『ワァーーーーーーーー』
『ワァーーーーーーーー』
「ただいま~、オキヌちゃん のどが渇いたから何かお願いね。」
除霊から戻ってきて開口一番、美神はそう言った。
しかし、反応はなくただテレビから何かしらの歓声が聞こえてくるだけである。
「どうしたのかしら?」
普段のオキヌならすぐに反応するため、いぶかしみつつリビングへ向かう。
そこにはテレビに真剣に見入るオキヌの姿があった。
「オキヌちゃん?」
「ふぁあぁぁぁ!?み、美神さん!?お帰りなさい、早かったですね」
いきなり声をかけられたため驚き、咥えていた煎餅を落としてしまう。
ちょっと萌ぇな姿かもしれないが、咥えていたのが煎餅とはちとババくさ(ドゴ
いえ、日本人として正しい姿でふ。ごめんなさい。
「で、オキヌちゃん何見てたの?」
気になりテレビを見る美神。
そこには女性とおぼしき人間が派手な衣装を着ているのが見えた。
「あ、・・・・・・」
少し恥ずかしそうに赤くなったオキヌ。
『今度はタワーブリッジだぁ~~!!』
「女子プロレス?」
「はい、実はこ・・」
「女子プロレスっすか!?」
そこに突っ込んできた横島。【女子プロレス】の言葉に反応したらしい。
ドゴス!!!!メゴ!!!!!!
まあ、当然美神にシバかれる訳だが、なぜかオキヌにも一撃入れられている。
プロレスを見ていて血がたぎったらしい・・・・
「で、なんでプロレスを真剣に見てたの?」
「えっと、私、この選手のファンなんですよ~」
テレビを見ると、技を掛けている大柄な女性を指差した。
「へぇ~、この人強いの?」
「はい、とっても強いんですよ。それにフファンをとっても大切にしたりしてるし、
それに・・・」
「でも、すんげぇ怖い顔っすね・・・ん?この顔どこかで・・・・・・」
「あんたね、まさかナンパしたあい「んなわけないでしょう!!!」あ、そう・・」
即座に否定する横島。全力をもって、全身全霊をかけて、命がけで否定している。
「あの、いいですか?」
「あ、ごめん、ごめん。この馬鹿変なこと言うから」
「この人、女華姫さまに似てるんです。」
「女華姫ってたしか300年前、オキヌちゃんのところのお姫様だったわよね?」
「はい、それでこの人のことを知ってからずっと見てるんです」
(そういえば、最近何か本とか集め始めたわね・・・・)
「あ!!思い出した!!!!」
「「どうしたのよ(んですか)?」」
急に叫びを上げた横島はテレビ画面を指差しつつ
「思い出したんですよ、このレスラーに似てるのを!」
「誰よ?」
「思い出してくださいよ、この前の七夕のとき来た織姫ですよ!」
「「あ!」」
印象的な顔であるが忘れていたのは、美神たちはあまり織姫と顔をあわせていないことと、カーチェイス時などほとんど美神の姿をしていたためである。また、牽牛の情けなさの方が印象に残っていることもあるのだろう。
「良く思い出したわね、あんた」
「ええ、まあ、それなりに印象深い神さまでしたから・・・・」
思い出し、少し汗をかいている横島。少々トラウマになってるのかもしれない。
「まあ、たしかに似てるわよね」
「ええ、でも、女華姫さまにも似てるんですよ」
「へぇ、ってことは織姫さまと女華姫って似てるってことですよね?」
「まあ、そういうことになるわね。似てる人間は世の中に3人はいるって言うし、それが神様だったりとか、300年前の人でもおかしくないでしょ?それに転生した先ってこともあるかもよ?オキヌちゃんも以前プロレスの特訓やったし、興味がなければ気がつかなかった相手だから、縁があるようだしさ」
「そんなもんすか?」
「そんなもんよ」
「偶然ではないぞ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いきなり入ってきた!!??」
「悪霊退散!」
突然現れた織姫に驚き、横島はさらに霊波刀できりかかる。しかし、織姫は簡単にいなし、
「なんじゃ、わらわが来ては悪いのか?」
「いえ、そういうわけじゃないですが・・・なぜこちらに?」
「うむ、そなたらの疑問に答えようと思ってな」
「はあ・・・・・」
「ちと長くなるぞ・・・・・・」
「この姿は女華姫という者の姿じゃ」
「「早!!!」」
「まあ聞け、天星神族には変身能力があることは知っておろう?
わらわのこの姿は300年前、女華姫というものの姿であるが、
なぜこの姿になったのかと聞かれれば、わらわの在り方が関係しておる。
わらわはの、もっとも純粋で最も強い願いをもつ乙女の姿を顕すと決められておってな、
300年間、彼の者を超える存在はおらなんだ。
よって、わらわは300年間同じ姿をしておる。」
一気に説明した織姫。しかし疑問は残る。
「まあ、最も強い願いを持つ乙女の姿ってのはわかったけど、
なんでタイミング良く現れたわけ?ご都合主義万歳じゃない。」
「ふむ、まあ当然の疑問じゃな。
それにもわけがあってな、わらわの姿を変えた人間の願いをかなえるというのも、わらわの仕事の一つで、女華姫の願いは、ほれそこにおる【オキヌの幸せ】よ。故に見守っておったのじゃ。」
「なら、なんで死津喪姫とか霊団に襲われてたとき・・・・」
「わらわの力は夜、しかも晴れた星空の場合のみ行使可能でな、昼間や曇りなどではほとんど力が出んのじゃ。それでも致命的なことにならぬよう裏から色々やっておったのじゃぞ。死津喪姫の時はな、新米山神に力を分け与え、底上げをしてやったりな。」
「あ、ありがとうございます」
オキヌは真実に驚きつつも織姫に感謝する。また、女華姫を思い、涙を浮かべた。
「気にするな、わらわの在り方じゃしな。」
「で、もしかしてこの前の七夕の時現れたのって・・・・」
「うむ、オキヌを見ていたら召還条件が整ったのでな」
「そうよね、いくら霊能者で性欲が強いって言っても、他にも霊能者には煩悩が強いやつなんてけっこ・・・いえ、多少はいるし、結界があったんだもの。もっと出現しやすい方を選ぶわよね。」
「まあな、オキヌの様子を直接見るというのも目的だったのじゃよ。」
「で、今回はなんで来たわけ?まさかまた横島くんにちょっかい出す気じゃ?」
「いや、今回は純粋に説明しに来ただけじゃ。願いをかなえるため、その思いも受け継ぐのでな・・・女華姫の持っておったオキヌを思う気持ちが強くなったのじゃよ。おそらく、ほれそこで勝ち名乗りを上げておる女華姫の転生体と縁が繋がり、女華姫のことを思い出したから来ることができたのじゃ。」
「ふ~ん、そう。そういうことならゆっくりしていけば?」
「すまぬの」
「あ、それじゃお茶用意しますね。何がいいですか?」
「私、コーヒーね」
「わらわは、緑茶をたのむ」
「あれ、横島さんは?」
「居ないわね・・・どこ行ったのから?」
「この近くには居らんようじゃの」
その頃、横島は
「あのバケモノの相手はいやじゃ~~~~~~!!!!」
叫びつつ、事務所から数十kmも離れた場所を走ってた。
日々の鍛錬(シロの散歩)で鍛えられたらしい。
あとがき
こちらでは初めての投稿になると思います。
時期はずれもいいところですが、思いついたので・・・・
別の方がやった可能性もあるネタなので、そう言った指摘もお願いします。