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「GS美神if外伝1〜4(GS)」

テルヨシ (2005-10-31 21:07)
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こっちのSSもまた、旧夜華に投稿したものの再投稿となります。


「ああ、これでやっとお前をあいつに紹介できるな。」
横島は『彼女』にそう言いながら文珠『復』『活』の二つを同時に発動させた。


GS美神if外伝 あいつと『彼女』の顔合わせ


アシュタロスの戦いが終わり、いろいろなことがあったが、それが片付いてから横島は文珠の修行を始めた。

基本的な霊力の修行や様々な技の修行なら美神さんか小竜姫様、斉天大聖師匠にみてもらっていたのだが、
文珠の修行だけはそうは行かなかった(何しろ横島しか使えないのだから教えてもらいようが無かった)。


文珠の同時使用は制御が一個のときと比べ段違いに難しく、なかなか成功しなかった。
しかし、やっと文珠二つ同時制御に成功し、横島は『あいつ』を復活させる事が出来る様になった。


そんなことを考えていると、
「嬉しそうね」
あいつのことを直接知らない『彼女』が少しだけ不機嫌の声でそう言う。


「前にも言ったろ?こいつのおかげで今の俺があるんだ。だからこうしてお前と一緒にいられるのもこいつのおかげだろ。」
そこでいったん言葉を区切り、続ける。
「…それにあいつは俺にとって大事なやつだけど、愛してるのはお前だけだって」

だから妬くなよ、と横島が言うと『彼女』は顔を真っ赤にしながら(無論横島の顔も真っ赤だろうが)
「…バカ」
と嬉しそうに言った。


「さて、そろそろ始めるか」
そう言いながら横島は二つの文珠『復』『活』を発現させる。


無事文珠の効果は発揮され、『あいつ』は復活できた。

「久しぶりだな。」
そう言った後、いまいち状況がわかっっていない『あいつ』。
いちいちこれまでのことを説明するのも面倒だし、手間がかかるので『伝』の文珠を発動させる横島。
こうして今までの経緯を理解した『あいつ』。


そうして『アイツ』の視線が彼女に向けられる。

「ああ、お前が復活できたら一番最初にこいつのことをお前に紹介したくってな。」
そう言いながら、『あいつ』と『彼女』を引き合わす。

「この女性がお主のたい……」
「だ〜、何を言うつもりだ〜!」
と横島は突然大声を出してさえぎった


「何といわれても。お主の文珠でお主の彼女への気持ちは理解したぞ」
「そういうことは彼女の前で言うんじゃない!」
「なぜだ? 本心なのだろ」
『あいつ』は不思議そうに聞く。

「…他のやつに改めて言われるのは恥ずかしいだよ!」
横島は小声で答えた。


「私のことは何て伝えたの?」
流石に『彼女』も気になったのか、そんなことを聞いてくる。

「いいじゃないかそんなことは。いい加減ちゃんと自己紹介をしようぜ」
横島はそうごまかした。

すると『彼女』は不満げな表情をしながらも「そうね」と答えた。


そんな横島を横目に見ながら『彼女』が『あいつ』に自己紹介を始める。

「始めまして、あなたが心眼さんですね。私はルシオラと言います」
「おぬしがルシオラ殿だな。私は心眼という。以後よろしく頼む」
皆で絶対幸せになろうな。二人の会話を聞きながら横島は改めてそう思った。


こうして横島とルシオラ、心眼の三人?の生活が始まる。


と、此処で終わればきれいに終わったのだが、ルシオラが心眼に
「さっきは何を言いかけたの?」
と聞き始めた。

「いやたいしたことじゃないよ、ウン」
と心眼が何か言い出す前に横島は答えた。

「私には話せないの?」
と若干上目使いぎみにルシオラはなおも聞き出そうとする。
上目遣いな視線に耐えられそうも無い、そう思った横島はルシオラの手にあった心眼を掠め取りながら逃げ出した。


