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▽レス始

「天の星、地の華2(GS)」

アイギス (2005-11-11 22:38/2005-11-12 11:14)
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「ねえ、姿を代えた者の願いをかなえてくれるのよね?」
「うむ」
「必要なのは純粋で強い願いだったわよね?」
「まあ、そんなところかの」
「私の精神は強いし、純粋にお金がほしいって強く思ってるわよ?それじゃダメなの?
どこぞの龍玉の野菜王子だって純粋な悪の心で・・・」
「メタ発言はやめい!
・・・・・ならば彼の者の話でもしようか」
「え?」
「先ほども言ったが、わらわは彼の者の望みを叶えるためにそなたを見ておったが、彼の者も見続けておったからな」


「天の星 地の華」
改め
「女華姫伝説」


そう言って微笑む織姫。
しかしその顔は微笑むというより『ニヤリ』とか『グフ』という表現が相応しい。
美神はおろか、女華姫と友人であったオキヌですら引くほど凶悪な笑顔だ。
きっと子どもが見たら泣き出し、トラウマになること間違いなしである。

そんな状況にかまうことなく織姫は続ける。
「何から話そうかの・・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
まだフリーズ中らしい・・・
そんな二人を無視するかのように語りだした。


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「殿〜!殿〜!一大事にございます〜!!!!」
        「一大事!一大事にございます〜!!!!」


「いかがいたした。」

父を呼ぶ声にそう応えたのは、近隣諸国にその存在がいろいろな意味で鳴り響いている姫であった。

「おお、姫様。殿はいかがいたしましたか?」
「父上は腰を痛めて養生しておるわ」
「はあ、『また』ですか・・・・」
「うむ、『また』じゃ」


死津喪姫を鎮めるためオキヌが人柱となってから2年
親友たる少女が命を掛けて作り出した平和を維持するため女華姫はさまざまな策を打ち出していた。
本来なら女である姫が政(まつりごと)に関わることはない。
しかし、父である殿は、死津喪姫の一件で心と体がぼろぼろになったため政が出来なくなったのである。
心は、もともと子煩悩であったが、その姫に嫌われたため
体は、姫の悲しみの八つ当たりを、その身でとめようとしたためである。
(腰は一度痛めると回復しにくいのだ。とくに歳がいくと・・・・・)

こういった場合、子どもに後を譲るのが世の慣わしであるが息子はいない。
と、なれば家臣団が好きなように暴走して、某黄門さまとか某暴れん坊のお世話になるのだが、
ここには姫が居た。
親友を思い、絶対にこの国を平和で豊かな国にしてみせると決意を固めたアグレッシブな姫が。
そして、その溢れる行動力で家臣団を掌握し、実質的に藩主代行を行っているのである。


「して、いかがいたした?」
「は、実はオロチ岳付近の村々に頭に角を生やした馬の群れが現れ、農作物を食い荒らしているとこと。
被害は未だ軽微でございますが、このままでは確実に民が飢えることになります。」
「なんと!それは真か!?」

平和で豊かな国を目指す、つまり民が飢えることが無い様にするのが姫の目標である。
馬の群れが現れたのには、何らかの理由があるのであろうが、
やはり民が飢えることを看過することは理想に反する。
よって決断を下した。
「人手を集め、追い払うのじゃ。弓矢の使用、種子島(火縄銃)の使用も許可する。
人員その他は任せる。」
「は、さっそく伝令を出し実行いたすよう伝えます」


2日後、
「姫、先の奇妙な馬の群れの件でご報告があります」
執務中の姫の下に伝令のものがやってきた。
「で、いかがいたした?」
「は、近隣の村々から若衆数百と、城から火縄銃100丁と足軽・騎馬200を送り出しましたが・・・・
失敗いたしました。」
「なんと!」
「あの馬は人語を解し、こちらの動きを把握していた節があります。
また、神か仙人のごとく消えたかと思うと別の場所にいきなり現れ
種子島の弾すら避けてしまう有様。
仕舞いには我らに向かい馬鹿にしたように笑う始末・・・・」
「むう・・・・」
「姫、いかがいたしましょう」

(しばし考え中)

