁ!


「ワンちゃんどうかしたの?」


天井に向かって咆えていた俺におキヌちゃんが不思議そうな声で話しかけてきた。

ああ、着替え終わったのかな? ちょっと残ね…げふんげふん…いや、これでいいんだよな。うん、これ以上の覗きもせずに済んだんだし…


俺が振り向くベッドに一瞬だけ視線が行った。そこには綺麗にたたまれているさっきまでおキヌちゃんが着ていた服と、俺がさっきどれがいいかと聞かれて選んだ服。


「わふ…(あれ? それは…つまり……)」


俺が振り向いたその先のおキヌちゃんの姿は…


白と青のストライプ模様のブラとショーツのみ!!


ぐはぁぁっ!?


あまりにも衝撃的な光景に俺は俺は思わず吐血しかけた。

俺は最後の理性をフルで使って床に突っ伏した。

ナイスだ俺! 何だかんだ言ってもやっぱりおキヌちゃんの着替えは覗けないぜ!

俺は自分の精神力にこれまでにないほどの賛辞を送っていたら、行き成り温かい何かが俺の体を掴み、床から引き剥がされた。


「わ、わうっ!?(な、何が起きたんだ!?)」


何が起きたかって? 知ってるさ、おキヌちゃんに抱き上げられたんだろう?

つい言ってしまったのは…ふっ、この状況を認めたくなかったのさ。


俺の視界には、白磁のきめ細やかな柔らかそうな肌と、白と青のストライプ模様のブラが視界一杯に広がっていた。


ああ〜、上の方もお揃いだったんだねおキヌちゃん。

それを見た俺は光の速さに負けないくらいの速さで開き直った。

もういいや。別に俺は犬なんだからおキヌちゃんにこれ以上欲情なんて出来ないし。これくらいいいよな?

だが、そんな俺の考えは一瞬で吹き飛ばされることになった。


「ワンちゃん、元気出してくださいね」


耳もヘタッと垂れさせて、尻尾も宙ぶらりんになっている俺を見て勘違いしたのか、おキヌちゃんは俺を行き成り抱きしめてきた。

きっとこれは慰めるためにやった行為なんだろう。うん、おキヌちゃんはやっぱり優しいな〜

それと同時に、俺の何倍にも強くなった嗅覚を酔わせるほどに嗅ぐわせる甘い匂い。

体全体を通して直に伝わるおキヌちゃんの肌の柔らかさと体温。

そして視界一杯に広がる白と青と白磁と…ちょっぴり桃……


フォオオオオオオォォーー!!


もういい! 俺が犬とか全く関係なし!!

理性の箍が外れた俺は優しく抱きしめてくれているおキヌちゃんに飛び掛った。


「きゃあっ!」


おキヌちゃんが可愛い悲鳴を上げながら床に倒れていく。

ふっふっふ、俺はこれから獣の中でも最上級のケダモノになるぜ!


「わお〜〜ん!(いざ! 男の浪漫の桃源郷へーー!)」


俺はそのままおキヌちゃんを押し倒し…

おキヌちゃんの手から開放されて…


宙を舞って窓を突き破った…


俺がおキヌちゃんを押し倒した拍子に、おキヌちゃんの手が滑ってその手の中にいた俺は投げ飛ばされてしまっていた。

あははっ、忘れてたけど俺って小型犬だったんだよね。小さな女の子でも楽々抱き上げられるくらいに軽かったんだわ。

近づいてくる地面を眺めながら一気に平静になった俺の思考は、こんな危機的状況にもかかわらず冷静に機能していた。


「わふぅ〜(あはは〜、流石の俺でもこの高さから落ちれば死ねるかな〜)」


人間の姿なら10メートルの高さから落ちたくらいでは、怪我はするだろうがそう簡単には死なないだろう。

だが、今めちゃくちゃ小さい犬の姿の俺には、この高さが十階建てのビルから飛び降りているみたいに感じた。


《何度も言うけどそう簡単には死なせへんで〜》


《そうですよ。数少ない娯ら…ゴホン、観察対象が死んでは困ります》


こんなときでも受信するのか電波って…

つーか、二人目の観察対象ってなんじゃ! それにその前に何か言おうとしただろ! 『娯ら…』ってなんじゃー!!


そんなことを考えている間に、地面が目の前に迫っていた。


ドベチャ!


「キャー! ワンちゃん大丈夫ですかー!」


あぁ、おキヌちゃんの声がまるで天に誘ってくれる天使の声のようだ…

けどおキヌちゃん、下着姿のまま窓から身を乗り出さないでね。

そんな姿他の野郎どもに見られたら大変だからさ。


うぅ、体がだんだん痺れて動かなくなってきた…

視界も狭まってきたし、息も苦しいぞ…


ああ、そうか…これが、死というものか…


最後にカッコつけてみたけど。

駄目だ、やっぱ関西人の血が騒ぐ…


もうあかん、ほなさいなら〜


……がくっ………




とがき


まずはレス返しを…


>ヒロヒロ様
そんな獣か…あれ? これは正しいのかな?(爆)
失礼、流石に其処までは出来ません。そっち系統に手を出すにはまだ経験不足なもので(汗)


>ジェネ様
読んでくださっただけでもとても嬉しいです。
蹴りを入れたのはおキヌちゃんでした。ちゃんとお持ち帰りしてますよ? 残念ながら美味しく食べれはしませんでしたが(笑)


>なまけもの様
誤字報告ありがとうございます。瞑らなかったら大変ですね。マジで間違えていました(汗)
横島犬は今日も元気に逝きましたよ(笑)


>蒼月夜様
感想ありがとうございます。横島らしくって意外と難しくて…
あっ、調べてみたんですが犬は赤が極端に見え難くて、青と緑は見えているらしいです。
まあ、こちらは所詮GSの世界ですしそのへんはご都合主義で(爆)


とりあえず第二話でございます。
アホの神が降臨し続けている…早く返さなくちゃ(汗)

今後も不定期ながら、皆様の暇つぶし程度に書かせていただきたいと思っています。

次回はまた登場キャラ増えるかな。さて、誰から出そうか…


それではこの辺で失礼致します…

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