いつものように美神さんのお使いで厄珍堂に品物を取りにきて帰ろうとした時だった。
「ボウズいい物手に入ったヨ!」
そういって厄珍は横島を呼び止めた。
「また俺で商品の実験するつもりかよ悪いけどパスな。」
過去に良い思い出がなかったため逃げるように帰ろうとしたのだが・・・
「コレ飲むと女にモテルようになるアルよ。」
魅力的な言葉に逆らえなかった。
「是非飲ませてください!」
「そう言うと思ったアルね!コレ飲むよろし!」
そう言って厄珍が渡した薬は墨汁の用に真っ黒な液体だった。
奪い取るように受け取るとすぐに飲み干す。
「辛!めっちゃくちゃ辛い!!」
「一口でよかったアルが・・・試してくるといいアル!」
「おう!行って来る!」
「効果があったら商品にするアル。」
いつもの嫌な予感のする台詞を吐く厄珍だったが、横島はすでに外へ出ていた為にその台詞を聞くことはなかった。
厄珍堂を飛び出した横島は美神の事務所へ戻っていた。
「美神さんコレ頼まれたものです。」
「ああ、そこに置いといて。」
『おつかれさまです、お茶入れますね。』
「ありがと、おキヌちゃん。」
そういって給湯室に壁を抜けていくおキヌちゃん。
おキヌちゃんには効果ないみたいだな。
言葉とは全然違う事を考えつつ美神に近づいてみる。
「どうしたの?横島君?」
「い、いえ!なんでもないです!」
まさか正直に言えるわけも無い。
「どうしたの?熱でもあるの?」
美神とは思えない言葉を聴き思わず飛びかかってしまう。
「美っ神さぁぁぁん!!」
「何するか横島ぁぁぁ!!」
突然飛びかかったにもかかわらず流れるような動作で襟首をつかまれそのまま投げ飛ばされる。
窓に向って。
「ぎゃぁぁぁ!!」
グチャっと嫌な音を立てて地面に落ちた。
だがそこは人外な耐久力を誇る横島、すぐに復活する。
「くそう、ぜんぜん効いてないじゃないか!厄珍め文句言ってやる!」
再び走り始めた。
後ろのほうで黒い高級車が美神の事務所に止まったようだったのだが気にならなかった。
「厄珍全然効果なかったぞ」
「アイヤー、効かなかったアルか、カオスがもってきた物アルが・・・」
「そういう事は先に言わんか〜〜〜!!」
散々厄珍に文句を言っていたのだが、ふとバイト中だったことを思い出す。
「しまった!今バイト中やん!殺されてしまう〜〜〜!!」
信じられないほどのスピードで事務所の前に戻ると見たことあるブラックメンが二人ほど入り口に立っていた。
「おお横島、ひさしぶ「小竜姫様ぁぁぁぁぁ!!!!」・・・わしら無視かい・・・・」
黄昏る鬼門を無視して事務所に入るとカジュアルな格好をした小竜姫が美神と話している。
「どうやらメドーサが今度はGS業界のコントロールしようと企んでいるらしいのです。」
「あのおばはんが!?」
「ええ、明日あるGS試験に息のかかった物を数人送り込むようです。そこで美神さんには・・・」
「試験に紛れ込んで調査すればいいわけね?」
「はい、お願いしますね。」
そう言って小竜姫は横島に気がついたように顔を向け、
「あ、横島さんも試験を受けて・・・」
突如ほうけたように固まってしまう。
「小竜姫様?」
なんだろう、心無しか顔が赤いような・・・?
それになんだか目も熱に浮かされたように潤んでいる。
「ちょっと、どうしたの?」
美神も不審に思ったようだ。
「い、いえ!横島さんも試験を受けてはいかがでしょうか?」
「お、俺が!?」
「小竜姫様?コイツはただの丁稚よ?霊力の欠片も無いのよ?」
「それについては大丈夫です。横島さん手を貸してもらえますか?」
そう言って横島の手を取ると小竜姫は自らの額に横島の手を当て、さらに片膝ついた。
「我、小竜姫はここに永遠の忠誠を誓いこの身命に賭して主を守らんことを誓う」
「これでいいですね。それでは美神さん明日はよろしくお願いしますね。」
そういって慌てたように出て行ってしまった。
「み、美神さん、今のはいったい?」
「さぁ?私もよくわからないわ。まあ、あんたも一応試験受けてもらうから今日は帰っていいわよ。」
「ぶ!マジですか!?それは俺に明日死ねと?」
「大丈夫よ、あんたなんて一次審査で落ちるから安心していいわよ。それより私はこれから準備がいろいろあるんだから!さっさと帰りなさい。」
結局よくわからないまま事務所を追い出されてしまい仕方が無いので家に帰ることにした。
(横島視点)
それにしても小竜姫様なんだったんだろ?
急に片膝ついて何かいってたけど・・・
そう考えながらアパートにもどりドアを開ける。
「おかえりなさいませ」
「・・・・・・・」
ドアを閉め表札を確認する。
横島・・・・合ってるよな。
もう一度開ける。
「どうしたんですか?」
そこには満足気な笑顔をした小竜姫様が居た。
上手く言葉が出ずに口をパクパクさせる。
「どうしてここに?ですか?」
ブンブンと音が出そうなほど首を縦に振る。
すると恥ずかしげに頬を染め
「今日から私は横島さん・・・いえご主人様の式神です。」
と爆弾発言をした。
!Σ( ̄□ ̄;)
「で、でも、俺霊力とかないのにどうやって?」
「そ、それはですね・・・」
・・・なんでモジモジしてるんだ?可愛いからいいけど。
「我流の契約で、式になりましたので私はご主人様の霊力は必要としてません。そのかわりに・・・・」
まさか命か?
「その・・・ご主人様のごにょごにょ〜〜〜〜・・・・・」
声が小さかったが大体意味はわかった。
「そ、そんな契約を簡単に・・・・・」
思わず口にしたそんな言葉に小竜姫様は・・・
「どうしてかは・・・わかりません。でも、今日会って気がついたんです。
私はご主人様が好き、大好き。私はご主人様の為なら死すら喜んで受け入れます。だから・・・・お願い・・・」
小竜姫様が涙目で俺を見てる。捨てないで、オイテカナイデ光線が突き刺さる。
「こんな、俺でいいんですか?なんのとりえも無いのに・・・」
「横島さ・・・いえご主人様がいいんです。だから、その・・・契りを結んで下さいませんか?」
そう言うと真っ赤になって固まってしまった。
「小竜姫様はえっちだね」
そういってお姫さま抱っこして布団へ向う。
「ご主人様、精一杯お仕えしますね。」
こうして俺はかなり早い時間に布団に入るのだった。寝たのは早朝だったが。
追伸、涙目でお願いされて敬語をやめることと呼び捨てにすること、あと一日最低8回(何)を約束させられた。
〜あとがき〜
ども〜、梅昆布茶美味です。
暴走列車の方を書くつもりだったのですが、友達が家に来てプロットいろいろ見せていたところこっち先に書けと言われたので書いてみました。
とことんご都合主義ですのでご注意を・・・
いちおう全年齢仕様になってると思いますが・・・・・
18仕様はもう少し私が文章力つけないと満足できる作品にできないようでorz
文章が散ってて読みづらいと思いますが気長に見ていただけると嬉しいですm(_ _)m