ぴちゃり、と淫靡な音が部屋に響く。
はぁはぁと荒い息遣い。
シュッと乾いた布擦れの音、ぎしりと鈍いベットの軋み。
それらが渾然一体となった音は、更に横島の興奮を促していった。
(――なんで、こんな)
横島自身、自分が何をやっているのかは理解できていない。
ただ、突き上げる衝動に身を任せてむさぼっているだけだ――目の前の淡い果実を。
寝巻きの上を肌蹴させたタマモは、その白い肌を惜しげも無く横島の前に晒している。
うっすらと膨らんだ胸は、ピンと隆起した乳首までも含めて、横島の唾液にまみれて妖しく輝いている。
横島が乳首にそっと舌を這わせ、口に含み、下で転がしてもタマモは目を覚まさない。
頬を上気させ、口からは小さな吐息を上げつつも、それでも瞼は閉じたまま。
横島は目の前にある非現実的な姿に倒錯した悦楽を感じる。
唇はタマモの乳首を吸い上げながら、手を下に這わす。
ちゅぶ、と下着の上からでもわかる程の蜜が溢れている。
タマモの小さな体ががピクンと跳ねる。
しかしもう横島は止まらない。
パジャマの上から秘所を弄っていた手を離し、柔らかいお腹に手を置く。
そこからじわりじわりと手を滑らせて、下着の中へと手を侵入させる。
少々汗ばんだ下腹を過ぎ、指先が無毛の秘所へと到達する。
柔らかい秘肉を優しく擦り上げると、中指に小さなしこり。
それを見つけ当てるとい、彼女の一番感じるその場所を執拗に愛撫する。
「ぁ……ぃぃ……」
タマモの口から洩れる嬌声。
艶を帯びたその声は、横島に「もしかして目覚めているのでは?」と思わせるが、しかし手を止めさせるには至らない。
自分を手を濡らす愛液に、もう十二分に潤っただろうと判断して、手を離す。
満足したわけではない。 もっと、快楽を求める為に手を離したのだ。
両手をそっとタマモの細い腰に添える。
力を込めれば折れてしまいそうに感じる華奢な体躯。
まるで壊れ物を扱うように、丁寧に扱う。
添えた手は、パジャマと下着を一緒くたに摺り下げていく。ゆっくりと。
思いのほか、抵抗は無い。
さしたる苦労も無いままに、彼女の秘所は横島の目の前に晒される。
摺り下げられた下着が濡れた秘所から離れる際、ぬらりと輝く蜜の橋を作る。
彼女の『其処』は美しかった。
真一文字に走る濡れたスリット。
其処は何かを求めるように、脈動を繰り返す。
ぱくぱくと。
都度、其処から溢れる蜜が、興奮を誘う。
横島は、タマモを一糸纏わぬ姿にして、彼女の細くしまった両足を肩に担ぎ上げると、大胆にその無 毛の縦穴へと舌を這わした。
ぴちゃぴちゃ、と。 淫猥な音が響く。
柔らかい彼女の秘肉を唇で食み、舌で舐め上げる。
溢れる蜜を丁寧にすくいながら、ソレを追って、膣へと侵入。
舌先を尖らせて、入り口を刺激する。
奥から奥から湧いてくる愛液は、舐め取れば舐め取るほど量を増し、横島の顔をびちゃびちゃにする。
舌を抜き取ると同時に、ぷっくりと存在を主張する彼女の真珠を刺激してやると「あぅ!」と、まるで電撃が走ったように身体を振るわせる。
息が荒い。 横島も、タマモも。
横島は肩に担いだ彼女の足をそっと横たえると、自分の衣服を乱雑に脱ぎ捨てる。
お互い一糸纏わぬ姿でうっすらと汗をかいていて、夜気が冷たい。
まるで人形のように足を広げたタマモの、その中心に自分の腰を据える。
これから味わうであろう快楽に、その背徳感に鼓動はいっそう早くなる――既に限界。
これ以上早くなれば破れてしまうのではないかと言うほどに。
(はは。 さ、流石に俺何やってんだろ?)
一瞬、まともな思考が頭をよぎるが、自分の分身に擦りつけたタマモのスリットの柔らかさに目が眩む。
視界の隅には銀の髪。 感覚の鋭い彼女が、これらの行為に気付いてない筈が無い。
だと言うのに、シロもタマモも未だ寝入ったまま。――都合が良すぎる。
ちゅくちゅくと、分身を彼女の愛液でべとべとにしながら、擦りつけるたびに走る感触に腰が震え、思考が霞む。
(シロが――傍にいるってのに――)
霞む思考と視界の隅にある銀の髪。 背徳感が跳ね上がる。
寝たままの少女を犯す自分に。 愛弟子の前で他の女を抱く自分に。
――興奮が加速する。
この異常な空間に横島は(は、こりゃ夢だ)と、自分を納得させた。
そう考えれば納得がいく、と。
シロが気付かないのも、タマモがココまでしても起きないのも――全て夢だから、と。
だから全部曖昧だ。 目が覚めれば忘れてしまう。
傍らに眠る銀髪が一瞬金髪に見えたのも、今まさに抱かんとする金の姫が銀の姫と被ったのも――全ては夢だから。
――もしくは、月の魔力にやられたか?