「あ〜! 逃げるきなのね。私から逃げられると思っているの。待ちなさい!」
怒った様に、でも目は笑いながらルシオラは横島を追いかけ始める。

「待てと言われて待つやつがいるか〜!」
そう答えつつ、心眼を着けながら逃走に使えそうな文珠を発動させる横島。

これも幸せの形かな、そんなことを横島は考えながら、ルシオラの鬼ごっこは数十分にわたり続いたのだった。


結局ルシオラに捕まってしまい、心眼の口から横島のルシオラに対する気持ちが語られてしまった。

「ヨコシマのバカ…。逃げなくってもいいじゃない」
「…照れくさいんだよ」
「でも嬉しかったな。本人から聞けたらもっと嬉しかったけど」
そんなやり取りの後、二人そろってこの日最高の真っ赤な顔をしたのは三人の秘密だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「鬼道先生、あなたに冥子の指導をお願いします」
ある日、六道女学院霊能科除霊実習担当教諭である鬼道政樹をそんな言葉が襲った。


GS美神if外伝2 冥子と鬼道の軌跡


冥子の度重なる除霊中のプッツン(式神大暴走)にまたもやGS協会は冥子の免許停止を考慮し始めた。
それに頭を痛めた六道理事長は対策を考えることになる。

「前回は令子ちゃんたちに頼んだけど冥子自身はあまり成長しなかったし、どうしたものかしら? 冥子を指導してくれる人がいいのだけれど。
冥子のプッツンを恐れて引き受けてくれる人なんていないわよね…。
あっ、一人うってつけの人物がいたわね。彼なら式神を操る能力も申し分ないしうってつけね。」

そういった神の天啓か悪魔の囁きか。
ともかくも鬼道に白羽の矢が立ったのだった。


「何でボクなんですか?」
何処かに逝きかけた精神を立て直すと、鬼道はそう理事長に詰め寄った。


冥子との式神バトルの後自分の職まで提供してくれた大恩ある人物の頼みである。
ある程度の無茶な注文でも引き受けるところだったが、こればっかりはと断ろうとした。

が、断ろうとしたその瞬間理事長が
「おばさん、もう鬼道君だけが頼りなの」
と涙交じりに言って来た。


「しかし、そればっかりは…」
鬼道がそう言った途端、
「そうね・・・。こんなおばさんの頼みなんて聞けないわよね。いいのよ、鬼道先生」
そう言って理事長が泣き崩れた。

それを見ていた鬼道は
「…分かりましたから嘘泣きは止めて下さい」
と観念していった。

「ありがとうね、鬼道先生」
涙の跡など微塵もない、満面の笑みを浮かべて理事長はそう言ったのだった。

「はぁ〜」
心のそこからため息をつく鬼道であった。


そんな訳で冥子の指導をすることになった鬼道。

鬼道の式神『夜叉丸』との模擬戦闘。
式神のコントロールのための式神同士の鬼ごっこ。
冥子自身の精神力を鍛えるための修行。etcetc……。

様々な修行を行ったが最初のうちはどれも最後は冥子の『プッツン』で終わりを告げていた。
そのたびに病院の世話になる鬼道。
まあ、その度にショウトラに心霊治療(ヒーリング)してもらっていたのでこの二人?に種族を超えた友情が芽生えたのは皮肉な結果だろう。


この様な鬼道の尊い犠牲により段々と、徐々にではあるが修行の成果は出ていた。

そんなある日、冥子は気になっていたことを鬼道に聞いてみた。
「マーくんは何で私の修行に付き合ってくれるの〜?」
「それは理事長に頼まれたからや…」
「それだけなの〜?」
冥子は少し残念そうにそう言った。


それ以外何が、と言いかけて鬼道は言葉を飲み込んだ。
冥子が悲しそうな顔をしていたからだ。
それに鬼道は心のうちに理事長に頼まれただけではない、何かが芽生えているのを自覚した。
だがそれが何かまでは鬼道にもまだ分からなかった。