「たしかオロチ岳の近くに導士が鎮魂のための神社を作り篭っておったな」
「は、」
「では、わらわが参って、導士殿に協力を仰ごうではないか」


氷室神社
「おお、ようこそいらっしゃいました、女華姫さま」
「久しいな、導士殿」
「して、いかがいたしましたかな?」
「察しが良いな、さすがじゃ。
 実はな、聞き及んで折るかも知れぬが、この近隣で奇妙な馬の群れが田畑を荒らしまわっておってな。追い払おうとしたが逆に馬鹿にされてしまう始末・・・ 
そこで導士殿のお知恵を拝借したいと思うて参ったのよ。」

「ふむ、してその奇妙な馬とはどのような?」
「家臣からの報告では、頭に角を生やした白い馬だそうじゃ。麒麟かと思うた者も居るらしいが違うらしい。
 知恵もあるらしくて人語を解し、瞬間移動の力もあるそうじゃ」

「麒麟ではない・・・となれば私が知っておるのは唯1種のみ
 大陸から伝わる書物に『一角獣』とあるものの一種『一角馬』で背負うな」
「ほう、して弱点などはご存知ですかな?」
「はい、たしか『清らかなる美しき乙女』に弱いとの記述がありました。」
「清らかなる乙女・・・・・」
親友を思い出ししんみりとした雰囲気になる。


「・・・・・・・・・・やはり、その命を?」
耐え切れなくなったお供の家臣がそう切り出した。
「いや、それには及ばぬ。
 弱点は『清らかな美しき乙女』であるが、一角馬はその膝で眠ってしまうのだ
命の危険は一切ありませぬ。」
「なるほど、ならば村々から乙女を集め向かわせればよかろう。」
「そうですな・・・数がいれば条件に合う娘が居る確率も高くなりますからな」
「うむ、では早速手配いたせ!」
「は!」


「本日集まってもらったのは他でもない。この地を荒らしまわる馬の弱点が
『清らかな美しき乙女』であることがわかった。
2年前のように人柱となり命を失う危険はない。だがあの時と同様、何とかしなければ皆が飢えることになる!協力して欲しい!」
涙を流し訴える女華姫。まさに漢泣きである。
ただ鼻水まで流しており、その顔はものすごいことになっているので、皆少し引いている。
しかし、2年前、命を掛け、国を救った娘のことは知っている。
「命の危険はないとなれば」と協力しようという気になっている。
「では、わらわの着物を着て欲しい。いわば今回の戦闘服じゃ!」
そう言うと集まった娘たちを屋敷へと招き入れる。


そしてオロチ岳付近の村へ


「ここか・・・・」
「は、馬の群れはここから北へ少し行った村の畑で休んで居るそうです」
「ご苦労、では行こうぞ!」
「姫様、待たれよ」
「なんじゃ、導士殿。なにか問題があるのか?」
「あまり大勢で行っては逃げてしまう恐れがあります。
 ここは娘2、3人づつと護衛の兵数名で行くのがよろしいかと」
「なるほど、では群れが見えるところで待機しよう」
「それがよろしいかと」


「では、第1組の者 行ってまいれ」
「「「はい!」」」


「キャーーーーーーーーーーーーーーーーー」
1人は、ユニコーンは近づいてきたものの、お気に召さなかったらしく土を掛け逃げられてしまった。
1人は近づいてきたが鼻で笑われた。
最後の1人は、惜しいところまで行ったが、神話級の馬鹿であったらしい・・・・ 


「なんと!だめであったか・・・・」
「「「はいぃ・・・・」」」
「なぜであろう・・・・・」
当然疑問を口にする導士。対策を立てるためにも情報は必要である。
「3人とも国で評判の美少女なのだがのう・・・」
「あ、あの・・・・私あの馬と対峙した時、心を覗かれた気がしました」
「わ、わたしもです」「わたしも・・・・・」
「ふむ、精神走査か・・・着飾ってもムダということですな・・・・」
「いかがいたそうか、導士殿」
「いたしかたありませぬ。心まで読まれるとなれば・・・・・
 どんどん送り出すしかないですな。」
「ふむ・・・・では予定通り 第2組行ってまいれ」
「「「はい」」」