(そういや満月には人を狂わせる力があるとかって、誰かが言ってたな……)
横島は思考の隅でそう考えながら、空に上る禍々しいまでの月の光に目を細めて――
ズムッ……
自身をタマモの膣に躊躇無く埋没させた。
「――っ」
タマモの口から声無き悲鳴が洩れる。
横島を受け入れたタマモの中は熱く煮え滾っていた。
(――く、相変わらずきつい)
横島は締め上げる感覚に、息をつく。熱く濡れそぼっていても彼女の其処はまだ幼い。
幾ら慣らしてあっても、未成熟な膣に横島のそれはきつ過ぎるのだ。
また、彼女の膣は身体に合わせて浅い。横島の分身は一気に最奥まで侵入し、彼女の子宮を刺激する。
「――ぁ。――ぅっ」
横島の分身が膣を擦り上げ、子宮を刺激する度にタマモの口から洩れる小さな悲鳴。
それは、声を必死に押し殺している様にも見える。
しかし今の横島にはそれに構う余力も、気付くべき余裕も無い。
唯、快楽を求めて腰を突き動かす。
弱く、浅く。 激しく、深く。
漫然と快楽を求めて、唯々腰を振る。
振る度に愛液が奏でる卑猥な音が部屋に響く。
自分の半分も満たないタマモの身体を気遣う余裕は無い。
それ程に異常なまでの快楽。
一突きするごとに射精を促す。
早く搾り出せとばかりに蠢くタマモの膣はまるで別の生き物のよう。
最奥まで付いて、先端を子宮の入り口とキスさせる。
ピクピクと蠢く彼女の膣は、その状態からゆっくりと引き抜こうとする横島のソレを逃すまいと更にきつく締め上げてくる。 横島はその締め上げに陶酔し、射精を促すタマモの膣を涎を垂らしながら貪り続ける。
腰が痺れる。 身を起こしていられない。
腰を振りながらタマモに覆い被さる。 すると小さなタマモの身体がより一層小さく見える。
自分の腕にすっぽりと収まりそうなほどに――いや、事実、自分の回した腕にすっぽりと収まってしまったタマモに、罪悪感と背徳感、それと愛欲が綯い交ぜとなって横島の行動を促す。
腕の中で小さく震え、声を出すまいと必死に目を瞑るって耐えるタマモが奇妙に愛しくて――その唇にキスをした。
――今日、始めての真摯なキス。
瞬間――うっすらと開いた瞼の向こう。
其処にある月の如き瞳と目があって――
「うぁっ!」
「――っっ!!」
びゅびゅっ
自分でも信じられないほど大量の精液を、彼女の子宮へと流し込んだ。
子宮の奥に直接熱い液体をかけられたタマモは、ビクンと大きく身体を伸ばしたかと思うと、次の瞬間には、くたっと自分の腕の中で全身を弛緩させる。
それを見届けて、横島の記憶は落ちた――
「って、俺はロリコンじゃ無いぃぃぃっ!!」
「ッ!? どどどうしたでござるか先生! む、よもや敵襲!?」
「ちょ、ちょっと、行き成りなによ横島!? 朝っぱらから大声出して!」
目覚めの一声が、それだった。
余りの大声に横島の腹の上で今だまどろんでいたシロは飛び起き、タマモは押入れの中から飛び出してくる。
横島は、暫しきょろきょろと周りを見て――
「え? も、もしかして夢オチ?」
「「行き成りなにをっ!?」」
呟いた横島へ、シロとタマモがハモリつつ突っ込む。
その突っ込みに、たははとバツの悪そうな笑みを浮かべて、なんか変な夢を見たと答える。
「変な夢でござるか――怖い夢でも見たでござるか?」
「あんたねぇ、子供じゃあるまいし夢ごときで……大体どう変なのよ?」
「う〜ん、どうって……どうなんだ、シロ?」
「いや、拙者に聞かれても困るでござるが……」
首を傾げながらの横島の台詞に、シロは不思議そうな顔をして答える。
どんな夢だったか……思い出そうとしても上手く思い出せない。
確か凄く気持ちよくって――そこまで考えて、なんとは無しにタマモに視線を向け、ギョッとした。
押入れから飛び出してきた彼女は、恐らくは中で着替えている最中だったのだろう。
スカートは穿いているモノの、上着は肌蹴て可愛らしい柄のブラジャーが丸見えになっている。
横島は、その姿に慌てず騒がす、ただ一言。
「お前……ブラ必要なのか?」
「乙女に向かって何てこと聞くかアンタはっ!」
ぶん殴られた。 思い切り。
ああ、焼かれなくて良かった等と安心してしまう自分が憎い。
一瞬、夢の映像が見えた気もするが――所詮は夢だ。
何で夢ごときでナーバスになってるのかな、と苦笑。
その間にシロが、慌てて上着を羽織るタマモへとちょっかいをかけ始める。
「女狐、貴様そんなひんぬーで先生を誘惑しようとは片腹痛いでござるよ」
「誰がひんぬーかっ! あんただって似た様なものでしょうがっ!」
「ふふ〜ん。 甘いでござるな。 最近拙者も育ってきているのでござるよ。
どこぞのグータラ狐とは違うでござるから」
「なっ――馬鹿犬の癖に。……ふん、胸が大きい女なんでどうせ、頭パっパらカーなのよ。
馬鹿犬にはお似合いね。 あたしはこの美貌だけで十分なの!」
――その言葉美神さんに言っても良いか?