だから鬼道は
「それだけではないかもしれません…」
とポツリとこぼした。

「マーくん、今何か言った〜?」
聞き取れなかったのか、冥子は聞き返した。
「いえ、何でも。そろそろ始めましょうか」
そう言って鬼道はごまかした。


その後、冥子はだんだんとプッツンの回数を減らしていった。
そしてついに冥子は、式神を暴走させることなく除霊を成功させた。


「冥子はん、プッツンさせること無く除霊出来ましたね」
何かあったときのため見守っていた鬼道はそう冥子に話しかけた。

「マーくんのおかげよ〜」
「いえいえ、冥子はんが頑張った成果ですよ。これでもうボクがいなくとも問題ないですね」
そう、冥子の修行の終わりは二人だけの時間の終わりを告げるものである。
同じ職場にいる以上、これからも会えるだろうが会う頻度はかなり減るだろう。


それに気づいた冥子は
「もうマーくんとの修行も終わりなのね〜」
と残念そうに言った。

「ええ、終わりですね」
鬼道はいたって普通に答えた。

そんな鬼道に冥子は
「マーくんには迷惑ばっかりかけたけど〜、私は楽しかったな〜。
式神たちをいっぱい出さなくても〜、マーくんと一緒だと安心できたの〜。
もっと一緒に修行したかったな〜」
と告げた。


それに対し鬼道は
「ボクはもう修行では会いたくないですね」
と答えた。


その答えは冥子にとってはつらいものだったが、ここで泣いてプッツンしては鬼道に迷惑をかけてしまうと思い我慢した。
だが、鬼道が次に言った言葉は冥子の想像を超えていた。

「修行や仕事ではなく、個人的に会いたいんです」
続けて鬼道は
「冥子はん、ボクと付き合ってください」
と言った。

冥子はもう我慢の限界だった。
目からあふれる物を止められなかった。
「嬉しい〜、マーくん」
そう言いながら鬼道に抱きついた。

そして二つの人影は一つになり、しばらくの間はなれることがなかった……。


冥子は次の日、美神の事務所を訪れた。
そこには美神のほかに、横島、ルシオラ、おキヌがいた。

「どうしかしたの冥子?」
そう美神か聞いてきた。
冥子は笑顔で
「聞いてみんな〜。あのね私〜…」

冥子の笑顔はいつもよりキレイで、それでいてどこか大人びていた。


追伸 冥子と鬼道が付き合いだしてから、ほとんどプッツンは起きなくなったが、まれに起きた場合でも鬼道だけはその被害にあわなくなったそうだ。
十二神将も鬼道のことを認めたらしい。


あとがきです

「GS美神if5 初めての授業?」で書いた冥子と鬼道が付き合うまでの経緯を書いてみましたがいかがだったでしょうか?

途中、何故か鬼道の口調がアラシヤマになってしまいそうでした(一部なっているかも)。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

この話は「GS美神if8 『彼女たち』の出会い」での補足な感じです。
先に「GS美神if8 『彼女たち』の出会い」を読んでくださるとありがたいです。


「何ででござるか先生。拙者は先生に必要ないのでござるか・・・」
そうつぶやきながらシロは泣いていた。


大好きな先生に婚約者がいたのはショックだった。
でも一緒にいられるだけでもいいと思った。
だから事務所で雇ってもらおうと思った。
だけど雇ってもらえなった。
それが信じられなかった。
あの自分のわがままにも付き合ってくれた優しい先生はいなくなったしまったのだろうか? そう思ってしまう。


何が先生を変えてしまったのだろうか? あのルシオラという女性なのだろうか?


もし……、もしもルシオラという女性がいなかったら?


シロはそこまで考えてはっとした。
自分は何を考えているのだろうか。
先生が選んだ女性を祝福するどころかいなくなることを望むなんて!


彼女がそんな自己嫌悪に陥っていると
「シロちゃん入ってもいい?」
とおキヌが聞いてきた。

シロが返答に困っていると
「大丈夫。横島クンはいないから」
と美神が告げてきた。

それを聞いたシロはあわてて涙を拭くとドアを開けた。
そうすると美神、おキヌ、タマモが入ってきた。


シロの部屋に入ってきた3人は無理に話を聞きだそうとはせず、シロから話そうとするのを待っていた。

しばらくして落ち着いたシロは、自分の気持ちをポツリポツリとだが話し始めた。


それをただ黙って聞いていた美神はシロに対し
「好きな人の隣にいる人のことをねたんでしまうのは仕方ないことよ。その人のことが好きならね」
といい、また
「今無理にそう思わなくても、シロがあの二人を見て祝福できると思ったとき祝福してあげればいいんじゃない?」
と告げた。