「「「キャーーーーーーーーー」」」


今度は二人土を掛けられ、一人は糞を掛けられた。


「むぅ・・・・またか・・・・」
「しかも今度は糞まで・・・・・・・」

「あの、私・・・・乙女じゃないんです・・・・」
消え入りそうな声で真実を告白した娘。
「な、なんと!?」
「実は昨年娘組に入りまして・・・よ、夜這いをうけたのでございます・・・」
「なるほど、乙女でなかったが故、乙女に混じって誘おうとしたおぬしに怒ったのだな」
「他にも乙女でないものがいるのであれば申し出よ。罰は与えぬ。
 おぬしたちにも事情はあろう、しかし被害を抑えるため無駄な時間は省きたい」
そう姫が言うと数人の娘たちが手を上げ外れることとなった。


当時の農村社会では、月のものが来たら娘組に入り結婚まで夜這いOKとなったりしていたのである。(村によって色々掟は異なるが・・・)よって集められた者の中に乙女でないものがいたとしてもおかしくはない。


「仕方あるまい、次、第3組!」


そして全員終わったが、誰一人としてその膝でユニコーンを眠らせることは出来なかった。


「姫、全滅でございます・・・・・・」
家臣の一人が告げる。


「出直すしかあるまい・・・・・・」
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」
娘たちには沈黙しかなかった。
村や国では美しいと言われ、女としての自信を打ち砕いてくれたのである。
それだけでなく、せっかく国の役に立てると思い行動しても無駄だったのだから・・・
女華姫もまた肩を落とし泣くのを耐えている。
このままでは民が飢えることになりかねないのだ。
自分の容姿は美しいとういより、雄々しくいかついということは自覚している。
当然自分が行ったところで、糞を掛けられるか、見向きもされないことも分かっている。
だからこそ美しい娘たちを集めたのだ。


だが諦めていない者がいた。
「姫、全滅ではございません。まだ姫が居られます。」
導士である。
「しかし、わらわは・・・・・」
「たしかに容姿が優れているとは申しませぬ。しかしそのお心は靭く、美しい」
「なれど・・・」
「籤であたったからと親友のことを思い、身代わりになろうとなさったあなた様が、
娘たちだけを行かせ、ご自分は行かぬのですか?命の危険ははいというのに。
ご自分の容姿を理由に奥に篭っているおつもりですか?」
「むう・・・よかろう、行ってまいるわ!」


「ほう、こちらを見て居るな・・・・」
すべてのユニコーンが女華姫のほうを向いている。
しばらくすると耐え切れなくなったかのように、1頭、また1頭と女華姫に向かい走り出してくる。
「ふ・・・・わらわの容姿では怒って当然・・・・排除しようとやってくるか・・・」
「「「「「「姫!!」」」」」」
護衛の兵士が駆け寄ろうとするが女華姫は手でそれを制する。
「かまわぬ!今来たらそなたたちも巻き込んでしまう!」
「しかし!」
「問題ありますまい・・・」
「「「「「「導士殿??」」」」」」
「ほれ、全ての一角馬が姫の下へ・・・・・」

そう、女華姫の周りに全てのユニコーンが集まってきているが、それ以上近寄ろうともせず、じっと女華姫の方を見ているのである。

「これは・・・・?」


《そこの娘?よ・・・・・》
他よりも一回りは大きい一頭のユニコーンが姫に話しかけてきた。
「なっ!!!!」
「姫?」
どうやら他の者には聞こえないらしい。

《心に直接話しかけておる・・・・》

「ほう、して何用か?話が通じるのなら話が早いな」
《そなたの容姿は我らにとっては耐え難い・・・・
 しかし、その心は神代の時代に遡ってみても誰もかなわぬほど美しい・・・・
 それ故我らはその膝で眠りたいという欲求が抑えられぬ。
じゃが、それは大きな苦痛を伴う。
相反する心、ゆえにそなたがここに居ては、我らは動くことすら出来ぬ。
すまぬが我らを解放するためこの地を去って欲しい・・・・」