等と発言したら確実に泣いて謝ってくるだろうなぁと思いながら、自分も着替える。
とは言っても寝る時はいつも下着だけの姿だ。
昨日は彼女達がいたので普段着のままだったが――だから、着替えると言っても横島はジャンバーを羽織るだけ。
――そう、別に素っ裸で寝たわけでもないのだ、自分は。
今だはっきり思い出せぬ夢の記憶に引き摺られて、頭を振る。
湧き上がったモノを振り払い、今にも喧嘩しそうな二人に、苦笑しながら声をかける。
「おい、もうそろそろやめとけって。
とりあえず顔洗ったら美神さんとこに行くぞ。」
「え〜、朝の散歩はどうするのでござるか?」
「あんた一人で行ってらっしゃいな。 私は横島と先に事務所に帰っているから」
「むっ――」
「なによ?」
「あーこらこら、言った傍から喧嘩すんなって。
とりあえず、事務所に向かいがてらふらつきゃ良いさ――朝飯もかねてな」
横島の仲裁の言葉に、不承不承頷く二人。
じゃあ、と気合を入れなおして三人代わる代わる顔を洗う。
洗い終わるや否や、元気よく玄関から飛び出していった二人の背中を見つめ、微苦笑。
ありえるわけが無いな、と呟く。
夢は夢。 今では内容もうまく思い出せない。
あれがタマモだったのか、シロだったのか。
それすらもどうでも良い――そう思う。
玄関の向こうで「今度は拙者でござるからな」「ならゲームに勝つことね」等という二人の微笑ましいやり取りに、「ま、来客用の布団くらいは用意しとくべきか?」と考えて、靴を履こうと腰を落とす。
そこで――
「ふぁぁ〜あ、と。 あー、やっぱあいつらの相手してると変に疲れるな」
欠伸をして漏らす。
彼女達が泊まりにくるといつもこうだ。
寝ても一向に疲れが取れない。
いや、より疲れている時すらある気がする――そういえば以前は足腰が筋肉痛になったっけな、と思い至って笑う。
――確かあの時はシロがベットを勝ち取って……なんだかんだで騒いだときだったか?
一瞬そこで首を捻る。自分はその程度で筋肉痛になるか、と。
しかし、そーいや散歩付き合わされてたかと、一人で納得。
頷きながら、靴を履く。
どうやら、随分と時間が過ぎているようだ。
先に行った筈の彼女達が、玄関を空けたそこで待っていた。
「遅いわよ、横島」
「大丈夫でござるか先生?」
二人の言葉に、謝りながら顔を上げて立ち上がる。
「さ、行くか」
声を上げて彼女らを先導して先を行く。
今日もまた一日の始まりだ。
夢の事など忘れようと、横島は元気良く歩み始めて二人を振り返る。
「――っ!?」
振り返った視線の先には自分を見つめる二対の瞳。 金色の――魔眼。
――目が眩む。
「……それは――」
眩む意識に頭を抑え呟く。
あれは夢の、いや、昨夜の――現実?
混濁し始めた意識の外、息が掛かるほどの近さで囁く声が聞こえる。
「忘れるでござるよ、先生――夢の事など」
「そう、思い出す必要は無いのよ――次の夢を見るまでは」
「――くっ」
囁きにより意識が途切れる瞬間――
――細く淫靡に嗤う黄金色の月を見た気がした。
後書き
読んで頂きありがとうございます。
色々と拙い所などあるかと思いますが、楽しんで頂ければ幸いです。
オチ等が上手く表現できているのか……(汗)
ご指摘等あれば、よろしくお願いします。