美神にそういわれ、とりあえず自分の負の感情を抑えられたシロは
「ルシオラ殿はどういう女性なのでござるか?」
と聞いてきた。

それに美神は横島とルシオラの出会いから再会、一時的な別れ、復活、そして今迄の生活を自分の知る限り説明した。

それを聞いたシロは
「……敵わないでござるよ。先生のために命まで投げ出すなんて……」
と言ったが、それに対しおキヌは、
「それはたいした事じゃないと思うな」
と告げた。

おキヌは続けて、
「私もね、横島さんのことが少しだけ異性として好きだったの。だからシロちゃんの気持ちは分かるつもりよ。
だから最初の頃は少しだけ横島さんをルシオラさんに取られちゃったと思った」
と少しおどけるように笑う。

おキヌは続ける。
「でもね、そのうちに横島さんにはルシオラさんがお似合いだなと思うようになったの。
でもそれは横島さんの為に命をかけたことじゃないの。
私も横島さんや美神さんたちのために自分の命をかけて敵を攻撃したことがあるから。
その点ではルシオラさんにも負けてないしね」

そこまで聞いてシロが
「ではおキヌ殿はどうして、そう思うように、思えるようになったでござるか?」
と質問した。


「それはね、横島さんがルシオラさんと一緒にいると本当に幸せそうな顔をするの。
私や美神さんといるときとはちょっと違う顔なの」
「それでルシオラさんには敵わないと思ったの。
そしてね、そんな幸せそうな二人を見ているうちにね『横島さんが好き』という気持ちが、
『横島さんとルシオラさん。幸せになっているこの二人が好き』
という気持ちになっていったの」

そこまでいっておキヌは言葉を区切り、続ける。
「それにね。横島さんもルシオラさんももう相手のために命を懸けるのはこりごりだって」
「何でござるか?」
愛し合っている二人ならば、より相手の為に命を掛けられるのではないか?
そう思ったシロは疑問に思う。

「二人ともね、相手のことが好きだったから命を懸けることが出来たけど、もう無理だって。
相手のことを愛しいるから相手を残して死にたくないって。意地でも生きて帰ってやるって言ってたわね。」
これって完璧なのろけよね、おキヌは微笑を浮かべながらそう付け加えた。


ここで今まだ黙って話を聞いていたタマモが口を開いた。
「私はあの二人と1ヵ月しかいないからよくは知らないけど、私から見てもあの二人は一緒にいるのが自然と思えるわよ」
と二人の印象をシロに告げた。

美神は最後に
「私の事務所にいて自分の目で二人を見てみれば?」
と提案した。


とりあえず3人の話を聞いてだいぶ落ち着いたシロは、美神に提案されたように美神の事務所で働いてみることにした。


翌日、仕事の為美神の事務所を訪れた横島に対しシロは空元気ではあるが、元気よく挨拶した。
三人に話を聞いてもらい、三人の話を聞いて一応そこまで落ち着けたのである。


その後シロは横島とルシオラの二人を自分の目で観察し始めた。
タマモの言う通り、自然なカップルだった。
また、おキヌの言う通り、横島はルシオラといるときが一番いい表情をすることも分かった。


そうしているうちに自分の心に決着がつけられたシロは、横島に
「ルシオラ殿と幸せにならなくてだめでござるよ、先生」
と言えた。


こうしてある一人の少女の初恋は終わったのだった。
初恋の終わりは少しだけ少女を大人にした。


あとがき

シロの心情が少しでも書けていたらいいんですが。
何か中途半端のご都合主義な終わりになってしまいました。
シリアスモノは難しいです。


人物設定です

タマモ・・・原作よりクールではなく、若干やわらかい性格。(これは原作と違い、人間に追いかけられた為の人間不信にならなかった為)