「わらわとしては、そなたらに即刻この地より立ち去り、農作物に被害を出して欲しくないのだ。それにそなたらのおかげで民が飢えるやも知れぬ。」
《なれば、わが角をそなたに譲り渡そう。その代わり群れのものたちは返してやって欲しい》
《《《長老!!》》》
《騒ぐな!この者も人を束ねるもの。下の者を守る義務があり、それを遂行しようとする意思は強い。先ほどの会話で分かったわ。お互い唯では引けぬが、我らはこのままでは彼らより早く飢え死んでしまうのだ。なれば、引いてもらう代わりに我が角を譲ることで解決しようというのだ。》
「角か・・・しかしそんなものをもらってもな・・・・」
《われらが角は癒しの力が宿っておる。煎じて飲めば病であろうと呪いであろうと癒せぬものはない》

「なるほど・・・(未だ死津喪姫の花粉などの後遺症に苦しむものも多い・・・)
そなたの考えは分かった。群れが全て引き、今後被害を及ぼさぬというのであればその条件でこちらも引こう」
「「「姫?」」」
《感謝する。それと角を渡したら力を失い、しばらく我らの世界に戻ることは出来ぬ・・・
 できれば力が回復するまで休ませて欲しい・・・》
「よかろう、城の厩舎に参られよ」
《皆のもの、戻れ・・・この地には我らの求める乙女はいなかったが本物の漢女がいた。そのことがわかっただけで良しとしようではないか!》

長老に言われ、戻っていくユニコーンの群れ

「では、参ろうか」
「姫様?」
「ああ、片はついた。仔細はあとで話そう」


約束どおりユニコーンの長老から得た角を使い、未だ死津喪姫の被害に苦しむ民を救った。
そして残りは何かあった時のためにと氷室神社に奉納された。


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「というわけじゃ。少々長かったかな?
おぬしが封印の楔となって2年後の話じゃよ」
「て〜と、何?女華姫って人はそこまですごいココロの持ち主だったの?」
「うむ、でなければ300年間わらわの姿が変わらないわけはなかろう。
純粋で強い思い・・・それはココロを反映するものでもある」
「私たちなんて・・・・・・・・」
自分たちの時のこと(ユニコーン退治)を思い出し思いっきり凹むオキヌ。

「容姿のハンディ背負っても、ユニコーンの群れを引き寄せるとはね・・・
 そこまで強い心と純粋さだったんだ」
「うむ、純粋で強い願い。それを支えるのは強靭な意志力じゃ。
それはかつて英雄と呼ばれた者たちと比べても遜色あるまいよ。
純粋さもな、人柱の籤が最初は彼の者を選んだのも純粋な心をもつが故であろうよ。」

「そ、そうだったんですか・・・・勝てないわけですね・・・」
自分でも一応封印には成功したが、
もし女華姫であったなら封印どころか倒してしまったのではないか。
また、自分はユニコーンに見向きもされなかったことも納得できる。
そう口にした。
「フフ、可能性がなかったわけではないな・・・
まあそれも、もしかしての話せん無きことじゃ。」

(にしても氷室神社にユニコーンの角がね・・・なんとか譲ってもらえないかしら)
やっぱりお金儲けに考えが向く美神であった。


その頃の横島はというと・・・
「むう、だいぶ遠くに来ちまったな・・・だが神様だからな・・・・」
遠くにきたことで少し落ち着いた横島。
「やっぱここは妙神山にかくまってもらうのが一番かな?
 小竜姫様ならきっと助けてくれるさ。パピリオにも会ってないし・・・」
財布を確認しようとするが
「やべ、忘れてきちまった。まあ、走っていきゃいいか」
人外発言をかましてくれましたよ。
織姫どころか美神たちも追っていないのにね・・・・・


あとがき

調子に乗って第2弾。ちょぉっと長くなりましたw
卒論終わってないのに何やってるんだか・・・・・

あの姫様はきっと英雄・神として祭られてもおかしくないのでは?という考えもあって織姫に影響を与えたとしました。それに300年間姿が変わってない理由をこれ以外に思いつかなかったので、強靭な精神と純粋で強い願いの持ち主とした次第です


短いですがレス返しを

>むじなさま
すみません、転生した女華姫さまは出ませんでしたが続編は書きました。

>黒覆面さま
女華姫ファンが増えてうれしいです。

>siriusさま
納得していただけてうれしいです。
SSですが、できましたらどこに掲載されているか教えてください。

>矢沢さま
納得していただけてうれしいです。女華姫ファンがいたことうれしく思います。

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