シロ・・・シロファンの方すみません。私の都合で失恋させてしまいました。一応シロの中で横島への思いは決着がつけられています。

タマモとシロは原作のようにケンカはしないと思います。気の会う相棒ですかね。(どこかの『相棒』のように熱血&冷静なコンビですが)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この話は「GS美神if9 皆で修行大作戦?」のあるシーンからの続きになります。
なるべくなら先にそちらを読んでからお読みください。

では始めます。


妙神山での修行が早く終わったため、空いた時間で横島とルシオラ、パピリオの三人は話をしていた。


「そんじゃま、天竜童子との出会いなんかを話してもらおうか」
横島はそう言ってパピリオのほうを向いた。

「えっ? ヒャクメから聞いたんじゃないんですか?」
そう言って不思議がるパピリオに
「私達が聞いたのは天竜童子様とパピリオが仲良くしているという事だけなのよ」
ルシオラがそう説明した。


それを聞いたパピリオは恥ずかしながらも話し始める。
二人の出会いの物語を……。


GS美神if外伝4 『彼女』と『彼』の出会い


「じゃあね、パピリオ」
「お世話になりました。小竜姫様、師匠」
そう言いながらルシオラと横島は妙神山を降りていった。

パピリオは妙神山に残る選択をした。
ルシオラのようにまだ自分の力のコントロール(手加減)がうまく出来ない、自分がルシオラと一緒に帰ると横島との仲を邪魔してしまうのでは?
そういう理由もあるが、一番のところはここが思いのほか気に入ったからだった。


それからパピリオは修行とゲームの日々を送った。

妙神山の生活は、基本的には斉天大聖、小竜姫、ジークの四人での生活であり、たまにヒャクメやワルキューレが訪れる。
皆パピリオの優しく、横島とルシオラに会えないとはいえ、妙神山での生活はパピリオにとって楽しいものだった。


そんなある日、いつものように斉天大聖、小竜姫、ジークと一緒に朝食をとっていると小竜姫が
「パピリオ、今日はお客様が来ますからね」
と言った。

それを聞いたパピリオは
「お客様ですか? どんな人が来るんです?」
と質問した。

それに小竜姫は
「竜神王のご子息で、天竜童子様です」
と答えた。


普段通り小竜姫とパピリオは修行を済ませ、小竜姫が昼食の準備を行った。
パピリオは昼食が出来るまでゲームでもしようと斉天大聖の元へといくと先客がいた。

それはパピリオとほぼ同じ位の背格好の少年だった。
パピリオは彼が朝小竜姫が言っていた天竜童子だと思った。
斉天大聖と対戦ゲームをしているようだが、圧倒的に斉天大聖の有利であった。


それを見ていたパピリオは下手ですね〜、そう思った。
口には出さなかったが、顔には出たらしい。

パピリオが来たことに気づいた天竜童子はパピリオの表情を見て、
「お主、余の事を下手と思ったな?」
そう言った。

続けて天竜童子は
「そう思うのならお主はうまいのであろうな? 余の変わりにやって見せてくれないか?
余では斉天大聖に手も足もでんのじゃ」
と言った。

そう言われたパピリオは
「分かりました。私が手本を見せてあげます」
と言って天竜童子とバトンタッチし、斉天大聖と対戦し始めた。
パピリオと斉天大聖のゲームの実力はほぼ互角だった。

二人の対戦を見た天竜童子は
「言うだけの事はあるな。おっ、そう言えば自己紹介がまだだったな。余は……」

そこまで天竜童子が言いかけたところで
「小竜姫から聞いています。天竜童子でしょ? 私はパピリオと言います。よろしくです」
と、パピリオがニッコリ微笑みながら挨拶をした。

パピリオの笑顔に少し顔を赤くしながらも、天竜童子は
「こちらこそよろしく頼む」
と挨拶を返した。


そんな二人を見ながら斉天大聖は優しそうな微笑を浮かべながらキセルに火をつけた。
その後二人は、小竜姫が食事の準備が出来たことを知らせにくるまで対戦ゲームをしていた。


……対戦成績は天竜童子の名誉のため控えさせてもらいたい。


昼食後、天竜童子とパピリオはお互いのことを話していた。
色々話し、自分の姉のルシオラが横島と付き合っていると話した時、天竜童子は驚いた顔をした。

天竜童子の驚いた顔を見たパピリオは不思議がっていた。
人界では美智恵をはじめとする人達によって、横島のアシュタロス事件での活躍は知られていないが、天界ではかなり知れ渡っているはずだ。
だから横島の名前を聞いたぐらいではそれほど驚かないはず。
そう思ったパピリオは直接その疑問を聞いてみた。


「何でそんなに驚いているのですか?」
天竜童子は
「横島のことは以前から知っておったが、まさかパピリオとも知り合いじゃとは思わなかったのじゃ」
と驚いた理由を説明した。


それを聞いたパピリオは
「天竜童子が出会った時のヨコシマの事教えてくれませんか?」
と天竜童子に頼んだ。

パピリオの頼み天竜童子は
「いいぞ。余が出会ったときの横島は…」
と初めて横島と出会った時の横島の話をし始めた。

それを聞き終えたパピリオは
「本当にヨコシマは昔は弱かったんですね〜」
と正直な感想を述べた。

天竜童子は
「ああ、余が初めて会ったときは霊能力もない、普通の人間じゃったのう。しかし、その後はすさまじい速さで成長していったの。小竜姫や斉天大聖からそのことを聞いたときは半信半疑じゃったが」
そう横島について語った。


天竜童子は常に妙神山にいるいるわけではなく、短期の滞在ではあったが二人の波長はあったようだ。
その為、天竜童子が妙神山を訪れるたび、二人は一緒に修行やゲームなどを一緒にするようになり、二人はすっかり仲良くなっていた。


二人とも、初めて出来た同年代の友人だったのだ。
そのうちお互いのことを「パピ」「天くん」と呼び合うようになった。


これにはちょっとした秘話がある。
最初はパピリオは天竜童子のことを「天ちゃん」と呼ぼうとしたのだが、天竜童子の激しい反対があり、今の「天くん」に落ち着いたのだ。
ついでに言えばパピリオはワルキューレのことは「ワルちゃん」と呼んでいる。
最初は「ワルおばちゃん」と呼ぼうとしたらしいのだが、ワルキューレの心のこもった説得によりその呼び方は回避された。

会えない時間の方が長かったが、また会える日を楽しみにし、その時の為、ゲームの腕を磨く二人だった。


「これが天くんとの思い出ですよ」
パピリオはそう言って話を締めくくった。

「二人ともずいぶん仲良くなったんだな〜」
そう横島は感想を述べた。

「でもパピリオ。私達と妙神山降りていいの? これまで以上に天竜童子様と会えなくなるわよ」
そうルシオラがパピリオに聞いた。

「大丈夫です。通信鬼がありますから。それに中学校に行ってみたいですし」

そう答えるパピリオ。そこに二人の会話を聞いていた横島が
「そうだな。それに、日時を決めて皆で『転』『移』の文珠で妙神山に来ればいいし」
とパピリオに言った。

パピリオはお義兄ちゃんの能力は便利ですね〜、と思いながら口に出しては
「そうですね。ありがとうですお義兄ちゃん」
と横島に礼を言った。

それに対し、
「なにたいしたことじゃないさ」
と横島は答え、そこでニヤニヤした笑みを浮かべながら
「遠距離恋愛か〜。頑張れよ〜パピリオ。出来るだけの応援はしてやるさ」
と言った。

それを聞いたパピリオは
「私と天くんはまだそんな関係じゃありません!」
と顔を真っ赤にして反論した。

が、
「まだ、ってことはこれからそうなるのかしら?」
姉のルシオラにまでそう言われてしまい、パピリオは
「二人ともイジワルでちゅ!」
とさっき以上に顔を真っ赤にしながら叫んだ。


あとがき

いかがだったでしょうか?「GS美神if9 皆で修行大作戦?」で少しだけ書いたパピリオと天竜童子について書いてみました。
初々しい二人が書けていたらいいのですが。


オマケ

中学校に通い出してから初めて妙神山を訪れた時、そこには「天ちゃん」と横島に呼ばれ、顔を真っ赤にする天竜童子がいたとかいなかったとか。

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